概要 - 数理情報学科

2012 年度
卒業論文
等加速度運動を行う座標系での光線の軌道
龍谷大学
理工学部
数理情報学科
T080035
佐藤
指導教員
誉浩
飯田晋司
概要
卒業論文のテーマを考えるにあたって、過去の卒業論文や、文献を読んで参考にした。
その中で、相対性理論に興味を持った。資料を読んでいて、特に興味を持ったのは、ブラ
ックホールについてであった。ブラックホールの近くで光を放つと、重力に引かれて光の
速度が遅くなる。ブラックホールに落ちる人が外に向かって光を放つと、その人には光の
速度が秒速 30 万キロメートルにみえる。だが、ブラックホールの重力圏から離れた人がそ
の光を観測すると、光を放った人が自由落下する速度の分だけ、光の速度が遅く見える。
しかし、ブラックホールの近くから出た光が重力圏から遠くにたどり着いた時には、再び
秒速 30 万キロメートルに見える。また、ブラックホールに落ちていく人が、ブラックホー
ルに近づくにつれて手を振るとする。ところが、それを遠くの観測者から見ると、手の振
り方は実際よりもゆっくりになっていく。そしてブラックホールに落ちていく人は、ブラ
ックホール近くで凍りついたかのように動かなくなる。実際には、あっという間にブラッ
クホールの中に落ちているのに、遠くから見る観測者にはいつまでもブラックホールに落
ちない。ブラックホールの近くでは時間が凍りつく。このような現象に興味を持ったが、
ブラックホールを取り扱うのに必要な一般相対性理論は教科書の後半部分に出てくる。一
方、特殊相対性理論の範囲で考えることのできる、等加速度運動を行うロケットの座標系
では、加速度と重力の等価性から、ブラックホールの半径が無限大となったブラックウォ
ールと呼ばれる現象が現れる。そこで、この論文では等加速度運動を行うロケットから見
た光線がどのような軌道になるのかを考える。
まず、参考文献、戸田盛和「相対性理論
30 講」に従って第 2 章では、特殊相対性理論
について説明した。これは、アインシュタインの考える相対性理論である。互いに別々の
速度で動いている 2 つの座標系の間での、物の見え方の違いなどについて説明している。
第 3 章ではローレンツ変換の導出ついてまとめた。ローレンツ変換とは、ある座標系に対
して一定の相対速度で運動する座標系への、座標と時間の変換である。第 4 章では、ロケ
ットと共に動く座標系と静止座標系の間のローレンツ変換を求めた。これは、相対速度0
であるが、座標の原点の位置が異なる2つの座標系 S と Ŝ と、座標の原点は同じだが相対
'
'
速度が v である2つの座標系を Ŝ と Ŝ 。さらに、その Ŝ と相対速度は0だが、座標の原点
の位置が異なる S ' を考え、 S と S ' の座標と時間の関係を考えた。そしてこれらより、第 5
章で等加速度運動を行うロケットから見た光線の軌道を求めた。ロケットの座標系での光
線の座標はどのようになっているのか。また、どの位置まで光は届くのかを考えた。
目次
1 はじめに
1
2 特殊相対性理論
2
3 ローレンツ変換の導出
6
4 ロケットと共に動く座標系と静止座標系の間のローレンツ変換
10
5 等加速度運動を行うロケットから見た光線の軌道
13
6 まとめ
17
参考文献
17