2015 年 12 月 21 日 <今週の市況展望> 法が厳しく改正されて着工件数が激減した(下図)。 当時ほどではないにせよ、今後、多少の影響は出て くる可能性が大きい。 (隅谷 俊夫) 戻りを試すも、円高要因に注意 <日経平均と新設住宅着工件数> 23000 日本株は先週までリスク回避の動きで大幅反落し た。今週は米国市場がクリスマス休暇で24日午後と 25日が休場となるため、外国人不在で薄商いの中、 戻りを試す展開が期待される。 注意したいのは、税制変更による円高要因。来年 からの「金融所得課税の一体化」によって、外債や 外貨建てMMF等の譲渡益が税率20%の課税対象 になる (その代わりに損益通算の対象になる) 。このた め、円安で大幅な含み益になっている保有外債を、 非課税で駆け込み的に売却しようとする動きが最後 にまとまって出てくる可能性がある(円高要因)。 景気指標では、週前半に米国で新築と中古の住 宅販売など11月の主要指標が発表される(右表)。国 内では25日に11月の主要指標が発表される ( 右 表) 。特に消費者物価指数は来春の日銀の追加緩 和の有無を占う上で注目される。 新設住宅着工戸数では、横浜のマンション傾斜 問題の影響が出てくるのかどうか注目される。2000 年代半ばに耐震偽装問題が浮上した際、建築基準 投資の視点 エコノミスト Eye (出所:国土交通省、QUICK、東海東京調査センター作成) 円 日経平均 (月足) 19000 180 11000 160 7000 140 120 3000 グローバル投資戦略 波乱含みの展開が続く原油相場 新設住宅着工戸数 (年率、季調値) -5000 100 80 万戸 -9000 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 年 60 <今週の主な予定> 12月22日 (火) 米国 12月23日 (水) 米国 7~9月期の実質GDP(確報) 11月の中古住宅販売件数 11月の新築住宅販売件数 11月の耐久財受注 12月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報) 12月24日 (木) 日本 米国 10月の毎月勤労統計(確報) クリスマスイブで午後休場 11月の完全失業率、有効求人倍率 12月25日 (金) 日本 11月の家計調査 11月の新設住宅着工戸数 11月の全国消費者物価指数 米国 クリスマスで休場 予定は変更されることがあります。東海東京調査センター作成 原油安はASEANに恩恵をもたらす 株式分析 耐 震 偽 装 問 題 -1000 日銀短観(12月調査)、底堅い内容 原油安が主要通貨に与える影響 200 15000 日本株の上値を押さえる元安円高 為替展望 220 アナリストによる16年前半のトップピック銘柄 ◇◆ 今週の参考銘柄 ◆◇ グローリー 東 光 (6457) (6801) ◇◆ 海外企業紹介銘柄 ◆◇ アクセンチュア・クラス A (米国・ACN) フェイスブック・クラス A (米国・FB) 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 投資の視点 日本株の上値を押さえる元安円高 日本株は今月に入って大幅反落した。基本 韓国ウォンと違って、元と円の関係はこれま 的に、日米欧の金融政策(日本は追加緩和見送り、 であまり語られることが少なかったが、近年の日 米国は利上げ転換、欧州は過度な緩和期待後退)に対 中経済の緊密化、日中企業の競合、訪日中国 するリスク回避の動きとみられる。ただ、クリスマ 人旅行者数の増加などから、日本経済をみる ス休暇前の早めのポジション調整が相場変動 上で重要ファクターとなりつつある。実際、元・ を加速させたのであれば、市場は徐々に落ち 円相場と日経平均は連動性を強めている (下 着きを取り戻そう。 図)。今年8月の切り下げによる下げに今回の下 げが加わり、元安円高は日経平均の上値を押 日米欧の金融政策以外に注目されるのが、 さえる要因になっている(下図)。 今月に入ってからの中国人民元の下落。きっか けは11月30日にIMF (国際通貨基金) が元をSDR 現在、1元=18円台。8月の切り下げ直前の (特別引き出し権)に採用すると発表したこと。採用 高値20円台から1割下落したが、日銀が量的緩 は来年10月からだが、①「国際通貨」となったこ 和を実施する前は12円台だった(下図)。中長期 とで、中国の通貨当局が強引な為替介入を行 的にみると今回の反落はまだ小幅な上、中国 いにくくなるのではないか(外貨準備がやや減って、 当局も小規模ながら元買い介入を継続してい これまでのような元買い外貨売り介入をやりにくい) 、② るもよう。大幅下落を望んでいないとみられるの 当局が輸出促進のため元安を黙認するのでは で過度に警戒する必要はなさそうだが、今後も ないか― との見方が市場で強まっている。 元の動向には注目したい。 22000 円 (隅谷 俊夫) 円/元 < 日経平均と人民元・円相場 > 人民元・円相場 (月末、右目盛) 20000 21 20 19 18000 ↑ 元高円安 18 16000 17 日経平均 (月足、左目盛) 14000 16 ↓元安円高 15 12000 14 10000 13 8000 12 (出所:ブルームバーグ、東海東京調査センター作成) 6000 08 09 10 11 12 - 1 - 13 14 15 11 16 年 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 エコノミスト Eye 日銀短観(12月調査)、底堅い内容 利益は前年度比+6.5%と、前回調査の+4.7 業況判断 DI は予想外に安定 %から逆に上方修正されている。これは原油価 日銀短観(12月調査)によると、大企業・製造業 格の下落に伴うコスト削減効果がポジティブに の業況判断DIは+12、大企業・非製造業のそ 影響した結果と考えられる。いわゆる交易条件 れは+25と、ともに前回調査(9月)から横ばいと の改善である。例えば今回、大企業・製造業の なった。ロイター短観やクイック短観等、日銀短 販売価格判断DIは前回調査から4ポイント低下 観との連動性の強い関連統計は、総じて業況 したが、仕入価格判断DIはそれを上回る6ポイ 判断の悪化を示唆しており、事前のコンセンサ ントの低下となっている。また大企業・非製造業 ス予想も悪化を見込んでいた (製造業が+11、非 の販売価格判断DIは前回調査から横ばい、仕 製造業が+23:QUICK調査) 。したがって今回の結 入価格判断DIは3ポイントの低下となっており、 果はポジティブサプライズだ。 製造・非製造ともにコスト削減によるマージン拡 大効果(=交易条件の改善)を享受していることが 製造業に関しては、電気機械や生産用機 見て取れる(下図参照)。 械、自動車の業況判断が悪化した一方で、造 船・重機、化学、鉄鋼、金属製品等で改善が見 中国・新興国経済の減速という逆風のもとで られた。