1月25日号を発行いたしました。

2016 年 1 月 25 日
<今週の市況展望>
今週のテーマは金融政策
先週の株式市場は、原油価格の更なる下落など
を受け、日経平均は3ヵ月半ぶりに終値で17,000円
を下回るなど大幅下落でスタートした。
今週は、日米の金融政策に注目が集まる1週間と
なろう。26-27日に米FOMCが開催。フェデラルファ
ンド金利(米政策金利)の予想値からも分かるように、
政策担当者と市場参加者の間には、利上げペース
の見方に大きなかい離が存在する。そうした中、年
始からの世界的な市場の混乱を受け、ボストン地区
連銀総裁など政策担当者からは、より緩やかなペー
スでの利上げを示唆する発言も見られ始めている。
仮に、利上げペースを緩やかにするとなると年初か
ら の リ ス ク オ フ の 流 れに 変 化 を 与 え よ う 。 今 回 の
FOMCで今後の利上げペースに関する方向性が示
されるかが注目される。
また、28-29日には日銀の金融政策決定会合を
迎える。市場では追加緩和期待が高まってきてお
り、今週のマーケットのテーマとして取り上げられる
だろう。黒田総裁は15日の参院予算委員会で「現時
投資の視点
エコノミスト Eye
為替展望
グローバル投資戦略
点で追加緩和は考えていない」と発言しているが、
そのまま鵜呑みにすることはできない。理由は、原
油価格の下落もあり、物価上昇率2%のハードルが
高くなっているため。また、日銀短観(12月調査)での
大企業製造業の下期想定レートである1ドル118円
00銭を大きく上回る円高は、日本経済の自立的な
回復の妨げとなる可能性があるためだ。 (関 邦仁)
<米国 「フェデラルファンド金利」の予想値>
3.5
%
3.250%
2.375%
2.5
2.0
1.375%
見通しに
かい離
1.5
1.0
0.955
0.5
0.615
市場参加者の
予想値
0.0
2015/12
2016/12
2017/12
<今週の主な予定>
1月25日 (月)
1月26日 (火)
日本
米国
1月27日 (水)
米国
1月28日 (木)
日本
米国
1月29日 (金)
日本
米国
12月の貿易収支
1月の消費者信頼感指数
12月の新築住宅販売件数
FOMC(連邦公開市場委員会)、26日から
12月の商業動態統計(速報)
12月の耐久財受注(速報)
12月の失業率
12月の有効求人倍率
12月の全国消費者物価指数
12月の鉱工業生産(速報)
日銀の金融政策決定会合、28日から
10-12月期のGDP(速報)
予定は変更されることがあります。東海東京調査センター作成
FRB の「軌道修正」に期待
景気回復を遅らすセンチメントの悪化
緩やかな米利上げはリスクオンのドル高円安
中国人民元は緩やかな下落が続きそう
ジックリと主力大型株を仕込む局面へ
2018/12
2016/1/15 時点
出所: FRB、ブルームバーグより東海東京調査センター作成
インドネシア、利下げで景気支援を強化
株式分析
上チャート: 12月時点でのFOMCメンバーの予想値(中央値)
下チャート: フェデラルファンド金利先物の利回り曲線
3.0
◇◆ 今週の参考銘柄 ◆◇
テ ル モ(4543)
芙蓉総合リース(8424)
◇◆ 海外企業紹介銘柄 ◆◇
レイセオン
(米国・RTN)
レッド・ハット
(米国・RHT)
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
投資の視点
FRB の「軌道修正」に期待
世界的株安と原油安が止まらない。各国株
げが実施された後、95年にメキシコ、97年にア
安と原油安にはそれぞれ理由があるが、それを
ジア、98年にロシアで各通貨危機が発生した。
超越するかのような一方的下落は、投資マネー
2点目は、ISM指数が好不況の分かれ目であ
のリスク回避によるところが大きい。市場がリスク
る50を割り込むなど(下図)米国の製造業に景気
回避に走る根源は、FRB(米連邦準備制度理事会)
減速の兆しが出てきたのに、追加利上げが実
の金融政策にある。昨年12月の9年半ぶりの利
施されようとしている点。過去、ISM指数が50を
上げは、異常なゼロ金利を正常化するものとし
割り込んだ時、FRBは追加利上げを中止し、逆
て市場は受け入れたが、FOMC(米連邦公開市場
に利下げを模索していた(下図)。
委員会) メンバーが今年4度の追加利上げを予
こうした中、4度も追加利上げが実施されては
想していることには市場は強い拒絶反応を示し
かなわない。市場はイエレンFRB議長とフッシャ
ている。その理由は主に2点。
ー副議長に「軌道修正」を催促している。今週
1点目は、過去の追加利上げと違い、米国の
26~27日に開かれるFOMCでは、FRBの市場
物価が目立って上昇していないのに、追加利
との対話力が試される。市場の混乱を受けて複
上げが実施されようとしている点。利上げで米
数の連銀総裁が追加利上げの予想回数を下
国の実質金利が上昇、マネーが安全な米国債
方修正したように、FRBも明確に軌道修正すれ
を選好して、リスク資産から流出しやすい。実
ば、市場は安心感からリスク回避のポジションを
際、1994年に物価が上昇していないのに利上
巻き戻す可能性は十分にある。
(隅谷 俊夫)
65
< FFレートと米ISM製造業景況感指数 >
17
米ISM製造業景況感指数
16
60
15
14
55
13
50
12
48.2
(15/12)
45
11
10
40
%
9
8
35
7
30
6
5
25
4
QE1
(08/11)
米FFレート
20
3
(92年までは公定歩合)
予はFOMCメンバーによる
2
15
10
QE2
(10/11)
(出所:米サプライマネジメント協会、FRB、東海東京調査センター作成)
予
QE3
(12/9)
1
0
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
- 1 -
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16 年
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
エコノミスト Eye
景気回復を遅らすセンチメントの悪化
実際にグローバルなマクロ環境はそこまで弱い
国際金融市場の混乱とその背景
のか、各種の経済指標から概観してみよう。
年初来、国際金融市場の混乱が続いてい
