認知行動療法を活用したストレスマネジメント

認知行動療法を活用したストレスマネジメント
認知行動療法を活用したストレスマネジメントのポイントについてまとめてみましょう。
① 環境を調整する
ストレスへの対応というと、つい「こころの問題」と早とちりをしてしまうかもしれ
ませんが、それは好ましくありません。ストレスマネジメントの最初の着眼点は、環境
の調整にあります。
明るさ、騒音、におい、その他の物理化学的環境を整えたり、机の上の作業スペース
を確保したり、パソコン・ディスプレイの高さや配置を調整したりと、働きやすい環境
を整備することがストレス対処の最初の策となります。
② 考え方に働きかける
上の図は、考え方の特徴とストレスの強さの関係を示したものです。横軸は、人が、
その時体験している場面をどれだけ大変なことを経験していると考えているかという、
「脅威性の評価」の程度を示しています。縦軸はストレス反応の強さです。実線は、人
がその場面に対処できると考えている場合、破線は、人がその場面には手もありも出な
い、対処できないと考えている場合を示しています。脅威性の評価が小さいとき、つま
り、大した場面ではないと考えている場合には、対処できるかどうかという見通しには
かかわらず、ストレス反応はそれほど強くはありません。脅威性の評価が大きくなると、
つまり、体験している場面が大変だと判断されると、ストレス反応は強くなります。し
かし、脅威性の評価が大きいとき、対処できると判断するとストレス反応はそれほど強
くなりませんが、対処できないと判断した時には、ストレス反応が最も強くなります(図
の右上、矢印部分)
。このように、その時々の考え方がストレスの強さに影響している
ことが分かります。
このことは、その時々の考え方や、その人の考え方のクセを変えてみることが、スト
レスを緩和する要因になっていることを示しています。自分で自分の行動にヒントを与
える「自己教示法」
、頭の中で考えをストップさせる「思考中断法」
、さまざまな考え方
を変える「認知の修正法」といった考え方を変える試みや、これならできそうだという
感覚である「セルフ・エフィカシー」を強くする工夫や、柔軟性を発揮してさまざまな
アイデアを生み出すスキルがストレスマネジメントの役に立ちます。
③ 対処能力の向上を図る
ストレスに対処することを「コーピング」と呼んでいます。コーピングはストレスを
短期的にも、長期的にも緩和してくれる働きを持っています。
コーピングには大きく 2 つのタイプがあります。第一のタイプは、問題の解決に向け
た対処で、ストレスとなっている問題そのものの解決をはかる対処行動です。例えば、
○○さんに相談して、どうすればよいか聞いてみようと思いつき、実際に○○さんに相
談することで問題解決を図ろうとするような行動がそれにあたります。第二のタイプは、
情緒問題の調整をねらった対処行動で、ストレス経験と関連したさまざまな情緒問題の
解決をはかろうとするものです。例えば、リラックスをして身体緊張を解きほぐすとい
うような行動がそれにあたります。いずれもストレスの緩和に役立っています。
対処行動のレパートリーを広げることや、時間管理を適切に行うことも対処能力の向
上に役立ちます。
また、多様な対処行動を柔軟にとることができるようになる時には、スモールステッ
プで取り組むことに留意します。また、悪い点をなくそうとする発想ではなく、良いと
ころを積極的に増やしていこうという発想が役に立ちます。よいところを増やすことの
方が、悪い癖をなくすよりも容易なのです。これは、新しい行動を身につける時の行動
原理です。心の奥底を覗くのではなく生活行動に注目し、生活を上手に活性化したいも
のです。
④ ストレス反応への介入
ストレスによって生じたさまざまな身体の変化に直接働きかける方法もあります。さ
まざまなリラクセーション法や呼吸法は役に立つでしょう。また、専門的な方法ですが、
人が感じる不安を上手に自己管理できるための「不安管理訓練」と呼ばれるプログラム
や、ストレスに対する抵抗力をつけていこうとする「ストレス免疫訓練」と呼ばれるプ
ログラム、
「バイオフィードバック法」と呼ばれる方法なども有用です。
⑤ ソーシャル・サポートを増強する
ソーシャル・サポートはストレスを緩和してくれる要因です。
下の図をご覧ください。ソーシャル・サポートには、大きく分けて 4 つのタイプがあ
ります。実際に援助を受けることは重要なサポートになっていますが、サポートを求め
る行動をとることができることも、ストレス緩和にはとても大切です。