非製造業では通信、情報サービス等で も今回業況判断DIが低下しなかったのは、実 業況判断が改善、物品賃貸や対事業所サービ 際には企業の収益環境が原油価格の下落によ ス等で判断が悪化した。悪化した業種もDIのレ って相当程度改善していることに起因すると思 ベル自体は高水準を保っており、全般的に良 われる。原油価格の下落は、資源国の経常収 好な内容となっている。 支の悪化やエネルギー産業の投資抑制等を通 先行きDIは製造業が現状から5ポイント低下 じて確かに世界経済にネガティブな影響をもた の+7、非製造業が7ポイント低下の+18と、とも らしていると考えられる。しかし、一方で交易条 に悪化しており、海外経済の減速懸念がまだ 件の改善を通じて先進国の景気を押し上げると 完全に払拭されているわけではない。しかし いう「古典的な効果」もしっかりと働いており、マ 「懸念」はあくまでも「懸念」であって、必ずしも イナス面だけではなくプラス面も認識する必要 それが実現することを意味するわけではない。 があろう。 現状DIが高水準を維持しているときに先行きDI (武藤 弘明) (DIの差) 交易条件(販売価格DI -仕入価格DI)の推移 0 が慎重化するのは、日銀短観ではしばしば見ら (注)上にいくほど交易条件が改善していることを示す ‐5 れる現象である。 大企業・非製造業 ‐10 ‐15 交易条件の改善が背景に ‐20 ‐25 15年度の大企業の売上計画は前年度比▲ 大企業・製造業 ‐30 1.1%となり、前回調査の同+0.4%から下方修 1 2 3 12 正されて減収計画となった。その一方で、経常 4 1 2 3 13 4 1 2 3 4 1 14 (出所)日本銀行「短観」より東海東京調査センタ-作成 - 2 - 2 3 4 15 (年) 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 為替展望 原油安が主要通貨に与える影響 12月4日のOPEC(石油輸出国機構)総会で減産 欧州では、原油安は日銀と違って追加緩和 が見送られ、原油安が加速している。ここで、原 に直結しやすい。ECB(欧州中銀)は原油価格の 油安が主要通貨に与える影響を考える。 影響を直接受ける総合インフレ率を政策判断 原油安は下落当初においてはエネルギー関 に参照しているためだ。また、12月3日には追 連株が大きく下げて、「株安→リスクオフの円 加緩和を発表したが、予想より小規模だとして 高」の流れにつながりやすい。だが、原油を輸 ユーロ高が進行。原油安によるインフレ率の低 入する日本では、輸入代金の支払額減少によ 下に加え、ユーロ高による追加緩和期待から、 る経済的なメリットは大きい。そのため、原油価 ユーロ売り圧力は強まることが予想される。 格が低位安定に向かえば、原油安でもたらされ 一方、金融政策の正常化を進めるFRB (米連 る余剰資金が日本株に向かい、「株高→リスク 邦準備制度理事会) には、原油安は苦しい材料。 オンの円安」につながりやすい。 そもそもインフレ率が2%を下回る中での利上 金融政策の面では、原油安がインフレ率を げ開始を疑問視する声は少なくない。そこへ原 押し下げるため、追加緩和の材料となりうる。日 油安が追い討ちをかけインフレ率がさらに低下 銀は今年5月より生鮮食品とエネルギーを除い すれば、利上げの大義が問われかねない。そ た消費者物価指数(日銀版コアコア物価指数)を公 のため、FRBは利上げのペースや引き上げ幅 表。原油価格の振れに左右されない物価基調 を想定以上に緩やかなものにとどめることが予 に軸足を置いた政策運営に移行している。その 想される。原油価格の本格反転がなければ、 ため、原油安による「追加緩和→円安」は見込 FRBの金融政策の正常化はままならず、ドル高 みにくいが、日銀の大規模緩和の長期化によ も限定的なものとなりそうだ。 る円安圧力は継続しよう。 130 120 (柴田 秀樹) <米原油先物価格とドルと円の実質実効為替レート> 円の実質実効為替(月足、左軸) 240 ドルの実質実効為替(月足、左軸) 220 110 200 100 ドル/バレル 180 90 80 160 実質実効為替とは 物価変動を調整した相対的な通貨の 実力を測るための総合的な指標 140 70 60 50 40 120 原油高 通貨高 100 80 原油安 通貨安 米原油先物(月足、右軸) 30 20 2000年 60 40 (ブルームバーグデータより東海東京調査センター作成) 2003年 2006年 2009年 - 3 - 2012年 2015年 20 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 グローバル投資戦略 波乱含みの展開が続く原油相場 一方、原油安の「負の側面」と考えられるの 歯止めがかからない原油安の動き が、原油産出国やエネルギー産業への打撃と WTI原油先物価格は、12月4日に行われた いうことになる。また現在の市場参加者の見方 OPEC (石油輸出国機構) 総会で減産が見送られ としては、原油安はデフレ圧力の象徴であり、 たことをきっかけに、1バレル=40ドルを割り込 世界経済のぜい弱さの現れ、ということにもな んだ。そして後もさらに下落を続け、11日には る。今のところ、市場では原油安に対する懸念 1バレル=35ドル台をつけるに至った。 の方が勝っているというのが実情だ。 <WTI 原油先物価格> 120 原油安がもたらす投資機会 ドル/バレル こうした中、例えば米石油大手「エクソンモー 110 WTI原油先物価格 100 ビル」の投資魅力が増しつつあるように思われ 90 80 る。同社の株価は、昨年6月末以降今月11日ま 70 12/11: 35.62 60 での間に26.2%下落した。その結果、足元の配 50 当利回りは3.92%となっている(12/11現在)。 40 30 2014/1 2014/7 2015/1 過去を振り返ってみると、エクソンモービルが 2015/7 1980年以降約35年間に減配をしたケースは一 出所: ブルームバーグより東海東京調査センター作成 中国をはじめとする新興国経済の成長に対 度もない(ブルームバーグによる)。内部で創出した する過度の期待を背景に、長年にわたって生 キャッシュフローで配当をカバーしきれない場 産能力の増強が行われた結果、原油供給は世 合には、借入れもしくは資産売却で資金を調達 界的な過剰状態に陥っており、それが価格低 する必要があるが、同社の財務基盤が強固な 迷の最大の要因となっている。そして足元で ことから、減配となる可能性は非常に低いと思 は、サウジアラビアなどOPEC諸国と米国やロシ われる。この先株価がさらに急落するような局 アをはじめとする非OPEC陣営との価格を度外 面があれば、「高配当銘柄」としての魅力が一 視した市場シェア争いが、「チキンレース」の様 段と増すものと考えられる。 相を呈しつつある。