良い種を用意する ~温湯消毒・浸種~ 種には*いもち病や、**ばか苗病など様々な病原菌がついていることがあります。これらの 病原菌を殺すために農薬を使って消毒を行っていますが、最近では農薬に頼らずに種をお湯 の熱で殺菌する、温湯消毒(おんとうしょうどく)が広がっています。 *いもち病:イネに発生する病気の中で最も恐れられている病気。葉や穂に病斑ができ、大幅 な収量の減少などをもたらす。 **ばか苗病:菌に感染した苗はひょろひょろと長くなり、田植え後には枯れてしまいます。 温湯消毒 〔3月下旬〕 3月から4月にかけての播種が近づくにつれて、農家さんは種もみの温湯消毒を行い ます。これは薬剤を使わずに種もみを殺菌する方法で、60℃のお湯に10分間種もみ を浸けます。JA越後中央では、環境保護の観点から農薬の使用量を減らしていく取り 組みの中で、温湯消毒が急速に増えています。 大きな水槽に60℃のお湯をはり、10分間種もみを浸します。 温湯消毒の処理をした後、お湯の温かさによって発芽してしまわないように冷水で熱 を取ることも大事なポイントです。 浸種(しんしゅ) 種もみをそのまま播種しても一斉に発芽せず、バラバラに伸びた苗になってしまいま す。そこで、均一に発芽させてそろった苗作りのために行う作業の一つが浸種です。浸 種とは、種子が発芽を始めるために必要な水分を吸わせ、また籾の中に含まれる発芽を 抑制する物質を洗い流すために水に浸けることを言います。このとき、水温も大切で、 水温が低すぎたり高すぎると発芽がばらついてしまいます。また、種もみは水の中でも 呼吸を行っており、酸素が必要です。酸素が十分に行きわたるように、水の量を種もみ の 2 倍程度にしたり、均一に吸水できるよう種籾の入った袋を上下で入れ替や、水を新 鮮なものにこまめに入れ替えたりと、農作業はどんどん忙しくなっていきます。 温湯消毒が終わった種もみは大きな水槽に移され、2週間ほどかけて浸種が行われます。
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