まず米国経済だが、12月は非農業部門雇用
る。材料としては中国の12月の非製造業PMIが
者数が前月比で30万人近く増加する等、労働
市場予想対比で下振れたことや、中東や北朝
市場の改善がリアルタイムで継続していることが
鮮における地政学リスクの高まり等が影響して
示された。10-12月期の個人消費に関しては、
いる。米国の利上げによって誘発された「ドル
幾分減速が予想されるものの、雇用環境の改
高」がダイレクトに米国の輸出産業の収益圧迫
善が米国の内需全般を下支えするだろう。
ユーロ圏経済に関しては、既往のユーロ安
要因となっている面も無視できない。
また上記以外の大きな動きとして、昨年時点
がポジティブに影響しており、ドイツを中心とし
で既に下落して低調な動きとなっていた原油価
て安定的な成長ペースを維持している。PMIの
格が、年明け以降にもう一段大きく下落したこと
動きをみると、製造業指数も総合指数も12月ま
があげられる。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディ
で3ヵ月連続で上昇しており、10-12月のGDP
エイト) の期近の2月物は、1月15日にはついに
成長率も堅調を維持した模様だ。
30ドル/バレルを割り込んでいる。通常であれば
中国に関しては、在庫調整や成長率の減速
原油価格の下落は、先進国における購買力を
が続いている。12月の製造業PMI(財新/マークイ
高める要因であり、本来は世界景気にとっての
ット社)は低下したが、政府発表の製造業PMIは
押し上げ要因となる筈である。しかし現状のマ
逆に前月から上昇、小売売上高も改善を続け
ーケットにおいて、原油価格の下落は専らネガ
ており、市場で懸念されているような「底割れ」
ティブな材料として捉えられている。これは①原
は回避すると考えられる。
油安が資源輸出国の構成比の高い新興国全
日本については暖冬効果により10-12月の
般の経常収支を悪化させることにより、もともと
消費は大きく下振れしそうだが、輸出や鉱工業
米国の利上げにより高まっていた新興国からの
生産は緩やかに回復しており、日本の経済指
資金流出懸念を一層増大させること、②シェー
標をみてもグローバル景気全体が底割れして
ル革命により米国においてエネルギー関連企
いる様子はみてとれない。
業のプレゼンスが高まっていただけに、原油価
しかし現状は、多くの不安材料が同時に作
格下落のマクロ全体に及ぼす負のインパクトが
用し、ある種のパニック的な状況となっているよ
従来以上に大きなものになると考えられている
うだ。このような状況が長期化すれば、企業の
こと、等が背景にあるからである。
設備投資行動は慎重化し、家計消費も抑制さ
れる。その分、グローバル景気の回復は遅れる
経済指標はそこまで弱いのか
こととなろう。
マーケットが混乱したときには、しばしばマク
(武藤 弘明)
ロ経済の弱さと関連づけて語られることが多い。
- 2 -
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
為替展望
緩やかな米利上げはリスクオンのドル高円安
ドルは昨年12月に1ドル=123円台まで上昇
こうした中、1月26~27日に開かれるFOMC
した後、年明け15日には昨年8月以来の安値と
で、追加利上げに慎重な見方が示される可能
なる116円台半ばまで反落した。
性もありうる。そうなれば、市場のリスク回避姿勢
足元のドル安円高は、原油安、中国懸念、
は大きく後退することが期待される。
世界経済の先行き不透明感を嫌気した市場が
緩やかな米利上げペースはドル安につなが
リスク回避姿勢を強めたもの。米国は昨年12
りやすいが、米利上げへの過度な警戒感が和
月、9年半ぶりの利上げを実施したが、FOMC
らぐことで、米景気や企業業績の回復、新興国
(米連邦公開市場委員会) のメンバーが年内に4回
からの資金流出に歯止めがかかりやすい。そう
の追加利上げ (0.25%×4回) を予想していること
なれば、「リスクオン→円安」の流れが強まり、ド
が、さらに投資家心理を冷え込ませている。
ルは対円で緩やかな上昇基調に回帰するもの
ただし、原油安からFRB (米連邦準備制度理事
とみられる。
会)のインフレ目標2%の達成は見込みにくい。
シカゴ筋が先物市場でドル売り円買いに転
また、米ISM製造業景況指数は、生産活動の拡
換するなど、足元のドル安円高は投機筋主導。
大縮小の分かれ目である50を大きく下回り、米
リスク回避が後退すれば、こうした投機筋はポ
景気の先行きにも不安材料が出始めた。その
ジションを巻き戻すとみられる。足元のドル安円
ため、実際の利上げは市場が見込む年1~2回
高は、中期投資でのドル買いの好機とみたい。
程度(0.25%×1~2回)に留まる公算が大きい。
(柴田 秀樹)
<ドル・円とシカゴ筋のドル・円のネット先物ポジションの推移>
130
120
(出所:シカゴ国際金融取引所およびブルームバーグデータより東海東京調査センター作成)
24
1ドル=円
22
20
ドル・円相場(週足、左軸)
110
ドル高円安
100
ドル買い円売り
18
16
14
万枚
90
12
10
8
80
6
70
4
シカゴ筋のネット先物ポジション(週次、右軸)
2
60
0
-2
ドル売り円買い
50
-4
40
12.1/20
-6
12.7/20
13.1/18
13.7/19
14.1/17
- 3 -
14.7/18
15.1/16
15.7/17
16.1/15
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
グローバル投資戦略
中国人民元は緩やかな下落が続きそう
中国人民元は年初から動きの荒い展開とな
(CFETS) は昨年12月に主要通貨に対する人民
った(下図)。中国人民銀行 (中央銀行)が毎日発
元の価値を表わす新たな指数を発表した。今
表する人民元の取引中間値を昨年末から元安
後は米ドル、ユーロ、円など13通貨で構成され
に設定したことから、当局が意図的に元安を誘
るこの指数に対して安定推移を目指すという。
導しているとの思惑が浮上した。また、①元の
元が金融緩和を実施するユーロや円に対し上
先安観による資金流出が中国金融市場の不安
昇すれば、対米ドルでの下落を容認するとみて
定化に繋がることや、②当局が元安誘導で輸
取れよう。とはいえ、人民銀行が元の急落を容
出拡大に働きかけないといけないほど経済が
