週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2016 年 2 月 27 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
2 月 28 日から 3 月 5 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):29日から3月1日にかけて深いトラフが日本付近を通過し、一時的に強い冬型の気圧配置となる。その後
は、高気圧に覆われる日が続くが、3日から4日にかけて北日本をトラフが通過する。天気は、期間の前半は、深いトラフと強い
寒気の影響で日本海側を中心に雪または雨となり、発達する低気圧の影響で広い範囲で荒れた天気となる見込み。期間の後半は晴
れるところが多くなるが、北日本や東日本日本海側では期間の中頃に気圧の谷や寒気の影響で雪や雨のところがある。沖縄・奄美
は、高気圧に覆われて晴れる日もあるが、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨の日もある。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、オホーツク海付近に寒冷渦があり、中国東北区にトラフがのびる。日本の東で高度が
高く、北日本の一部が負偏差のほかは正偏差に覆われる。予報期間は、日本の東がトラフとなり、日本付近は西北西の流れとなる。
全国的に正偏差に覆われる。
●3月1~2日:トラフが日本の東へ進み、日本付近は西北西の流れとなる。また、次のトラフが2日には中国東北区付近に進む。
1日は、はじめ北海道の東に発達した低気圧があり、日本付近は強い冬型の気圧配置となる。低気圧は1日夜には千島の東に進
み、日本付近は移動性高気圧に覆われる。天気は、1日は日本海側を中心に寒気の影響で雪や雨の降る所がある。太平洋側は晴
れる所が多い。2日は高気圧に覆われて晴れるが多いが、北日本や東日本日本海側では気圧の谷の影響で雲が広がる所もある。
●3日:5280m付近、5400m付近のトラフが北日本に進む。また、リッジが朝鮮半島付近に進む。地上は、西日本は引き続き高気圧に
覆われるが、北海道付近に低気圧が進み、北・東日本付近は気圧の谷となる。北日本ではトラフの影響で雲が広がり、低気圧か
らのびるシアーラインの影響で雪や雨の降る所もある。その他は晴れる所が多いが、気圧の谷となる東日本では雲が広がりやす
い。
●4~5日:リッジが日本付近を通過する。地上では、移動性高気圧が日本付近を東進し、5日には日本の東へ移動する。高気圧に
覆われて、晴れる所が多いが、北日本では4日はじめに寒気の影響が残る所がある。また、5日は、西日本では高気圧の後面と
なり、雲が広がりやすい。
●沖縄・奄美:期間の中頃は高気圧に覆われて晴れる所がある。はじめと終わりは、気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がりやす
く、雨の降る所がある。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:3日は、ほとんどのメンバーが北海道付近に低気圧を予想する。そのうち半数程度は比較的発
達する予想となっている。
・ スプレッド:昨日資料と比べて、2、7日目は拡大した他は縮小した。特定高度線は、期間の後半、5400m線や5700m線のバラつ
きが大きくなる。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、3日に北日本日本海側で拡大した。
・ 予想T850時系列:全国的に期間のはじめは平年並に近いが、その後負偏差となり、後半、正偏差に転じる。
2.防災事項等
・ 期間のはじめは、広い範囲で荒れた天気となるおそれがあり、低気圧の発達の程度によっては大荒れとなるところもある見込み。
今後の資料に留意。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 500hPaでは、-30℃以下の寒気を伴った長波の深いトラフが日本付近に接近し、夜にかけて日本海・東日本まで東進する。地上で
は、日本海を東進する低気圧は東北で不明瞭となるが、三陸沖で発生した低気圧が発達しながら日本の東から千島近海を北東進
する見込み。大陸からは高気圧が張り出し、日本付近は次第に冬型の気圧配置が強まる見込み。トラフ後面の西日本では、850hP
a-9℃以下の寒気が次第に流入する。
・ トラフの予想は初期値毎に深まり、海外センター予想と整合するものとなっている。
・ 低気圧や寒気移流の影響で、東北や日本海側を中心に降水が予想され、トラフ通過時には西・東日本の太平洋側でも降水域が広
がる見込み。トラフ通過時は西・東日本の太平洋側では雨主体だが、寒気の流入とともに雪主体に変化する。南西諸島では高気
圧縁辺の降水がはじめ予想される。降水の予想される地域では、降水表現を検討。トラフの影響で曇りベースを検討。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北~東日本の日本海側は、期間の中頃までは気圧の谷や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多い。期間の終わりは晴れる。
・ 北~東日本の太平洋側と西日本は、高気圧に覆われて晴れる日が多い。気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がり、期間のはじ
めに雨や雪の降る所もある。
・ 沖縄・奄美は、期間のはじめと終わりは気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨。中頃は高気圧に覆われて晴れる所がある。
・ 最高気温・最低気温ともに、北日本は期間の前半は平年並か平年より低く、後半は平年並か平年より高い。東・西日本は、平年
並か平年より高い日が多い。沖縄・奄美は平年並か平年より低い。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。