合理化工法を導入した大規模倉庫の施工

西松建設技報
Vol
.
2
2
U.
D.
C. 69.
057:693.
55/
56
合理化二法を導入 した大規模倉庫の施工
TheExec
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飯野 康一*
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武藤 靖男*
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太 田 要一*
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中田 喜久*
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村 田 親盛 *
Chi
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a
増 田 明*
Aki
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uda
要
約
RC・PC混合構造 は,pc構造か らの コス トダウンを図るために,考案 された ものであ り,大規
模 な建築物 を施工 した報告 は極 めて少 ない.東京貨物 ター ミナル駅複合施設 J棟新設工事 にお
ける大規模倉庫 もこれに相当 し,柱が在来RC道であ り,梁がpC迄 の構造である. ここでの課題
は,で きるだけpc工法 の工期 に近づ けることであ る.本報告 は,当工事 において,地 中梁筋 の
先祖工法,地 中梁用 システム足場 , コンクリー ト打設 ,独立柱筋 の先組工法,独立柱 用 システ
ム型枠 お よび独立柱用 システム足場 な どの合理化工法 を導入 した大規模倉庫 の施工結果 につい
て述べた ものである.
目
次
§1.は じめに
§2.工事概要
§3.杭工事
§4.基礎工事
§5.上部RC・PC混合構造の施工
§6.おわ りに
上部躯体 は,柱 が在来RC選 であ り,梁がPC造 の混合構
造 であ り,限 られた工期 内に施工す るため に,在来RC
工事 に合理化工法 を導入 し,工期短縮 を行 う必要があっ
た.本報告 は,当工事 において,地 中梁筋 の先祖工法,
地 中梁用 システム足場, コンクリー ト打設,独立柱筋の
先祖工法,独立柱用 システム型枠 お よび独立柱用 システ
ム足場 な どの合理化工法 を導入 した大規模倉庫の施工結
果 について述べ た ものである.
§1.はじめに
§2.工事概要
RC ・PC混合構造 は,pc構造か らの コス トダウンを図
るために,考案 された ものであ り, 日本 で も施工 した実
童 は極めて例 を見 ない. この施工 は,基礎 の施工後,独
立柱 を在来RC工事 によ り行 い,PC梁お よびDT版 を架設
し,梁 と柱 のパ ネルゾー ンにシース管 を取付 け, コンク
リー ト打設 した後 ,pcワイヤ を挿入 し,pc梁 同士 を油
庄 ジャ ッキに よ り緊張 を行 う.その間 に,DT版上 にス
ラブ筋 を配筋 し, コンクリー トを打設す る.東京貨物 夕
- ミナル駅複合施設 J棟新設工事 における大規模倉庫 の
車
乗京建築 (
支)J
R貨物品川 (
也)
工事件名 .東京貨物 ター ミナル駅複合施設 J棟新設工事
日本貨物鉄道株式会社
企業先
株式会社梓設計
設計者
工事監理 株式会社梓設計 ・株式会社東京建築研究所
工事場所 東京都 品川区八潮 3丁 目 2番
平成9年 8月 - 平成9年 11
月
工 期
建築規模 階数
地上8階,塔屋2階
構造
RC・PC混合構造 (
事務所棟S造)
敷地面積
1
9,
800.
00mコ
建築面積
9,
006.
42m2
105
西松建設技報 Vol
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合理化工法を導入 した大規模倉庫の施工
延べ面積
3
9,
5
99.
7l
m2
最大スパ ン
8.
3m
最高高 さ
3
6.
0m
建築用途 :倉庫 ,事務室
敷地 は,大井埠頭 内の東京貨物 ター ミナル駅構 内 に位
置 してお り,建物 の周 囲 には,近 隣住 宅 が ない ものの,
駅構 内であるため,通勤 ・搬入車桶 の注意,貨物線路へ
の風散 防止 ・重機 の転倒 防止 な どの配慮 が必 要 とされ
た. この外 観パ ース を図 - 1に,基本平面 図 を図 -2に
示 す .使 用 した重機 は,当工事 が pc工事 を代 表 す る よ
うに,重機 による作業が主 な工事 のため,最大の ときに,
350tl機 ,250tl機 ,1
50t2機 お よび8
0t2機 の合計 6
図 - 1 外観パ ース
機 の クロー ラー ク レー ンに よ り行 われ,建物 の長辺方 向
に各 3機ずつ配置 した.
