論 文 内 容 の 要 旨

様式
論
文
内
容
の
要
旨
氏
名
吉岡
崇
産 業 機器 の 自 動 制 御 技 術 の 発展 と と も に 、 産 業 界 にお け る 産 業 用 ロ ボ ッ トの 位 置 づ けは
重 要 性を 増 し て い る 。 こ の 背景 に は 、 産 業 ロ ボ ッ トに 用 い ら れ る サ ー ボ モー タ の 制 御 技術
の 発 展や 、 減 速 機 な ど の 機 械要 素 の 精 度 の 向 上 、 およ び 産 業 用 ロ ボ ッ ト の制 御 を 担 う 組み
込 み 向け プ ロ セ ッ サ の 性 能 向上 が 挙 げ ら れ る 。 産 業用 ロ ボ ッ ト の 性 能 向 上に 伴 い 、 近 年で
は 産 業用 ロ ボ ッ ト の 適 用 範 囲に つ い て も 広 が り を 見せ 始 め て い る 。
し か しな が ら 、 産 業 用 ロ ボ ット の 関 節 軸 に 生 じ る 軸ね じ れ 振 動 が 産 業 用 ロボ ッ ト の モー
シ ョ ン制 御 の 性 能 向 上 の 妨 げと な る 。 理 想 的 な 二 慣性 系 の 場 合 は 状 態 フ ィー ド バ ッ ク を始
め と する 振 動 抑 制 手 法 に よ り効 果 的 な 振 動 抑 制 が 可能 で あ る が 、 産 業 用 ロボ ッ ト の 場 合は
軸 ね じれ 振 動 だ け で な く 慣 性変 動 や 他 軸 干 渉 な ど の影 響 も 同 時 に 生 じ る 上に 、 力 制 御 のた
め に 環境 と 接 触 し て い る 場 合は 環 境 と の 相 互 作 用 も生 じ る 。 そ の た め 、 産業 用 ロ ボ ッ トの
高 性 能化 を 図 る た め に は、ロ ボ ッ ト ア ーム の 振 動 要 素に 対 す る 統 合 的 な 検 討が 必 要 と な る。
そ こ で、 本 論 文 で は 、 産 業 ロボ ッ ト の モ ー シ ョ ン コン ト ロ ー ル の 高 性 能 化を 図 る た めの
新 し い要 素 技 術 と し て 、 先 端加 速 度 情 報 を 用 い た 瞬時 状 態 オ ブ ザ ー バ に 基づ く ロ バ ス トモ
ー シ ョン 制 御 法 、 整 定 時 間 と慣 性 変 動 を 考 慮 し た プロ フ ァ イ ル 設 計 に 基 づく 振 動 抑 制 制御
法 、 反共 振 比 と 瞬 時 状 態 オ ブザ ー バ に 基 づ く 安 定 な力 制 御 法 に つ い て 提 案す る 。
まず、第 1 章では、研究背景と本論文が解決しようとする課題、そして本論文の技
術的な位置づけについて説明する。
第 2 章 で は 、 産 業 用ロ ボ ッ トの 関 節 軸 に 生 じ る 軸 ねじ れ 振 動 と 、 慣 性 変 動や 他 軸 干 渉 、
環 境 との 相 互 作 用 と い っ た 産業 用 ロ ボ ッ ト 特 有 の 現象 が 組 み 合 わ さ っ た 場合 に 生 じ る 問題
に つ いて 議 論 す る 。 ま ず 、 産業 用 ロ ボ ッ ト の よ う に各 軸 間 の ダ イ ナ ミ ク スが 連 成 し て いる
二 慣 性系 に お い て は 、 他 軸 干渉 に よ っ て 本 来 自 軸 には な い 振 動 成 分 が 生 じ、 制 御 性 能 を劣
化 さ せる 問 題 に つ い て 述 べ る。 次 に 、 ア ー ム の 姿 勢変 動 に 対 し て ロ バ ス トな 振 動 抑 制 制御
と 応 答性 は ト レ ー ド オ フ の 関係 と な り 容 易 に 両 立 でき な い こ と を 示 す 。 さら に 、 力 制 御時
の よ うに 環 境 と の 相 互 作 用 を有 す る 場 合 は 二 慣 性 系の ば ね と 環 境 の ば ね に起 因 す る 振 る舞
い が それ ぞ れ 現 れ 、 単 純 な 二慣 性 系 と し て は 取 り 扱え な く な る こ と を 示 す。 こ れ ら の 議論
を 通 して 、 産 業 用 ロ ボ ッ ト の高 性 能 化 の た め に は ロボ ッ ト ア ー ム の 振 動 要素 に 対 す る 統合
的 な 検討 が 必 要 と な る こ と を示 す 。
第 3 章 で は 、 瞬 時 状態 オ ブ ザー バ に 基 づ く 産 業 用 ロボ ッ ト の ロ バ ス ト モ ーシ ョ ン 制 御 に
