ムギ類の赤かび病及びイネの種子消毒・育苗培土の消毒

彩の国
埼玉県
病害虫防除情報
コバトン
平成28年4月21日
埼玉県病害虫防除所
1
情 報 名
ムギ類の赤かび病及びイネの種子消毒・育苗培土の消毒について
2 情報内容
(1)気象要因等について
4月14日に気象庁が発表した季節予報によれば、向こう1か月の気温は平年
より高く、降水量は平年より多いと予想されています。
ムギ類の赤かび病は、ムギ類の開花期が気温により前後するため、防除適期も
変動します。ほ場を見回り適期を逃さず防除しましょう。
イネ縞葉枯病ウイルスを保毒したヒメトビウンカの割合は、過去10年間で3
番目に高く、イネ縞葉枯病の多発が懸念されます。箱施用薬剤での防除を徹底し
ましょう。
(2)ムギ類の赤かび病
本病は子実にかび毒を生成するため、発生すれば出荷できず経営に損害を与
えます。発病株は、乳熟期頃から穂の一部又は全体が赤褐色となり、穎の合わ
せ目に鮮橙色で粘質状のかび(胞子)を生じます。防除は以下を参考に必ず実
施してください。
ア コ
ム
ギ:開花期(出穂後7~10 日頃)に防除を実施。その後、降
雨が継続する場合は、開花後 10 日頃に追加防除。
イ 二条オオムギ:葯殻抽出期(穂揃い 10 日後頃)に防除を実施。
ウ 六条オオムギ:穂揃い期に防除を実施。その後、降雨が継続する場合は、
開花後 10 日頃に追加防除。
なお、薬剤防除は発病前~発病初期の効果が高く、それ以降の防除は効果が
劣ります。また、追加防除を行う場合は開花後 20 日頃が有効です。
ムギ類赤かび病の胞子
ムギ類赤かび病の分生胞子
コムギ赤かび病
表1
作物
名
オオムギ赤かび病(二条オオムギ)
ムギ類赤かび病の防除薬剤例
薬
剤
名
系
統
FRAC 収穫前
コード
日数
使用
回数
小麦 チルト乳剤25
EBI
3(G1) 3 *2
3
小麦 ストロビーフロアブル
ストロビルリン
11(C3)
14
3
小麦 トップジンM水和剤
ベンズイミダゾール 1(B1)
14
3 *3
大麦 チルト乳剤25
EBI
3(G1)
21
1
ストロビルリン
11(C3)
14
3
ベンズイミダゾール 1(B1)
30
3
-
-
麦類
ストロビーフロアブル
*1
麦類
トップジンM水和剤
*1
麦類 イオウフロアブル
無機硫黄
M2(多)
*1 小麦は除く
(使用基準は平成28年4月20日現在)
*2 無人ヘリコプターによる散布の場合は、収穫7日前まで。
*3 使用回数は、使用方法や使用時期等による制限があるのでラベル等で確認
する。
(3)イネの種子・育苗培土の消毒
ア
種子
種子伝染性病害(いもち病、ばか苗病、ごま葉枯病、もみ枯細菌病、心枯線
虫病)の発生を防止するため、採種ほ産種子を必ず使用し、種子消毒を実施し
てください。特に、いもち病は、昨年からの越冬菌量が多いと考えられるので、
十分な対策が必要です。
種子消毒は、農薬を使わない温湯消毒を実施しましょう。止むをえず農薬を
用いる場合は、次の薬剤例を参考にしてください。消毒後は水洗いせず、浸種
します。また、廃液は河川等に流さないでください。
イネのいもち病によるずりこみ症状
イネのばか苗病による徒長
イネのいもち病によるずりこみ症
イネの心枯線虫病による黒点米
イネのもみ枯細菌病による不稔
表2
種子消毒(いもち病、ばか苗病、ごま葉枯病、もみ枯細菌病)の薬剤例
薬
剤
名
テクリードCフロアブル
スポルタックスターナSE
系
統
FRAC
コード
EBI
3(G1)
無機銅
M1(多)
キノロン
31(A4)
EBI
3(G1)
使用時期
使用回数
浸種前
1
浸種前
1
催芽時、
エコホープ
微生物農薬
-
浸種前
-
~催芽前
(使用基準は平成28年4月20日現在)
表3
薬
種子消毒(イネシンガレセンチュウ)の薬剤例
剤
名
系
統
IRAC
コード
使用時期
使用回数
パダンSG水溶剤 *
ネライストキシン
14
浸種前
1
スミチオン乳剤
有機リン
1B
は種前
1
* 劇物
(使用基準は平成28年4月20日現在)
イ
育苗培土の消毒
苗立枯病などの発生を防止するため、消毒済の人工培土を使用しましょう。
未消毒の人工培土、水田土や山土を使用する場合は、播種前に粉剤を混和するか、
播種時に液剤を潅注してください。
表4
育苗培土消毒の薬剤例
薬
剤
名
系
バリダシン液剤5 *
抗生物質
ダコニール粉剤 *
有機塩素
タチガレン粉剤 *
タチガレン液剤
*
* 稲(箱育苗)に登録
3
統
FRAC
コード
U18
使用時期
使用回数
は種時~
発病初期
1
M5(多)
は種前
1
その他
32(A3)
は種前
1
その他
32
(A3)
は種時
及び発芽後
2
(使用基準は平成28年4月20日現在)
IRACコード及びFRACコードの記載について
病害虫の薬剤抵抗性発現防止の観点から、IRAC(世界農薬工業連盟殺虫剤抵
抗性対策委員会)及びFRAC(同連盟殺菌剤抵抗性対策委員会)の農薬有効成分
作用機構分類コードを記載しています。農薬の使用にあたっては、同一コード薬剤
の連用を避けるよう心がけてください。
なお、IRACコード、FRACコード及び分類表については、農薬工業会ホー
ムページで最新の情報を確認できますのでご活用ください。
農薬工業会ホームページ
http://www.jcpa.or.jp/labo/mechanism.html
<農薬使用上の注意事項>
1
農薬は、必ず最新のデータ及びラベル等を確認の上、使用する。
2
剤の使用回数、成分毎の総使用回数、使用量及び希釈倍率は使用の度に
確認する。特に、蚕や魚に対して影響の強い農薬など、使用上注意を要
する薬剤を用いる場合は、周辺への危被害防止対策に万全を期すること。
3
農薬の選定に当たっては、系統の異なる薬剤を交互に散布する。
4 農薬を散布するときは、農薬が周辺に飛散しないよう注意する。
5 周辺の住民に配慮し、農薬使用の前に周知徹底する
問い合わせ先 埼玉県病害虫防除所 TEL:048-539-0661