こうした状況下、何よりも問 <エクソンモービル/1 株当たり配当と配当利回り> 題なのは、未だに下げ止まりのきっかけとなるも ドル/株 (長田 清英) % 1株当たり配当 (過去12ヵ月、左軸) 6 3.0 のが見えてきていない点にある。 2.5 原油安は「もろ刃の剣」 5 配当利回り (右軸) 2.0 4 1.5 3 原油安は、日本のような原油消費国にとって 1.0 2 の恩恵が非常に大きい。家計の購買力の向上 0.5 や、企業のコストダウンなどを通して、景気全体 0.0 昨年来の株価下落を受け、 配当利回りが急速に上昇。 0 1990 を押し上げる効果が期待できるからだ。 1995 2000 2005 出所: ブルームバーグより東海東京調査センター作成 - 4 - 1 2010 2015 年 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 グローバル投資戦略 原油安は ASEAN に恩恵をもたらす み切ることができた。補助金削減によって物価 原油相場主導でリスクオフが加速 は高止まりしたが、既に影響は一巡しており、イ OPEC(石油輸出国機構)が4日に開催した総会 ンドネシア中央銀行は利下げに向けた地ならし で減産を見送ったことを契機として原油価格が を開始。さらに、原油安による燃料輸入額の減 急落。また、銅や鉄鉱石も連れ安するなど商品 少が、インドネシアの抱える最大の問題である 市況全体に売りが波及した。 経常赤字の縮小にも寄与している。 こうした原油など商品市況の軟化に加え、中 現在は、原油安の背景にある中国など世界 国経済に対する不安感や人民元相場の減価 経済の弱さに起因した需要低迷に加え、産油 等、8~9月の世界的な株価急落局面とほぼ同 国やエネルギー関連企業の信用力低下といっ 様の材料がリスクオフの流れを加速させ、 た「負の側面」が強く意識されている。 ASEAN株は下げ足を速めた(図1)。 しかし、既述したようにマレーシアを除けば原 油安はASEAN各国にとってプラスであり、また、 <図 1:MSCI 東南アジア指数と原油価格の推移> 950 900 850 原油相場主導のリスクオフにより、ASEAN株は 資源関連株を中心に下げ足を速める MSCI東南アジア指数 (左軸) 90 75 700 60 600 2014年1月 2014年5月 2014年8月 2014年12月 2015年4月 2015年8月 出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成 直近の株価下落によってASEAN株の割安感 105 750 WTI原油先物(右軸) 購買力増加等を通じて恩恵をもたらす。 120 800 650 米国や日本など多くの先進国(原油純輸入国)にも (1バレル=ドル) 135 が増す中、市場の動揺が収まるにつれて見直し 買いの動きも強まってくるものと想定している(図 45 2)。特に、個人消費が名目GDP(国内総生産)の約 30 7割を占めるフィリピンや、原油安がファンダメン タルズの更なる改善を促すと見込まれるインドネ シアの原油安メリットは大きい。これらの国では、 市場の動揺が収まれば見直し買いも 原油安が経済成長を押し上げるとともに、企業 マクロ経済の観点から見れば、原油価格の 収益拡大に対する期待も次第に高まっていくも 下落は基本的に、物価上昇圧力の緩和やそれ のとみている。 に伴う金融政策の緩和余地の拡大、輸入額減 (井澤 誠) <図 2:ASEAN 主要国の予想 PER 比較> 少による貿易収支の改善などを通じてASEAN 22 各国に恩恵をもたらす(ASEANは、マレーシアを除け 20 ば基本的に原油の純輸入国である)。 18 (倍) 過去平均 直近値 割安 16 実際、昨年末以降の原油安によってシンガ 14 ポールやタイのインフレ率は低下し、両国ともに 12 過去平均-1σ 10 景気浮揚に向けた金融緩和を実施。また、イン 過去平均+1σ 割高 予想PER(株価収益率): 株価÷1株当たり予想利益 8 新興国 ドネシアでは、原油安を契機として財政を圧迫 シンガポール インドネシア マレーシア フィリピン タイ 注:予想PERはMSCI各国指数の11日(金)時点(2016年予想ベース)、 過去平均は2010年以降のデータ 出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成 していた補助金削減(燃料小売価格の値上げ)に踏 - 5 - ベトナム 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 株式分析 アナリストによる 16 年前半のトップピック銘柄 利益確定売りが先行しているが・・・ 16 年前半のトップピック銘柄 15年も今来週を残すのみとなった。12月に入 こうしたなかで、東海東京調査センターの企 ってからの株式市場は欧州の金融緩和策が失 業アナリストは、調査対象としているセクター・ 望に終わったことや、原油価格下落の負の側 業種のなかで、成長性やバリュエーションなど 面(産油国・新興国や資源関連企業への不安)に焦点 を吟味して、最も有望と考えるトップピック銘柄 が当たり、世界的に利益確定売りが先行した。 をそれぞれ1社選定した(下表参照)。 しかし、原油価格の下落は先進国、とりわけ 今週号のウィークリー参考銘柄では、セキュリ 日本にとってはコスト低減につながり、景気や ティー技術を背景に今後マイナンバー関連ビ 企業収益にプラスの効果が期待される。 ジネスの取り込みが期待されるグローリー 14日に発表された12月調査の日銀短観の15 (6457) 、村田製との提携により生産性・開発力 年度収益見通しによると、大企業・全産業の売 の向上と販路拡大が予想される東光(6801)を選 上高は前年度比-1.1%、経常利益は同6.5% 定した。また次頁では鉄道関連投資の活発化 増と、結果として売上高経常利益率は6.20%と で恩恵が予想される日本電設(1950)、高品質を 前年度の5.76%から改善する見通し。交易条 テコに顧客の囲い込み戦略の進捗で成長が予 件の改善が企業の利益率上昇に寄与し、業績 想されるメニコン(7780)を取り上げた。 拡大の追い風となろう(P.2エコノミストEye参照)。 (梅田 俊一) <弊社企業アナリストによる16年前半のトップピック銘柄> 株価 銘柄 注目ポイント (12/14) 土壌汚染調査・処理のワンストップソリューションを提供するダイセキグループの中核企業。トン ネル工事の増加など自然由来の土壌処理需要も加わり、市場規模は拡大へ。 鉄道関連投資の活発化で収益拡大が続く見通し。一般電気工事も選別受注で利益率改善へ。 1950 日本電設 2511.0 弊社予想の16/3期経常利益は前期比9%増と、会社予想の同4%減から一転して増益へ。 靴小売専門店。プライベートブランドの売上構成比上昇により収益構造の改善が予想される。 2686名1 ジーフット 1006.0 弊社予想の経常利益は16/2期が前期比11%増、17/2期が同10%増の見通し。 