Kobe University Repository : Kernel Title 野球における進塁時間短縮方法に関する研究 Author(s) 大岡, 昌平 / 藤村, 美歌 / 前田, 正登 Citation 体育・スポーツ科学, 22: 41-48 Issue date 2013-06 Resource Type Journal Article / 学術雑誌論文 Resource Version publisher URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/90002691 Create Date: 2015-04-16 体育・スポーツ科学 2 2:4 1-4 8,2 0 1 3 (研究資料〉 野球における進塁時間短縮方法に関する研究 大 岡 昌 平 1 ) 藤 村 美 歌 1) 前 田 正 登 2) Meansofs h o r t e n i n gbaserunningtimei nb a s e b a l l S h o h e iOhoka1, MikaF u j i m u r a1, MasatoMaeda2 A b s t r a c t Thep u r p o s eo ft h i ss t u d ywast oi n v e s t i g a t emeanso fs h o r t e n i n gb a s e r u n n i n g( B R )t i m ei nb a s e b a l . lTh 巴 p a r t i c i p a n t s 0b a l l p l a y e r so fac o l l e g i a t 巴b a s e b a l lc l u b .Thea n a l y s i sexaminedBRfroms e c o n db a s et ohomep l a t e,ands t r a i g h t wer巴 1 巴 s am巴 l i n e a rd i s t a n c巴 ( 5 4 . 8 6 4m ) .Fourn o r m a l s p巴edv i d 巴oc ameras,whichweres y n c h r o n i z e dt o r u n n i n g( S T )c o v e r i n gt h av i d 巴oc o u n t e r,r e c o r d e de a c hp a r t i c i p a n ta sh er a nt h eb a s e s .Thep a r t i c i p a n' tsc e n t e ro fg r a v i t ywasc a l c u l a t e dbyt h r 町一 d i m e n s i o n a ld i r e c tl i n 巴a rt r a n s f o r m a t i o n .Thev e l o c i t yandt r a j e c t o r yo ft h ep a r t i c i p a n t 'sc 巴n t e ro fg r a v i t ywered e t e r m i n e d Th巴 r e s u l t swerea sf o l l o w s :( 1 )Therewasap o s i t i v ec o r r e l a t i o nbetweenSTt i m eandBRt i m e ;( 2 )t oa c h i e v eh i g h e r o r巴 r e a c h i n gt h i r db a s e,t h ep a r t i c i p a n t sf o l l o w e daBRr o u t ea p p r o p r i a t 巴 t ot h er u n n i n gv e l o c i t y ;( 3 ) r u n n i n gv e l o c i t yb巴f i g h 巴rr unnmgv巴l o c i t yc o n t r i b u t 巴st os h o r t e n i n gBRt i m e . betweent h i r db a s eandhomep l a t ei np a r t i c u l a r,h KeyWords:b a s e b a l l,b a s e r u n n i n g ,b a s e r u n n i n gt r a j e c t o r y,r u n n i n gv e l o c i t y キーワード:野球,ベースランニング,走塁経路,疾走速度 I.