樹脂製折りたたみ踏台の破損事例

樹脂製折りたたみ踏台の破損事例
事故通知内容
樹脂製折りたたみ踏台に足を乗せたところ、天板が突然破損し、
足にけがを負った。
事故品
の状態
製品概要
組立て
手順
使用材料:
PP(ポリプロピレン)
組立て状態
の確認が重要
折りたたみ
状態
使用材料の成分分析結果
1.元素分析の結果
○ Caの比率 事故品>同等品1
⇒ 添加剤CaCO3(炭酸カルシウム)の過剰添加が疑われる
(Cを100とした相対元素含有量)
熱分析装置(TG)で樹脂成分の配合割合を確認
2.熱分析(TG)の結果
+00
0.00
+00
100.0
436.6 ℃
-1.00
同等品2
-73.60 %
-40.0
-6.00
F lo w/ μV
W e ig ht / mg
0.0
-20.0
H ea t
DTA
-5.00
40.0
-3.00
20.0
20.0
450.5 ℃
-4.00 D TA
0.0
-20.0
-5.00
-40.0
-60.0
-19.54 %
-7.00
-80.0
704.6 ℃
-8.00
-100.0
-125.0
24.6
100.0
200.0
300.0
400.0
T e mp e r at u r e/ ℃
500.0
600.0
700.0
PP
CaCO3
同等品2
100
77.6
(部表示)
同等品3
100
29.5
-60.0
-7.00
-80.0
653.1 ℃
469.8 ℃
-8.00
-100.0
-9.69 %
681.1 ℃ 715.8 ℃
742.5 ℃
-9.00
同等品3
77.2
22.8
-6.00
672.1 ℃
470.2 ℃
PP
CaCO3
同等品2
56.3
43.7
80.0
60.0
-2.00
452.2 ℃
W e ig ht / mg
同等品3
-1.00
40.0
-4.00
北陸支所入手品
60.0
-3.00
(%表示)
+00
100.0
434.7 ℃
80.0
-52.10 %
-2.00
+00
0.00
四国支所入手品
F lo w/ μV
C
O
Ca
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)で使用材料に
含まれる元素を確認
同等品1
100
15.19
11.39
H ea t
事故品
100
26.76
14.08
799.9
+00
-9.00
24.1
100.0
200.0
300.0
400.0
Te m p er a t ur e / ℃
500.0
600.0
700.0
-125.0
799.9
+00
○650℃以降の、CaCO3の分解による重量減少分(CO2の量)から算出した。
○同等品2,3のCaCO3添加量は、大きく異なっており、いずれも20wt%を超えていた。
3.CaCO3 (炭酸カルシウム)の影響
○曲げ試験における破断時の変位 20wt%>30wt%>10wt%
⇒ 20wt%以上の、ある添加量で耐久性は最大となり、それ以上
添加すると耐久性は低下し始める。
曲げ強度の低下
「プラスチックのタフニングとその設計」(山形大学名誉教授 石川優)から抜粋
同種事故防止のための留意点
同種製品(樹脂製折りたたみ踏台)の事故情報(使用中に製品が破損)は9件※寄せられており、
重大製品事故(重傷)も発生しています。※H23年4月~H26年10月
確実に組み立てられる製品構造(設計)、使用材料(配合成分を含む)、製造工程(配合比、成形
条件等)、耐荷重強度(静荷重、動荷重)の確認等が重要となります。
製品安全センター