時間・周波数の精密計測と物理学への貢献 情報通信研究機構 時空標準研究室 梶田雅稔 これまでの物理学の発展の歴史を見てみると、時計の進歩の歴史と非常に密接な相 関があることがわかる。それは物理量の測定精度が向上するとそれまでの物理学で説 明できない新たな現象が観測されるからであり、時間・周波数は基礎物理量の中で最 も精度向上が顕著であったためである。 現在は原子・分子が吸収・放出する光の周波数を基準とした原子時計により、宇宙 誕生から今までの間(138 億年)でも 1 秒の誤差が生じないほどの精度が得られるよう になった。この原子時計は時間を正確に刻むばかりでなくて、その光の波長が長さの 基準になること、またその光の吸収・放出をする原子・分子の構造について詳細な情 報を与えることで物理学に大きな役割を果たす。そのために、現在まだ解決されてい ない種々の謎の解明に原子時計が果たす役割は大きいと考えられる。
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