平成 26 年度 校内研究の概要 研究主題 「自分の考えをもち、共に学び合い、主体的に表現する子供の育成」 ~思考力、判断力を高める指導の工夫~ ○教科もしくはテーマ ・算数科を通して、自分の考えをもたせるための手立ての工夫を中心に、 思考力・判断力を高める指導について研究を深めていく。 研究内容 《1 指導の流れ》 1 課題把握(理解) 【課題】 ○習熟度にあった課題や課題提示の工夫 ・ねらいにあっている ・既習が生かせる ・やってみたくなる(さわる、動かす、切る・・・) ・興味がもてる(身近、必要感、おもしろそう・・・) ・確かめたくなる(知っていることとのずれ、意見の対立・・) 【提示】 ・理解しやすい ・視覚的に(具体物、映像など) ・タイミング ・めずらしさ 2 見通し(計画) ○解答の予想(見積もり)、既習内容や学習経験(使えそうな内 容や考え方、分かりやすい数学的表現)の想起をしながら解 決の道筋を大まかに立てる。 ・数学的な考え方を児童に合った言葉で常時掲示しておく。 例1「もしも・・・だったら」「かんたんな数字にしてみると」「前の学習と同 じように考えると・・・」 「○数を○数にして考えると」 「例をあげると」 「か んたんにすると」「まとめると」など 例 2 は~はやい・か~かんたん・せ~せいかく・どん~どんなときも 3 自力解決(実行) ○見通しに沿って、自力解決する。 ・つまずきに合ったヒントカード、助言例など ○その過程や結果をノートに表現する。 ・算数的表現方法を使う指導 ・本校ならではのノート整理方法→思考力をどう評価するか ・1つの方法ができたら、他の方法でできないか考える。(確かめる) ・「学び合い」での発表のしかたを考える。 4 検討・学び合い【練り上げ】 ○自分の考えを表現する。 ○小集団や学級全体で発表し合い、結果の確認や結果から言えることにつ いて話し合う。(解決の結果の共有と議論) ・活用した既習事項を明らかにする。 ・比較し、類似点や相違点を探す。 ・よりよい考えを選択する。 ・算数的価値に気づく。 ○評価問題をする。【活用・探求】 5 まとめ(振り返り) ○自分の考えや感想をまとめ表現する。 ・解決、追究や集団での検討を通して分かったことをもとに、自分の考え をまとめる。 《2 実態調査》2 学期末 算数は好きか 好き やや好き ややきらい 6% 算数のいいところ 262 きらい 85 70 12% 129 113 91 74 88 8 21 16 45% 37% ① か ん た ん ② む ず か し い ③ 答 え が 1 つ ④ 考 え 方 が い ろ … ⑤ 自 分 で 解 決 で … ⑥ 友 達 の 考 え が … ⑦ 話 し 合 え る ⑧ ノ ー ト に ま と … ⑨ き れ い ⑩⑪ そな のし 他 得意な領域 苦手な領域 1.数と計算 2.量と測定 1.数と計算 2.量と測定 3.図形 4.数量関係 3.図形 4.数量関係 15% 17% 18% 21% 51% 24% 40% 14% 得意な学習過程 苦手な学習過程 92 127 66 68 61 35 1 . 課 る題 を 理 解 す 2 . 見 通 し を も つ 3 . 自 力 解 決 4 . り話 上し げ合 い 、 練 66 45 50 5 . ま と め 64 1 . 課 る題 を 理 解 す 2 . 見 通 し を も つ 3 . 自 力 解 決 4 . り話 上し げ合 い 、 練 5 . ま と め 見通しの方法 236 見通しでの支援 228 203 188 157 152 143 190 54 69 9 7 ① 答 え るを 見 積 も 考 え 方 を 見 付 … ② 前 に 勉 強 し た 考 え の 表 し 方 … ③ 前 に 勉 強 し た 画 を 立 て る ④ か ん た ん な 計 ⑤ そ の 他 考えの表現方法 ① 友 達 と 相 談 … ② ヒ ン ト を 聞 く ③ 教 科 書 を 読 む ④ ノ ー ト を 見 る ⑤ 掲 示 物 を 見 る ⑥ 物 を 操 作 す … ⑦ そ の 他 話し合いは好きか 279 249 好き やや好き ややきらい きらい 180 8% 77 67 21% 41% 8 ① 文 《3 ② 絵 ③ 図 ④ 数 直 線 ⑤ 式 ⑥ そ の 他 30% 各学年研究主題にせまるための手立て》 第1学年「もんだいをつくろう」 1 自力解決に向けての既習事項の確認 被加数と加数に当たるものを決め、それは必ず同種であること、また問いの場面 を考えることを確認し、「どんな場面にしようか」考える見通しをもたせる。 