白血球が増加しているといわれたら

成人病センター
医師だより№32
白血球が増加しているといわれたら
成人病センター血液内科 診療部長 川口 康久
問合せ先095-861-1111
内線210
感染症、進行した癌、精神的・肉体的ストレス、慢性骨髄性白血
平成27年6月5日 病・・などが原因の可能性もあります。
一度内科の受診をおすすめします。
健診などで白血球増加を指摘されることが時々あります。白血球の正常値は当院
では3,000~9,000/µℓであり、一般的には10,000/µℓ以上ならば白血球増加と考えま
す。しかし、この正常値自体かなり幅があり、個人差が大きいので13,000/µℓくら
いまでならば正常という方も時々います。普段の白血球数がわかっていればそれと
比較すれば増加しているかどうか確実に判断できます。
白血球は好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球に分類できますが、白血球
増加の原因はほとんどが好中球増加です。好中球増加以外での白血球増加ならば白
血病などの血液疾患である可能性が高いです。ここでは好中球増加の原因について
お話しします。肺炎などの感染症がもっとも頻度が高く、好中球増加があればまず
感染症の検索を行います。心筋梗塞や火傷などの炎症や進行した癌でもしばしば好
中球増加が起こります。今まで述べた感染症、心筋梗塞、火傷、進行した癌では発
熱や倦怠感など何らかの自覚症状があるはずです。
それでは自覚症状がない好中球増加にはどのようなものがあるでしょうか?膠原
病などの自己免疫疾患で副腎皮質ステロイドを内服している方はしばしば好中球増
加が起こります。しかし、これは主治医が説明されているでしょう。精神的あるい
は肉体的ストレスでも好中球増加は起こります。いわゆるストレス多血症であり、
喫煙が原因であることが多いです。頻度は少ないですが、鑑別を必要とする疾患に
慢性骨髄性白血病があります。1年間に10万人のうち5人が白血病を発症するといわ
れていますが、慢性骨髄性白血病はその5分の1である10万人のうち1人が発症する
といわれています。慢性骨髄性白血病は自覚症状がない3~5年の慢性期の後に急性
白血病となって死去する予後不良の白血病でした。ところが今世紀に入って分子標
的薬であるグリベックが登場し、平均生存期間は20年以上といわれています(あく
まで平均であってすぐに亡くなる方もいます)。鑑別のポイントは慢性骨髄性白血
病では好酸球増加、好塩基球増加、血小板増加を認めることが多いです。
白血球増加の原因について述べてきましたが、健診で白血球増加を指摘されたら
一度内科を受診されたほうがいいでしょう。一般内科で鑑別が難しいときは血液内
科が診ます。