緒言 野球の走塁について,羽鳥(19 7 7 ) は「野球では走塁の 時刻に刺激が発現するかで自動的に決まり,自分では決め られない.野球の試合においては アウトカウントや打球 巧拙が得点能力に大きな影響を及ぼす.攻撃力を十分に生 位置なと状況に応じた走塁経路の選択が必要となるた かすためには優れた走塁が必要であり,走塁技術に優れて め , どちらの足でベースを踏むかよりも, どのような走塁 いれば多くの得点機会を作ることができる」と述べてい 経路であるかに着目する必要があるものと考えられるが, る.このことから,走塁は少ないチャンスを得点に繋げる これまでに走塁経路に着目した研究は見られない. 重要な役割を果たしていると考えられる.特に,相手チー 1 9 7 7 ) は本塁から二塁まで 野球の走塁に関して,羽鳥 ( ムとの力が桔抗している場合には走塁の良し悪しで勝敗が の走塁を分析し 50m走における疾走タイムと本塁から 0 1 1 ) また,水野 ( 2 0 0 9 ) 決まることも少なくない(鈴木, 2 二塁までの疾走タイムとの聞に,有意な正の相関関係があ は「攻撃的な走塁を積み重ねていくことで,それが目に見ノ ることを報告している.しかし野球の走塁では,触塁し えない力となって試合の流れを変え,最終的に得点へと繋 ながら走方向を変更する必要があり,直線走における疾走 がっていく」と述べており,得点の有無にかかわらず,走 能力だけでなく,走方向を変更する技術も必要で、ある(鈴 塁の質によって試合中における相手チームへ与えるプレッ 0 0 8 ) . したがって,直線走の疾走能力に劣る 木と榎本, 2 シャーも大きく変わってくることが考えられるー 選手であっても,走塁経路を工夫し方向変更を素早く行う これまでにも走塁に着目した研究が,いくつかなされて ことによって,走塁時聞を短縮させている可能性も考えら いる.その中で,ベースランニングの際の触塁について, れ,直線走の疾走能力に優れる選手の走塁との違いを明ら 9 91)とするものと, 右足による触塁が望ましい(市丸, 1 かにすることは重要で、あると考えられる 左足による触塁が望ましい(水野, 2 0 0 9 ) とするものがあ 1 9 7 7,1 9 7 8 ) の研究では,本塁から二塁ま また,羽鳥 ( 2 0 0 4 ) による り,その見解は一定ではない.また,大築 ( でを対象としていたが,本塁から二塁までの走塁と,二塁 と,方向変更のための第 l歩がオープンステップになる から本塁までの走塁では目的が異なる か.クロスステップになるかは,走行の lサイクルのどの の走塁については,本塁への帰還が得点を意味することか 1)神戸大学大学院人間発達環境学研究科 干6 5 7 8 5 0 1 兵庫県神戸市灘区鶴甲 3 1 1 2) 神戸大学 〒6 5 7 8 5 0 1 兵庫県神戸市灘区鶴甲 3 1 1 二塁から本塁まで G r a d u a t eS c h o o lo fHumanD e v e l o p m e n ta n dE n v i r o n m e n t, K o b eU n i v e r s i t y 6 5 7 8 5 0 1, ] a p a n 3 1 1T s u r u k a b u t o, N a d a, K o b e, H y o g o, 2 K o b eU n i v e r s i t y 6 5 7 8 5 0 1, ] a p a n 3 1 1T s u r u k a b u t o, N a d a, K o b e, H y o g o, 42 (大岡・藤村・前回) ら,更なる進塁の可能性を考慮する必要がない.実際の試 グラウンド整備を行った 合において,特に二死二塁の場面では,一般的に打球判断 を行う必要性が低いとされており,他の場面と比べて,三 塁走者は本塁に早く到達することを重要視している この X~ ことから,三塁から本塁までの走塁について検討を行う必 要があると考えられる. 本研究では,二塁から本塁までの走塁経路を分析し進 v i d e o v i d 巴oc amera(60fps) n i t o r_ 塁時間短縮のための走塁方法を検討する. 汀lO ISTART I I .方 法 2 . 