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高齢者の増加に伴い、介護業界
はその需要を増し、ますます市場
が拡大していくことが見込まれる
ことから、今後は安定的な介護サ
ービスの確立が求められていま
す。。
現在、介護業界には常に慢性的
な人材不足の問題がつきまとって
います。人と共感できる豊かな人
間性、仕事に関する高い専門性や責任性が求められる一方、体力仕事でも
あり、また人手不足等による長時間労働が存在します。しかし、一般的に
介護職員の賃金は、他の業種との比べて低く、また、職種に対する社会的
評価も高いとは言えません。
国としても介護職の賃金格差を是正し、キャリアアップが図れる体制
を整えることにより、介護職員の定着や新たな人材を引き込むために、処
遇改善加算制度を導入しておりますが、人件費の補填に利用されている
ことが殆どであり、抜本的な制度として活用できている企業は僅かであ
ると思われます。
処遇改善加算に関しては、既に「キャリアパス」計画を策定している企
業も多いかとは思いますが、前述のとおり、実際には「加算金」を受ける
ことが目的となり、職員の定着や新規採用、そして育成という、本来の目
標に適う制度となっているものは少数かと思われます。
この人材確保や育成の問題は、経営にとって、今後、益々重要となる課
題であり、早期の対応が求められています。人材の定着は賃金等の直接処
遇だけではなく、仕事そのものに対するモチベーション(理念や評価)、
キャリア形成に対する期待(人事・教育制度)、職場の人間関係(コミュ
ニケーション)等々の要素にも目を向けることが重要です。
当事務所では、現在御社が導入さ
れている「キャリアパス」の有効
性を再検証させていただくとと
もに、御社の現状に見合った「真・
キャリアパス」制度(トータル人
事制度)導入のご提案をさせてい
ただきます。
トータル人事制度とは
トータル人事制度」とは人事評価、目標管理、賃金、社員教育などの
制度がトータルに連動した人事制度をいいます。年齢や勤続年数等人
的要素のみにとらわれず、社内外の研修や日常業務を通じて社員一人
一人が高い職務遂行能力を身に付けることにより、業務レベルの向上
と高い生産性を達成し、その成果を適正に評価するとともに、公平か
つ適正に昇給・昇格などの処遇に反映させることで、社員のモチベー
ションに応え、社員満足度(ES) の向上を目的としています。
更に最終的には、この制度より培われたサービスレベルの向上と、
社員満足度の向上が、顧客満足度の向上に 直結していくことも期待さ
れます。
【ご参考】職員の定着について
社員の定着については「衛生要因(阻
害要因)」と「動機づけ要因(促進要因)」
が大きく影響しています。
「衛生要因」とは、給与・処遇・福利厚
生・作業環境・人間関係など、仕事をする
ための外的条件を指しますが、これらの
要因は不満を予防するだけの歯止めし
か果たさないものです。これらに対する
配慮や、措置が不十分だと不満の原因と
なり、業績低下を招くこととなりますが、
逆にどんなに十分に配慮しても、不満がなくなるだけであって、それ以上に積
極的にやる気を促進することはできません。
これに対して、仕事に対するやる気を増大させる促進要因は、仕事そのもの
に関連しています。これを「動機付け要因(促進要因)」と呼びます。動機付け
要因には以下のものがあります。
① やりがいのある仕事を通して達成感が味わえること(達成)
② 達成した結果を上司や同僚に認められること(賞賛・承認)
③ 仕事の中に自己の知識や能力を活かせること(仕事そのもの)
④ 責任をもって仕事を任されること(責任)
⑤ 仕事を通して能力を向上させ、人間的に成長できること(成長)
要するに、賃金や福利厚生や管理・監督者の態度について会社が十分な措
置を講じないと社員の間に不満がはびこり、欠勤・退職や能率低下などを招く
が、これらに十分に手を打っても、不満がなくなるだけであって、それ以上の
意欲増進には役立ちません。それ以上に社員を動機付けるためには、仕事そ
のものの与え方に配慮し、責任の幅を広げ、腕の奮える余地を大きくし、やり
がいを感じられるようにしなければならないというわけです。
≪衛生要因≫
前述のように、給与や福利厚生等が衛生要因の代表例ですが、介護現場で
は職場の人間関係が定着面での大きな要素となっています。そのためにも良
い職場(組織風土)を作ることが重要です。
よい職場とは「目標指向性」、「効率性」、「開放性」、「意欲性」の高い職場だ
と言えますが、そのような組織を作
りあげていく鍵は「コミュニケーショ
ン」による「マネージメント」にありま
す。
≪動機付け要因≫
動機付け要因の中には成長が含
まれており、このことは直接的に
OJT を中心とした社員の育成に結
び付いています。また他の項目も
そのほとんど全てが、マネジメント
職が取り組むべき課題であり、この
側面からもリーダーシップの重要性
が再確認できます。