円周率物語 目 次 今日は次のような内容でお話しします。 • 何桁言えるかな? • 近似分数 • 幾何学的に近似値を求める方法 • 逆三角関数を用いた公式 • その他の公式 • シャンクスの挑戦 • ゼータ関数との関係 何桁言えるかな? 小数点以下100桁は 3.14159265358979323846264338327950288419716939937 510 5820974944592307816406286208998628034825342117067 9… 近似分数 円周率を近似する分数としては、以下のようなものが知 られています: 22 = 3.14285714 … 7 355 = 3.14159292 … 113 104348 =3.14159265... 33215 幾何学的に近似値を求める方法 円に内接する正多角形の周の長さを測ると近似値が求まります。 正6角形で 3 正12角形で 3.105828... 正24角形で 3.132628... 正48角形で 3.139350... 逆三角関数を用いた公式 その1 tan(x) の逆関数を arctan(x) と表すとき、 π = 4 × arctan(1) であることと、arctan(x) の展開式 arctan 𝑥 = 𝑥 1 𝑥3 − 3 𝑥5 + 5 𝑥7 − 7 +⋯ を用いると π = 4 × 1− 1 1 1 + − + 3 5 7 ⋯ となります。これをライプニッツの公式といいま 逆三角関数を用いた公式 その2 tan(α) = 1 2 , tan(β) = 1 3 のとき、加法公式から tan(α+β) = tan α + tan(β) 1 − tan α × tan(β) =1 となりますので π = 4 × arctan 1 2 + arctan 1 3 と書けます。ライプニッツの公式と同じように arctan(x) の展開式を用いる と次の公式が得られます: π=4× 1 2 − 1 3×23 + 1 5×25 − 1 7×27 +⋯ + 1 1 − 3 3×33 となります。これをオイラーの公式といいます。 + 1 5×35 − 1 7×37 +⋯ 逆三角関数を用いた公式 その3 同じ考え方でいろいろな公式が作られました: • クラウゼンの公式 π = 4 × 2 × arctan 1 3 + arctan 1 7 − arctan 1 239 • マチンの公式 π = 4 × 4 × arctan 1 5 • ガウスの公式 π = 4 × 12 × arctan 1 18 + 8 × arctan 1 57 −5 × arctan 1 239 その他の公式 無限積の形で書く公式もあります: • ウォリスの公式 π=2× 2×2×4×4×6×6×⋯ 1×3×3×5×5×7×⋯ インドの天才数学者ラマヌジャンは次のような公式も得ていま す: • ラマヌジャンの公式 1 8 = π 992 ∞ 4𝑛 ! 4𝑛 × 𝑛! 4 1103 + 26390𝑛 × 994𝑛 シャンクスの挑戦 • 19世紀の数学者シャンクスは生涯をかけて円周率を小 数点以下707桁求めました。その偉業を後世に伝える ため、自分のお墓にその数字を刻みました。 • しかーし、コンピュータが発明され、円周率の計算が 容易になると、その数字の528桁目に間違いが見つ かってしまいました。 ゼータ関数との関係 • オイラー先生は次の公式を見つけました: 1 12 + 1 22 + 1 32 + 1 42 +⋯ = 𝜋2 6 これはリーマンのゼータ関数 ζ s = 1 1𝑠 + 1 2𝑠 1 + 𝑠 3 + 1 4𝑠 +⋯ という関数の s = 2 での値が円周率で表されるという公式です。 • リーマンのゼータ関数は素数の情報をすべて含んでいる関数で あると信じられています。このゼータ関数についての予想が世 紀の未解決問題「リーマン予想」です。 参考文献 • ペートル・ベックマン著、田尾陽一・清水韶光訳、𝜋 の歴史 (ちくま学芸文庫) • 一松信著、数のエッセイ (ちくま学芸文庫) • Ke!san 生活や実務に役立つ高精度計算サイト http://keisan.casio.jp/exec/system/1259062 282 ご清聴ありがとうございました。
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