1 被験者 被験者は大学の硬式野球部および準硬式野球部に所属 0 し,普段からベースランニングの練習を行っている選手 1 名とした (TableU. なお,被験者には,本実験の趣旨, 内容についてあらかじめ説明し,同意を得た上で実験を 行った. v i d e ocamera(6O f p s ) 被験者 A B C D E F G H I J Mean S . D . T a b l e 1 身長 ( C m) 1 7 0 1 6 8 1 7 0 1 6 9 1 7 3 1 7 2 1 7 0 1 6 0 1 6 0 1 8 0 . 2 1 6 9 5 . 6 被験者の特性 体重 年齢 ( k g ) 6 7 5 9 6 5 6 9 6 2 7 3 6 5 日 6 0 6 8 6 4 . 1 5 . 5 歳) 2 0 2 1 2 2 2 0 2 1 2 1 2 3 2 0 2 3 2 1 21 . 1 1 . 1 F i g . 1 1 BRにおける実験構成 野球経験 (年) 1 2 1 2 1 4 1 2 1 1 1 0 1 0 1 2 1 5 , GOAL c が 5 1 1 . 3 2 . 7 ぷ ミ x F i g . 1 2 STにおける実験構成 2 . 2 実験方法 被験者には,試合時と同様にスパイクを着用させた上 で,二塁を出発点とし三塁を経由する本塁へのベースラン 2 . 3 撮影方法 実験試技の撮影は, 4 台のビデオカメラ(撮影速度 B R ),および直線走 ( S T ) を行わせた ( F i g . 11, ニング ( 6 0 f p s,露出時間 1 1 1 0 0 0 秒)により行い,カウンター ( V i d e o F i g . 12 ).いずれの試技条件においても,被験者はベース C o u n t e rPH-1540,DKH社)を用いて完全に同期した. (BR条件では二塁, ST条件では本塁から三塁の延長線上 2台 の ビ デ オ カ メ ラ (DXC-200 , A SONY社 製 ) で 二 塁 4 . 8 6 4 m地点に設置したベース)に左足で触塁した状態 、 で5 か ら 三 塁 ま で の 疾 走 動 作 を 撮 影 し も う 2台のビデオカメ で構え,験者の合図で疾走を開始し,三塁に触塁,本塁に XC-009,SONY社製)で三塁から本塁までの疾走動 ラ ( 到達するまでを可能な限り早く行うように指示した 実験 作を掲影した本研究で用いた座標系は,本塁から三塁に 被 向かう方向を x軸の正方向,二塁から三塁に向かう方向 試技は BRを 3本 お よ び STを 1本 の 合 計 4本とした 験者の疲労を考慮して,試技聞には十分な休憩時間を設け を y軸の正方向,鉛直方向の上向きを た実験試技は土のグラウンドで、行ったため,繰り返し行 るように定義した Z 軸の正方向とな われる実験試技により,グラウンドコンディションが変化 していくことが予想される.そこで本研究では,試技を行 う被験者の順番をランダムに設定し,また,各試技聞には 2 . 4 キャリプレーション 本研究では,二塁と三塁, および三塁と本塁とを結ぶ, 43 野球における進塁時間短縮方法に関する研究 疾走方向に 1 6か所,疾走方向に対して左右の方向に 4か て 身 体 特 徴 点2 3点の三次元座標を算出し,阿江(19 9 6 ) 所,および Z 朝l 方向に 5か所の合計3 2 0点のキャリプレー の身体部分慣性係数を用いて身体重心位置を求め,分析 ションポイントを用いて行二った.キャリプレーションの市古 区間における身体重心の位置座標の時間変化を得た . Yおよび Z軸方向について, 果,本測定による誤差は. X これを身体重心位置の移動経路とし,被験者の疾走経路 BR条件の二塁と三塁との聞においてそれぞれ. 0 . 0 1 8 m . を評価した.なお,算出した位置座標データは平滑化 0 . 0 4 8 mお よ び0 . 0 1 4 m . であり,三塁と本塁との聞にお ( B u t t e r w o r t hl o w p a s sd i g i t a lf i l t e r . 遮断周波数6 H z )を いて O0 5 2 m . .0 . 0 2 8 m . および、 0 . 0 1 6 mであった.また, 行った. ST条件の二塁と三塁との聞においてそれぞ、れ. 0 . 0 4 8 m . ④ 目 0 . 0 1 8 mお よ び0 . 0 1 4 mであり 三塁と本塁との聞におい L34max および D 23m日 • D34max 三塁ベースの本塁側の 辺を通り. Y軸に平行な線を二塁・三塁最短経路線,三塁 て. 0 . 0 4 3 m .O . Ol O m . および、0 . 