2.2族元素

2.2族元素
A.単体
周期表の2族に属する元素は、すべて金属元素である。いずれも価電子を2個もっていて、2価の陽イオ
ンになりやすい。Be・Mg以外の2族元素をアルカリ土類金属元素とよばれる。2族元素はアルカリ
金属と同じく、天然には単体として存在せず、工業的には融解塩電解で製造される。
1. アルカリ土類金属元素
アルカリ土類金属はイオン化傾向が大きく常温で水と反応して水素を発生し、水酸化物になる。
Ca+2H2O→Ca(OH)2+H2
2. マグネシウム
空気中で強熱すると強い光を出して燃える。2Mg+O2→2MgO
常温の水とはほとんど反応しないが熱水とは反応する。Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2
B.化合物
1.酸化物
アルカリ土類金属元素やマグネシウムの酸化物は塩基性酸化物で、
水と反応して水酸化物になる。また、酸と反応して塩を生成する。
CaO+2H2O→Ca(OH)2
CaO+2HCl→CaCl2+H2O
酸化カルシウムCaOは、生石灰ともいい、石灰石CaCO3を焼いてつくられる。
CaCO3→CaO+CO2
2. 水酸化物
水酸化カルシウムCa(OH)2は、消石灰ともよばれる。水に少し溶け、この水溶液を石灰水とい
う。水酸化カルシウムを約600℃で熱すると、水を失って酸化カルシウムになる。
Ca(OH)2→CaO+H2O
3. 炭酸塩・炭酸水素塩
石灰水に二酸化炭素を通じると、炭酸カルシウムCaCO3の沈殿が生成する。しかし、
さらに二酸化炭素を通じ続けると、炭酸カルシウムは、炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2
となって電離し、沈澱が消える。
CaCO3+H2O+CO2
⇌ Ca2++2HCO3-
炭酸水素カルシウムの水溶液を加熱すると、再び炭酸カルシウムの沈殿ができる。
アルカリ土類金属の炭酸塩は、加熱すると分解して二酸化炭素を発生して酸化物になる。
また、酸と反応して二酸化炭素を発生する。CaCO3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2
4. 硫酸塩
硫酸カルシウムCaSO4は、天然に二水和物CaSO4・2H2O(セッコウ)または、無水物と
して算出する。セッコウを120~140℃に加熱すると、白色粉末状の焼きセッコウ
1
CaSO4  H 2 O になる。焼きセッコウを水で練って放置すると、体積がわずかに増加しながら硬化し、
2
再び二水和物になる。そのため、建築材料、医療用ギブス・セッコウ像などに使われる。
硫酸バリウムBaSO4は、水に溶けず酸とも反応しない安定な物質で、白色顔料・X線造影剤などに
使われる。
5. 塩化物
マグネシウムおよびアルカリ土類金属の塩化物は、すべて水溶けやすい。
<カルシウムの反応>
O2
融解塩電解
Ca
HCl
CaCl2
CaO
Cl2
加熱
H2O
H2O
加熱
HCl
Ca(OH)2
HCl CO2
CaCO3
CO2
まとめ
加熱
Ca(HCO3)2
加熱
<アルカリ金属元素・アルカリ土類金属元素・マグネシウム>
元素
アルカリ金属元素
アルカリ土類金属元
Li、Na,K,Rb,Cs,Fr
素
(H以外の1族)
Ca,Sr,Ba,Ra
マグネシウム
Mg
(Be、Mg以外の2族)
単体
融点は低く、密度は小さく、やわらかい
同じ周期のアルカリ金属の単体よりも
融点が高く、密度が大きい
イオン化傾向が大きく陽イオンになりやすい
1価
2価
常温で水と反応する
常温では水と反応しない
炎色反応
それぞれの元素に特有な色を示す
示さない
酸化物
水と反応して水酸化物になる
酸と反応して塩を生成する
水酸化物
水に溶ける
水に少し溶ける
炭酸塩
水に溶ける
水に溶けにくい
硫酸塩
水に溶ける
水に溶けにくい
CaSO4は水に少し溶ける
水に溶けにくい
水に溶ける