2 ワークシートの工夫 考えた問題を画用紙にかかせることで、問題を発表する時や仲間分けする時に提 示できるようにした。また、問題や式、答えを書く欄は、普段使っているノートと 同じ枠を使い、書きやすくする工夫をした。 3 自力解決のためのヒントカード 問題作りや絵をかく活動など、それぞれを評価しながら、つまずきのある児童へ ヒントカードを渡すことで、自力解決できるようにした。 4 具体物の操作 仲間分けをする際に、ブロック操作で「合併」と「増加」の場面を思い出させ、 自分で作った問題がどちらの問題かを考えさせるようにする。 5 問題を仲間分けする活動 できた問題を「合併」「増加」を選択して黒板に掲示させることで、自分の作った 問題の加法の意味について確認させるとともに、友達の作った問題についても加法 の意味についても考えさせる。 第2学年「計算のしかたをくふうしよう」 1 ゲーム化 「暗算名人を目指せ!~頭の中でぱっと計算するための作戦とは~」というタイト ルを付け、ゲームに挑む感覚で授業に取り組ませ、児童の関心意欲を高める。 2 自力解決に向けての既習事項の確認 既習事項を掲示し、使えそうな作戦を確認することで、見通しをもたせる。また、 作戦名をつけることで、考えを類型化しやすくする。 3 ワークシートの工夫 考えた作戦を画用紙にかかせることで、全員が考えを提示し検討できるようにす る。普段使っているノートを拡大したものにすることで書きやすくした。低学年で は、全員が考えを持ち表現できる機会をもつことに重点を置き、自信をもたせたい と考えた。 4 自力解決のためのヒントカード つまずきのある児童には、ヒントカードを渡すことで、自力解決できるようにし た。 5 適応問題 授業の中で学び合った考え方を確かめ、理解を確実にするため、適応問題を取り 入れる。友達の考え方も含めてよりよい考え方を選択し、適応問題で実際に試して みることで、達成感、充実感を味わわせることができると考える。 第3学年「はしたの大きさの表し方を考えよう」 じっくり しっかり すいすい 児童の実態に応じた問題提示 課 題 提 示 ・ 把 握 0.3+0.5=0.8 0.3+0.5=0.8 0.3+0.5=0.8 既習事項を用いて考えることが 左辺に未知数がある、今まで取り 左辺も右辺も未知数がある、今 できる基本的な問題を提示し、 組んだことのない問題を提示す まで取り組んだことがない問題 課題把握をするとともに、意欲 ることで、取り組む意欲を高めら を提示することで、取り組む意 をもって取り組むことができよ れるようにする。 欲を高められるようにする。 うにする。 見通しのもたせ方 見 児童と共に問題解決の見通しを 通 し 丁寧に確認することにより、自 力解決に取り組む事ができるよ うにする。 問題解決の見通しと算数的表現 問題解決の見通しは行わず、 方法の確認を行うことにより、主 算数的表現方法の確認を行い、 体的に自力解決に取り組めるよ 主体的に自力解決に取り組める うにする。 ようにする。 支援・助言の仕方、留意点 半具体物を操作して考え、ワー 自 力 クシートにまとめることで、自 解 力解決ができるようにする。取 決 り組むことが難しい児童には、 ヒントカードを必要に応じ提示 各自ノートに考えをかく。考え 各自ノートに考えをかく。複数 をかけた児童には、他の表現方法 の考えを表現することを通し、 や数値を用いた考えをかくよう どの問題を解く上でも共通する 促し、自分の考えが正しいか確か 方法を見つけ出せるようにす められるようにする。 る。 する。 学び合いの形態 検 討 ・ 学 び 合 い 全員の考えを黒板上に掲示する 友達の考えを説明することを通 友達の考えのよさに気づかせる ことで、主体的に参加する意欲 し、表し方、伝え方のよさに気づ 問いかけを行うことにより、児 を高めさせる。