0 2 2 mであった. ベースの二塁側の辺を通り. x軸に平行な線を三塁・本塁 向 方心 ワμ 世宜一紬判 rhリ ---JF 旦 ニ ジ一泊 崩十/l¥ シ一 Um --4 v d レ一 ブ一向 リ一方リ ヤ一軸仕 キ 一 x Table2 Lぉm a x ' 疾走経路を評価するにあたって i g .2に示すような 最短経路線として. F び D23max. D 出町田を算出した Lぉm a x . L34m 阻およ 出は,二塁・三塁間にお L23m ける,二塁・三塁最短経路線と身体重心とがなす距離の最 一塁・三塁間 0 . 0 1 8 0 . 0 4 8 0 . 0 1 4 三塁・本塁間 0 . 0 5 2 0 . 0 2 8 0 . 0 1 6 二塁側の辺と身体重心との y座標の差としたー同様に, 三塁・三塁間 0 . 0 4 8 0 . 0 18 0 . 0 1 4 出は三塁・本塁聞における,三塁・本塁最短経路線と L34m 目 。0 4 3 0 . 0 1 0 0 . 0 2 2 ( B R ) ( B R ) ( S T ) 三塁・本塁間 ( S T ) 大値とし • D 23m 出は L23m目出現時における,三塁ベースの 身体重心とがなす距離の最大値とし • D34maxは L34max出現 時における,三塁ベースの本塁側の辺と身体重心との x 座標の差とした 2 . 5 分析方法 (1)分析区間 被験者の左足の腫が二塁を離れた瞬間,および本塁に触 一疾走経路 塁する瞬間を収録した映像より判断し,被験者の左足の躍 T-T走方向変換区間 が二塁から離れた瞬間の 1 0コマ前から本塁に触塁する瞬 間の 1 0コマ後までを分析対象とした また,左足の躍が 口 里 担I 二塁を離地した瞬間から三塁に触塁するまでを二塁・三塁 間,三塁に触塁した瞬間から本塁に触塁するまでを三塁・ 本塁間とし分析に用いた. h L田 mo< ( 2 ) 算出項目 ①ベースランニングタイム BR条件において,被験者の左足の腫が二塁を離れる瞬 間,および本塁に触塁する瞬間を映像より判断しその聞 に要した時間をベースランニングタイム(以下. BRタイ ム)とした.なお. BRについては. 3本の中で最も BR タイムが短かった試技について,各項目を算出した F i g . 2 剖および走方向変更区間 L23max. L34max と D23max,D34m ②直線走タイム ST条件において,被験者の左足の腫がスタート位置に 設置したベースを離地する瞬間,および本塁に触塁する瞬 ⑤疾走移動距離 身体重心位置の時間変化より 各コマの移動距離の総和 間を映像より判断しその聞に要した時間を直線走タイム を疾走移動距離とした (以下. STタイム)とした ⑥疾走速度および最大疾走速度出現地点 ③身体重Jレ位置の移動経路 分析区間における疾走移動距離を時間微分することによ 撮影した映像をパーソナルコンピュータに取り込み, り,疾走速度を算出した.疾走速度については • Lぉm日出 三次元動作解析ソフトウェア (Frame-DIAS1 1V33 D . 現時の疾走速度(以下. Vt). 三塁触塁時の疾走速度(以 D K H杜 ) を 用 い て 分 析 を 行 っ た 三 次 元 D L T法を用い 下. V 2 ) および L34m目出現時の疾走速度(以下 • V3) に加 44 (大同・藤村・前回) え,三塁触塁時を基準として,その前後 3歩の疾走速度の T a b l e 4に,全被験者の最大疾走速度およびその出現位 これらの値について,疾走速 置を示す.最大疾走速度が出現する地点が, STにおいて V1を減じ 0名中 6名が三塁触塁以降, BRにおいては 1 0名全員が は1 た値を f ' .Vl-2,V3から V1を減じた値をム Vl-3,三塁触塁前 三塁触塁以前であり, STと BRでは,最大疾走速度の出 i n o u tと の疾走速度から触塁後の疾走速度を減じた値をム V 現位置が異なる傾向にあった 平均値をそれぞれ算出した 度および各時点聞の疾走速度差(以下,むから する)と BRタイムとの関係について検討・した また,疾 F i g . 4に三塁触塁前後の疾走速度の関係を示す. STにお 走速度の最大値が出現した時点における疾走移動距離か 0名中 9名が三塁触塁後に疾走速度は増 いては,被験者 1 ら,三塁触塁時における疾走移動距離を減じた値を最大疾 0名中 9名におい 加していたが, BRにおいては,被験者 1 走速度出現位置として算出した て三塁触塁後に疾走速度が低下していたまた, STおよ び BRのいずれにおいても 三塁触塁前と触塁後の疾走速 ST:r = 0 . 