§ 3.杭工事
杭工事 は, 41
,
000mmお よび 〆700mmのPC鋼棒 お よび
異形鉄筋 を配置 したプ レテ ンシ ョン方式遠心力高強度 プ
pRC杭 ), プ レテ ンシ ョ
レス トレス トコ ンク リー ト杭 (
ン方 式 遠 心 力 高 強 度 プ レス トレス トコ ン ク リー ト杭
(
pHC杭 )お よび鋼管 コ ンク リー ト杭 (
sc杭 ) を用 いて
中堀拡大先端根 固め工法 に よ り行 い,支持層 に伴 い杭先
端 レベ ルがGL3
7,
000mmであ ったため,下杭 ,中杭 お よ
び上杭 の 3本 の既製杭 を溶接 す る工法 となった.中堀拡
大先端根 固め工法 の フロー を図 -3に示す. この中城拡
大先端根 固め工法 は,先端部 に噴射孔 を持 つ STJビ ッ ト
を取付 けた連続 スパ イラルオーガー をあ らか じめ杭 中空
都 に挿入 した杭 を建込み, オーガー駆動装置 にスパ イラ
ルオーガー を接続 し,掘削 を開始す る.杭 の沈設 は,ス
パ イ ラル オー ガー を回転 させ て杭 先端部 か ら1
m以 内で
の先堀 を行 い なが ら,杭 中空部 を通 して土砂 を排 出 して
行 う.杭 の先 端 が 支 持 層 に達 した後 ,支 持 層 に 1.
0・
D
(
D :杭径 )以上 に根 入 れ し,拡 大球根 郭 を高圧水 に よ
り掘削 を行 う.sTJビッ トが所定 の深 さに達 した後 ,玩
先端根 固め液 (
セ メ ン トミル ク) に切替 えスパ イラルオ
ー ガー を通 して ,STJビ ッ トか ら高圧 噴射 しなが ら,引
の賢@ ① ◎ ①
0
0
㊨
リ
ー
、
図- 2 基本平面図
1
06
西松建設技報 Vol
.
2
2
合理化工法を噂入 した大規模倉庫の施工
l
階床版部 分
地 中梁 部分
フーチ ング部分
(
単位 :mm)
図 -4 基礎の施工 区分
§4.基礎工事
≡
:∃
=
[
拡
端
3
め
堀
根固
中
大
法
図
ロ
フ
の
工
ー
先-
と拡大球根を
体化させ
の
一
,本工事
オ
ガ
いながら
ー
,を引抜く
〆1
000
mm
,本
注入された根固め液
の硬化によ
て杭本体
っ
ー
.鉛直支持力を発現させるも
である
における杭
の径と本数は
・
連続して杭中空部に
上げ拡大球板を構築する
さらに.
,杭外径
本であり
工
〆450
0本および
31
〆700
1
mm
,台を導入し
期短縮のために
杭打機
約
3
日間で施工
70,した.
331
杭を加圧し
被庄水
所定量
の注入が完了した後,を押さえるために杭中空部に注水を行
以上
から
については
600
450
1
5
mm
m
,
.以上の根固め液を噴
から
に
2
5
000
700
1
ついては
m
mm
.
,射し
基礎工事 は,基本的 にコンクリー トの打継部分 を考慮
し, フーチ ング部分,地 中梁部分 お よび1階床版部分 に
分 けて施工 した.基礎 の施工区分 を図-4に示す.
(
1
)
根切 り工事
根切 り工事 は,地 中梁底部 まで全面的に 1次根切 りを
行 い, フーチ ング部分 についてフーチ ング底部 まで 2次
根切 りを行 った.
(
2)フーチ ング筋お よび地 中梁筋の先祖工法
フーチ ング筋お よび地 中梁筋 は, フーチ ングの形状が
4パ ター ンお よび地 中梁の形状が 5パ ター ンあ り, さら
に建物 のスパ ン (
83×8.
