水稲「消毒種子」の浸種と催芽の注意点 そろそろ水稲の育苗が始まる時期です。下記の注意点を守って,水稲の浸種,消毒と催芽を 行ない,健苗を育てましょう。 現在,農協で販売している「消毒種子」は,モミガードC・DFとスミチオン乳剤との混合 吹き付けで処理されていますので,そのまま浸種するだけで,ばか苗病,いもち病,ごま葉枯 病,もみ枯細菌病,苗立枯細菌病,褐条病,イネシンガレセンチュウのすべてを消毒すること ができます。 【浸種作業をしっかり行いましょう】 ① 育苗で最も大切なことの一つに芽出しを揃えることがあります。籾が発芽をするために は,発芽に必要な水分を十分に吸水させることが必要です。浸種は種子1Kg に水約4リッ トル(容量比1:2)とし,水を入れてからはかき混ぜないようにしましょう。 ② 籾の吸水のしかたは決して一様でなく,同一品種の一袋の籾の中でも早く吸水するもの と遅いものがあります。吸水した籾の胚芽が動き始めるのは風乾籾重の15%に当る水を 吸った時からです。 ③ 吸水は水温が高いと早くなりますが,吸水むらが生じやすく,水温が20℃もあると, 遅い籾が十分に吸水しないうちに早く吸水した籾が芽切れするなど発芽むらを起こしてし まいます。それを避けるためには,芽がむらな活動を始めないような低温(10∼15℃) で浸種を行います。 ④ 浸種の時間は一般の品種では水温の積算温度で100℃を目安としますが,休眠性の深 い,コシヒカリ,ひとめぼれは120℃を目安に行います。積算温度とは,毎日の水温の 積算で,水温が12℃あれば10日の浸漬で120℃になります。 ⑤ 浸種は吸水と同時に発芽を阻害する物質の除去や有機酸や炭酸ガスを除去する効果もあ ります。水の交換は,浸種後3日間は種子消毒の効果を高めるために行わないようにしま しょう。3日後に第1回目を静かに行い,その後は水の状態をみて適時行いましょう。 ④ 消毒種子をハトムネ催芽機など気泡の多くでる方法で浸種,催芽処理を行いますと,緑 色の粘着物が発生して水槽の縁などに付着することがあります。ハトムネ催芽機ではシャ ワー循環を止めて水循環のみにしたり,ポンプ循環装置を使用の場合にはエアレーション を止めるかエアーの発生量を少なめにして気泡の発生を少なくして下さい。粘着物が発生 しても消毒の効果や薬害に影響はありません。 【催芽はムラにならないように行いましょう】 催芽は,ハト胸状態に均一にすることがねらいです。催芽温度は28∼30℃が適温で, 十分に浸種した籾であれば15∼20時間でハト胸状態となりますので,催芽ムラにならな いよう温度管理に注意し下さい。 【播種時には潅水を十分に行って下さい】 床土には箱当たり1リットル潅水しましょう。 育苗初期の生育遅延を生じさせないために, ハトムネ程度に催芽してから播種して下さい。
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