編集・発行/信楽園病院検査科 第 16 号 2008年 2 月発行 臨床検査技師 渡辺 京子 血液中には白血球、赤血球、血小板の 3 種類の細胞があります。 白血球は、体内に侵入してきた細菌やウイルスから体を守るための重要な働きをしていま す。これら異物を取り込んで破壊したり(どん食作用)、免疫抗体を作って体の外に排除した りします(免疫反応)。他の血球と同じように白血球も骨髄で作られ、寿命は4∼5日です。 幹細胞と呼ばれる前駆細胞から分化し、好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の5種 類のどれかになります。それぞれの役割や特徴を示します。 好中球 リンパ球 単球 好酸球 好塩基球 好 中 球 白血球の中で最も数の多い細胞で、細菌や真菌(カビ)などをどん食、殺菌し 外敵から守ります。けがをした時にできる傷口の白い膿は、好中球の死骸です。 リ ン パ 球 抗体を作ってウイルスの排除やがん細胞などの異物の攻撃、退治を行います。 またリンパ球は血管内にとどまらず、リンパ管を通って全身のリンパ節内を循環しています。 風邪をひいた時などに首の周りのリンパ節が腫れるのはリンパ節内のリンパ球が全身にウイ ルスが広がらないようにしている為です。 単 球 強力に異物をどん食し、外敵の侵入を防ぎます。そして、その分析した情報を リンパ球に伝達します。不要になった細胞の残骸の処理もします。 好 酸 球 寄生虫感染(殺虫物質の放出)や、アレルギー疾患(症状増大を引き起こす)、 いくつかの血液疾患で増加します。 好 塩 基 球 白血球の中で数が少ない細胞です。アレルギー反応の際にヒスタミンなどの化 学物質を放出し、アナフィラキシー反応、じんましん、気管支喘息などを引き起こすとされ ています。 白血球数の正常値は 1mm3 中に 4000 個∼8000 個です。このうち好中球が最も多く 50∼60%を占め、次がリンパ球で 20∼40%です。単球は 2∼8%、好酸球は 2∼7%、好 塩基球は 0∼1%です。白血球を検査する場合には、数の増減だけでなく種類の割合も重要に なります。 白血球が増える病気 一番多いのは扁桃炎、肺炎や虫垂炎などの感染症や炎症です。この時は好中球が増加して います。インフルエンザのようなウイルス感染症ではリンパ球が、アレルギーや寄生虫の感 染では好酸球が増加します。激しい運動や入浴、ストレスなどが原因で一時的に増えること もあります。長期間の喫煙で増えることも知られています。頻度は少ないですが、重大な病 気は白血病です。 白血球が減る病気 再生不良性貧血、薬剤の副作用、抗腫瘍剤の長期投与などが有ります。
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