Ⅳ.校内研究

Ⅳ.校内研究
Ⅰ.研究主題
『自ら学び,自ら考え,自分を表現できる子どもをめざして』
-「伝えあう力」
「活用する力」に視点をおいて-
Ⅱ.研究テーマについて
万沢小ではこれまでの校内研究で「伝え合う力」の育成を通し、「自ら学び、自ら考え、自分を表現でき
る」子どもを目指し、取り組んできた。これは、全校児童27名という極小規模校であるが故の、人間関係
の固定化・序列化によるコミュニケーションの希薄化、大勢の前で自分の考えをはっきりと表現したり、人
の考えを興味をもって聞いたりという機会の減少というデメリットを解消していくためである。極小規模で
あることが児童にとってメリットとなるよう、一人ひとりの考えを発表する場を多く設けたり、一人が自己
表現をする機会を増やしてきた。また、縦割り班活動を生かした、異学年交流を多く行うことで、コミュニ
ケーション能力の向上に努めてきた。自分なりの考えを持ち(思考力)人の考えと比べたり、深めたり(判
断力)することで、新たに考えた自分の考えを表現する(表現力)といった学習活動を通し、社会の一員と
して生きていく力を身につけていこうと考えた。
今年度は、このテーマの下、サブテーマとして新たに、「活用する力」を盛り込んだ。昨年度までの積み
重ね、そして今年度の学習の中でさらに「伝え合う力」を伸ばしたい。さらには、授業づくりにおいて、自
分なりの考えをもった子どもたちが、様々な意見を交流し合い、自分の考えを広げたり、深めたりして「活
用」していくことや、学習の中で得た知識を生かし、自身の生活の中で実際に使って「活用」していくこと
にも視点を置きたいと考えたためである。この中で、以下の点に留意していきたい。
1つ目は、「伝え合う」ことのよさを子どもたちに感じ取らせ、「伝え合う」ことへの意欲・態度を高め
ていくことである。学習や日常の様々な活動の中で、自ら学びたい、考えたい、表現したいという、興味・
関心・意欲をもつことが、学習活動を行う上での大前提となる。「やってみたい」「おもしろそう」といっ
たイメージをもって取り組むことができるよう、課題提示、発問、ノート指導の工夫などを行っていきたい。
2つ目は、「伝え合う」ための言語活動の充実である。そのために、言語活動の指導の工夫を行い、思考
力・判断力・表現力等を育んでいく。また、言語環境の充実のために、読書活動を更に充実させ、子どもた
ちが進んで本に親しみ、言語への関心や知識を高めるようにしたい。また、ことばの集会の計画、掲示の工
夫など、言葉の表現の美しさを感じ取ったり、豊かな感性を創造できるような環境作りに更に取り組みたい。
他にも、一昨年度より全校で漢字検定に取り組み始め、漢字習得に対する意欲が向上していることから、今
年度もそれを継続し読み書きの力を伸ばすと共に、「家庭学習の手引き」を活用した、家庭学習の習慣化や
充実を促していきたい。
3つ目は、「伝え合い、活用する」授業を実践する上での教師の指導力の向上である。極少人数学級の多
い本校にとって、子どもたち一人ひとりがもっている「思い」をつなげたり、返したり、深めたりするのは、
教師の指導力による部分が大きい。友だちの考えに興味をもって聞いたり、自分の意見と比べたりするため
には、1つ目の留意点でもふれているが、「聞きたい」という意欲を子どもたち自身がもつことが大切であ
る。そこで、子どもの意欲をかきたてるような課題設定の工夫(生活経験に基づくもの、あるいはこれまで
の学習内容につながりのあるもの)をした問題解決的な学習を取り入れ、それを通して思考力、判断力、表
現力を高める授業づくりを行う。そして、一人一実践の取り組みを通し、自己の研鑽につとめ、授業改善に
一人ひとりが取り組んでいきたい。
思考・判断・表現を通して他者の考えを「活用」し、自分自身の考えを広げ、深めること、さらに、各教
科等で知識、技能を習得したり、これらを「活用」して課題を解決することといったの学習活動の基盤とな
るのは、言語に関する能力である。さらに、言語は感性・情緒の基盤でもあり、豊かな心を育むうえでも、
言語に関する能力の育成が重視されている。これら言語に関する能力は、一朝一夕で身につくものではない。
それだけに、日々の実践を大切にし、授業、日常の活動双方の中で、充実した研究を行っていきたいと思う。
Ⅲ.研究仮説
日常活動や学習活動を通して、相手にわかりやすく伝える 話し方や、相手に反応できる 聞き方
を身につけることによって、伝え合いが円滑になり、思考力、判断力、表現力(活 用する力)を身
につけ、自ら学び、考え、自分を表現しようとする児童の育成が図れるで あろう。