スマホアプリデベロッパーの先駆け。ヒットアプリを複数創り出す打率の高さが強み。新作アプリ 3668 コロプラ 2573.0 投入に向けた開発人員の増員も順調に進捗中。 車載用リチウムイオン電池の拡大につれて、同社の電解液用電解質、添加剤が成長の見通し。 4109 ステラケミファ 1645.0 弊社では今後3年間で、電解質は売上高2.1倍、添加剤は同3倍と予想。 中古車情報「Goo」から整備工場情報「GooPit」へ事業領域を拡大。GooPitの累計契約社数 4298JQ プロトコーポ 1672.0 は15年3月の1727社から11月には6720社に急拡大中。 貨幣処理機の国内トップメーカー。今後、更新需要の拡大が予想されるほか、同社の持つ技術 6457 グローリー 3680.0 は次世代の用途としてマイナンバー対応のセキュリティーシステムにも活用が期待される。 コイル専業。村田製との提携効果は17/3期から本格化へ。共同開発の新製品開発や販路拡大 6801 東光 403.0 が見込まれる。弊社予想の15/12期経常利益は35億円と会社予想の26億円を上回ると予想。 インバウンド需要が追い風。時計事業の売上高営業利益率は16/3期予想でスイスのスウォッ 6952 カシオ 2701.0 チ・グループ(15/12期予想)を上回る見通し。 主力のプレス事業はクルマの軽量化ニーズの高まりと、トヨタの増産で回復局面入りへ。タイヤ 7250 太平洋 1326.0 空気圧監視装置の成長期待も注目点。 使い捨てコンタクトと定額会員制度導入で成長へ。弊社予想の経常利益は16/3期が前期比 7780 メニコン 3015.0 45%増(会社同13%増)、17/3期が同22%増と予想。 弊社では税引前利益を16/3期が前期比35%増、17/3期が同12%増と予想。M&Aも活用した 8586 日立キャピ 3260.0 海外戦略の進捗や国内の構造改革の進展が要因へ。 バス事業の収益改善が評価軸へ。スマホ普及によりバスの利便性が向上。高齢者の免許返上 9081 神奈交 701.0 や若者のクルマ離れも利用者増加の要因へ。 経常増減率は経常利益の前期比増減益率、国際会計基準採用企業は税引前利益、予想はいずれも東海東京調査センター ダイセキソリュ、ジーフットは2月本決算(16/2期予、17/2期予)、コロプラは9月本決算(15/9期実、16/9期予) 東光は12月本決算(15/12期予、16/12期予)、ジーフットは東証1部にも上場、東海東京調査センター作成 1712 ダイセキソリュ 1275.0 - 6 - 経常増減率 上:16/3期予 下:17/3期予 72.7 3.8 9.0 11.7 11.3 10.0 37.4 20.3 -12.3 138.9 22.7 14.2 -0.9 13.6 25.3 17.1 37.4 16.0 17.4 8.8 45.3 22.0 31.4 12.0 10.1 5.0 (円、%) 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 株式分析 17/3 期 2 ケタ増益予想の日本電設、メニコン 日本電設工業(1950) 主に鉄道設備や鉄道駅周辺施設の電気工事を行う建 設会社。売上高の約60%がJR東日本向けで(15/3期)、同 連結経常利益 同 EPS 同 PER 社の業績はJR東日本の設備投資の影響を大きく受ける。 JR東日本は16/3期から18/3期の3年間において、品川駅 16/3 予 17/3 予 163 億円 161.0 円 15.6 倍 182 億円 177.3 円 14.2 倍 予想は東海東京調査センター 改良工事など約1.6兆円の設備投資を計画しており、同社 株価(12/14) 年初来高値 〃 安値 売買単位 にとって良好な事業環境が続く見込み。弊社では16/3期 経常利益を前期比9%増と、会社側の同4%の減益計画 2,511 2,592 1,566 100 円 円 (12/3) 円 (1/15) 株 から一転増益を予想。続く17/3期を同12%増と予想。 株価は弊社予想の17/3期EPSを基に、PER17.3倍(16/3 期会社計画ベースの現状PER)に相当する3100円を目指そう。 (武井 宏彰) メニコン(7780) コンタクトレンズ大手。国内の同市場でシェア業界2位。 弊社では16/3期の経常利益を前期比45%増の41億円 連結経常利益 同 EPS 同 PER と、会社計画31億円を上ブレると予想。主因は、①通期の 会社計画に対して上期の経常利益進捗率が73%と高水 16/3 予 17/3 予 41 億円 116.1 円 26.0 倍 50 億円 143.3 円 21.0 倍 予想は東海東京調査センター 準なこと、②本年投入した有力製品の寄与が会社計画に 株価(12/14) 年初来高値 〃 安値 売買単位 含まれていないことなど。弊社は、同社が業界で初めて採 用した定額制会員制度と欧州・アジア市場の開拓を軸 3,015 3,100 2,050 100 円 円 (12/7) 円 (8/25) 株 ※16年度の業界平均予想PER(精密機械器具、他)の 26倍に相当 に、17/3期以降も同20%超の経常増益が続くと見る。 弊社では、株価は17/3期予想PER26倍 ※ に相当する 3700円程度を目指す展開と予想する。 (関 邦仁) <日本電設工業の日足チャート> 2800 <メニコンの日足チャート> 円 日本電設(日足) (15/12/3) 2592 (15/8/17) 2478 2600 3500 3300 3100 2900 2400 円 メニコン(日足) 上場初日 (15/06/25) 2999 (15/08/10) 2854 (15/12/07) 3100 25日移動平均線 2700 2601 (15/11/05) 2500 2200 2300 2100 25日移動平均線 2000 500 400 2010 (15/8/25) 1800 15/6/1 15/7/7 15/8/13 15/9/18 15/10/30 千株 1500 4000 1250 1000 750 500 250 0 2050 (15/08/25) 1900 300 200 100 0 出来高 (出所)QUICKより東海東京調査センター作成 千株 出来高 15/6/27 15/12/9 15/7/31 (出所)QUICKより東海東京調査センター作成 - 7 - 15/9/4 15/10/15 15/11/20 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 今週の参考銘柄 株 価(12/14):3,680.0円 グ ロ ー リ ー (6457) 市場:東証1部 年初来高値 〃 安値 業種:機械 4,000.0 円 (5/25) 2,796.0 円 (9/30) ■業績推移 決算期 連 連 連 連 14/3 15/3 16/3 予 17/3 予 (単位:百万円、円) 売上高 伸び率 218,632 14.5% 