それらの考えを けるようにする。教師が児童の考 童が主体的によりよい考えを選 全体で確認しながら、教師主体 えの取り上げ順を工夫し、それぞ び、まとめられるようにする。 で集約していき、よりよい考え れの考えに共通する「0.1 をもと に気づくことができるようにす にしていること」 「整数と同じよ る。 うに計算できる」ことに気づける ようにする。 第4学年「計算のやくそくを調べよう」 じっくり しっかり すいすい 児童の実態に応じた問題提示 ① ドット図を箱入りのチョコレ ① ドット図に外枠を記入 ートに見立てる。 課 題 ② 空のドットを記入する。 提 示 ○○○●○○○ ・ 把 ○○●●●○○ 握 ○●●●●●○ 立てる。 ○○○●○○○ 3 分 ①ドット図のみ ○○●●●○○ ○○○●○○○ ○●●●●●○ ○○●●●○○ ●●●●●●● ○●●●●●○ ○●●●●●○ ●●●●●●● ●●●●●●● ○○●●●○○ ○●●●●●○ ○●●●●●○ ○○○●○○○ ○○●●●○○ ○○○●○○○ ○○●●●○○ ○○○●○○○ 見通しのもたせ方 ①1 例を集団検討しながら解く ①式を立てるための手立てを ②式を立てるための手立てを詳し 考える。 見 ・囲む。 通 く考える。 し ・同じ数のまとまりをつくり囲む。 ・移動する。 ・付け足して正方形や長方形を作 ・付け足す。 る。 (・正方形や長方形にする。) ・移動して正方形や長方形を作る。 ①課題に対する質問を個々で聞 く。 支援・助言の仕方、留意点 ①掲示できる大きさでドット図と ①ノートに貼れる大きさのド ①ノートに貼れる大きさのドッ 式がかけるワークシートを配布す ット図のみのワークシート ト図のみのワークシートを配 を配布する。 布する。 自 る。 力 ②同じ数のまとまりを見付けるよ 解 決 う助言する。 ②1 つの式に表すことにつまず いているときは、助言する。 ③ドット図にかきこめない時は簡 ③2つ目以降の式を表すこと 単な囲みのかいてある図を渡す。 につまずいているときは、じっ ②短冊を配布し、式のみ書くよ うに指示する。 くりコースのドット図をヒン トカードとして配布する。 学び合いのしかた(書画カメラで提示する) ①ドット図と式のワークシート を切り、式のみ掲示する。 検 討 ・ 学 び 合 い ①ドット図と式のワークシー ト ①式を掲示する。 ②ドット図にかき入れながら式 ②囲み作戦→つけたし作戦の順で を切り、式のみ掲示する。 前半は図に合った式を選んで説明 ②囲み作戦→つけたし作戦→ ③作戦に分類する。 し、後半は式に合った図を選んで 移動作戦の順で式に合ったド ③ 1つの式に表すよさを考え 説明する。 ット図を選び、説明する。 ③理解が不十分な場合は説明を繰 ③1つの式に表すよさを考え り返す。 る。 ④掲示のない作戦は教師が提示し 集団検討する。 ⑤1つの式に表すよさを考える。 の考えを説明する。 る。 第5学年「直方体や立方体のかさの表し方を考えよう」 じっくり ・掲示物等を確認しながら既習 の「図形の体積の求め方」 を振り返る。 課 題 ・ここでは複雑な形の体積を求 提 示 める課題であることを意識さ ・ せる。 把 握 ・既習事項を活用して、体積を 求める工夫をする学習である しっかり すいすい ・既習の「図形の体積の求め方」 ・長さを与えずに課題を提示す を振り返る。 ・既習事項を活用して、体積を求 める工夫をする学習であるこ ることで、必要な箇所の長さ だけを児童が探すように発問 する。 とを確認する。 ・課題となる図形の立体模型を使 っていろいろな方向からの見 え方をとらえる。 ことを確認する。 ・課題として提示された複合図 形の模型を複数用意し、児童 と一緒に切り分け方を話し合 <必要な児童のみ> ・平面図形の状態で複合図形を提 示する。 ・見通しは全体では確認せず、 多くの方法で自力解決できる ようにする。 うことで、自力解決に向けて ・実物を用意する。 見通しをもたせる。 ・長さが書かれているものや、方 人が図に書きこみ、ノートに 眼が示されているもの(平面ま 自分の考えを書いたり貼った たは実物)を用意する。 