キンギョにおける 全身性の炎症と免疫の誘導

キンギョにおける
全身性の炎症と免疫の誘導
医学科 2年
鈴木健人 鈴木里彩
R・講義と実習によるバイオサイエンス
R・講義と実習による
バイオサイエンスって?

論文を読み、興味をもったテーマに関する実験計
画を自分たちで立て、実際にやってみる

S科目…自由選択科目。2年間で6単位必要
R科目…自由選択の中で、論文や原書の講読を
行う科目(とシラバスには書いてあります)
1単位の履修が勧められるが、義務ではない

テーマ設定

生物の服部先生の研究室では、メラトニンを
主体に研究している。

メラトニンは免疫系に影響を与えるらしい。
(論文より)
→メラトニンと免疫系との関係について、キンギョ
を用いて調べてみよう!
→免疫系について調べるには、まず免疫応答を起
こす方法を考えなければならない!
実験概要

ホルマリン固定したウロコを再移植し異物として
認識させ、キンギョの免疫反応を誘導する。

免疫反応が誘導されているかどうかは血液中の
白血球数の変化を観察することで確認する。
実験方法
炎症を起こす
 キンギョの片側から40枚の鱗を抜く
 10倍希釈ホルマリン中で10分間固定する
 10分後、多量の蒸留水でゆすぎ、再度同じ場所
に移植する
実験方法
免疫系細胞を数える
 1,3,4,6日後にそれぞれ採血を行う
 標本を作製し、ギムザ染色する
 生物顕微鏡で観察し、リンパ球、マクロファージ、
好中球、好塩基球を同定、一画面あたりの個数
を数える
 以上を1個体につき10画面について行い、全体
の血球数(赤血球+白血球)に対する、免疫系
細胞の割合を調べる
顕微鏡で見た血球の様子
血球の種類
免疫系細胞
好中球→
↑ リンパ球
↓ マクロファージ
↓ 好塩基球
栓球→
↓ 幼若赤血球
炎症の様子

1日後
移植された鱗が目立つ程度で、あまり変化なし
炎症の様子

3日後
移植部がやや赤みを帯びている
炎症の様子

炎症部位拡大
今回ピーク時にとり損ねたので、以前の実験より。
移植部位が真っ赤になる。
炎症の様子

7日後
ピークは過ぎ、片面がぼろぼろに・・・
黒くなってしまったのはストレスのため。
結果
リンパ球
平均
顆粒白血球
平均
1日目
1.2% 1日目
1.1%
3日目
1.6% 3日目
1.3%
4日目
0.6% 4日目
0.8%
6日目
0.8% 6日目
0.3%
コントロール
1.8% コントロール
0.2%
※全て総血球数に対する各血球数の割合を表している。
リンパ球数の推移
割
合
2.5%
2.0%
1.5%
1.0%
0.5%
0.0%
-0.5%
0
1
2
3
炎症個体
4
5
コントロール個体
6
7
日数
顆粒白血球数の推移
割 1.8%
合
1.6%
*
1.4%
1.2%
*
1.0%
*
0.8%
0.6%
0.4%
0.2%
0.0%
0
1
2
3
炎症個体
4
5
コントロール個体
*
6
日数
5%水準で有意差あり
7
炎症の様子と血球構成

実験群の好塩基球や好中球の方が対照群より
も肥大し、染色性が強い傾向にある。
対照群
実験群
↑ 機能亢進により内部の顆粒が増えるためか?
今後の展望
 その他の免疫系指標の同定(酵素など)
定量化できる指標があれば、免疫応答の強度をより適切に評価できる
 炎症の度合いと血球構成の変化の相関
炎症がひどくなれば、免疫応答も強まるのか?
 メラトニン投与群との比較
メラトニンを投与する/しないで、炎症に対する免疫応答に差は出るか?
いろいろ難しいことを話してきましたが・・・
こんな感じで楽しくやっています♪