2m) が同一であ ることか ら先
祖工法 を採用 した. この工法の採用 によ り,根切 り作業
中に鉄筋工事 を進めた.地中梁の先祖 における継手方法
は,建物 の両端部の 2方向か ら順 にガス圧接 を行 い,秩
筋寸法の縮み に対 して切断 を行 うことによ り,配筋の精
度 を確保 した. また,最終的な建物 の両端部の 2方向か
らの接合部分 は,両端が固定 されガス圧接がで きないた
め,エ ンクローズ ド溶接 を行 った.
(
3)
キース トン型枠お よびラス型枠
フーチ ング部分 の型枠 は, キース トン型枠工法 (
約
3,
000m2) を採用 し,地 中梁 の型枠 はラス型枠工法 (
約
7,
8
00m2) を採用 した.いずれの工法 も脱型が不必要の
ため,工期短縮 につながる工法である. また,地中梁部
分 の一部 は,打放 しコンクリー トがあるため,在来型枠
工法 (
約2,
000
m2) を採用 した.
フーチ ング部分のキース トン型枠 は,図 -4に示す よ
うに, コンク リー トの打設 に伴 い,上下 2分割 と した
(
写 真 - 1参 照 ). この キ ース トン型枠 は, ア ングル
(
L-50×50×6) の中にキース トンプ レー ト (
t
-6mm)
をとめている ものである.下部 におけるキース トン型枠
は, 5工程で行 うことがで き,工期短縮 を図った. この
在来工法 とキース トン型枠工法の比較 を図 -5に示す.
また,上部 におけるキース トン型枠 は,下部のキース ト
ン型枠 にコンクリー トを打設後,下部 と上部 を溶接 した.
その後,地中梁の型枠施工 を行 った.
ラス型枠工法 は,埋戻 しを行 う地 中梁部分 に適用 し,
1
07
西松建設技報 Vol
,
22
合理化工 法を導入 した大規模倉庫の施工
写英 一 1
‡
ユ
来
汰
E
二
図-5
写真 - 3 地 中 梁 用 シ ス テ ム 足 場
フ ー チ ン グ筋 の 先 祖 お よ び キ ー ス トン型 枠
秦- 1 基 礎 部 分 に用 い た コ ン ク リー トの 使 用 材 料
卜
工場
生コン
(
高炉セメン
セメン ト
トB種)
細骨材
粗骨材
表乾比重2
.
61
粗粒率2
.
6
5
君棒産
表乾比重2
.
71
実積率61
.
0%
鳥形山蕗砕石
4
0-4
5%
砕砂
8
:
2
混合
市原産細砂八戸産
表乾比重2
.
6
0
粗粒率2
.
5
5
産砕石7
:
3
混合
八戸産砕石鳥形山
表乾比重2
.
6
9
実積率61
.
0%
4
比
高炉スラグ混
餐度
0
-4
表面
S
5
.
0
積3
%
4
g
/
c
,
3
m
2
3
0
入
c
m
盈
2
/
g
表乾比重2
,
6
0
粗粒率2
.
6
0
市原産
表乾比重2
70
実積率6
0.
0%
鳥形山産砕石
A
4
比
高炉スラグ混
密度
0
表面
-4
3
5
.
0
積3
%
5
g
/
,
c
7
m
1
0
3
入
c
m
盈
2
/
g
B
比表 3
面.
積3
,
8
3
0
c
m2
/
g
密度
0
4
g
/
c
m
3
高炉スラグ混入盈
在 来 工 法 とキ ー ス トン型 枠 工 法 の 比 較
C
秦 - 2 基 礎 部 分 に 用 い た コ ン ク リー トの 調 合 表
工場
生コン
WC
(
%)
S
/
a
(
%)
W
A
4
0、
5
3
8.
9
1
6
23
7
77
21 1
.
0
6
8
4
.
0
3
0
.
6
41
ら
41
.
8
3
8.
0
1
6
33
9
06
5
5 7
3
7
3
6
2
=
;
こ1
6
.
2
0
0.
6
6
3
単位 盈 (
k
g
/
m3
)
C
S
G
減水剤
流動化
(8/m3
剤
)
※ 1 ;上段八戸産砕石,下段鳥形山砕石
よ り工期短縮 を図 った (
写真 - 3参照)
.
