修士論文(研究報告書)要旨 論文タイトル: 「日本の中小アパレル企業の中国進出」 学籍番号:AM13012 氏 名:宋 燕 指導教授:小 山 良 【論文(報告書)の構成】 はじめ 第 1 章 問題認識の提示と研究目的 第 2 章 先行研究 第 3 章 ファッションとサービスマーケティング 第 4 章 日本の中小アパレル企業の中国展開に対する事例.実証的分析 おわりに 参考文献 【論文(報告書)の内容】 1.研究目的 本研究は、日本のファッションビジネスにおいて、日本のファッション市場は閉鎖された環境 で独自の進化をしてきたが、現在はグローバル化が急速に進んでいる。また、国内需要が縮小し ていることから、大手を中心に海外進出が求められている。日本国内の百貨店は長期間、低迷し 続いている状態である。一方、大手アパレル新 SPA 業態は急速に拡大している。その中でも中 小アパレル企業は、縮小傾向にある日本市場において、競争の激化や、百貨店の低迷により窮地 に立たされている。こうした環境の中に、中小アパレル企業には国内市場に目を向けているのみ ではなく、 海外進出を考えられるという意識が存在する。海外進出の活路が探していくように、 先に、中国市場に進出すると考えられる。 今後、海外に進出する企業は増える。順調な企業のみではなく、特に中小アパレル企業が順調 に中国市場に進出するためには、どのようなマーケティング戦略をとる必要があるのであろうか。 そのマーケティング戦略が中国市場の中では、有効なのかを明確にする。中国進出の際に、マー ケティング戦略のあり方を探すことを目的としている。 中国進出に成功した日本の中小アパレル企業の経営モデルを研究し、差別化を図ろうとする動 きが近年活発化しているという現状に興味を持ったこと、それに加えて、日本中小アパレル企業 の中国市場での事業展開について考察する。 2.研究方法 第 1 章では,研究の背景を明示するとともに、問題の認識と問題が設定されるに至った背景を 述べる。日本市場の概況を整理することで、日本市場の飽和と競争の激化について分析する。こ れにより、日本中小アパレル企業が中国に進出する必要性を明確にする。 第 2 章では,本研究日本アパレル市場の縮小と消費者購買の変更を述べながら、巨大な中国消 費市場の魅力に注目し、巨大な消費市場における競争について言及する。中小企業が大企業に劣 らないようにするには、マーケティングにおいては「消費者ニーズがある」 、消費者ニーズとい う場合、そこには「購買能力」があるということが前提になっている。消費行動と商品価値の関 係、さらには商品価値と商品開発について述べる。 第 3 章では,ファッション業界を捉えるためには、大量生産と大量消費を背景としたマス(大 衆)マーケティングではなく、細分化、差異化された消費者のニーズに応えるファッションマー ケティングが必要になっている。顧客がその商品を購入するかどうかとリピーター率を上げるた めに、サービスマーケティングとネットマーケティングが重要な要因となる。これに基づいて仮 説を提示する。 第 4 章では,以上に示す分析の枠組みに基づき,実証的な方法で先に提示した仮説を実証する。 中国に進出している中小アパレル企業の事例と成果を紹介する。事例研究をもとにこれまでの成 功パターンをまとめ、これから中国市場進出の際に仮説を実証することで本論文を結論づける。 3.研究結果 日本の中小アパレル企業は中国の進出について中国市場へ進出戦略を探求することである。日 本の中小アパレル企業は各々独自の強みを保有していることから、中国進出の価値がある。中国 の進出の際には、イノベーター層(若年層)を狙い、トレンドを先導するような商品開発、顧客 の獲得ができるような接客(オンラインとオフラインで同時に)、リピート率を上げるようなクチ コミ(情報共有)を行うと中国市場で定着することができる。 注 1)松井 和之(2015) 「数字で分かる衣料品市場の実態」 『ファッション販売』、株式会社商業界 (2015 年 4 月号). p.15. 2)井上隆太 竹田光広(2014) 「これからのファッションビジネスは現場のショップにかかってい る」 『ファッション販売』株式会社商業界. pp.54-59. 3)佐藤 浩純(2014) 「都心型セレクトショップに差をつける地域セレクトショップ 9 つの経営課 題」 『ファッション販売』株式会社商業界(2014 年 12 月号). pp.90-91. 4)松浦 知子(2013)「BTMU 中国月報」三菱東京UFJ 銀行, 第 90 号 2013 年 7 月号. p.18. 【主要参考文献】 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 岩崎 剛幸(2012) 『アパレル業界の動向とカラクリ』三松堂印刷株式会社. 梅澤伸嘉(2005) 『消費者心理のわかる本―マーケティングの成功原則 55』同文館. 黒田 重雄, 金 成洙(2013) 『わかりやすい消費者行動論』白桃書房. 座間 忠雄(2000) 『消費者とマーケター』株式会社エ二ウエイ出版部. 高橋郁夫(2008) 『消費者購買行動』千倉書房. 中小企業白書(2010)『ピンチを乗り越えて』中小企業庁編集,日経印刷株式会社発行. 難波正憲 福谷正信 鈴木勘一郎(2013) 『グローバルニッチトップ企業の経営戦略』東信堂. 宮脇敏哉(2008) 『マーケティングと中小企業戦略』産業能率大学出版部. 山崎光弘(2010)『現代アパレル産業の展開-挑戦.挫折.再生の歴史を読み解く』繊研新聞社発 行. 10. 清水 聰(2014)『ネット時代の消費行動と企業対応』宣伝会議. 11. 目黒 良門(2012) 『戦略マーケティングの思考』学文社.
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