【スペシャルレポート】米国の政策金利引き上げと日本

2015年
12月17日
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スペシャル・レポート
米国の政策金利引き上げと日本株式について
フィデリティ投信株式会社
米連邦準備制度理事会(FRB)は、2015年12月16日(米国現地)の金融政策決定会合で、約9年半ぶりとなる政策
金利の引き上げを決定しました。米国の利上げを受けた本日の日本株相場は上昇しました。当レポートでは、以
下のポイントについてご説明いたします。
ポイント
1. 利上げが可能な状況まで改善してきた米国経済
2. 堅調な業績が見込まれる日本企業と中長期的な株価上昇期待
3. 今後の相場見通し
利上げが可能な状況まで改善してきた米国経済
米国の雇用と物価の状況
 2015年12月16日(米国現地)、米連邦準備制度理


事会(FRB)は、政策金利(FFレート)の誘導目標を
0.25%切り上げ、0.25%~0.50%とし、約9年半ぶり
に利上げに踏み切りました。
この背景には、利上げが可能な状況にまで改善し
てきた米国経済の堅調さがあります。右グラフに
見られるように、米国の雇用者数は、リーマン・
ショック前の水準を上回る状況まで改善しています。
会合後のイエレンFRB議長の声明では、今後の利
上げのペースは緩やかなものになるとの見通しが
公表されました。景気は順調に拡大している一方
で、物価上昇率は安定しているためです。
(%)
(百万人)
非農業部門雇用者数(左軸)
145
消費者物価指数上昇率(食糧、エネルギーを除く、
前年比、右軸)
3.0
140
2.5
135
2.0
130
1.5
125
1.0
120
06年1月
0.5
09年1月
12年1月
15年1月
(注)Bloombergよりフィデリティ投信作成。期間:2006年1月~2015年11月、
消費者物価指数上昇率は2015年10月まで。
米国経済の改善は日本の企業業績にもプラス
日本企業の経常利益と日経平均株価の推移
 米国経済の改善は、日本の企業業績にとっても追


1
い風と考えられます。米国で個人消費や設備投資
などが増えれば、日本からの米国向け輸出の増
加に加えて、日本企業の現地生産の拡大などが
期待されます。
さらに、世界最大の経済規模を持つ米国の景気
拡大は、日本企業が多く進出しているアジアなど
からの米国向け輸出の拡大にもつながると考えら
れます。日本企業が持つアジアの製造拠点など
からの米国向け輸出の増加などを通じて、米国向
け輸出の多いアジア諸国の景気にもプラスの要
因となります。
右グラフに見られるように、日本企業の業績は来
期も緩やかな拡大が見込まれています。今後も企
業業績の拡大に伴って株価の上昇が期待されま
す。
(円)
(兆円)
60
30,000
経常利益(左軸)
50
25,000
日経平均株価(右軸)
40
20,000
30
15,000
20
10,000
10
5,000
0
05
07
09
11
13
15
0
(年度)
(注)RIMES、会社四季報よりフィデリティ投信作成。期間:2005年度~
2016年度(2015年度、2016年度は会社四季報予想)、日経平均株価は各
年年度末値を使用。経常利益は連結ベース、3月期決算企業を集計。
上記は過去の実績であり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
最終ページを必ずご確認ください。
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米国の政策金利引き上げと日本株式について
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日本独自のプラス要因:企業統治改革
(兆円)
 米国経済の拡大という追い風の他に、足元



の日本のプラス材料として、企業統治改革を
背景とした企業行動の変化が挙げられます。
右上グラフに見られるように、日本企業の手
元資金は高水準になっていますが、これらの
資金を配当として株主に還元する動きが増え
ています。
左下グラフに見られるように、東証1部上場企
業の配当額は、企業業績の改善に伴って増
加基調となっています。2010年には5兆円強
まで低下しましたが、2014年には約8兆円と、
4年で約50%伸びています。
このような企業の動きを後押ししているのは
スチュワードシップ・コードやコーポレートガバ
ナンス・コードなどの、企業統治改革の動きで
す。右下グラフに見られるように、2名以上の
独立社外取締役を選任する企業の割合は
2015年に入り、大きく増加しています。企業価
値向上のために、設備投資や研究開発、配
当、自社株買いなど企業の状況に応じた適
切な対応が進むことが期待されます。
企業が保有する豊富な手元資金
100
94.1
90
80
70
60
59.3
50
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (年)
(注)Bloombergよりフィデリティ投信作成。期間:2006年~2014年。金融
除く東証1部、東証2部、東証マザーズ、JASDAQ上場企業対象。手元
資金は現預金と市場性のある有価証券の合計。Bloombergによる集計。
データ取得可能な銘柄ベース。
2名以上の独立社外取締役を
選任する企業の割合
東証1部上場企業の配当額
(兆円)
9.0
60%
8.0
8.0
7.0
6.9
7.0
6.0
6.0
5.9
48.4%
50%
6.3
5.3
40%
5.0
30%
4.0
21.5%
3.0
20%
2.0
10%
1.0
0.0
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
(年)
(注)Bloombergよりフィデリティ投信作成。期間:2008年~2014年。東証1
部上場企業対象。Bloombergの集計による。データ取得可能な銘柄ベー
ス。
2
0%
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(年)
(注)東京証券取引所よりフィデリティ投信作成。2015年7月14日までに提
出されたコーポレートガバナンス報告書ベース。東証1部上場企業対象。
上記は過去の実績であり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
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米国の政策金利引き上げと日本株式について
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改善が期待される日本企業の自己資本利益率(ROE)*1
日米欧のROE推移
 日本のROE(自己資本利益率)は、リーマン・