写真 - 2 ラ ス 型 枠 お よ び コ ン ク リー ト打 設 状 況
(
5)コンクリー ト打設お よび品質管理
,
000m3と計
コ ンク リー ト打 設 は,最大 の打設量 を約 1
ラス は基本 的 に長 さ2
m, メ ッシュの大 きさ1
2×1
7mm, 画 したため ,6工 区 に分 けた. フーチ ング部分 ,地 中究
リブの高 さ8
mmお よび板厚0.
5mmの もの を用 い た (
写 部分 お よび l
F床版 部 分 の コ ンク リー ト打 設量 は,延約
真 - 2参照)
.
1
0,
000m3であ った. コンクリー トの調 合計画 は,設計基
準 強度が 3
5N/
mmコ
であ り, フーチ ング部分お よび地 中梁
(
4
)
地 中梁用 システム足場
地 中梁の型枠工事お よび コンク リー ト打設 に対 し,也
部分 は部材寸法が大 断 面 であ ったため,マス コンクリー
m以上 あ り, コ ンク リー ト打 設 を 6工 区 トの適用 とし,いずれの場合 も 3つの生 コン工場 か ら呼
中梁 の高 さが2
として計画 していたため,仮設 はシステム足場 の転用 に
5
N/
mm2 (
高炉 セ メン トB棟使用),ベース コンク
び強度 3
1
08
西松建設 技朝 VoE
,
22
合理化工法 を噂入 した大規模愈塵の施工
リー トのス ラ ンプ1
2c
mを 1
5c
mに流動化 す る コ ンク リー
トと した.基礎部分 に用 いた コンク リー トの使用材料 を
義 - 1に,調合表 を表 -2に示す. コ ンク リー トの打設
は,基本 的 にポ ンプ車 2台 によ り行 った. この品質管理
として ,1ロ ッ トを1
00m3と して延べ 99ロ ッ ト (
Aプラ ン
ト58ロ ッ ト,Bプラ ン ト1
9ロ ッ トお よびCプ ラ ン ト22ロ
ッ ト)であ った.ベ ース コンクリー トの圧縮強度 と流動
L
u
f
N
0
5
0
5
5
4
4
3
(
z
u
L )磯潜 鷺型e エ!「
tGJ
<口 と 森屋
化 コ ンクリー トの圧縮強度の関係 を図 - 6に示す.流動
化 コンクリー トの圧縮強度 (
材齢 28日標準養生) は,棉
造体 コンクリー トの管理強度 は満足 している もののベ ー
ス コンク リー トの圧縮強度 に比べ ,小 さ くなる傾 向 を示
した. この原 因は,調合強度が 旧J
ASS5の高強度 コンク
リー トの適用範 囲 に入 っていたため,水 セ メ ン ト比の低
下,単位 セ メ ン ト量 の増大 によ り,流動化剤分散効果が
損 なった可能性 が あ る. また, さらに詳 しく調べ る と,
4kg
/
m3
を越 える とば らつ きが大 き
流動化剤 の添加量が0.
くな り,流動化 コンクリー トとベ ース コンク リー トの強
度差が -1
0-+5
N/
mm2程度 になっていた.
(
6)
l
F床版 の施工
l
F床版 の施工 は,地 中梁の コンク リー ト打設が随時終
了 した箇所 よ り埋戻 しお よび転庄作業 を行 った.その間
にス ラブ上筋の先祖 を行 ってお き,配筋 を行 った箇所 よ
りコ ンク リー トの打 設 を行 った (
写真 - 4参照). この
ことに よ り, さらに,工期短縮 を図った.
$5.上部 RC・PC混合構造の施工
35
40
45
50
55
ベースコンクリートの圧縮強度 (
N/
mm2)
図 -6 ベースコンクリー トの圧縮強度と
流動化コンクリー トの圧縮強度の関係
上部 RC・PC混合構造 の施工 は,大 き く分 けて上部独
立柱 在 来 RC工 事 と上 部 梁 pc工 事 に分 け られ る. この
RC・PC混合構造 の施工 フロー を図 - 7に示 す.本建物
図 - 7 RC IPC混合構造の施工 フロー
1
09
西松建設技報 Vol
.
