遮水シートの損傷防止と安全性向上の為に

ジオシンセティックス技術情報 1
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会員の声
遮水シートの損傷防止と安全性向上の為に
-遮水システムのバックアップ機能の強化について三星産業(株)
清水禎一
逮水システムのー材料
遮水シートは表面遮水工の材料として多く用いられているが、
「シートは破れるものだ」とか
「破れて当然」等といわれ、シートが破損し漏水するのではなし、かと危'倶されていますが、厚み
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"4凹で、あり、薄い材料であります。無理な外力により損傷する場合もありますが、
もし、破れやすければ破れない対策を行えば良いことで、全く保護対策がなされなかったり、設
計・施工を誤れば損傷を受けるリスクは高くなります。
最終処分場の建設工事は高度なシステム
遮水システムは浸出水の漏水を地下水汚染の原因にしない防止システムであり、このために複
数の施設で構成される施設建設と維持管理からなるシステムであります。
このシステムには個々の遮水工の破損に伴う遮水のパックアップ機能(遮水シートの保護・損
傷防止、外力からの保護、耐久性の延長、二次遮水、漏水の集排水等を含む)や漏水のモニタリ
ング、地下水のモニタリングを含み、これらの機能を具体化するために調査、計画、設計、施工、
維持管理等に関する情報を遮水システムに反映することにあります。
最終処分場の建設工事は「高度なシステム j です。システムとは、多くの構成要素がその最終
目標に向けてうまく機能するような全体的な仕組みを言います。最終処分場の建設もこれと同じ
であります。シートの工場生産から現場接合、真空検査、保護層の施工、ゴミの埋立ておよび管
理のどの段階に欠陥があってもよい処分場はつくれません。
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絶対に漏水しない、完全な遮水構
造体を作ること J がシステムとしての最終目標であります。
バックアップ機能の強化
最終処分場の遮水機能を継続的に確保するためには、立地に応じた遮水機能が保証され、かつ、
維持管理可能な遮水システムであること、地震等の潜在リスクに対応可能な遮水システムである
こと、信頼性の高い遮水材料を効果的に使用する事、遮水システムが経済性に優れていること等
の要求水準があります。
この要求水準に応え高いレベルの遮水システムを実現するには遮水システムをバックアップする
機能を付加させる事が必要であります。
このことから、遮水シートの損傷要因を徹底的に検討し、潜在リスクと顕在リスクの発生時の
大きさ及びその波及による影響度を明らかにし、漏水のリスクをどの様にしたら回避出来るかの
具体策を提案する必要があります。
過去のシートの破損事例が報告においても、みすみす対策を取らなかったばかりに損傷をしたと
云うことでは残念な事です。
リスクに対する具体策を設計の際に考慮して遮水システムの計画を行うと共に、施工時点で完
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全に実施されているかどうかをチェックする、遮水シートの損傷リスクを回避し、遮水シートか
らの漏水の危険性を完全になくすことで信頼性を高める事ができます。
共用開始後に地盤に係わる遮水工の損傷にも、検討を行っておかないと復旧費用が高くっき漏水
の恐れもでます。
しかし現実には殆どが設計時と施工時にこれらの事を論議することなく、計画が実施され建設
に反映されていないのが実情でもあります。
リスクとベネフィットのバランスを
遮水シートの溶出試験をして環境に有害な物質が検出され、これは危険だという報道等がなさ
れていますが、遮水シートは日常に建築材料、包装材料、農業用資材として使用されている材料
と同じものが遮水シートとして使用されているに過ぎません。
勿論遮水シートにその様な有害物質を含まないシートを供給する自浄努力は必要ではあります
が、化学物質には合成天然を問わず一定のリスクはっきものであり、使用による便益(ベネフィ
ット)とのバランスを考える視点を忘れず、いかにリスクを低減させるかという前向きの論議が
必要である事を忘れてはいけません。使い方を誤れば薬も毒にもなります。
廃棄物の中には危険なものが混入する恐れがあり、その浸出水を地下水汚染の原因にしないた
めに遮水システムを機能させる役割を果たしています。
その為にもバックアップ機能を強化し「一滴の水も漏らさぬ遮水システム」を目指すことが重
要なことであります。
安全と信頼の埋立処分場の実現にむけてパックアッフ機能強化の具体化を検討する必要がある
と考えます。
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