第2回 - 名古屋大学

2S 数学演習 III・IV
標準 H001-1
担当教員 : 浜中 真志 研究室 : A327
E-mail:[email protected]
複素数, 複素平面
作成日 : April 15, 2012 Updated : April 17, 2012
実施日 : April 17, 2012
基本事項
複素数 z = x + iy が与えられたとする. (x, y ∈ R. i は虚数単位で i2 = −1 を満たす. )
複素数 z は 2 つの実数 (x, y) の組とみなすことができ, 座標平面上に表すことができる. す
なわち, 直交座標をとった平面上で, z = x + iy を座標 (x, y) をもつ点 (点 z と呼ぶ) に対
応させればよい. (図 1 左図参照)
z̄ := x − iy を z の共役複素数と呼ぶ. x を z の実部 (real part), y を z の虚部 (imaginary
z + z̄
part) と呼び, それぞれ記号で x = Re z, y = Im z と表す. x = Re z =
, y = Im
2
z − z̄
z=
である. また, x 軸, y 軸をそれぞれ実軸, 虚軸と呼ぶ.
2i √
|z| := x2 + y 2 を z の絶対値 (absolute value) といい, 原点から点 z までの距離を表す.
z z̄ = |z|2 などが成り立つ. また線分 0z と正の実軸のなす角を arg z (∈ R) と表し, z の偏
角 (argument) と呼ぶ. 偏角には 2π の整数倍の不定性がある.
r := |z|, arg z := θ と書き表すと,
z = r(cos θ + i sin θ) = reiθ
となる. このような表記を極形式とよぶ. (図 1 右図参照)
Im
Im
z=x+iy
iy
z=r(cos θ +i sin θ)
iθ
=re
iy
|z|
r
θ
arg z
O
x
Re
O
Re
x
図 1: 複素平面 (右は極形式)
以下特に断りのない限りすべて, z = x + iy, z̄ = x − iy (x, y ∈ R) とする.
複素数,複素平面
問題 1. (計算問題:実部・虚部・大きさ) ez について以下の問いに答えよ.
(1) z = x + iy (x, y ∈ R) とあらわしたとき, ez の実部, 虚部, および大きさを求めよ.
(2) z = reiθ (θ ∈ R, r ≥ 0) とあらわしたとき, ez の実部, 虚部, および大きさを求めよ.
標準 H0-2S12-01 難易度 : C
名古屋大学・理学部・数理学科
2S 数学演習 III・IV
標準 H001-2
担当教員 : 浜中 真志 研究室 : A327
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問題 2. (極形式とその応用1) 複素数を用いて
Arctan
(1)
2
+ Arctan
(1)
3
=
π
4
を証明しよう.
(1) 3 つの複素数 z = 2 + i, w = 3 + i, zw = (2 + i)(3 + i) を複素平面に図示せよ.
(2) θ1 := Arctan(1/2), θ2 := Arctan(1/3) とおき, 3 つの複素数 z = 2 + i, w = 3 + i,
zw = (2 + i)(3 + i) を極形式に表せ. また, 複素平面に角度 θ1 , θ2 を書き込め.
(3) 指数法則を用いて, 与えられた式を示せ.
√
1 + 3i
π
π
問題 3. (極形式とその応用2)
を極形式で表示し, cos , sin
を求めよ.
1+i
12
12
問題 4. (1 の 5 乗根と応用)
(1) z 5 = 1 を満たす複素数 z をすべて求め, 複素平面に図示せよ.
(2) (1) の解の中で Rez > 0, Imz > 0 の領域にあるものを ω と表す. ω 4 +ω 3 +ω 2 +ω+1 =
0 を示せ. これを用いて, t := ω + ω −1 が満たす 2 次方程式を導出し, t の値を求めよ.
(3) cos(2π/5) の値を求めよ.
(4) 等比数列の和 S = 1 + ω 3 + ω 6 + ω 9 + · · · + ω 417 の値を求めよ. (5) w3 = w̄2 を満たす複素数 w をすべて求め,複素平面に図示せよ.
複素数と図形
問題 5. (複素平面での図形の表記)
(1) 複素平面上の点 α を中心とする半径 r の円の方程式を複素変数 z を用いて表せ.
(2) 複素平面上の点 α, β の垂直 2 等分線の方程式を複素変数 z を用いて表せ.
1+z
によって, z 平面上の単位円の内
1−z
部 D = {z ∈ C | |z| < 1} は w 平面にどのようにうつされるか. 変換前の図形と変換後の
図形を図示せよ.
問題 6. (複素関数による図形の像) 複素関数 w =
標準 H0-2S12-01 難易度 : C
名古屋大学・理学部・数理学科