2
2
合理化工法 を導入 した大規模倉庫の施工
/ (
3
)
床スラブ
p
c
穀
済
≡艶
、
pc染
\
図 - 8 上部RC ・PC混合構造の概 略図
写真-5 先組 み した柱筋の建込み状況
RC ・PC混合構造 の施工 フロー (
図 -7参照) をで きる
限 り短縮 させ るこ とが必 要である.在来RC工事 は,秩
筋,仮設,型枠 お よびコンクリー ト工事 と 4工程 にわた
!
る こともあ り,pc工事 に比べ ,天候 に よる影響 を受 け
やすかった. しか し,計画段 階において, 1つの工 区に
d
F
<鰍
も
治療
断
2日間の計
おけるRC ・PC混合構造 の施工 フロー を実働 2
機義教:遥 撒
画であ ったが,各々の施工方法 を検討 した結果,最短で
実働 1
8日間で施工 した.そのため,鉄筋工事 において,
先祖工法の導入,型枠工事 においてシステム型枠工法の
導入お よびコンクリー ト工事 において早期強度 を得 るた
めの調合検討 な どの在来 RC工事 の先端技術 に よる合理
化工法の導入 を行 った.各工種 とも合理化工法 を採用 し
ているが,限 られた重機 (6台)の中で行 うには,必然
写真-4 先組み したス ラブ筋の建込み状況
的 に 1フロアー (
独立柱 1
25本) を1
0分割 で施工す るよ
の倉庫棟 にお けるRC ・PC混合構造 の特徴 と して,次 の
うになった.
ことがあげ られる.
①独立柱筋の先祖工法
(
a
)
基本的に同一形状 (
8.
2×8.
3
m)である.
鉄筋工事 は,主筋 (
20-D38) に対 してスパ イラル筋
(
b)
倉庫部分 は,設計荷重 に大幅な荷重が必要である.
を付 ける先祖のため,柱筋の建込み時 におけるね じれお
(
C
)
倉庫棟 は, 5フロアー (
l
F,3F,5F,7Fお よび8F) よび風 による転倒 が懸念 された (
写真 - 5参照).実際
とな ってお り, 階高 が 各 々5,
300,8,
000,8,
000, スパ イラル筋 によるね じれが確認 され, また夙 によ り建
4,
3
50お よび4,
300
mmとなっている.
込 んだ柱筋が曲がるため,チェー ンブロックによ り固定
(
d)
打放 しコンクリー トの独立柱が 1フロアー1
25本合計
させ るこ透 で問題 な く建込みがで きた.柱筋の継手方法
575本 あ り,ほぼ同一形状である.
は,モル タル充填式 の機械式継手 によ り行 った.ここで,
(
e)
柱 上部 にPC梁受 け用 のかか り部分があ る (
図 - 8参
先祖み された柱筋 を機械式継手 によ り仮止め し, カ ップ
照 ).
ラーを取付 け,吊 り金物 をはず した後,モル タルを充填
(
f
)
独 立柱 とpc梁 の接 合部 であ るパ ネル ゾー ンは,独 立
した.カ ップラー を取付 け終 わるまで重機が必要であ り,
柱 の位置 に よ りpc梁 の架設本数が 4,3お よび 2方
この他 に も材料搬 入お よび先祖 に も重機が必要 なため,
向 となる.
鉄筋工事 にかかわる重機の使用頻度が高かった.
これ らの点 を考慮 し,次の ように施工 した.
(
参システム型枠工法
(
1
)
上部独立柱在来RC工事
システム型枠工法 は,ス ラブ底面 に敷 き板 を取付 け,
上部独立柱在 来RC工事 は,工程管理が重要 なポ イ ン アジャス ターブ レース用ベースプ レー トをボル トによ り
トとな り, マ ス ター工 程 で施 工 す る た め に 1工 区 の
固定 した後 , システム型枠 を各々建込 む ものである. さ
11
0
西松建設技報 Vol
.