222,356 230,000 3.4% 245,000 6.5% 営業利益 伸び率 16,718 15.6% 18,693 22,000 17.7% 25,000 13.6% 経常利益 伸び率 19,764 44.3% 22,211 22,000 -0.9% 25,000 13.6% 一株当たり 利益 配当 151.3 49.0 196.2 54.0 196.4 54.0 225.3 60.0 純利益 伸び率 44.6% 0.1% 14.7% 9,939 12,887 12,900 14,800 予想は東海東京調査センター(大平 光行) 16/3期より在外子会社の収益および費用の換算方法の変更により15/3期を遡及修正(前年との比較はない) ■投資指標 PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率) 配当利回り 16/3期 予 実績 16/3期 予 18.7 倍 17/3期 予 16.3 倍 1.20 倍 (15/3期 1株純資産 3,066.5 円) 6.7 % (15/3期) 1.46 % ROE(自己資本利益率) 時価総額 売買単位 2,418 億円 100 株 通貨処理機のパイオニアとして業界をリード 通貨処理機のパイオニア。主力の国内金融機関向け市場シェアは7割以上。ほか、駅、百貨店、レスト ランなど活躍の場を広げている。「認識・識別技術」「メカトロ技術」のコア技術を活かしたマイナンバー対応 セキュリティーシステムなど次世代の用途開拓でも注目されている。 04 年特需の更新需要などで、16/3 期は前期比 18%営業増益を予想 15年7-9月期より04年新紙幣の切り替えで生じた出納機特需の更新需要が出てきた模様。同社は、 04/3期に販売した自社製品約2,000台、さらに他社製品を含めた更新需要の取り込みを狙い、紙幣だけ でなく手形・小切手などの管理も可能な新製品を投入した。当調査センターでは、16/3期営業利益を220 億円(前期比17.7%増)と会社計画200億円を上回ると予想(経常減益予想は※為替差益を見込んでいないため)。続く 17/3期は07年の日本郵政公社の民営化で生じた特需の更新需要も加わり同13.6%営業増益を見込む。 ※15/3 期、営業外収益として為替差益を 27 億円計上 株価は 16/3 期予想 PER23 倍の 4,600 円を目指すとみる 当調査センターは、今後、株価が16/3期予想一株当たり利益196.4円にPER23倍を乗じた4,600円を目 指すとみる。PER23倍は東証1部平均PER16.2倍に1.4を乗じたもの。同社のPERは、業績が安定した10年 央から14年末の期間において東証1部平均PERに対して1.4倍程度を上限に推移していた。 <図 1:同社製(金融機関向け)出納機の売上高推移> 200 億円 新紙幣特需 日本郵政 民営化特需 <図 2:株価チャート(週足)と出来高の推移> 円 特需の更新 150 (廣瀬 治) 4000 15/5/25 グローリー (週足) 4000 14/7/28 3545 3500 3000 100 2500 14/10/17 2268 2000 50 26週移動平均線 2796 15/9/30 2562 14/2/6 千株 2500 出来高 2000 1500 1000 予想 500 0 04/3 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 期 出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター - 8 - 0 14/1/6 14/7/7 15/1/5 15/7/6 出所:QUICK より東海東京調査センター作成 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 今週の参考銘柄 東 光 市場:東証1部 株 価(12/14):403.0円 (6801) 年初来高値 〃 安値 業種:電機 425.0 円 (12/1) 268.0 円 (8/26) ■業績推移 (単位:百万円、円) 売上高 伸び率 32,700 21.9% 33,574 2.7% 39,000 16.2% 42,000 7.7% 決算期 連 連 連 連 13/12 14/12 15/12 予 16/12 予 営業利益 伸び率 3,356 171.9% 2,734 -18.5% 3,500 28.0% 4,200 20.0% 経常利益 伸び率 3,251 251.0% 2,794 -14.1% 3,500 25.3% 4,100 17.1% 一株当たり 利益 配当 24.4 3.0 23.8 3.0 41.2 3.0 30.0 3.0 純利益 2,602 2,543 4,400 3,200 伸び率 22倍 -2.3% 73.0% -27.3% 予想は東海東京調査センター(萩原 幸一朗) 16/12期の純利益が減益予想となっているのは、15/12期に一過性の特別利益24億円を見込むため ■投資指標 15/12期 予 PER(株価収益率) 実績 PBR(株価純資産倍率) 15/12期 予 配当利回り 9.8 倍 16/12期 予 13.4 倍 時価総額 1.63 倍 (14/12期 1株純資産 246.5 円) 売買単位 0.74 % ROE(自己資本利益率) 10.3 % (14/12期) 430 億円 1,000 株 コイル専業、スマホ向けメタルコイルが好調 2000年以降、業績不振の半導体事業から撤退など苦戦が続いたが、スマートフォン(スマホ)の性能向上 に寄与するメタル(金属粉)コイルをけん引役に業績は回復傾向(図1)。14年3月に村田製作所の子会社と なり、グループ力による製品開発、生産性向上、販路拡大を図る。自動車向けコイル製品へも展開進む。 15/12 期、16/12 期連続 2 ケタ増益へ 15年1-9月期は前年同期比17%増収、同15%営業増益と好調(10/29発表)。15/12期の会社計画は前 期比13%増収、同2%営業増益だが、当調査センターは同16%増収、同28%営業増益と上ブレを予想。 グループ共同の製品開発、販路拡大が奏功、同社製品はスマホ各社の新製品に採用が進んでいるとみ るため。自動車向け製品も自動車電装化を背景に好調。16/12期も同8%増収、同20%営業増益と予想。 株価は 500 円程度を目指し上昇基調を持続へ 株価は15年1-9月決算発表後、急騰した。貸借倍率0.8倍(12月4日)と信用取組も好転しており(図2)、 当調査センターは、好業績を背景に、株価はさらなる水準切り上げを予想している。16/12期末の一株当 たり純資産を当調査センターは311円と予想しており、16/12期基準のPBRが1.6倍 (過去4年間平均の実績 PBR)となる500円程度を目標に、株価は上昇基調を持続するとみている。 <図 1:主な部門別売上高と営業利益> <図 2:株価(週足)と信用残高> 億円 1,000 900 800 億円 700 600 500 400 300 200 100 0 40 20 0 ‐20 ‐40 ‐60 ‐80 ‐100 ‐120 営業利益(右軸) 半導体商品 主な部門別売上高(左軸) その他 (川又 信之) コイル応用商品 450 430 410 390 370 350 330 310 290 270 250 円 東光(週足) 425(15/12/1) 373(15/5/15) 13週 移動平均線 268(15/8/26) 信用買い残高 千株 3,000 2,000 予 16/12 予 15/12 14/12 13/12 12/12 11/12 変 10/12 10/3 09/3 08/3 1,000 信用売り残高 0 14/5/19 出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター 10/12 期は決算期変更に伴う変則決算 - 9 - 14/11/17 15/5/18 15/11/16 出所:QUICK より東海東京調査センター作成 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 海外企業紹介銘柄 アクセンチュア・クラス A (Accenture plc) 市場:米国(ニューヨーク証券取引所) 銘柄コード:ACN 業種:IT サービス 決算月:8 月 ■事業内容 経営管理やIT戦略など幅広い領域においてコンサルティング、アウトソーシング受託を世界規模で展開。主要 顧客の公的機関、銀行、通信会社をはじめとして顧客の裾野は広い。米国監査法人アーサー・アンダーセンの コンサルティング部門が前身で、1989年に分離独立(2001年に現社名へ変更)。 ■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル) ■株価指標 売上高 決算期 純利益 伸び率 15/8 4Q(実績) 15/8(実績) 16/8 予 17/8 予 7,889 31,048 32,158 34,225 一株当たり 伸び率 1.4 3.5 3.6 6.4 738 3,054 3,402 3,675 利益 5.3 3.8 11.4 8.0 1.15 4.76 5.21* 5.70* 配当 - 2.04 2.23 2.44 業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース 株価(15/12/11) 52 週高値(15/10/28) 52 週安値(14/12/16) PER16/8 月期(予) 17/8 月期(予) 5 年平均予想 PER 時価総額 (ドル) (ドル) (ドル) (倍) (倍) (倍) (百万ドル) 105.30 109.86 81.66 20.2 18.5 17.3 68,989 デジタル関連で IT サービス市場での存在感を高める 2015年8月期は為替影響を除くベースで前期比11%増収(左下図参照)と、ITサービス市場全体(約+4%) を上回るペースで成長を遂げ、同市場でのシェアを大きく高めている。業績牽引役のデジタル関連は同 約35%増収と、データ解析やオンラインマーケティングなどを支援するサービスが好調。日本では小売業 のファーストリテイリングが業務革新のために同社と協業をスタートしている。 不透明な環境下でも経営効率化などの IT 投資は拡大 中国経済の減速など世界景気には不透明感も漂うが、経営効率化や事業再編に関する戦略立案や、 アウトソーシング受託といった同社が強みを持つ分野での収益機会は広がる公算が大きい。また、勝ち組 企業は成長のために前向きなIT投資を加速させる可能性もあろう。とりわけ、ソフトウェアなどをネットワー ク越しに利用する「クラウド・コンピューティング」の普及本格化で、クラウド環境構築をサポートする同社に 恩恵があろう。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との提携など積極的な同社の取り組みも注目される。 事業機会の拡大に加え、充実した株主還元も魅力的 今期予想ベースのPERはS&P500種(約17倍)を上回る水準だが、事業機会の広がりで利益成長期待は 高まりをみせており、同社株式は堅調なパフォーマンスが見込まれよう。また、フリー・キャッシュフローの 大半を配当及び自社株買いに充当する積極的な株主還元も魅力的といえよう。 <アクセンチュアの売上高推移> (10億ドル) 40 売上高成長率 35 (為替影響を除くベース、右軸) <アクセンチュア・クラスAの週足チャート> (%) 20 うちデジタル関連売上高 15 30 10 25 5 20 0 15 ‐5 10 ‐10 売上高(報告ベース、左軸) ‐15 5 ‐20 0 07/8 08/8 09/8 10/8 11/8 12/8 13/8 14/8 (中川 雅人) 15/8 出所:会社資料より東海東京調査センター作成 出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成 - 10 - 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 海外企業紹介銘柄 フェイスブック・クラス A (FACEBOOK, INC.) 市場:米国(NASDAQ:ナスダック) 銘柄コード:FB 業種:インターネットソフトウェア・サービス 決算月:12 月 ■事業内容 全世界で13億9,300万人(2014年12月末時点)の月間アクティブユーザーを有する交流サイト(SNS:ソーシャル・ネッ トワーキング・サービス)「フェイスブック」を運営。その他、写真・動画共有アプリケーション「インスタグラム」、メッセ ージ交換アプリケーション「メッセンジャー」「ワッツアップ」も傘下に持つ。 ■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル) ■株価指標 売上高 決算期 純利益 伸び率 15/12 3Q(実績) 14/12(実績) 15/12 予 16/12 予 4,501 12,466 17,457 24,083 一株当たり 伸び率 40.5 58.4 40.0 38.0 891 2,925 3,325 5,265 利益 配当 0.57* 1.77* 2.17* 2.86* 0.00 0.00 0.00 0.00 11.1 96.2 13.7 58.3 業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース 株価(15/12/11) 52 週高値(15/11/5) 52 週安値(15/8/24) PER15/12 月期(予) 16/12 月期(予) 上場来平均予想 PER 時価総額 (ドル) (ドル) (ドル) (倍) (倍) (倍) (百万ドル) 102.12 110.65 72.00 47.1 35.7 48.1 288,795 株式上場日:2012年5月18日 モバイル広告が業績をけん引し、市場予想を上回る好決算 2015年12月期3Q(7-9月)決算は、売上高が前年同期比40.5%増、株式報酬など特殊要因を除くベー スの一株当たり利益が同32.6%増となり、いずれも市場予想を上回った。