りする。発表では、大きく拡 ・実際に切り分けた図形を4か 所のブースに分けて置き、児 見 童はサーキット形式でそれぞ 通 し れのブースを回りながら体積 ・ 自 の求め方を考える。 力 解 ・1cm3 の立体模型を常に持た 決 せることで、体積は1cm3 が ・自力解決の場面では、一人一人 いくつ集まったものかを随時 が図に書きこみ、ノートに自分 確認できるようにする。 の考えを書いたり貼ったりす ・自力解決ができない児童や、 ・自力解決の場面では、一人一 ・ICT を活用する。(学習探検ナ 大した図に合成・分解の過程 ビを用いて、別の複合図形の を書かせ、そのまま黒板に掲 分け方を知る) 示できるようにする。 <全体に> る。発表では、大きく拡大した 考えが途中で止まっている児 図に合成・分解の過程を書か 童には、教師が説明を聞きな せ、そのまま黒板に掲示できる がら助言をする。 ようにする。 ・式は1つの式で表すようにす る。 ・この場面では、自分の考えを ・この場面では画用紙に考えを書 ・抽出児童に図のみを画用紙に 画用紙に書かせたり、模型を かせる。図だけを掲示して式が 書かせる。それに対応してい 検 使って説明させたりする。 討 ・ ・答えまで導き出せなくても、 学 分かったところまで説明し、 び 合 友達の考えも合わせて答えま い で導くようにする。 見えないようにする。別の児童 る式を教師が書き、図と式が の式を考えさせるなどして、多 バラバラの状態で掲示する。 くの児童が式化を意識した検 どの式がどの図である 討・学び合いの場面となるよう かを考えることで、検討・学 にする。 び合いの場面となるようにす る。 第6学年「順序よく整理して調べよう」 じっくりコース しっかりコース コースに応じた課題提示 課 題 提 ★ICT機器の活用と、時事の 示 ★児童の生活に身近な体育の授 ・ 業場面として課題を提示する。 話題を取り上げ関心・意欲を 把 握 (4チーム) 高める。 (4チーム) すいすいコース ・児童の実態に応じてチーム数 を増やし、作業難度を上げて 提示する。(6チーム) 見通しのもたせ方 ・課題の把握に関する児童との 見 ★順列で学んだ事を確認し板書 通 する。(表・樹形図・全てを書 やりとりの中で、順列で学ん し き出す方法、1つを固定する方 だ事を確認する。 ・課題に対する質問があれば確 認をする程度。 法を確認する。) 支援・助言の仕方、留意点 自 ・必要に応じてヒントカードを渡 ・支援が必要な児童には、ヒン ・それぞれの方法の違いやよさ 力 す。 (対戦を全て書き出す方法、 トカードを渡す。 について考えさせ、その理由 解 決 表の例。 ) ・図形を描いている児童には、 も記入させる。 ・重複したものに着目させる。 辺や対角線が何を表してい (消去の必要があるもの) るか考えさせる。 学び合いのしかた ★自分の好きな解法について理 ★様々な解法のよさを深く思 由を述べて話し合う。 考させるために、考える視点 検 を与えて話し合わせる。 討 (答えのある問いではなく、自分 ・ の思いや友達の思いの理由を (下級生に教えるという場面 学 び 伝え合ったり聞き合ったりす なら、どの解法を選びます 合 る事を通じて、主体的な表現へ か。 ) い の自信を育む。) ★様々な解法のよさを広く深く 思考させるために、考える視 点を多角的に与えて話し合わ せる。 (下級生に教えるなら、チーム 数が12に増えたら、考え方 が美しいものは、と問われた らどの解法を選びますか。 ) ・学んだ事を児童がまとめる。 《4 成果と課題》 ・問題解決型の学習過程(指導の流れ)を踏まえた授業を繰り返すことや、習 熟度に応じて学習過程ごとに指導の工夫をすることで、算数的表現力・思考力 を高めるとともに、主体的に表現する児童の姿が多くみられることが分かった。 ・課題を主体的に読む態度、課題やその提示の工夫、自力解決への支援の方法、 学び合いのめあてなど、学習過程ごとの新たな課題を見付けることができた。
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