短期予報解説資料1 2016年 4月23日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①南西諸島に停滞する前線に向 かって暖湿気塊が流入しており、 23 日 9 時には石垣島や名瀬上空 で 850hPa・θe 330K 以上を観測。 特に種子島や屋久島周辺で対流 活動が活発化しており、 雷を伴っ た 30mm/h 以上の激しい雨が断 続している。また、前線の北側で は、500hPa・5700m 付近の短波ト ラフの接近に伴い、 降水域が北に 拡大し東進しているが、 陸域での 強まりは確認できない。 ②中国東北区を寒冷渦がゆっく りと東南東進している。 この寒冷 渦を回る 500hPa・5460m 付近のトラフの接近に伴い日本海北部で低気圧がやや発達、前線の南側を中心 に降水域が拡大しており北海道では 5mm/h 前後の雨が観測されている。また、北海道や東北北部の沿 岸部を中心に南よりの風がやや強まっている。 ③衛星差分画像では、寒冷渦南側の強風帯に沿って黄砂が確認できる。地上観測でも、朝鮮半島周辺 や九州北部、中国、北陸地方で黄砂が観測されている。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①25 日にかけて、前線が南西諸島付近に停滞する。この前線に向かって 850hPa・θe 336K 以上の暖湿 気が流入し、南西諸島や九州南部で大気の状態が不安定となる見込み。落雷、突風、短時間強雨に注 意。現在、九州北部地方にかかる降水域は、1 項①の短波トラフの東進に伴い徐々に東に範囲を移す。 目先、降水実況に留意。24 日にかけて、九州北部地方は次第に高気圧に覆われる見込み。 ②寒冷渦を回る 1 項②のトラフに取り込まれ、サハリン付近の低気圧は世代交代を繰り返し 25 日にか けて千島近海に進む。低気圧や前線に向かって、北日本には 850hPa・θe 300K 以上の相対的に暖湿な 気塊が流入するため、寒冷渦がもたらす上層寒気との間で 23 日は北海道を中心に大気の不安定な状態 が続く。落雷や突風に注意。また、北日本では沿岸部を中心に強風にも注意。 ③24 日にかけて、西日本から北日本の広い範囲に黄砂飛来の可能性がある。実況に留意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とするが、南西諸島付近に停滞する前線の予想は初期値変わりがあり、降 水の範囲や強度について不確実性を伴うことに留意。降水や風については MSM も参考にする。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):奄美 120、九州南部 100mm。2 項の短時間強雨に注意 ②高潮(明日まで):大潮の時期。九州西岸や北海道太平予側東部で、注意報基準に近づく所がある。 5.全般気象情報発表の有無 「黄砂に関する全般気象情報」を 17 時までに発表予定。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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