①稼動広告主数の増加などに よる広告需要の伸長、②モバイルユーザーの増加およびエンゲージメント (利用頻度や利用の活発さ) の上 昇、③ニュースフィード上での広告表示回数を増加させたこと、などからモバイル広告が高成長を示した。 仮想現実(VR)事業の長期的な成長性に注目 同社は2014年7月、仮想現実技術を手がけるOculus VR社(以下Oculus)を買収。Oculusは今年11月、サ ムスン電子と共同開発のヘッドセット「Gear VR」(スマートフォンを装着し、仮想空間で動画やゲームなどを楽しめる)を 消費者向けに発売した。さらに、来年初にはヘッドセット「Rift」も発売する予定。VR対応コンテンツの充実 には時間を要すると思われることもあり、Oculusの短期的な収益貢献は限定的とみる。しかし、同社はVR を「モバイルに続く次世代のプラットフォーム」と位置づけており、長期的な成長事業として注目したい。 持続的な成長力が評価され、株価は一段の上値を試すと予想 「Facebook Lite」など新興国向けの取り組みが奏功し、特に「アジア・太平洋」や「その他」地域で月間 アクティブユーザー数の伸びが勢いを増している(左下図)点は好材料である。加えて、インスタグラム広告 の業績寄与拡大が期待できることなどもあり、同社株は一段の上値を試す展開を予想する。 <地域別月間アクティブユーザーの増加数(前四半期比)> (百万人) 60 50 40 19 30 20 22 10 0 1Q <フェイスブック・クラスAの週足チャート> その他 16 13 17 18 21 23 22 25 26 4Q 1Q 2Q 3Q 12 20 16 2Q 3Q アジア・太平洋 欧州 米国・カナダ 2014/12期 2015/12期 出所:会社資料より東海東京調査センター作成 出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成 - 11 - (堤 雄吾) 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 今週の「フォーカス・ワン」 < No.117 > 2016 年の My初夢は、「コウノトリ」と「ESG」投資(?) 2016年のテーマは、(1)ナショナル・レボリューションとしての、日本の国家的課題への取 り組みである①一億総活躍社会の実現(少子高齢化対応、女性活用)、②TPP(環太平洋経済連携 協定)の活用、③観光立国(インバウンド)の実現、④農業改革の推進、⑤電力の自由化 ―等 がそうだ。もう一つは(2)グローバル・イノベーションとしての、次世代技術の開発である①第 4次産業革命とも呼ばれるIoT(インターネット・オブ・シングス)、②自動車が自動車で無くなる(?) 自動運転、③介護など非製造業に広がるロボット、④ロケットや次世代航空機、⑤リニアや 高速鉄道、⑥iPS細胞を活用した先端医療 ― 等だ。特に、(2)の分野は、生産性の上昇と 潜在成長率の向上など、名目GDP600兆円の達成に役立つものが多く、世界に向けた市場 を広げる可能性も高い。そして、政府は日本企業のイノベーションを支援するため、「第5期 科学技術基本計画」でGDP比の1%、5年間に約26兆円の研究費を投じる目標を明記 (12/10)した。株式市場においても、2016年はこうした企業を応援する「コウノトリ」(10年後の日 本の未来に繋がる、中長期)投資がトレンディになることに期待したい。さらに、日本でも環境、社 会、企業統治のESG(Environment Social Governance)投資が広まってほしいものだ。(中井 裕幸) 今・来週のタイムテーブル ・ 国内では、12月25日(金)に11月の有効求人倍率、11月の家計調査、11月の消費者物価指数(CPI)などの発 表が予定されている。 ・ 米国では、12月22日(火)に11月の中古住宅販売件数、23日(水)に11月の個人支出・個人所得、11月の耐 久財受注などの発表が予定されている。 月日 12.21(月) 国内経済 10月の全産業活動指数 11月のスーパー売上高 11月のコンビニエンスストア売上高 月日 12.22(火) 11月の有効求人倍率 11月の家計調査 11月の消費者物価指数(CPI) 11月の完全失業率 11月の企業サービス価格指数 11月の住宅着工統計 10月の景気動向指数(改定) グラフィコ (4930 東証マザーズ) 一蔵 (6186 東証2部) 11月の鉱工業生産指数(速報) 11月の商業動態統計(速報) 米国経済 7~9月期のGDP(確報) 10月のFHFA住宅価格指数 11月の中古住宅販売件数 23(水) 11月の個人支出・個人所得 11月の耐久財受注 11月の製造業受注・資本財(非国防・航空機) 11月の新築住宅販売件数 12月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報) 24(木) クリスマス・イブにつき、米国株式市場は半日取引 (NY時間で午後1時まで) 25(金) 祝日(クリスマス)につき、米国株式市場は休場 29(火) 10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数 12月の消費者信頼感指数 30(水) 11月の中古住宅販売仮契約 31(木) 12月のシカゴ購買部協会景気指数 ケイアイスター不動産 (3465 東証2部) ソーシャルワイヤー (3929 東証マザーズ) 24(木) 28(月) マイネット (3928 東証マザーズ) ビジョ ン (9416東証マザーズ) プロパティエージェ ント (3464 ジャスダック) ソネット・メディア・ネットワークス (6185 東証マザーズ) 22(火) 25(金) 新規上場予定 経済指標の発表は変更されることがあるのでご注意ください。担当アナリストの取材およびブルームバーグ、日経クイック他より作成。 - 12 - 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 このレポートは、東海東京調査センターが作成し、宇都宮証券株式会社が許諾を受けて提供いたして おります。投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます 宇都宮証券の概要 商 号 等 : 宇都宮証券株式会社 加入協会 : 日本証券業協会 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第32号 リスクについて ◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買 等にあたっては、株式相場、金利水準等の変動や、投資信託、投資証券、受益証 券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、 商品等(裏付け資産)の価格や評価額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等 が変動することによって損失が生じるおそれがあります。 ◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付 け資産の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合、上場有価証券等 の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。 ◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利 を行使できる期間に制限がありますのでご留意ください。 ◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変 化することにより、為替相場が円高になる過程では外国証券を円貨換算した価値 は下落し、逆に円安になる過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇すること になります。したがって、為替相場の状況によっては為替差損が生じるおそれがあ ります。 ※ 裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券 等である場合には、その最終的な裏付け資産を含みます。 ※ 新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様 のリスクがあります。 - 13 - 宇都宮ウィークリー 平成27年12月21日 手数料等諸費用について Ⅰ 国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等 国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手 数料等は、次の通りです。 (1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く。) 委託手数料の上限は、約定代金の1.242%(税込)になります。 (2) 国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等 委託手数料の上限は、約定代金の1.08%(税込)になります。 ※上記金額が2,700円(税込)に満たない場合には、2,700円(税込)になります。 Ⅱ 外国金融商品市場等に上場されている株券等 外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます。)の取引には、国内の取引所金融商品市 場における外国株券等の売買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引 の2通りの方法があります。 (1)外国金融商品市場等における委託取引 ① 国内取次ぎ手数料 国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。 当該手数料の上限は、約定代金の1.188%(税込)になります。 ② 外国金融商品市場等における委託手数料等 外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公 課その他の諸費用が発生します。当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて 決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。 (2)国内店頭取引 お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基 準に合理的かつ適正な方法で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差 がそれぞれ原則として2.5%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該参考価格には 手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。 ※ 外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動 向をふまえて当社が決定した為替レートによるものといたします。 Ⅲ その他 募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払いいただきます。また、お客様との合意に 基づき、別途手数料をいただくことがあります。 セミナー等の開催について このレポートで紹介するセミナー等では、金融商品取引契約の締結の勧誘(勧誘を目的とした具体的 商品の説明を含む)を行うことがありますのでご留意ください。 - 14 - ◆ 営業店のご案内 ◆ 店 舗 住 所 電話番号 本店営業部 〒320-0801 栃木県宇都宮市池上町 4-4 028-614-5111 宇都宮東支店 〒321-0953 栃木県宇都宮市東宿郷 3-2-18 028-633-0411 今市支店 〒321-1261 栃木県日光市今市 474 0288-21-1010 鹿沼支店 〒322-0051 栃木県鹿沼市久保町 1864-9 0289-64-1131 真岡支店 〒321-4361 栃木県真岡市並木町 4-5-10 0285-84-6511 西那須野支店 〒329-2753 栃木県那須塩原市五軒町 6-4 0287-28-5511 -----宇都宮証券 「金融セミナー」 開催----今市支店 鹿沼支店 本店営業部 12月18日(金) 15:30~16:30 12月22日(火) 15:00~16:00 12月25日(金) 15:30~16:30 今市支店 鹿沼支店 ホテル丸治 TEL 0288-21-1010 TEL 0289-64-1131 TEL 028-614-5111 *詳しくは、最寄りの営業部店にお問合せ下さい。 当社の概要 商号等:宇都宮証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第32号 加入協会:日本証券業協会 ◎金融商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には 価格等の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の契 約締結前交付書面等をよくお読みください。 今回ご紹介するセミナー等では、セミナーでご紹介する商品等の勧誘を行うことがありますので、ご留意ください。
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