認するとは考えにくく、必要に応じて元買い介
低迷したことなどの懸念が強まり、世界同時株
入を実施するとみられる。為替介入のほかにも
安を引き起こした。
銀行などに対する窓口指導を通じて、元の先
人民銀行による為替介入が奏功し、人民元
安観をけん制し、緩やかな元安を誘導しよう。
相場はようやく落ち着きを取り戻したが、先安観
人民元の緩やかな下落が続きそうななか、リ
はいぜん根強そう。というのも、国際決済銀行
ーマンショック後に一時固定相場制を導入した
(BIS)のデータによると、昨年11月時点の人民元
時の1米ドル=6.8元が当面の下値メドとなりそ
の実質実効為替レートは過去10年の平均に比
う。また、年後半に中国の景気減速懸念が後退
べて25.5%高くなっているためだ。
すれば、元安圧力が一段と和らぎ、下落基調が
人民銀行が運営する外国為替取引システム
(億米ドル)
さらに緩やかなものになりそう。
(対米ドル、逆目盛)
<中国人民元の対米ドル為替レートおよび外貨準備>
45,000
40,000
(胡 細蓮)
6.0
人民元の対米ドル
為替レート(月次、右目盛)
35,000
6.5
30,000
7.0
25,000
人民元高
20,000
人民元安
7.5
15,000
10,000
8.0
5,000
外貨準備高(億米ドル、左目盛)
0
96/1
98/1
00/1
02/1
04/1
06/1
出所:中国人民銀行、ブルームバーグ、東海東京調査センター作成
- 4 -
08/1
10/1
12/1
14/1
8.5
16/1 (年/月)
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
グローバル投資戦略
インドネシア、利下げで景気支援を強化
ンドネシア中銀による追加利下げを後押しする
中銀は 11 ヵ月ぶりの利下げを決定
材料となろう。
政治・経済情勢の好転とともに企業収益の回
インドネシア中銀は14日 (木) 、政策金利を
復も期待されるなど同国株式市場の見通しは
0.25%引き下げて7.25%にすることを決定。
同日の金融市場では、首都ジャカルタの中
明確に上向いている。また、ルピア相場も、内
心部で爆発、銃撃戦があったことを嫌気して
外金利差縮小より景気改善を期待した資金流
株・通貨ともに下げ足を速める場面があった
入によって安定推移するものと想定している。
が、インドネシア中銀が利下げを発表するとい
地政学リスクに要警戒
ずれも下げ幅を縮小する展開となった。
市場の反応は通貨安を招いた昨年2月の利
一方、地政学リスクにはこれまで以上に注意
下げ後とは明らかに異なっているが(図1)、①経
が必要となる。インドネシアの観光収入は、名目
常赤字の縮小やインフレ率の低下などファンダ
GDP比1.3%程度(2014年実績) とタイやマレーシ
メンタルズの改善を伴った利下げであること、②
ア等と比べて低く、今回のテロ自体が経済全体
高金利政策の見直しによる景気浮揚期待が高
に与える影響は限定的にとどまろう(図2)。
しかし、過激派組織「イスラム国」が関与したこ
まっていること、等が背景にあるとみている。
とを踏まえると、テロの再発リスクはあり、その場
<図 1:インドネシアの政策金利と為替(週次)>
9
8
悪化、さらには海外からの投資抑制を通じて景
ドル・ルピア相場
ルピア安 (前年同期比、右軸)
15
気の下押し圧力が強まるものと懸念される。
また、インドネシアと同じくイスラム国家である
0
7
6
合には観光のみならず、消費者や企業の心理
(%)
30
(%)
マレーシアはもちろん、タイやフィリピンでもイス
-15
政策金利(左軸)
ラム過激派組織が活動する地域があり、今後、
15年2月の利下げは通貨安招くも、
今回は利下げ後も通貨安圧力は限定的。
-30
5
10年
11年
12年
13年
14年
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
15年
周辺国を含めて同様の事件が発生する可能性
16年
がある点にも留意を要しよう。
インドネシア中銀は声明文の中で、国内経
(井澤 誠)
<図 2:ASEAN 主要国の観光依存度の比較>
(%)
済や金融情勢を見極めたうえで更なる利下げ
10
9
を実施すると言及。同時に、15年10~12月期の
8
景気が、資源分野の輸出や生産、投資の不振
7
等が重石となって大幅に改善していないとの認
5
※観光依存度=観光収入÷名目GDP
インドネシアの名目GDPに占める観光収入の
割合は1.3%程度と相対的に低い
6
4
識を示していることを踏まえると、次回会合(2月
3
2
17~18日予定) で0.25%の追加利下げに踏み切
1
0
る可能性があるものとみている。利下げ決定後
シンガポール インドネシア マレーシア フィリピン
(注) フィリピンとベトナムは2013年、その他は2014年実績
出所:CEICより東海東京調査センター作成
のルピア相場が安定して推移していることも、イ
- 5 -
タイ
ベトナム
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
株式分析
ジックリと主力大型株を仕込む局面へ
増)なので、現在の同社株は弱気に傾きすぎて
再び日立株が PBR1 倍割れに
いるものと見られる。きっかけを掴めれば水準
海外発のリスクから日本株は大きく下落して
訂正の余地は大きいと考えられる。またトヨタ株
いる。なかでも、米政策金利が市場参加者の予
(7203) についても16/3期予想配当利回りは過
想を上回るペースで、引き上げられるとの警戒
去3年間のピークに接近した。中期的にはわが
感が大きいと見られる (投資の視点参照) 。このた
国を代表する主力大型株をジックリと仕込む局
め、日本株のテクニカル指標、バリュエーション
面に差し掛かっているものと見られる。
指標がボトム圏を示唆しても無視されているの
<トヨタ株:16/3 期予想配当利回りが 3%に接近>
が現状だ。
9000
%
円
8000
このことはわが国を代表する企業の株価にも
株価(左軸)
トヨタ・日足
4.5
7000
当てはまる。日立(6501)は幅広い事業領域に展
5.0
4.0
6000
5000
開しているため、日本経済の縮図との評価がさ
2.97
(15/9/29)
3.10(14/4/10)
3.5
3.0
4000
れることがある。同社株は06年から09年までは
2.5
3000