7 2 1, 度との聞に有意な相関関係が認められた ( ( 3 ) 統計処理 各分析項目聞の関係性を検討するため, ピアソンの積率 p < 0 . 0 5, BR:r = 0 . 6 8 5, p < 0 . 0 5 ) . F i g . 5 1お よ び F i g . 5 2に STタイムと各区間の BRにお 相関係数を用いた.なお,有意水準は 5 %未満とした. STタイムと二塁・三 ける疾走移動距離との関係を示す i l l . 士土 r = 塁間の疾走移動距離との聞には有意な負の相関関係 ( 果 ド ロ < 0 . 0 5 ) が認められた一方, STタイムと三塁・ 0 . 6 4 8,p 3 . 1 STと BRの関係 本塁間の疾走移動距離との聞には有意な相関関係は認めら T a b l e 3に 全 被 験 者 の STタ イ ム お よ び BRタイムを, れなかった F i g . 3 に STタイムと BRタイムの関係を示す. STタイム r と BRタイムの聞には有意な正の相関関係が認められ ( =0 . 9 5 4,p < O . Ol ) , STタ イ ム が 短 い 被 験 者 は BRタイム ABCDEFGHIJ も短い傾向にあった. Table3 STタイムおよび BRタイム STタイム BRタイム 被験者 A B C D E F G H 10 4 ¥ E )恒例 刷 協 巡 附 謹 附 川 odau ( s ) 7 . 4 7 7 . 3 0 7 . 7 7 8. 45 7 . 8 2 7 . 9 0 7 . 3 7 8 . 0 2 8 . 3 2 7 . 9 2 7 . 8 3 . 38 0 (的 J Mean S . D . ( s ) 6 . 8 8 6 . 8 8 7 . 4 2 8 . 12 7 . 25 7 . 6 0 6 . 9 3 . 32 7 8 . 0 2 7 . 4 2 7 . 3 8 0 . 4 4 T a b l e 4 BRおよび STにおける最大疾走速度およびその出現位置 m / s ) 最大疾走速度出現位置 ( m ) 最大疾走速度 ( 被験者 BR ST BR ST 9 . 5 2 9 .臼 0 . 6 5 0 . 8 1 1 . 19 0 . 9 7 9 . 5 8 9 . 8 9 8 . 9 7 8 . 9 8 0 . 9 7 3 . 8 5 . 27 9 . 0 0 2. 2 2 1 . 14 8 . 10 9 . 5 0 0 . 9 2 l .3 3 9 8 . 6 2 9 . 0 9 2 . 0 7 1 . 15 9 . 6 0 9 . 8 9 5. 21 0 . 9 6 . 2 2 0 . 6 2 0 . 7 6 8 . 7 1 9 15 8 . 9 8 8 . 7 7 0 . 3 4 0. 8 . 6 1 9 . 3 3 1 . 6 5 0 . 9 1 9 . 0 , J , ,, H ハハ U quRU (︿ 50 13 2p + ' XRU Fr 的同 04 , 7. 5 , 7 . 0 , 7 . 0 6 . 5 , 7 . 5 ,〆 • • , , 田 , ,, , , 江 • RU 、 "8.0 O、 LE ・ / - • ・ . - ( J ) 4 , , , , 8 . 5 ﹃J y=0.830x+1.703 r=0.954,p<0.01 7 8 10 三塁触塁前疾走速度 ( m / s ) Tおよび B Rにおける三塁触塁前後の疾走速度の関保 F i g. 4S 8 . 0 ST タイム ( s ) F i g . 3 STタイムと BRタイムの関{系 8 . 5 45 野球における進塁時間短縮方法に関する研究 2 8 . 0 O ﹄つ﹄ 7, ︽ ζ n b y~-0 .4 36x+30.251 r~-0.648. pく0 .05 QU7' nUR ¥E)恒例市制桜山町会得リて県富山相 ﹂ ( 的 ζ / •s •• • • • • 民u ﹃,/, 内 〆 フ ( E )糧出フ 国語能川哨様GE附川・附川時台勾リE M U 10 。 O - 8 G V, :y~ ー 1.1605x+16.574 r~-0.942. p く0 . 0 1 2 6 . 0 6 6. 5 7 . 0 7 . 5 8 . 0 8 . 5 7 . 5 7 ST ヲイム ( 5 ) F i g . 5 1 V: ,y~ ー 1.6916x+21.352 r~-0 .8 86. p く0 . 0 1 8 . 5 B STタイムと二塁・三塁聞の疾走移動距離の関係 F i g . 6 1 BRタイムと各時点における疾走速度の関係 2 8 . 