つ い て提 案 す る 。 多 軸 干 渉 に起 因 す る 連 成 振 動 を 抑制 す る た め に は 、 自 軸に 含 ま れ な いダ
イ ナ ミク ス を 外 乱 と 見 な し て補 償 し 非 干 渉 化 す る 必要 が あ る 。 外 乱 オ ブ ザー バ を 用 い て他
軸 干 渉を 補 償 す る 場 合 、 産 業用 ロ ボ ッ ト の 他 軸 干 渉は 急 峻 な 変 化 を 示 す ため に 一 般 に 用い
ら れ る 0 次 外 乱 オ ブザ ー バ では 推 定 遅 れ の た め に 完全 な 補 償 は 難 し い。そ こ で、本 論 文 で
は 、 二慣 性 系 の 負 荷 側 に 取 り付 け ら れ た 加 速 度 セ ンサ を 用 い て 、 二 慣 性 系の 状 態 変 数 と負
荷 ト ルク を 瞬 時 に 推 定 す る こと の で き る 瞬 時 状 態 オブ ザ ー バ を 提 案 す る 。本 手 法 で は 、負
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荷 ト ルク を 瞬 時 に 推 定 し た 上で フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御系 に 入 力 す る こ と に より 、 外 乱 ト ルク
に 対 して ロ バ ス ト な モ ー シ ョン 制 御 を 行 う こ と が 可能 に な る 。
第 4 章 で は 、整 定 時 間 と 慣 性変 動 を 考 慮 し た 終 端 状態 制 御 に 基 づ く 産 業 用ロ ボ ッ ト の振
動 抑 制制 御 法 を 提 案 す る 。 慣性 変 動 に 対 し て ロ バ スト な 振 動 抑 制 制 御 と 良好 な ロ ボ ッ ト先
端 応 答を 両 立 す る た め 、 本 論文 で は 終 端 状 態 制 御 に基 づ い て プ ロ フ ァ イ ル設 計 を 行 う 手法
を 提 案す る 。 本 手 法 は 、 終 端状 態 制 御 則 か ら 得 ら れた プ ロ フ ァ イ ル を 提 案す る フ ロ ー チャ
ー ト に基 づ い て 再 設 計 す る こと に よ り 、 慣 性 変 動 時に お い て も 所 望 す る ロボ ッ ト 先 端 の整
定 時 間を 得 る こ と が で き る 。
第 5 章 で は 、 反 共 振比 と 瞬 時状 態 オ ブ ザ ー バ に 基 づく 産 業 用 ロ ボ ッ ト の 安定 な 力 制 御 法
に つ いて 提 案 す る 。 二 慣 性 系と し て モ デ ル 化 さ れ るロ ボ ッ ト ア ー ム が 環 境と 接 触 し て いる
場 合 、環 境 と 接 触 し て い な い場 合 と は 異 な る 振 る 舞い を 示 し 、 単 純 な 二 慣性 系 と し て は取
り 扱 えな く な る 。 こ れ を 踏 まえ 、 本 論 文 で は 、 環 境を 考 慮 し た 新 し い 共 振比 と 瞬 時 状 態オ
ブ ザ ーバ を 用 い た 安 定 な 共 振比 制 御 を 提 案 す る 。 さら に 、 係 数 図 法 に 基 づい て 導 き 出 した
新 し い共 振 比 が 反 共 振 比 に よっ て 決 定 さ れ る こ と を示 す 。
最 後 に、 第 6 章 で は、 産 業 用ロ ボ ッ ト の モ ー シ ョ ン制 御 の 高 性 能 化 に 対 する 本 論 文 の 成
果 お よび 今 後 の 課 題 に つ い て言 及 す る 。 本 論 文 で 提案 し た 手 法 を 用 い る こと に よ り 、 産業
用 ロ ボッ ト の モ ー シ ョ ン 制 御上 の 課 題 を 解 決 し 、 産業 用 ロ ボ ッ ト の モ ー ショ ン 制 御 の 高性
能 化 を図 る こ と が 可 能 に な る。
本 論 文は 、 産 業 用 ロ ボ ッ ト の振 動 要 素 を 考 慮 し た 上で 、 ロ ボ ッ ト 先 端 加 速度 に 基 づ く 高
性 能 モー シ ョ ン 制 御 技 術 を 確立 し た も の で あ り 、 工学 的 か つ 工 業 的 に 意 義の あ る も の であ
る。
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