前期実績一株当たり純資産(以下、BPS)をしばし
過去3年平均
予想配当利回り2.37%
2000
1000
ば割り込んでいたが、その当時は当期利益で
13/12/24
14/6/24
14/12/17
15/6/17
15/12/11
好需給の好配当利回り株に注目
下値支持として機能している。
配当取りの時期には早いが、好需給の好配
<再び 1 株当たり純資産まで下落した日立株>
当利回り株にも注目したい。そこで、東証1部の
939.9(14/12/8)
日立・月足
900
1.0
13/7/1
(出所)QUICK Astraより東海東京調査センター作成、予想は日経
益の黒字が定着した11/3期以降はBPSが概ね
円
1000
1.5
予想配当利回り(右軸)
0
13/1/4
損失 (07/3期~10/3期) を計上していた。当期利
2.0
銘柄を対象に、信用倍率1倍以下(信用売り残>
800
同買い残)で16/3期予想配当利回り2.5%以上の
700
銘柄をピックアップした。次頁では弊社アナリス
600
582.4
(16/1/18)
500
トが割安感を指摘しているフジキカイ(6134)、日
400
15/3期実績
BPS 609.4円
300
立キャピ(8586)を掲載した。
前期実績1株当たり純資産
(PBR1倍の水準)
200
<信用倍率 1 倍以下の好配当利回り株>
100
06/4
07/8
08/12
10/4
11/8
12/12
14/4
(梅田 俊一)
15/8
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
銘柄
その日立株は16年に入り、再びBPSを下回る
7278
6134
6412
8586
3002
8136
9619
4626
6140
6999
水準まで下落した (上図)。言い換えれば、減益
どころか赤字転落を織り込みにかかっていると
もいえる。現時点での16/3期の当期利益予想
は会社側で3100億円(前期比43%増)、アナリスト
エクセディ
フジキカイ
平 和
日立キャピ
グンゼ
サンリオ
イチネンHD
太陽HD
旭ダイヤ
KOA
株価
1月18日
2571.0
1098.0
2189.0
2850.0
329.0
2661.0
1017.0
4195.0
1163.0
934.0
16/3期予想
信用倍率 決算発表
配当金
利回り
1月8日
予定日
70.0
2.72
0.22 1月28日
28.0
2.55
0.47 2月10日
80.0
3.65
0.50 2月9日
84.0
2.94
0.61 1月28日
8.5
2.58
0.62 2月5日
80.0
3.00
0.75 2月10日
34.0
3.34
0.82 2月3日
110.0
2.62
0.83 2月1日
30.0
2.57
0.85 2月10日
28.0
2.99
0.87 1月25日
予想配当金(一株当たり)は日経予想、信用倍率順で表示
予想の平均であるQC予想は3210億円 (同48%
(円、%、倍)
決算発表日は変更になることがあります。(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
- 6 -
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
株式分析
好配当利回りのフジキカイ、日立キャピ
富士機械製造(6134)
電子部品向けなどの自動組立機の製造最大手。弊社
では、16/3期経常利益を前期比13%減(会社計画同17%減)
連結経常利益
同 EPS
同 PER
と予想する。続く17/3期は同20%増と予想。主因は、15年
4-6月期をピークに減少していた受注高が、15年10-12
16/3 予
17/3 予
113 億円
76.7 円
14.3 倍
135 億円
92.1 円
11.9 倍
予想は東海東京調査センター
月期をボトムに回復すると予想するため。中国スマホメー
株価(1/18)
15年来高値
〃 安値
売買単位
カーの設備投資が新製品投入のため増加してきたことに
加え、米大手スマホ関連の投資が想定される。
1,098
1,510
978
100
円
円 (15/4/14)
円 (15/8/25)
株
※弊社予想の16/3期年間配当は28円
※PER15倍は、ヒストリカルから見て同社の受注が
好調な時の水準
弊社の16/3期予想配当利回りは2.5%※と、東証1部の
予想配当利回り2.0%(加重平均)と比べ割安。株価は17/3
期予想PER15倍※に相当する、1380円を目指すと見る。
(関 邦仁)
日立キャピタル(8586)
日立グループの金融中核会社。弊社では、16/3期税
前利益を前期比31%増と会社計画並みの水準を予想。
連結税前利益
同 EPS
同 PER
続く17/3期は同12%増と2ケタの増益が続くと予想。日本
事業では事業構造改革の効果や、注力中の社会インフ
16/3 予
17/3 予
467 億円
279.7 円
10.2 倍
523 億円
313.5 円
9.1 倍
予想は東海東京調査センター
ラ、環境・再生可能エネルギーの収益化が見込まれる。グ
株価(1/18)
15年来高値
〃 安値
売買単位
ローバル事業では、欧州を中心に企業向けファイナンス
や自動車関連サービスの好調が続こう。
2,850
3,570
2,201
100
円
円 (15/11/26)
円 (15/2/3)
株
※弊社予想の16/3期年間配当は84円
16/3期弊社予想の配当利回りは2.9%※と東証1部の予
想配当利回り2.0% (加重平均) と比べ割安感が強く、株価
の見直し買いに期待したい。
(武井 宏彰)
<富士機械製造の週足チャート>
1650
円
フジキカイ(週足)
1550
<日立キャピタルの週足チャート>
4000
(15/04/14)
1510
3600
1450
(15/12/30)
1286
1350
円
日立キャピ(週足)
(15/11/26)
3570
(15/7/3)
3475
3200
1250
1150
2800
1050
950
26週移動平均線
850
750
978
(15/08/25)
801
(14/05/19)
千株
600
2400
2000
2201
(15/2/3)
13週移動平均線
400
信用買い残
2665
(15/9/8)
千株
600
500
400
300
200
100
0
信用買い残
200
0
14/4/7
14/9/29
