釣り産業への技術支援

(別紙2の雛型)
釣り産業への技術支援
遠藤 真(富山商船高専 商船学科)
キーワード:流体実験、流体解析、最適化、形状設計、釣具
現在、製品として販売されている。
新開発の
低抵抗友船
抵 抗
1.はじめに
富山商船高等専門学校(以下、本校)は、学校名が
示すように、海と船に関する実験・解析技術が蓄積さ
れている。特に、水表面や流体中の移動体等の設計・
解析手法については、図 1 に示すように、充実した体
系的な最適化プロセスが構築・運用されており、釣具
メーカーの新製品開発における技術支援などの学外の
要求に継続的に応えている。
従来の友船
流 速
図 2. 友船の新開発と従来型の抵抗比較
2.釣具メーカーへの技術支援
本校の釣具メーカーへの技術支援は、2003 年の技術
相談に端を発し、現在までに、ふたつの新しい釣具の
開発に寄与したものである。ひとつが鮎釣り用「友船」
の低抵抗化であり、他の一つは釣用錘の脱鉛化並びに
高性能化である。これらは単なる技術支援では無く、
営業企画段階の新製品コンセプトの提示に応えて、開
発プロジェクトの戦略立案からプロトタイプ製作に至
るまでの新製品開発コンサルタントと呼ぶべきもので
あった。これらふたつの技術支援プロジェクトの概要
を以下に記す。
2.1 鮎釣り用低抵抗「友船」の開発
「友船」とは鮎の友釣りにおいて「おとり鮎」を入
れておく舟形の生簀であり、釣人が腰から紐で川に流
して使用するものである。従来の友船は川の流れから
受ける抵抗が大きく、釣人の動きを妨げたり、疲労増
につながるなどの問題を発生し、抵抗の少ない友船が
企画され、開発における技術支援が依頼された。
市販されている全種友船の抵抗試験、試設計、試作
友船の抵抗試験と解析、フィールドテストによる検証
など、1 年半におよぶ過程を経て、図 2 に示すように、
従来品よりも抵抗が 3 割少ない友船の開発に成功し、
新開発の高速
落下鋼製錘
従来の鉛製錘
他社の鋼製錘
落下速度
図 1. 水表面・流体中移動体の最適化プロセス
2.2 脱鉛化高性能「釣用錘」の開発
一般的な釣用錘の材質は鉛であり、他産業と同様に
脱鉛化が命題となっており、従来品よりも落下速度の
高い脱鉛化錘が企画され、技術支援が依頼された。
錘の落下速度計測法の開発、市販錘の落下速度計測、
試設計、試作鋼製錘の落下速度計測と CFD 解析など、
1 年間の過程を経て、図 3 に示すように、落下性能の
高い鋼製錘のプロトタイプを開発し得た。意匠登録と
特許申請を行い、現在、製品化に向けたフィールドテ
ストを実施している。
水 深
図 3. 錘の新開発、従来型と他社製の落下速度比較
3.技術支援の与えたもの
これらの技術支援は本校の技術力と社会貢献の向上
につながる多くの刺激を与え、産学連携の重要性を再
認識する機会となったことを付してまとめとする。
お問合せ先
氏名: 遠藤 真
連絡先電話番号:
0766-86-5224
電子メールアドレス: [email protected]