9月 30 日施行!改正派遣法の概要とは

<H27 年 9 月 28 日発行>
松沢社会保険労務士事務所
ライフサポートまつざわ
今月のテーマ
9月 30 日施行!改正派遣法の概要とは
~派遣元・派遣先が押さえるポイント~
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派遣労働という働き方、およびその利用は、臨時的・一時的なものであることを原則とするという
考え方のもと、常用代替を防止するとともに、派遣労働者のより一層の雇用の安定、キャリアアッ
プを図るため、労働者派遣法が改正されました。
派遣先事業主&派遣元事業主の方へ
期間制限ルールが変わります
専門26業務・自由化業務による区分は廃止され、有期雇用・無期雇用によって区分されます。
有期雇用派遣労働者を受け入れる場合
期間制限あり
有期雇用派遣労働者について、現行法の期間制限(いわゆる26業務以外の自由化業務に対する
労働者派遣について、派遣期間の上限を原則1年(最長3年とするもの)の規定を見直します。
施行日以降に締結又は更新される労働者派遣契約では、すべての業務に対して、次の2種類の期
間制限が適用されます。
1.派遣労働者個人単位の期間制限
■ 同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる課)において
受け入れることができる期間は、原則、3年が限度となります。
■ 派遣元は、同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者に対し、
派遣終了後の雇用安定措置を講じる義務があります。
(1年以上3年未満の見込みの場合は、努力義務がかかります。)
【雇用安定措置】
①
②
③
④
派遣先への直接雇用の依頼
新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
その他安定した雇用の継続を図るための措置
(雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣等、省令で定めるもの)
※
雇用安定措置として①を講じた場合で、直接雇用に至らなかった場合は、
別途②~④の措置を講じる必要があります。
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2.派遣先事業所単位の期間制限
■ 同一の派遣先の事業所において、労働者派遣の受入れを行うことができる期間は、原則、
3年が限度となります。
■ 派遣先が、3年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合等からの
意見を聞く必要があります(1回の意見聴取で延長できる期間は3年まで)。
また、3年延長後、更に延長する場合も同様とします。
<意見聴取手続き>
派遣の受入れの継続の是非について、労使間で実質的な話合いが行われることが重要です。
①意見聴取は、期間制限の上限に達する1か月前までに行うことが必要です。
②過半数労働組合等から異議が示されたときは、対応方針等を説明する義務があります。
経過措置
施行日前(平成27年9月29日以前)に締結された労働者派遣契約については、その労
働者派遣契約が終了するまで、改正前の法律の期間制限が適用されます。
無期雇用派遣労働者等を受け入れる場合
期間制限なし
次の①~⑤で受け入れる場合は、期間制限の対象外となります。
①
②
③
④
⑤
派遣元に無期雇用されている派遣労働者
60歳以上の高齢者
日数限定業務
有期プロジェクト業務
産前産後休業、育児休業、介護休業を取得する労働者の休業代替業務
平成 27 年 10 月 1 日から、労働契約申込みみなし制度が施行されます。
派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、そ
の派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをし
たものとみなされます。
(違法派遣について、善意無過失である場合を除きます)
【労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣】
①
②
③
④
労働者派遣の禁止業務(建設・警備・医療関連業務等)に従事させた場合
無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
派遣可能期間を超えて労働者派遣を受け入れた場合(※)
いわゆる偽装請負の場合
(※)「期間制限違反」について
・新たに設けられる事業所単位、個人単位の2つの期間制限のどちらに違反した場合も、労働契
約申込みみなし制度の対象となります。
・派遣元は、派遣労働者に対して就業条件などを明示する際に、期間制限違反が労働契約申込み
みなし制度の対象となる旨も明示しなければなりません。
・改正法施行日(9 月 30 日)時点で、すでに行われている労働者派遣については、改正前の期間
制限が適用され、制限を超えて派遣労働者を使用しようとするときは、改正前の法律の労働契
約申込み義務の対象となります。
(この「労働契約申込みみなし制度」の対象とはなりません)
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派遣元事業主の方へ
労働者派遣事業は、許可制に一本化されます
施行日以後、一般労働者派遣事業(許可制)/特定労働者派遣事業(届出制)の区分は廃止され、
すべての労働者派遣事業が許可制となります。
改正前
改正後
一般労働者派遣事業
〔許可制〕
労働者派遣事業
〔許可制〕
特定労働者派遣事業
〔届出制〕
経過措置
◆ 施行日時点で、特定労働者派遣事業を営んでいる派遣元事業主は、引き続き、3年
間は「その事業の派遣労働者が常時雇用される労働者のみである事業」を営むこと
が可能です。
◆ 施行日時点で、一般労働者派遣事業を営んでいる派遣元事業主は、その許可の有効
期間の間は、引き続き、事業を営むことが可能です。
◆ 施行日前にした許可・更新申請で、施行日時点でまだ決定がなされていないものは、
新法に基づく申請として扱われます。
配慮措置
小規模事業主に対しては、新たな許可の申請に当たって、一定の配慮措置が設けられます。
キャリアアップ措置の実施、その他の取扱いについて
【キャリアアップ措置の実施】
【均衡待遇の推進】
【派遣元管理台帳の記載事項】
派遣元は、雇用している派遣労働
者のキャリアアップを図るため、
段階的かつ体系的な教育訓練や希
望者に対するキャリア・コンサル
ティングを実施する義務がありま
す。
特に無期雇用派遣労働者に対して
は、長期的なキャリア形成を視野
に入れた教育訓練を実施する必要
があります。
派遣元は、派遣労働者か
ら求めがあった場合、
・賃金の決定
・教育訓練の実施
・福利厚生の実施
について、派遣労働者と
派遣先で同種の業務に
従事する労働者の待遇
の均衡を図るために考
慮した内容を説明する
義務があります。
派遣元管理台帳に記載する事項
に、以下の項目等が追加されま
す。
①無期雇用派遣労働者であるか
有期雇用派遣労働者であるかの
別
②雇用安定措置として講じた内
容
③段階的かつ体系的な教育訓練
を行った日時および内容
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派遣先事業主の方へ
派遣労働者と派遣先社員の均等待遇の推進
派遣先は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、以下の
点で配慮義務(※)が課され、具体的な行動を行う必要があります。
【均等待遇の実現に向けて配慮すべき事項】
① 派遣元事業主に対し、派遣先の労働者に対する賃金水準の情報提供を行うこと
② 派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合に、派遣労働者
にも実施すること
③ 派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する一定の福利厚生施設の利用の機会
を与えること
(※)「配慮義務」とは、目的の実現に向け、具体的に取り組むことが求められるものであり、努力義務
よりも強い責務が課されるものです。
派遣労働者のキャリアアップ支援
【キャリアアップ支援に必要な情報の提供】
派遣先は、派遣元から求めがあったときは、派遣元によるキャリアアップ支援に資するよう、
派遣労働者の職務遂行状況や、職務遂行能力の向上度合などの情報を提供する努力義務があり
ます。
【雇入れ努力義務】
派遣労働者を受け入れていた組織単位に、派遣終了後、同じ業務に従事させるため新たに労働者
を雇い入れようとする際、一定の場合には、その派遣労働者を雇い入れるよう努めなければなり
ません。
【正社員の募集情報の提供義務】
派遣先の事業所で正社員の募集を行う際、一定の場合には、受け入れている派遣労働者に対して
も、その募集情報を周知しなければなりません。
【労働者の募集情報の提供義務】
正社員に限らず、派遣先の事業所で労働者の募集を行う際、一定の場合には、受け入れている派
遣労働者に対しても、その募集情報を周知しなければなりません。
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