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
15/3/23
15/9/14
15/1/5
15/4/6
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
- 7 -
15/7/6
15/10/5
16/1/4
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
今週の参考銘柄
テ
ル
市場:東証1部
モ
株 価(1/18):3,585.0円
(4543)
15 年来高値
〃 安値
業種:精密機器
4,125.0 円 (15/12/18)
2,637.0 円 (15/1/16)
■業績推移
決算期
連
連
連
連
(単位:百万円、円)
売上高
伸び率
467,359
16.2%
489,506
4.7%
527,000
7.7%
572,000
8.5%
14/3
15/3
16/3 予
17/3 予
営業利益
伸び率
65,288
22.7%
67,456
3.3%
81,000
20.1%
92,500
14.2%
経常利益
伸び率
63,802
24.2%
70,730
10.9%
80,000
13.1%
91,000
13.8%
一株当たり
利益
配当
89.8
29.0
101.3
30.5
140.3
38.0
150.4
42.0
当期利益
伸び率
34,096
-27.5%
38,470
12.8%
52,700
37.0%
56,500
7.2%
予想は東海東京調査センター(赤羽 高)、14年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を実施、一株当たり指標は遡及修正済み
■投資指標
PER(株価収益率)
PBR(株価純資産倍率)
配当利回り
16/3期 予
実績
16/3期 予
25.6 倍 17/3期 予 23.8 倍
2.37 倍
(15/3期 1株純資産 1,513.7 円)
7.2 % (15/3期)
1.05 % ROE(自己資本利益率)
時価総額
売買単位
13,470 億円
100 株
医療機器大手、心臓血管カンパニーが売上高全体の 47%
医療機器の大手メーカー。注射器および注射針ともに国内シェア約6割、輸液ポンプで同約7割など基
盤製品で高い評価を得ている。現在、カテーテル(細い管)を血管に通して診断や治療を行う血管内治療
領域などを手掛ける「心臓血管カンパニー」が売上高全体の47%を占める(15/3期実績)。
利用が広がるカテーテル治療、同社の持続的な成長のけん引役に
カテーテルによる血管内治療は、傷口(切開)が小さいなど患者の負担が軽い治療として全身の様々な
病変部で利用が広がっている。同治療法による入院日数が従来の切開手術に比べて短い点も注目され
ている。同社は、カテーテルを病変部に誘導するガイドワイヤーで国内シェア約6割。とりわけ、心臓や血
管の病気に対する外科手術・カテーテル治療に強みを持ち、持続的な成長のけん引役となっている。
株価は 4,800 円を目指そう。再生医療での展開も支援材料
当調査センターは、16/3期経常利益が前期比13%増の800億円と会社計画730億円を上回り、17/3期
が同14%経常増益と予想。株価は好業績を評価し、17/3期予想PER32倍に相当する4,800円を目指すと
みる。PER32倍は業界平均(ヘルスケア、医療器具他)の16年度予想PER(1月7日時点)。また、再生医療の展開
では、17/3期にも重症心不全治療向け細胞シートを発売する計画。決算発表は2月4日予定。(廣瀬 治)
<図 1:事業別売上高の推移>
7000
<図 2:株価チャート(週足)と出来高の推移>
円
4300
億円
(15/12/18)
テルモ(週足)
(15/8/6)
6000
(15/3/19)
3800
その他
5000
3300
4000
2800
3445.0
26週移動平均線
2728.0
心臓血管
カンパニー
3000
1000
(15/6/10)
2300
1954.0
1800
2000
1697
2084
2291
2570
2920
4125.0
3635.0
出来高
(14/5/7)
3200
千株
20000
15000
10000
5000
0
0
13/3期
14/3期
15/3期
16/3期予
17/3期予
18/3期予
14/04/07
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター
- 8 -
14/10/06
15/04/06
15/10/05
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
今週の参考銘柄
株 価(1/18):5,550.0円
芙 蓉 総 合 リ ー ス (8424)
市場:東証1部
15 年来高値
〃 安値
業種:その他金融
6,250.0 円 (15/11/10)
3,710.0 円 (15/2/3)
■業績推移
決算期
連
連
連
連
14/3
15/3
16/3 予
17/3 予
(単位:百万円、円)
売上高
伸び率
441,691
-0.2%
472,262
6.9%
501,351
6.2%
513,969
2.5%
営業利益
伸び率
23,174
-6.5%
24,517
5.8%
28,573
16.5%
31,801
11.3%
経常利益
伸び率
25,381
-4.0%
26,474
4.3%
32,077
21.2%
35,581
10.9%
一株当たり
利益
配当
429.5
74.0
470.1
80.0
645.3
96.0
717.5
100.0
当期利益
伸び率
12,981
-17.0%
14,203
9.4%
19,465
37.0%
21,642
11.2%
予想は東海東京調査センター(摩嶋 竜生) ■投資指標
PER(株価収益率)
PBR(株価純資産倍率)
配当利回り
16/3期 予
実績
16/3期 予
8.6 倍 17/3期 予
7.7 倍
0.84 倍
(15/3期 1株純資産 6,644.6 円)
7.4 % (15/3期)
1.72 % ROE(自己資本利益率)
時価総額
売買単位
1,674 億円
100 株
主力のリース事業は増勢を強める見通し
みずほフィナンシャルグループ系のリース大手。同社は15/3期-17/3期の中期経営計画で、航空機ビ
