和歌山岬道路大谷橋鋼上部工事の概要 [紹介] -交差点を跨ぐ鋼単純合成細幅箱桁橋- 橋梁事業部 1.はじめに 大阪工場 設計部 支 間 長:50.350m 大谷橋は,大阪-和歌山を結ぶ第二阪和国道和歌山岬 有効幅員:10.360m~10.980m 道路の一部として国道26号の交通緩和や地域活性化を 形 目的として計画された.架橋位置は,供用中の和歌山北 平面線形:R=640m バイパスとの接続部に位置し,暫定2車線から4車線へ 縦断勾配:0.60%下り一定勾配 の擦りつけ区間にあたる.架橋位置図を図-1に示す. 横断勾配:5.00%片勾配 式:鋼単純合成細幅箱桁橋 本工事は,近畿地方整備局浪速国道事務所より発注さ 舗 装:アスファルト舗装 れ,弊社が単独受注した.構造形式は,幅員変化による 床 版:合成床版 t=80mm t=230mm 将来拡幅への対応や交差点上での施工性に配慮して鋼単 活 荷 重:B 活荷重 純合成細幅箱桁橋を採用している.また,施工場所が, 設計震度:kh=0.25(レベルⅠ) 交差点上と交通量も多いことから送出し工法が採用され 鋼 ている. 重:約 208.4t 主要鋼材:SS400,SM400A,SM490Y,SM520,S10T 架設工法:手延べ式送出し架設 本稿では,工事の構造概要および特徴等について紹介 する. 3.構造概要 2.工事概要 本工事の主な構造的特徴を以下に示す. 本工事の工事概要および設計条件を以下に示す.また, (1)暫定形から完成形への解析ステップ 構造一般図を図-2に示す. 本橋は,暫定形(2車線)と完成形(4車線)への拡 発 注 者:国土交通省 近畿地方整備局 浪速国道事務所 幅において,上部工を一体構造とする計画としている. 工 事 名:和歌山岬道路大谷橋鋼上部工事 そのため,平面格子解析により,暫定形から完成形に変 工事箇所 :和歌山県和歌山市大谷地先 化する構造を検討している.本橋は,合成桁のため,以 工 下の解析ステップを累積して断面照査を行っている. 期:(自)平成 26 年 2 月 28 日 (至)平成 27 年 1 月 30 日 橋 ステップ1:暫定形の主桁の合成前の解析 長:52.000m ステップ2:暫定形の主桁の合成後の解析 ステップ3:完成形拡幅部の主桁の合成前の解析 (暫定形の床版・壁高欄撤去も考慮) ステップ4:完成形拡幅部の主桁の合成後の解析 (2)送出し架設時の検討 送出し架設は,当初設計時と使用する手延べ機が異な るため,荷重を見直して再検討が必要となった. 架設時の断面力を面内固定荷重解析(1本棒モデル) により,逐次,張出し長,支点位置を変化させて算出す る.本橋の平面線形は曲率半径R=640m,斜角70°のため, 平面格子解析により最大張出時を対象として断面力を算 出する.その断面力比を1本棒モデルに不均等係数とし て考慮し,断面照査を行っている. 図-1 架橋位置図 (54) 片山技報 No.34 (a)側面図 (b)平面図 A1側支点上横桁 中間横桁 (c)断面図 図-2 (3)合成床版取替えを想定した桁補強の検討 構造一般図 合成床版を支持する主桁が2本であることから,取替え 近年 ,鋼橋の計画においては将来の維持管 理を視野に 時に特別な配慮をしなければ供用を一時停止することが 入れ,損傷部位の補修を容易とする配慮を設計段階にお 前提となる.そのため,その方法および架設手法をふま いて検討することが推奨されている.道路橋示方書・同 えた桁補強を検討した. 解説Ⅰ共通編(平成24年3月)においても明記されてお 4.おわりに り,鋼橋の計画においては重要な課題となっている. 本橋は,工場製作まで完了しており,平成27年 3月頃 本工事では,将来の合成床版の取替えを想定した補強 より現場での架設が始まる予定である.近畿地方整備局 材の検討を行うことが求められている. 本橋が採用し ている2主箱桁橋は,合成床 版取替えが 必要となった場合に,完成形が施工されるまでの期間は, 浪速国道事務所の方々をはじめとする関係各位のご指導 のもと,担当者一丸となって鋭意努力中である. (文責:山本将士) 片山技報 No.34 (55)
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