22
合理化工法を導入 した大規模倉庫の施工
写真 - 6 システム型枠 の建込み状況
写真 - 8 独立柱 のコンクリー ト打設状況
写真 -7 独立柱用 システム足場
写真 - 9 PC梁の架設状況
らに,アジャス ターブ レース とキ ッカーを垂直精度 の確
認 しなが ら調節 し,各 々のシステム型枠 をクランプによ
り締付 け,再度 ,垂直精度 を確 認す る ものであ る (
写
塞 - 6参照). この システム型枠 は,通常 の コンクリー
ト用パ ネル面 を持 ち,型枠の高 さを変 えることがで きる
ものである. このシステム型枠 の採用理由は,柱上部 に
pc梁受 け用 のかか り部分 の位 置 を変 える こ とがで きる
こと,575本 の独立柱 の転用が可能であ るこ とお よび脱
塑後その まま転用 していけることな どがあげ られる. し
か し,3Fお よび5Fの ように階高が高 い場合 ,仮設足場
c工事 に移
が必 要であ るこ と,独立柱 の施工 が終 わ りp
るときに型枠 をス トックヤー ドに保管 しなければな らな
く,再度使用す る ときの移動作業が多い ことお よび必ず
重機 が必要であることな どのデメ リッ トもあげ られる.
この ときに,型枠 の清掃お よび階高変更のための型枠改
修作業 を行 った.型枠 の転用 は,計 画段 階の ときにPC
工事 の工程 に追従 で きるように 7パ ター ン60セ ッ ト用意
した.
③独立柱用 システム足場
l
F∼5Fの独 立柱 の階高が比較 的高 く, システム型枠
の クラ ンプ締付 け, コ ンク リー ト打設 お よびp
c梁受 け
用のかか り部分 の配筋のために,転用が簡易である独立
柱用 システム足場 を採用 した (
写真 - 7参照). これ も
システム型枠 同様 に,独 立柱 の施工 が終 わ りpc工事 に
移 るときにス トックヤー ドが必要であった.
④独立柱 の コンクリー ト打設
独立柱 の コンク リー トの打設 は, コンクリー トを打設
した後,翌 日養生 ,3日目脱型 とい う工程 を重視 した計
300×
画 と した. コンク リー トの調合 は,部材寸法が 1,
1
,
300mmであ ったため,マス コンク リー トの適用 とし,
打設時期お よび仮想養生平均温度 を検討 し,セメン トの
種類 (
早強セメン ト,普通 セメ ン ト) を変 えた呼 び強度
35N/
mm2の もの とした. l
F-3
Fはポ ンプ車 を用いてコン
クリー トを打設 していたが,階数が高 くな り,ポ ンプの
合理化 工法 を導入 した大規模倉庫の施工
写真 -1
0 PCワイヤーの緊張状況
西松 建設技朝
Vol
.
2
2
④ パ ネルゾー ンコンク リー ト打設
パ ネルゾー ンコ ンク リー トは,pcワイヤの緊張 を行
う前 に,打 設す る コンク リー トであ り,pcワイヤの緊
mm2以上の圧縮強度が必要 となる. このパ ネ
張時 に30N/
ルゾー ンも,基本 的 に1,
300×1
,
300× 1
,
000mmの形状 を
Fしていることか ら,マス コンクリー トの適用 と し,1
3Fまでは呼 び強度 35N/
mmコ
の早強セ メン トを用 いた コン
クリー トで強度発現 までに 3日間必要であったが ,5F8Fは40N/
mm2
の早強セメン トを用いたコンクリー トに変
更 して強度発現 までの期 間を 2日間 とし,工期短縮 を図
った.打設方法 は,打設量が少 なかったため,独立柱 の
打設 と同様 にホ ッパ ー打設 とし,配管長 さを短 くした.
(
むpcワイヤの緊張
pcワイヤーの緊張 は,挿入 したpcワイヤ を油圧 ジ ャ
の緊張力 を加 え, くさびで とめ る作 業
ッキ を用 いて93t
である. ここで は,油圧 ジャ ッキの荷重 とpcワイヤの
ごとに管理 した (
写真 -10参照).