ジネスや不動産リース、再生可能エネルギー関連などを戦略分野に、最終17/3期に経常利益300億円を
目指す方針(15/3期実績:264億円)。戦略分野への注力から、主力のリース事業が増勢を強める見通し。
16/3 期は会社計画を上ブレ見通し、17/3 期も好調な業績を予想
15年4-9月期の当期利益は前年同期比33%増の102億円になった(15年11月5日)。東海東京調査セン
ターは16/3期の当期利益を前期比37%増の194億円と予想。会社計画の同160億円を上ブレるとみてい
る。航空機リースなど利ざやの厚い分野への注力により、差引利益(リース事業における粗利益に相当)が前期
比10%増予想などリース事業の好調を見込むため。17/3期の当期利益は前期比11%増と予想する。
株価は 6,970 円程度を目指し再び上昇とみる
株価は15年4-9月期の決算発表を受け上昇した後、株式市場全体の下落に連れ安したが、26週移動
平均線付近で下げ渋りつつある。15年4-12月期決算発表は2月3日の予定。当調査センターは、同発表
で主力事業の好調が再確認されるとみており、株価は16/3期予想PER10.8倍の6,970円程度を目指し、
再び上昇基調に回帰すると予想。なお、PER10.8倍は過去1年間の平均予想PERである。 (川又 信之)
<図 1:差引利益と当期利益>
700 億円
650
<図 2:株価(週足)と出来高>
差引利益(左軸)
*リース事業における粗利益に相当
400
350
600
300
億円
550
250
500
200
450
150
400
100
当期利益(右軸)
350
(15/11/10)
7000 円
芙蓉リース(週足)
6500
6250
(15/5/20)
6000
5430
5500
5000
4500
4000
4200
3500
(15/9/8)
26週移動平均線
3000 3250(14/2/5)
2500
出来高
50
300
14/3
15/3
16/3予
17/3予
0
14/1/6
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター
- 9 -
1,000
500
0
13/3
千株
1,500
14/7/7
15/1/5
15/7/6
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
16/1/4
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
海外企業紹介銘柄
レイセオン (RAYTHEON COMPANY)
市場:米国(ニューヨーク証券取引所)
銘柄コード:RTN
業種:航空宇宙・防衛
決算月:12 月
■事業内容
ペトリオット・ミサイルで知られる国防・軍事産業の世界大手。売上高の約7割が米国政府向け(2014年12月通
期)。米国連邦政府との契約額(2014会計年度、約126億ドル)は全民間企業中第4位、ミサイル防衛関連(同約16億
ドル)ではロッキード・マーチンに次ぎ第2位。指令、制御、通信、サイバーインテリジェンス等の分野も手掛ける。
■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル)
決算期
15/12 3Q(実績)
14/12(実績)
15/12 予
16/12 予
■株価指標
売上高
純利益
伸び率
5,783
22,826
23,235
23,951
5.6
-3.7
1.8
3.1
一株当たり
伸び率
447
2,244
2,036
2,107
-13.2
12.4
N.A.
3.5
利益
配当
1.47*
6.97*
6.70*
7.04*
0.67
2.42
2.66
2.88
業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース
株価(16/1/15)
52 週高値(15/12/17)
52 週安値(15/7/6)
PER15/12 月期(予)
16/12 月期(予)
5 年平均予想 PER
時価総額
(ドル)
(ドル)
(ドル)
(倍)
(倍)
(倍)
(百万ドル)
120.29
129.99
95.32
18.0
17.1
12.6
36,219
2015 年 12 月期 3Q(7—9 月)は増収減益
2015年12月期3Q決算は前年同期比5.6%増収、純利益が同13.2%減。売上面では、ミサイルシステム
事業や統合防衛システム事業の好調に加え、5月中に完了したサイバーセキュリティー企業ウェブセンス
社の買収効果も加わり、増収を達成した。損益面では、ミサイルシステム事業の売上高営業利益率(以下、
営業利益率)が改善した一方、統合防衛システム事業等のマージン悪化等が響き、減益を余儀なくされた。
会社側は 2016 年 12 月通期業績の復調に自信を示す
3Q決算公表時、同社は、統合防衛システム事業の営業利益率につき、4Q(10-12月)は改善に向かうと
の見方を示したほか、2015年12月通期の売上高の予想レンジを引き上げ、230~233億ドルとした。また、
2016年12月通期見通しにつき、売上高が2015年12月通期予想レンジの中間値から3~4%増を見込むと
し(左下図)、営業利益率(訴訟に係る和解金の収受を除くベース)も横ばいもしくは改善を見込むとしている。
収益が上振れる可能性もあり、同社株の堅調な推移を見込む
2015年11月には2016会計年度の国防予算の増額を盛り込んだ国防権限法が成立したほか、2016年
に入り、同社の防衛システム機器や防空ミサイル案件の成約が相次いでいる。2016年12月通期の市場予
想EPSは前期比5%程度の伸びが見込まれているが、事業環境の改善や、足元の好調な成約状況を踏ま
えれば、収益が予想以上に上振れる可能性もあろう。同社株の堅調推移を見込む。
<売上高(実績および予想値)の推移>
24,500
<レイセオンの週足チャート>
百万ドル
24,000
23,500
23,000
22,500
2013/12期
2014/12期
2015/12期
(予)
2016/12期
(予)
注:予想値は会社側見通しレンジに基づく
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
- 10 -
(東野 大)
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
海外企業紹介銘柄
レッド・ハット (RED HAT, INC.)
