Page 1 Page 2 興奮する。 Ag線維の興奮は、 ヒ トでは鋭い痛 みと して

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第195回 臨床談話会
痛みの科学一歯痛を中心に−
大阪大学歯学部口腔解剖学第二講座教授垂永凱男(13回生)
歯の痛みは、鋭い痛み
つ終末分枝からなる神経叢を形成する。終末分
(fast pain)と鈍い痛み
枝の多くは象牙前質に進入するが、一部のもの
(slow pain)に大別され、
は象牙細管内を直進し、象牙質に達する。一方、
前者は歯牙切削などの機械
自律神経は、血管周囲に分布する。
的刺激、熱・冷の温度刺激、
高張蕪糖溶液刺激などの外
来刺激が直接象牙質に加わった時に起こるが、
ペプチド作動性線経の歯髄内分布と役割
歯髄内にはP物質(substanceP:SP)、カル
後者は、刺激が歯髄に加えられた時に起こる。
シトニン遺伝関連ペプチド(calcitoningene−
また、臨床的には、鋭い痛みは象牙質の痛み、
related peptide:CGRP)、ニューロキニンA
鈍い痛みは歯髄の痛みとして区別されている。
(neurokininA:NKA)、血管拡張性腸管ペプチ
第195回臨床談話会においては、歯痛の発現
ド(Vasoactiveintestinalpolypeptide:VIP)、
機構を解説するために、1)歯髄神経の形態学
ニューロペプチドY(neuropeptideY:NPY)な
的特性、2)ペプチド作動性腺雑の歯髄内分布
どのペプチドを含む神経線経が存在する。これ
と役割、3)歯髄神経の電気生理学的特性およ
らのうち、SP、CGRP、NKAは感覚神経繊稚
び4)歯髄求心性線椎の中枢投射について述べ
内に含有されており、これら線椎の興奮により、
た。
その終末から放出され、血流の調節に関与する。
VIP繊維は、血管周囲に分布し、アセチルコリ
歯髄神経の形態学的特性
ンと共存するため副交感神経に属すると考えら
歯髄神経は、有髄のうち細径群に属するAg
れている。NPY含有線経は、ノルアドレナリ
線経と無髄のC線経からなる。Ag線椎はすべ
ンを共有する交感神経の節後線経であり、血管
て求心性の感覚神経であるが、C線経は感覚神
を収縮さす。
経と遠心性の自律神経である。感覚神経は、歯
冠歯髄で扇状に散開し、細胞密層付近で神経叢
(Raschkowの神経叢)を作り、この神経層か
ら出る線経は象牙前質の直下で数珠状膨大をも
歯髄神経の電気生理学的特性
歯髄に分布するAg線経は、機械的、浸透圧、
熱・冷の温度刺激が象牙質に加わることにより
興奮する。Ag線経の興奮は、ヒトでは鋭い痛
位、強度、頻度、質などの弁別的過程のみなら
みとして感知される。一方、鈍い痛みは、C線
ず、感覚運動反射、自律神経反応、覚醒反応や
椎の興奮によって起こる。また、C線雑は、ブ
情動反応などの要素が加わるため、歯からの侵
ラジキニンやヒスタミンなどの内因性発痛物質
害性情報が一次求心性線経の終止核である三叉
によっても興奮する。歯髄炎の時に起こる炎症
神経感覚核群でどのように処理選別されまたそ
性疹痛もC線椎の興奮により発生する。象牙
れがどのような反応と関連しているかを考慮し
質に加えられた外来刺激は、細管内組織液を移
なければならない。三叉神経感覚核は、吻側よ
動させ象牙芽細胞と接触する神経終末に歪みを
り主感覚核背側亜核及び腹側亜核、吻側核、中
起させ、その結果、Na+チャネルが開き神経
位核と尾側核に区分され、歯髄求心性線経は、
終末に起動電位が発生し、Agが興奮するため
すべての核に投射する。主感覚核、中位核及び
に、鋭い痛みが起こる。一方、炎症時に起こる
尾側核を経由する歯の侵害性情報は、歯痛の別
持続性の鈍い自発痛は、歯髄毛細血管の拡張に
弁機能を司るが、それぞれの核がどの弁別的機
伴ない、ブラジキンやヒスタミンなどの内因性
能と関係するかについては不明である。一方、
発痛物質が産生され、それがC線経を興奮さ
吻側核を経由する情報は、感覚運動反射、覚醒
すために起こる。
反応及び情動反応系を賦活さす。また、尾側核
を経由する情報は、自律神経反応とも密接な関
歯髄神経の中枢投射
歯痛の中枢機構を考えるときには、痛みの部
係を有する。