5 2 O • tN;_ ム 。V'.2 糧 1 1 1 里 27.0 i 9 庄 - • •。。• 。•• •• 。。 O O O G 。 7 . 0 7 . 5 8 . 0 7 8 . 5 S Tタイムと三塁・本塁聞の疾走移動距離の関係 3.2 BRにおける疾走速度 G O B 9 BRタイム(5) ST 宝イム ( 5 ) F i g . 5 2 O 主4 田 2 6 . 5 6 . 5 。 附 o 2 7 . 5 附 特 。 + l ' ! 桜 Q O ムV1.3 O nu •• • • • • •• • a ! 28口 語 総 司﹄ ¥ E )制悩岡市制峰山町主将は岡山眠相 ( 凶 E ~ 9 BR タイム ( 5 ) F i g . 6 2 BRタイムと各時点、間の疾走速度差の関係 3.3 走方向変更区間における疾走 F i g . 6 1に BRタイムと各時点における疾走速度との関 F i g . 7 1に L23max と D23maxの関係を, F i g . 7 2に L34m担と 係を示す. BRタイムと各時点における疾走速度との聞 日と D23maxの聞には有意な相関 D34maxの関係を示す. L23m ニ0 . 8 2 3, に は 有 意 な 負 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た (V1 :r 関係が認められなかったが,Lぉmax と D34maxの間には有意 pく0 . 0 1, V2 :r = 0 . 8 8 6, pく0 . 01 . V3 :r=0.942. p<O.Ol).ま な正の相関関係 ( r = 0 . 7 5 1,p < 0 . 0 5 ) が認められた た,全被験者に共通して V2よりもれの方が小さな値を示 F i g . 8に , した 示す F i g . 6 2に BRタイムとム VI-2, ムVI-3および 1 ' 1V i n o u tとの 関係を示す いずれの時点聞における疾走速度差におい ても, BRタイムとの聞には有意な相関関係は認められな かった. Lぉmax と二塁・三塁聞における疾走移動距離を I 引 n a x と三塁・三塁聞における疾走移動距離の聞に r = 0 . 6 6 5 .p < 0 . 0 5 ) が認められ は,有意な正の相関関係 ( た. 46 (大岡・藤村・前回) N. 考 14 • 1 2 、 ; ; " ~ 1 0 Q i . B 6 1 .5 4. 1 STと BRの関係 ( 1 ) STタイムと BRタイムとの関係 •• • •• • • E 察 7 7,1 9 7 8 ) や原田と植屋 ( 1 9 6 9 ) は,野球の 羽鳥(19 攻撃においては走者を得点圏に進めることが重要である としスタンデイングスタートによる本塁から二塁まで のベースランニングについて検討している.それらにおい . 1 1 6秒(羽 て,野球選手のベースランニングの平均値は 8 9 7 7 ),8. 11 9 秒(羽鳥, 1 9 7 8 ),および8 . 0 4 秒(原田と 鳥 , 1 9 6 9 ) であったことが報告されている.これらの先 植屋, 1 2 . 0 2 . 5 3 . 0 3 . 5 4 . 0 4 . 5 L 2 3 ( m ) 1l似 F i g . 7 1 行研究においては,被験者は本塁から二塁へのベースラン ニングを行っており,本研究で行った二塁から本塁への ベースランニングとは設定した状況は異なるものの,疾走 L23max と D23maxの関係 距離およびベースの位置関係はほぼ同じであると考えられ る 14 Table2のように,本研究における被験者の BRタイム . 8 3: t0 . 3 8 秒であったことから,先行研究と比 の平均値は 7 べて比較的 BRタイムが短い被験者であったと言える. y~1.992x+3.871 1 2 • •• •. • .. • • • r~0.751. 。 8 pく0 . 0 5 F i g . 3に示されるように, STタイムが短い被験者は, BRタイムもヂ互いことカf明らかとなった と本塁から三塁までの疾走タイムとの聞に有意な正の相関 関係が認められたことを報告しており,本研究はこれらの 先行研究を支持する結果となった 能力に優れていることは 2 . 0 m吋と 6 3 . 5 4 . 0 このことから,直線走 ベースランニングにおける進塁 時間短縮のためには,重要なことの一つであると考えられ る 係 m 聞 の 出 lL F i g . 7 2 hD 2 . 