市場:米国(ニューヨーク証券取引所)
銘柄コード:RHT
業種:システム・ソフトウェア
決算月:2 月
■事業内容
企業向けオープンソースソフトウェア(ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを無償で公開し、誰でもそのソフトウェア
の改良、再配布が行えるようにしたもの)の世界最大手。Red Hat Enterprise Linux(RHEL、企業向けオペレーティング
システム)等のソフトウェアのライセンスを無料で提供し、サポート等を有料契約としたビジネスモデルを展開。
■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル)
■株価指標
売上高
決算期
純利益
伸び率
16/2 3Q(実績)
15/2(実績)
16/2 予
17/2 予
524
1,789
2,046
2,355
14.9
16.5
14.4
15.1
一株当たり
伸び率
47
180
198
240
利益
0.48*
1.60*
1.86*
2.19*
-2.1
1.1
10.0
21.2
業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース
配当
-
0.00
0.00
0.00
株価(16/1/15)
52 週高値(15/12/30)
52 週安値(15/2/2)
PER16/2 月期(予)
17/2 月期(予)
5 年平均予想 PER
時価総額
73.57
84.44
62.43
39.6
33.6
41.4
13,436
(ドル)
(ドル)
(ドル)
(倍)
(倍)
(倍)
(百万ドル)
「Linux(リナックス)」のトップ企業として高成長続く
旗艦のインフラ関連製品であるRHELの好調から、為替影響を除くベースでは前年同期比20%超の増
収が続いている(下図参照)。データセンター投資拡大などでシステム需要が高まっていることが追い風。ま
た、RHELで提供するオープンソースのLinux(リナックス)が、導入コストの安さや使い勝手の良さのメリットか
ら、従来主力のWindowsなどからシェアを奪い、サーバーでの搭載率を高めていることも背景。
「クラウド」の普及本格化で恩恵、マイクロソフトとの提携で一段の飛躍も
ソフトウェアなどをネットワーク越しに利用するクラウド・コンピューティングの普及本格化で、オペレーテ
ィングシステムなどインフラ構築をサポートする同社への恩恵も大きい。パブリック・クラウドではこれまでの
主力であるアマゾン・ウェブ・サービス「AWS」に加え、新たな業務提携によりマイクロソフトのクラウドプラッ
トフォーム「Azure」上でもRHEL利用が可能となり、収益機会は広がることが期待される。
EPS 成長加速を視野に、新規分野の収益貢献にも期待がかかる
直近ではセキュリティ機能などを強化したRHELの最新バージョンを発表しており、良好な契約モメンタ
ムが継続すると見込まれる。また、システム管理ソフトウェアなど新規分野の収益貢献も加わり、中期的に
は年率20%近いEPS成長が期待される。2016年2月期はドル高や先行投資が利益成長を抑えているが、
今後の成長加速を視野に入れつつ、同社株式のパフォーマンスは堅調さを増そう。
<レッド・ハットの売上高成長率・EPS の推移>
%
<レッド・ハットの週足チャート>
ドル
25
0.6
為替影響を除く売上高成長率
(前年同期比、左軸)
20
0.5
0.4
15
0.3
10
0.2
特殊要因を除くEPS(右軸)
5
0.1
0
0
1Q
2Q
3Q
14/2
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
15/2
1Q
2Q
3Q
16/2
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
- 11 -
(中川 雅人)
宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
今週の「フォーカス・ワン」
< No.120 > 「始め悪ければ終わり良し?」
2016年の世界金融市場の幕開けは、大波乱で始まった。年明けのサウジアラビアとイラ
ンの国交断絶(1/3)、北朝鮮の水爆実験報道(1/6)などの地政学リスクが相次いだ。経済面
では、米国の利上げ(12/16)後、年明けから原油安(30ドル/バレル割れ)と人民元安が加速した。
これらはまるでこの1年に起こり得るリスクが、前倒しで一気に顕在化したかのようである。こ
のため世界の株式市場は、昨年8月と同規模のショック安をもたらしている。しかし今回も、リ
ーマンショック(2008年)のような構造的なシステミックなリスク(金融危機)が発生した訳ではな
い。当面のリスクでも、①中国経済が失速する可能性は低い、②原油価格の下落は一部の
国と企業に打撃が集中するが、中長期的に多くの国はその恩恵を受ける。さらに今回の世
界的な同時株安を受け、早晩中央銀行の政策に変化が出てくる可能性が高まった。米FRB
(連邦準備制度理事会)は年4回の利上げが2回のシナリオに変更を示唆し、予想以上の円高進
行で危機感を強めている日銀は追加緩和の検討に踏み込んでくる可能性がある。これが、
国際協調のような形になれば、より効果的なものとなろう。マーケットのセンチメントが最悪の
時にこそ、次の転換点に備えたい。「始め悪ければ終わり良し?」
(中井裕幸)
今・来週のタイムテーブル
・ 国内では、1月29日(金)に12月の消費者物価指数(CPI)、12月の鉱工業生産指数(速報)などの発表が予
定されている。また、28日(木)~29日(金)に日銀金融政策決定会合が開かれ、29日(金)に「展望レポート」
が公表される予定。
・ 米国では、1月26日(火)に1月の消費者信頼感指数、28日(木)に12月の耐久財受注、29日(金)に10~12
月期のGDP(速報)などの発表が予定されている。また、26日(火)~27日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員
会)が開かれる予定。
月日
1.25(月)
26(火)
国内経済
決算発表予定
12月の貿易収支(速報)
11月の景気動向指数(改定)
小林製薬、メルコ
12月の企業サービス価格指数
エムスリー、ハウス食G、三井住友
27(水)
月日
1.26(火)
アルプス、航空電、アドバンテ、オリックス
米国経済
11月のFHFA住宅価格指数
11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数
1月の消費者信頼感指数
12月の商業動態統計(速報)
信越化、積水化、ゼオン、NRI、日立建、オムロン、
NEC、ファ ナック、小糸製、SCSK、池田泉州
27(水)
28(木)
12月の新築住宅販売件数
FOMC(米連邦公開市場委員会、26-27日)
ヤクルト、スタートトゥ、ミツコシイセタン、TOTO、
板硝子、ガイシ、オークマ、コマツ、マキタ、富士通、
ソニー、TDK、京セラ、村田製、日東電、日野自、
ダイハツ、HOYA、東エレク、東海東京、JR東日本、
JR東海、郵船、商船三井、JAL、ANA、中部電、
NTTドコモ、東ガス
28(木)
12月の耐久財受注
12月の製造業受注・資本財(非国防・航空機)
12月の中古住宅販売仮契約
29(金)
12月の消費者物価指数(CPI)
12月の完全失業率
12月の有効求人倍率
12月の家計調査
12月の鉱工業生産指数(速報)
12月の住宅着工統計
日銀金融政策決定会合(28日から開催)
日銀「展望レポート」公表
29(金)
10~12月期のGDP(速報)
1月のシカゴ購買部協会景気指数
1月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報)
1月の新車販売台数
日本ハム、帝人、塩野義、新日鉄住、フジクラ、
LIXIL G、日精工、NOK、リコー、三菱UFJ
2.1(月)
12月の個人支出・個人所得
1月のISM製造業景況指数
12月の建設支出
1月のマネタリーベース
東ソー、三井化、小野薬、カシオ、IHI、任天堂、
NTTデータ
2(火)
1月の自動車販売台数総計
1月の消費動向調査
ぐるなび、住友化、武田、豊田織機、ミネベア、
パナソニック、アイシン精、横浜銀
3(水)
1月のADP雇用統計
