九年橋歩道橋上部工製作架設工事の概要 [紹介] -280m を送出す鋼 7 径間連続箱桁橋- 橋梁事業部 1.はじめに 大阪工場 設計部 本工事は,新設の九年橋歩道橋であり,工事の位置図を図- 岩手県北上市の国道4号や市道九年橋大堤線を補完する道路 1に示す. として利用されている九年橋は,和賀川に架かる連続鋼桁橋 で,1933年(昭和8)に完成した.しかし,これまで長期間に 2.工事概要 本工事の工事概要および設計条件を以下に示す. 渡り供用され現在では,鋼桁やコンクリート床版が損傷して いることがわかった.そして,橋梁の長寿命化のため,早急 発 注 者:岩手県北上市 な補修工事が必要となった. 工 事 名:九年橋歩道橋上部工製作架設工事 九年橋の補修工事では,写真-1に示すように,鋼桁の補 修に加えコンクリート床版を取替えることで,これまでの幅 工事箇所:北上市下鬼柳4地割地内 工 ととなった.これに伴って,九年橋道路橋の東側に幅3.8mの 九年橋歩道橋を新設することとなった. 期:(自)平成 26 年 7 月 25 日 (至)平成 27 年 9 月 30 日 員1mの歩道を撤去し,車道幅を5.5mから6.5mに拡幅するこ 橋 長:331m 支 間 長:51.5m+51.6m+51.6m+44.8m+44.8m+44.8m+40.7m 幅 員:3.8m 形 式:鋼 7 径間連続箱桁橋 平面線形:R=∞ 縦断勾配:2.167%↙~0.340%↙~0.300%↘~0.300%↘ 横断勾配:2.000%↙(既設車道橋に向かって片勾配) 舗 装:アスファルト舗装 t=30mm 床 版:RC 床版 t=140mm 活 荷 重:群集荷重,除雪車荷重(総重量 6.5t) 鋼 重:約 320t 主要鋼材:SM490Y,SM400,SS400,S10T 支 承:A1:可動支承,P1~P6:免震支承,A2:可動支承 架設工法:手延べ式送出し架設工法 写真-1 九年橋(補修工事中) 3.構造および架設概要 九年橋歩道橋の構造一般図を図-2に示す.本橋は,全長 331mの7径間連続箱桁橋であり,各支間長は50m程度である.ま た,桁高さは1.7m一定で,ウェブ間隔が1.8mの1BOXである. 河川部では,河川の流下量が多いため,ベント設置が困難で あった.それによって,送出し架設工法およびトラッククレ ーンベント架設工法と送出し架設工法の併用の2つの案が検討 された.比較の結果から,経済性に優れる送出し架設工法を 採用することとなった. 本工事の架設計画図を図-3に,計画工程表を表-1にそ れぞれ示す. 図-1 位置図 (56) 片山技報 No.34 (a)側面図 (b)平面図 表-1 計画工程表 工 程 平成26年 平成27年 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 7月 9月 設計照査 材料手配 工場製作 塗装・輸送 現場架設 付属物 後片付け (c)断面図 図-2 構造一般図 (a)P1~A2 送出し架設 (b)A1~P1 トラッククレーンベント架設 図-3 架設計画 架設は, 図-3(a)に示すように,まず,A1~P1に構台を設 4.おわりに 置して,P1~A2間を送出し架設により施工し,その後,図- 本文では,九年橋歩道橋の送出し架設工法および架設によ 3(b)に示すように,A1~P1をトラッククレーンベント架設に る桁補強について述べた.平成 26 年 10 月現在,本橋は工場 より行う計画である. 製作を行っており,現場架設は平成 27 年 4 月頃からの予定で 送出し長は,P1~A2までの280mであり,そのうち,一回の ある. 送出し量は最大で約40mとなる.そのため,架設時の支点反 また,平成 27 年 9 月の完成を目指し,岩手県北上市役所の 力およびたわみ変形が大きくなり,架設管理が非常に重要で 方々をはじめ,関係各位のご指導ならびにご協力の下,担当 あると考えられる.それに対し,送出し架設による桁補強の 者一丸で努力中である. 検討を行った.その結果として,主桁の下フランジに縦リブ の追加,上下フランジに縦リブの断面アップ,および水平補 剛材の追加を行った. 片山技報 No.34 (57) (文責:彭 雪)
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