米国リート相場の動き

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2015年9月
スペシャル・レポート
世界株式市場の動揺と米国金融政策が米国リート相場に及ぼす影響
フィデリティ投信株式会社
中国株式相場の乱高下などからリスク回避の動きによって世界的に株式市場の動きが不安定となる中、8月
半ばまで堅調に推移してきた米国リートも、現在は年初来でマイナスの結果となっています。当レポートでは
今後の米国リートの見通しをご案内いたします。
米国リート相場の動き
 2015年第1四半期の米国リートは、地政学リスクの高まりや原油価格の低迷などから世界の金融市場が
不安定な動きとなる中、+5%上昇と堅調な推移となりました。
 しかし2015年第2四半期には、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始時期を巡る憶測などから米
国長期金利が上昇傾向となり、米国リートは下落に転じ、年初来で-6%まで調整しました。
 その後、米国長期金利の低下などを受けて、8月半ばまでに年初来横ばいの水準まで回復してきた米国


リート相場でしたが、中国株式相場の大幅な調整による世界的なリスク回避の高まりに押されて再度下
落基調となり、現在は年初来でマイナス(-7%)の結果となっています。
このように、2015年の米国リート相場が軟調となっている背景には、今後の米国金融政策や中国政府の
政策対応への不透明感があります。
また、業種別では、賃貸契約の長さから金利上昇に弱いとされるヘルスケアセクターや、世界景気の動
向に敏感なホテル・リゾートセクターなどが全体の足を引っ張る形となっています。
米国リート、米国10年国債利回り等の推移
(2014年12月末~2015年9月11日)
180
160
上海A株指数(左軸)
120
米国リート(右軸)
110
140
120
100
100
80
60
12/31
2.5%
1/31
2/28
3/31
4/30
5/31
6/30
7/31
8/31
米国10年国債利回り
2.19%
2.17%
2.0%
1.5%
12/31
93.5
90
(月/日)
1/31
2/28
3/31
4/30
5/31
6/30
7/31
8/31
(月/日)
2015年の米国リート、米国株式の騰落率
(2014年12月末~2015年9月11日)
倉庫
住宅
多角
小売
米国リート
オフィス・物流
-14.7%
ヘルスケア
ホテル・リゾート -16.4%
-20%
-15%
14.4%
2.2%
-6.3%
-6.5%
-6.5%
-9.8%
-10%
-5%
0%
5%
10%
15%
20%
(注)Bloombergよりフィデリティ投信作成。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。現地通貨ベース。上グラフは、期間初を100として指数化。
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上記は過去の実績であり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
最終ページを必ずご確認ください。
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世界株式市場の動揺と米国金融政策が米国リート相場に及ぼす影響
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米国リート相場の見通し
 今後の米国金融政策や中国政府の政策対応への不透明感から米国リート相場は下落したものの、

米国リートのファンダメンタルズは、引き続き堅調です。
堅調な米国経済を背景に、米国商業用不動産の需給環境は良好で、リートの業績は増益が見込ま
れています。
米国商業用不動産の賃料と入居率の上昇と米国リートの業績予想
10%
5%
0%
-5%
賃料上昇率
3.2% 3.4%
20%
米国リート業績予想
92%
+9.1%
+8.3%
2015年
2016年
10%
-10%
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
入居率
90%
90.1%90.4%
0%
88%
86%
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
(注)Bloombergよりフィデリティ投信作成。左グラフの期間:2004年~
2016年。2015年と2016年(網掛け)は予想値。賃料上昇率、入居率は、
REIS Inc.の公表データについて、小売施設、オフィス、物流施設、住宅
の平均を算出。米国都市部。米国リートの業績予想は、Citi Researchよ
り。2015年および2016年の調整後キャッシュフロー増加予想。
 一方、リートの株価評価(バリュエーション)は割安な水準にあります。
 米国リートの配当利回りは、8月末時点で、4.08%と米国債利回りの2.22%を大きく上回っており、米国
債に比べて割安と考えられます。また、株価水準は、純資産価値(NAV)を約12%下回っており、資産
価値に対しても割安と考えられます。
米国リートと米国国債の利回りの推移
米国リートのNAVプレミアムの推移
(2012年8月末~2015年8月末)
(2005年8月末~2015年8月末)
4.5%
4.0%
3.5%
3.0%
2.5%
2.0%
1.5%
1.0%
0.5%
0.0%
12年8月
米国
リート
40% 割高
4.08%
20%
0%
-12.4%
-20%
2.22%
期間平均 +4.3%
米国リート配当利回り
-40%
米国10年国債利回り
13年8月
14年8月
15年8月05年8月
(注)左グラフ:Bloombergなどよりフィデリティ投信作成。米国リートは
FTSE NAREIT Equity REITsインデックス。
右グラフ:NAREIT、FMR Coよりフィデリティ投信作成。
08年2月
10年8月
13年2月
-60% 米国
15年8月 リート
割安
NAVは、純資産価値(資産-負債)を意味します。
リートの価格と1口あたりNAVの差がNAVプレミアムです。
 今後、投資家心理の安定にはしばらく時間がかかる可能性があります。また、米国金融政策の先

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行きや、中国経済の不透明感が払拭されるまで、各市場とも不安定な状態が続く可能性もあります。
米国不動産市場の好環境に変化がない中で、リスク回避の動きから割安となった米国リートは、投
資家に格好の投資機会を提供しているとも考えられます。
上記は過去の実績であり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
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