1月のISM非製造業景況指数
国際帝石、旭化成、王子HD、テルモ、三菱ケミHD、
古河電、マツダ、ニコン、伊藤忠、三井物、菱地所、
ヤマダ電
4(木)
12月の製造業受注指数
4(木)
5(金)
5(金)
日水、大和ハウス、明治HD、JPHD、科研薬、
住友鉱、トヨタ、山口FG
12月の貿易収支
1月の雇用統計
12月の消費者信用残高
2.1(月)
2(火)
3(水)
12月の景気動向指数(速報)
経済指標の発表は変更されることがあるのでご注意ください。担当アナリストの取材およびブルームバーグ、日経クイック他より作成。
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宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
このレポートは、東海東京調査センターが作成し、宇都宮証券株式会社が許諾を受けて提供いたして
おります。投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます
宇都宮証券の概要
商 号 等 : 宇都宮証券株式会社
加入協会 : 日本証券業協会
金融商品取引業者
関東財務局長(金商)第32号
リスクについて
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買
等にあたっては、株式相場、金利水準等の変動や、投資信託、投資証券、受益証
券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、
商品等(裏付け資産)の価格や評価額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等
が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付
け資産の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合、上場有価証券等
の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利
を行使できる期間に制限がありますのでご留意ください。
◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変
化することにより、為替相場が円高になる過程では外国証券を円貨換算した価値
は下落し、逆に円安になる過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇すること
になります。したがって、為替相場の状況によっては為替差損が生じるおそれがあ
ります。
※ 裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券
等である場合には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※ 新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様
のリスクがあります。
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宇都宮ウィークリー 平成28年1月25日
手数料等諸費用について
Ⅰ 国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手
数料等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く。)
委託手数料の上限は、約定代金の1.242%(税込)になります。
(2) 国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の1.08%(税込)になります。
※上記金額が2,700円(税込)に満たない場合には、2,700円(税込)になります。
Ⅱ 外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます。)の取引には、国内の取引所金融商品市
場における外国株券等の売買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引
の2通りの方法があります。
(1)外国金融商品市場等における委託取引
① 国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の1.188%(税込)になります。
② 外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公
課その他の諸費用が発生します。当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて
決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
(2)国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基
準に合理的かつ適正な方法で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差
がそれぞれ原則として2.5%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該参考価格には
手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※ 外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動
向をふまえて当社が決定した為替レートによるものといたします。
Ⅲ その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払いいただきます。また、お客様との合意に
基づき、別途手数料をいただくことがあります。
セミナー等の開催について
このレポートで紹介するセミナー等では、金融商品取引契約の締結の勧誘(勧誘を目的とした具体的
商品の説明を含む)を行うことがありますのでご留意ください。
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◆ 営業店のご案内 ◆
店
舗
住
所
電話番号
本店営業部
〒320-0801
栃木県宇都宮市池上町 4-4
028-614-5111
宇都宮東支店
〒321-0953
栃木県宇都宮市東宿郷 3-2-18
028-633-0411
今市支店
〒321-1261
栃木県日光市今市 474
0288-21-1010
鹿沼支店
〒322-0051
栃木県鹿沼市久保町 1864-9
0289-64-1131
真岡支店
〒321-4361
栃木県真岡市並木町 4-5-10
0285-84-6511
西那須野支店
〒329-2753
栃木県那須塩原市五軒町 6-4
0287-28-5511
-----宇都宮証券 「金融セミナー」 開催----今市支店
1月 22日 ( 金 ) 15: 30~ 16: 30 今 市 支 店
TEL0288-21-1010
本店営業部
1月 22日 ( 金 ) 16: 00~ 17: 00 本 店 営 業 部
TEL028-614-5111
鹿沼支店
1月 26日 ( 火 ) 15: 00~ 16: 00 鹿 沼 支 店
TEL0289-64-1131
特 別 経 済 セ ミ ナ ー 2月 8日 ( 月 ) 14: 00~ 15: 30
東武ホテルグランデ4階「松柏」
TEL028-614-5111
*詳しくは、最寄りの営業部店にお問合せ下さい。
当社の概要
商号等:宇都宮証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第32号
加入協会:日本証券業協会
◎金融商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には
価格等の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の契
約締結前交付書面等をよくお読みください。
今回ご紹介するセミナー等では、セミナーでご紹介する商品等の勧誘を行うことがありますので、ご留意ください。