5 羽鳥(19 7 7 )お 1 9 6 9 )は , 50m走における疾走タイム よび原田と植屋 ( ( 2 ) STと BRにおける疾走速度の変化 STと BRの最大疾走速度の出現位置および本塁到達ま E での疾走速度に着目すると, STにおいては,三塁触塁後 28 事 吉 田i 1 0名中 6 に最大疾走速度が出現する被験者が比較的多く ( D鵠 諸 色 白 e ! l o 字 一 “ 剛 1 1 1 附 y~0.31 " ' • 今、 将 ! l 26.5 江 田 達していた ( T a b l e 3 ) . STにおいて,被験者 1 0名中 9名 が三塁触塁後の疾走速度が増加していた一方で, BRにお 3x+26.067 p く0 . 0 5 r~0.665 , 27 名 ) , BRでは三塁触塁前に全被験者が最大疾走速度に到 •・ • •• • t f . !27.5 域 0名中 9名が三塁触塁後に疾走速度が低下 いては,被験者 1 F i g . 4 ) 篠原ら ( 2 0 1 2 ) は,野球を含む球技系 していた ( スポーツ選手の 50m走における最大疾走速度は, スター トからおよそ 30m地点付近に出現することを報告してい る.篠原ら ( 2 0 1 2 ) の報告は触塁を伴わない直線走を対象 26 1 .5 2 2 . 5 3 3 . 5 4 4 . 5 L23~.(m) F i g . 8 L23maxとBRにおけるこ塁・三塁の疾走移動距離の関係 としているが,本研究においても STの最大疾走速度の出 2 7 . 4 3 2 m以降)であった被験者が多 現地点は三塁触塁後 ( く,概ね同様の結果となったつまり,直線走において三 塁に触塁することはその後の疾走速度の推移には影響を及 ぼさない可能性が考えられる.他方 BRにおいては,三塁 触塁後の疾走速度が三塁触塁前より低下しており,全被験 者において最大疾走速度が三塁触塁前に出現していた つ 47 野球における進塁時間短縮方法に関する研究 まり,走方向を変更しながら触塁することは,疾走速度の 踏まえると,より短い距離で大きな疾走速度を得ることが 低下を招き,さらに,触塁後の疾走速度の増加も困難にな 二塁・三塁間の進塁時間短縮に有効であると考えられた る可能性が考えられる ( 3 ) 三塁・本塁間の走塁経路 4.2 BRの各区間にあ、ける走塁 ( l )B Rタイムと各時点における疾走速度 BRタイムと各時点における疾走速度との聞には,強い が,三塁・本塁聞の走塁経路は疾走能力に影響されるもの 負の相関関係が認められた ( F i g . 6 -1 ).つまり,各時点に とは認められなかった ( F i g . 5 2 ).一方で, L2 2 3 m a x 日と D 3 m おいて高い疾走速度で走塁を行うことは,本塁に早く到 との聞には有意な相関関係は認められなかった ( F i g . 7 -1 ) 達するためには重要であると言える.その一方で!'1Vl-2, が , L 3 4 m a xと D 3 4 m a xとの聞には有意な正の相関関係が認め BRタイムとの聞に相関関係は られ ( F i g . 7 2 ),三塁触塁後の走塁経路の膨らみ方には規 i n o u tは , ! ' 1Vl-3および ! ' 1V 二塁・三塁間の走塁と同様に,三塁・本塁聞の走塁にお いても走塁経路を選択することは可能であるはずである および F i g . 6 2 ).その中でも,ム Vl-2 認められなかった ( 則性が存在していた : 0 . 5 8 : ! :0 . 5 8 m / s, ! ' 1Vi ! ' 1Vl-2 n叫にはばらつきが見られた ( らずいずれの被験者も同様の割合で膨らむ経路であったと ! ' 1V i n o u t : -0 . 4 9土 0 . 2 9 m / s ) が,それらを含む区間の疾走 考えられ,三塁・本塁聞において進塁時聞を短縮するため 速度差である!'1Vl-3は,被験者間における疾走速度差のば の走塁経路は,直線走の能力によらないものであると考え . 0 6 : ! :0. 23 m / s ) . これらのこ らつきがやや小さかった (-0 られる. とから,走方向変更区間全体では疾走速度の変化に個人 差が表れにくく, BRタイムを短縮させるためには, L 2 3 m a x つまり,三塁触塁後は疾走速度によ 以上のことから,二塁・三塁間とは対照的に,三塁・本 塁間では疾走能力により走塁経路に特徴的な傾向が認めら 出現時に高い疾走速度を獲得して,走方向を変更する区間 れることはなかった.