ショックなどで落ち込んだ後、改善傾向となっ
ています。
過去3年程度で見ると、米欧のROE水準がお
おむね横ばいからやや低下傾向で推移してい
るのに対して、日本のROEは大きく改善してい
ます。
一方、米欧のROE水準がおおむね2桁の水準
で推移しているのに対して、日本のROEは相
対的に低い水準です。
成長のための積極的な投資や株主還元の強
化などにより、日本企業のROEは中長期的に
改善することが期待されます。
*1自己資本利益率(ROE)とは、利益を自己資本(資本金と内部留保などの
合計)で割った比率。株主が企業に投資しているおカネを、企業が業務によっ
て何%の収益率で回しているか、を示す。投資における利回りに相当し、企
業の収益力を表す指標。
(%)
日本
米国
欧州
20
15
10
5
0
‐5
06年1月
09年1月
12年1月
15年1月
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。期間:2006年1月~2015年11月、
MSCI各指数を使用。
株価関連指標
 日本の予想株価収益率(PER)*2は、米欧の水準や過去10年間の平均と比較して低い水準になっていま
す。また、株価純資産倍率(PBR)*3は米欧との比較では低水準となっています。今後、成長のための投
資や合併・買収(M&A)、増配、自社株買いなどを戦略的に行う企業が増えれば、より高い評価となるこ
とが期待されます。
(倍)
予想株価収益率(PER)
株価純資産倍率(PBR)
(倍)
3
18
2.8
16
14
(15.6)
17.0
(14.1)
14.5
(2.5)
2
15.4
(1.8)
1.8
(1.4)
12
(12.0)
1
1.4
10
0
8
日本
米国
欧州
日本
米国
欧州
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。MSCI各指数を使用。2015年11月末。 ━ とカッコ内の数値は過去10年間の平均値(月次ベース)。*2株価収
益率(PER)とは、企業の利益と株価の関係を表す指標。一般に、PERが低いほど利益に対して株価が割安と考えられる。*3株価純資産倍率
(PBR)とは、企業の純資産と株価の関係を表す指標。例えば、PBRが1倍を下回ると、1株当たり純資産が株価を上回り、継続的に事業を行うより、
解散した方が株主の利益になることから、PBR1倍が理論的な株価の下限と考えられる。
3
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ご参考
 前回の米国の利上げ局面では、米国景気の拡大などを背景に、日本、米国とも株価は堅調に推移しま
した。
 石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなどから、足元では原油価格が下落していますが、日本は原油
消費量の全てを輸入しているため、経済全体で見た場合、原油価格低下のプラス効果が期待されます。
前回米国利上げ局面の日米株価推移
【2004年5月末~2007年8月末】
東証株価指数(左軸)
米国政策金利(右軸)
原油価格下落に伴う
所得移転額の対GDP比率(推計)
S&P500種指数(左軸)
2,000
6%
1,800
5%
1.2%
1,600
4%
1,400
3%
1,200
2%
1,000
1%
日本株
約41%上昇
1.0%
米国株
約32%上昇
0.8%
0.7%
0.6%
0.4%
800
04年5月
1.1%
0.4%
0%
05年5月
06年5月
07年5月
0.2%
▲10
(注)Bloomberg、RIMESなどよりフィデリティ投信作成。2004年
5月末~2007年8月末。現地通貨ベース。
▲20
▲30
(注)国際通貨基金(IMF)、BPなどよりフィデリティ投信作成。原
油価格下落額は年間平均。上記は一定の条件に基づく推計。
今後の相場見通し
 今回の米国の利上げ開始は金融市場にて長らく注目されてきたイベントですし、米連邦準備制度理事
会(FRB)もここに至るまでに市場との慎重なコミュニケーションを続けてきました。金融市場に流れ込む
資金量が細るという意味ではネガティブな要因ですが、市場予想には既にほぼ織り込み済みであり、こ
れを受けて相場に新たな方向性が生じるとは考えがたそうです。利上げが可能なほど米国経済が堅調
であること、また投資家にとっての不確定要因が1つ消えたという意味では、世界の株式市場にとって
ややポジティブな要因であると言えます。
 市場の関心は、今後の利上げペースに向けられています。米国景気の拡大基調を損なうことのない、
穏やかなペースでの引き上げが進められると思われますので、今後とも企業収益の拡大が世界の株式
市場を支えていくものと見ています。中でも日本株は、米国とは逆方向の金融緩和政策が持続されるこ
とで為替の円安基調が想定されること、また新興国と違って資金流出のリスクが低いことを考えれば、
相対的に良好な環境にあると言えます。
 日本企業にとって、海外生産分や間接輸出分も含めた、最終製品の需要先としての米国市場は極めて
重要な位置付けにあります。米国の最終需要が堅調である限り、日本の企業業績は順調な拡大が可
能であり、それが株価の押上げ要因になると考えられます。
4
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