伸 びを20t
⑥ スラブ配筋 ・スラブコンクリー ト打設
pcワイヤの緊張が終了 した時点か らDT版 の上 にス ラ
ブ配筋 を行 い,その後,ポ ンプ車 を用いてスラブ コンク
リー トの打設 を行 った.
⑦ シース管内グラウ ト注入
pc工事 の最後 に, シース管 内 にグラウ トの注 入 をポ
ンプによ り行 った. ここでは,あ らか じめ,ス ラブ内 に
Fか らポ ンプ圧送 し,上部
グラウ ト用 ホースを埋込み,1
で グラウ トの注入状況 を確認 した.
配管の準備お よび仮設作業の時 間 をとるこ とがで きない
2.
5m3)
ため,ホ ッパ 一打 ちを採 用 した. この ホ ッパ ー (
を用いて,時間当 り20m3前後 の打設 を行 った. また,打
放 しコンクリー トのため,ホ ッパ か らテーパ ー管 を用い
て 6インチか ら 5イ ンチ に絞 りポ ンプ用配管 を柱底部 ま
で落 とし込み, コンク リー ト打設 を行 い, ジャンカ防止
を行 った (
写真 - 8参照).
(
2)
上部梁pc工事
①pc梁 ・DT版の架設
pc梁 ・DT版架設 は,貴大重量 1
7t
の部材 を運搬 して き
た トレーラーか ら直接 ,荷取 りな らびに架設 を同時 に行
お よび
った. ここで は,作 業 半径 との関係 に よ り250t
$6.おわ りに
350t
クローラクレー ンが使 われた. また,独立柱 のPC梁
受 け用 のかか り部分 8cmの ところ に,最 大重量 1
7t
のPC
日本 で も極 めて例 のないRC ・PC混合構造であ る東京
梁 が架設 され るため,高所作 業 車 が必 要 とな った (
写
貨物 ター ミナル駅複合施設 J棟新設工事 を行い,未知へ
真 -9参照).
の施工 に対 して, シ ミュ レー シ ョンにおけ るpC工法 と
② パ ネルゾー ンのシース管お よび打込型枠 の取付
の差
を約 1ケ月 まで近づ けることがで きた.本工事 で は,
パ ネルゾー ンの施工 は,パ ネル ゾー ン内の フープ筋の
在来RC工事 の合理化技術 を導入 し,竣工 まで 1
年 4ケ月
施工 ,pCワイヤ を挿 入す る シース管 の取付 け,パ ネル
で施工 を行 い,各工程 における検討事項が現場運営 に的
ゾー ン定着体 の取付 けお よびパ ネルゾー ンの型枠取付 け
確 に行 えたため と考 える.
となる. これは,細 かな作業 であ り, これ らの作業 を極
また,各々の技術 は,一般工事 に も適用で きる もので
刀,同時 に行 うように し,工期短縮 に努 めた.パ ネルゾ
あ り, コス トお よび条件 を考慮 して今後の大規模建築へ
ー ン型枠 は,当社技術研 究所が開発 した ものの改 良型 を
生か してい きたい.
採用 し,複雑 な形状 を している箇所 には作業工程 の面か
黄後 に,工事 を行 うに当た り,適切 なご指導 を頂 きま
らも工期短縮 につ なが った と考 える.
した
日本貨物鉄道開発本部青木幹夫チーフ,池 田菜摘子
③pcワイヤの挿入
氏,梓設計保智秀雄主幹,東京建築研究所瀬戸 口武雄監
pcワイヤは,パ ネル ゾー ン内の シース管 を取付 けが
理部長 に感謝いた します. また,各合理化工法 を導 入す
終 了 した後 ,pc梁 を繋 ぐため に,PC梁 内 とパ ネルゾー
ン内の シース管 に挿 入 しな くてはな らない.挿 入 には, るに当た り,西松建設東京建築支店笠原作磨建築部長 ,
技術研究所西山直洋副課長 ,潮 田和司研究員お よび小林
1工 区 3日間 をみてい たが ,上部 階 に進 む とpcワイヤ
利充研究員 をは じめ とす る多数の方々のご協力 に謝意 を
の本数 も減少 し,作業 に も慣 れた ことも手伝 って 1工区
表 します.
2日で行 うことがで きた.
11
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