RC造モルタル仕上げ工法で 野丁場左官の未来に活路を

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RC造モルタル仕上げ工法で
野丁場左官の未来に活路を
インタビュー ㈱根子左 豊田
一雄 取締役専務に聞く
日本プラスター㈱(奥山浩司社長/栃木県佐野市多田町
188 − 2)はこのほど、RC 造モルタル仕上げ工法「RC ウォー
ル工法」を開発・上市した。RC 造の下地調整から仕上げま
でを一貫して左官工事で行うことで工期を短縮し、トータ
ルコストの大幅削減を実現する画期的な材料であり、野丁
場左官の未来に活路を見出す工法としても期待が持てる。
本欄では、同社の製品開発に当たり、職人の現状並びに、
設計・現場への要求を伝えてきた㈱根子左・豊田一雄取締役
専務にインタビューを行い、野丁場左官が直面する課題と、
「RC ウォール工法」に寄せる期待についてお話を伺った。
(編集部)
コンクリート打ち放しの下地調整(一般に補修)
では予算が明確化できない
――野丁場左官の現状についてお聞かせ下さい。
従来、野丁場左官は壁・床共にモルタルを塗ってきました
が、
昭和 50 年代に「コンクリート打ち放し」が登場して以来、
仕事の内容が著しく変化しました。現在、野丁場左官工の仕
▲「若者がやりがいを持てる仕事を増やしたい」と話す豊田専務
事は主に
「コンクリート打ち放し補修」といわれる、コンク
リート打ち放し面の「下地調整」です。すなわち、コンクリー
ト打ち放しの上に最終的な吹付け塗装、タイル、クロス張り
下地調整では技能の育成が不可能
などの仕上げを施工するための「下地調整」です。土間工事
我々にとってさらに大きな問題は、コンクリート打ち放
も同様で、長尺シート貼りや塗り床を施工する前工程であ
し「下地調整」では左官の技能を育成できないことです。本
る
「コンクリート直押さえ」が主な仕事です。
来、左官の技術というのは、不陸のある壁に対して、厚みを
しかしながら、
「コンクリート打ち放し」や「コンクリー
付けるべき箇所は厚みを付けて、下地の高いところは薄く
ト直押さえ」は、「仕上げ」であるにもかかわらず、我々左
塗り、材料を鏝で配りながら平らに仕上げるというもので
官工が「下地調整」をしなければ、意匠的に綺麗に仕上がら
す。しかし、コンクリート打ち放しの「下地調整」では躯体な
ないという矛盾を抱えています。下地調整は躯体の精度に
りの仕上げにしかなりません。
よって大きく左右され、躯体の精度が悪くモルタルを塗る
コンクリート打ち放し「下地調整」はしごき塗りとも言わ
必要が生じる場合が多いのが現状です。つまり、設計図書に
れ角鏝を使いますが、厚みのある壁を塗るための鏝ではな
正確な塗り厚を明記することが出来ないため、当然、正しい
いので、左官本来の技能が身に付きません。町場であれば、
工事費の積算・予算計画も出来ないということです。工事予
住宅などの外壁に軽量モルタルを塗ったり、巾木にモルタ
算が明確でなければ、当然追加工事も増えてきますし、その
ルを塗ったり、玄関のたたきなどもありますが、野丁場の現
分のお金を頂けないケースも出てくるのです。
場では厚塗りするための塗り付け鏝を使う機会が滅多にな
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No.467 2015 年 7 月号