カナダ総選挙の結果について - マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン

ご参考資料【臨時レポート】
2015年10月22日
マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン株式会社
カナダ総選挙の結果について
10月19日に投開票されたカナダの総選挙で、野党第2党の自由党が過半数の議席(下院:定数338議席)を
獲得し約10年ぶりに政権が交代することになりました。
【過半数議席の獲得】
直前の見通しでは、自由党が保守党(現:与党)や新民主党(現:野党第1党)よりも優勢と予想されていた
ものの、接戦が予想され、いずれの政党も過半数議席を獲得するのは難しいと思われていました。
しかし、実際には、自由党が184議席*を獲得し、下院の過半数の議席を占めることになりました。長期政権
化や景気低迷で保守党の人気が低迷し、また新民主党のケベック州での支持が低下した中で、変化を掲げ
る自由党にカナダ有権者が票を投じたことなどが勝因と推測されます。
議会での過半数の議席を獲得したことで、自由党による議会の安定的な運営が期待されます。
*連邦選挙管理局の速報値ベース
【次期首相】
次期首相は自由党党首のジャスティン・トルドー氏が就任する見込みです。元首相のピエール・トルドー氏
(在任期間:1968年~1979年、1980年~1984年)を父に持ち、43歳での首相就任はカナダ史上2番目の若さ
です。「変化」を訴える若いトルドー氏は、高い知名度と国民からの人気がありますが、一方で政治家として
の経験値を不安視する向きもあります。トルドー氏が初めて下院議員に選出されたのは2008年であり、また
今回は閣僚経験なしで首相に就任する予定です。今後は、トルドー氏の首相としての手腕に注目が集まって
います。
【自由党の主な政策・姿勢】
自由党は、中道左派の政党で、選挙活動中に報じられた主な政策・姿勢としては下記が挙げられます。
 財政赤字は3年間容認し、インフラなど公共投資を行う。
 高所得者層への増税の一方、中間所得者層への減税。
 温室効果ガスの削減に積極的に取り組む。
 石油パイプライン「キーストーンXLパイプライン」計画は支持しているが、「ノーザンゲートウェイ」計画
には反対の姿勢を表明。
【政権交代による経済的影響】
自由党の政策が実施された場合の経済的な影響は下記のようなものが考えられますが、全体的な影響は
限定的と予想されます。
 自由党は環太平洋経済連携協定(TPP)について、内容の検証を最優先する方針で、TPPの批准に
遅れが生じることが懸念されていますが、トルドー氏はTPPをカナダの自由貿易を拡大するものと
評価しており、TPP自体は支持すると見られます。
当資料に関する留意事項については、巻末を必ずご覧ください。
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ご参考資料【臨時レポート】

自由党は、600億カナダドルの予算規模で、インフラ投資などを拡大するとの方針です。一方、今後
3年で300億カナダドルの財政赤字を容認していますが、他の先進国よりも相対的に健全な財政であ
ることは変わらず、また現在の低金利環境では資金調達コストを比較的低く抑えることが出来るた
め、政府にとって有利な環境です。したがって、今のところ財政赤字によりカナダの格付けに影響が
出ることは想定されません。

エネルギー産業寄りの政策を掲げていた保守党と比較すると、相対的にエネルギー産業には厳し
いスタンスであるため、エネルギー関連銘柄には重石となる可能性があります。
ただし、今後、大きな経済的影響を持つ政策が打ち出される可能性もあり、新政権の動向を注視する必要
があります。
【選挙結果を受けた市場への影響】
①株式市場:
総選挙で自由党が過半数の議席を獲得したことを好感し、20日の株式市場は上昇しましたが、短期的には
選挙結果の内容はすでに市場に織り込まれたと考えられます。
長期的には、新政権がインフラ投資を拡大すると見込まれることから、インフラ関連銘柄が恩恵を受けると
思われる一方で、新政権が環境問題への取り組みに積極的であることはエネルギー銘柄の重石となる可能
性があります。
また、選挙結果に関わらず、消費関連銘柄、テクノロジー銘柄、ヘルスケア銘柄での利益成長が大きいと
考えています。
【S&Pトロント総合指数の推移】
(2015年1月1日~2015年10月21日、日次)
(ポイント)
16,000
15,500
15,000
14,500
14,000
13,500
13,000
12,500
12,000
'15/01
'15/03
'15/05
'15/07
'15/09
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータをもとにマニュライフ・インベストメンツ・ジャパンが作成
当資料に関する留意事項については、巻末を必ずご覧ください。
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②債券市場:
新政権が財政赤字を容認する立場を示している
ことから、20日のカナダ10年国債利回りは上昇
しました。今後も、財政赤字は債券利回りの上昇
圧力にはなり得ますが、今のところカナダの格付け
に影響はないと想定されていることなどから、
大幅な債券利回り上昇は見込まれません。
社債の対国債利回り格差への影響も限定的と
考えられます。新政権が環境問題への取り組み
に積極的であることからエネルギー関連銘柄は
ややネガティブな影響を受ける可能性はあり
ますが、その影響は限定的と考えられます。
③為替市場:
自由党が過半数の議席を獲得したことから、
20日はカナダドルが上昇しました。今後は、
短期的には選挙結果の影響よりも金融政策や
商品市況の影響を強く受けると思われます。
しかし、長期的には新政権の政策が為替市場
に影響をおよぼす可能性があることから、
新政権の動向を注視する必要があります。
(%)
【カナダの10年国債・5年国債利回りの推移】
(2015年1月1日~2015年10月21日、日次)
2.5
2.0
5年国債利回り
10年国債利回り
1.5
1.0
0.5
0.0
'15/01
(円)
'15/03
'15/05
'15/07
'15/09
(年/月)
【カナダドルの対円・対米ドルレート推移】
(2015年1月1日~2015年10月21日、日次)
(米ドル)
110
カナダドル高
1.10
1.05
105
1.00
100
カナダドル安
95
0.95
90
0.90
85
0.85
80
0.80
75
カナダドル/円(左軸)
0.75
70
カナダドル/米ドル(右軸)
0.70
65
'15/01
'15/03
0.65
'15/05
'15/07
'15/09
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータをもとにマニュライフ・インベストメンツ・ジャパンが作成
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