つまり三塁・本塁聞においては,疾 で、の疾走へと円滑に移行していくことが重要で、あると考え 走能力に応じた走塁経路の調節はさほど必要ではなく,可 られる. 能な限り大きな疾走速度での走塁が進塁時間の短縮に大き く貢献しうる区間であると推察される. ( 2 ) 二塁・三塁間の走塁経路 F i g . 5 1のように, STタイムが短い被験者ほど二塁・ 三塁聞における疾走移動距離は長いことが明らかとなっ 4.3 三塁触塁前後の疾走 J i n d r i c he ta . l( 2 0 0 6 ) は,走方向変更時の方向変更角 た 他 方 で L2 3 m a xが大きい被験者は,三塁・三塁間にお 度を大きくするためには F i g . 8 ) これらのことか ける疾走移動距離は長かった ( が重要であると述べている. しかし本研究においては, 身体重心速度を減少させること , ら STタイムが短く直線走が速い被験者は L 2 3 m a xを大き ! ' 1Vl-2 F i g . 6 2 ), の値が正の値であった被験者が多く ( くすることで疾走移動距離を長くしていたと考えられる. 被験者は速度を増加させながら三塁触塁を行っていた L e t z e l t e r( 2 0 0 6 ) は,陸上の短距離選手において,最大 BRにおいては,三塁触塁後の疾走速度は触塁前と比べて 疾走速度が大きな選手は最大疾走速度に到達する距離も長 F i g . 4 ),また,三塁触塁前より 低下した被験者が多く ( くなる傾向にあると述べている.本研究では,いずれの被 験者においても BRにおける最大疾走速度は三塁触塁前に も大きな疾走速度を触塁後に獲得することは困難である ( T a b l e 3 ).これらのことから,三塁触塁時においては, 出現しており,選手は三塁触塁前までに大きな疾走速度を 疾走速度を低下させて走方向変更角度を大きくするより 獲得する必要があることを認識してベースランニングを も,高い疾走速度のままで触塁を行う方が進塁時間の短縮 行っている可能性がある STタイムが短く直線走が速い に貢献し得るものと推察される. 被験者は,三塁触塁時までに最大疾走速度に到達するため 三塁触塁後の走塁経路は被験者間で同様 ( F i g . 7 2 )で に L2 出を大きくすることで,長い加速距離を獲得してい 3 m あり,かつ, ムVl-3は被験者間であまり大きな差は見られ たものと推察される. F i g . 6 2 ).このことから被験者は,三塁触塁後 なかった ( このように,本研究の被験者は二塁・三塁間において の疾走速度が過度に低下しない範囲で,走方向の変更を 各々の直線走の能力に応じて走塁経路を調節しており,主 行っていたと考えられる.進塁時間をさらに短縮するため に走塁経路の左右方向の膨らみの大きさを変化させること には,より大きな疾走速度で同じ走塁経路を疾走する,も つまり,二 しくは同じ疾走速度でより急激に走方向の変更を行うこと によりその調節を行っていたと考えられる 塁・三塁聞は,個々人の直線走の能力に合わせた走塁経路 で疾走することで,三塁触塁時までに大きな疾走速度を獲 得する区間となっているものと推察される.以上のことを ができるようになることが有効であると考えられる. 48 (大同・藤村・前回) r u n n i n gt u r n s .] .Biomech39:1 6 1 1 1 6 2 0 . v .総 括 .( 2 0 0 6 ) Thedevelopmento fv e l o c i t yand L e t z e l t e r,S 本研究では,二塁から本塁までの走塁経路を分析し進 a c c e l巴r a t i o ni ns p r i n t s, A comparisono fe l i t eand j u v e n i l ef e m a l es p r i n t e r s . NewS t u d i e si nA t h l e t i c s,3 : 塁時間短縮のための走塁方法を検討した 大学の硬式野球部および準硬式野球部に所属する 1 0名 を被験者として,二塁から三塁を経由した本塁への走塁 ( B R ) と,同距離での中間地点で触塁を必要とする直線走 ( S T ) を行う様子を 4台のビデオカメラで撮影した 1 5 2 2 水野雅章 ( 2 0 0 9 ) 野球の中での走り,状況に応じた走り 方. T r a i n i n g] o u r n a lN O . 3 5 3:1 9 2 4 . 得ら 内藤法永・桜井伸二 ( 2 0 0 5 )S t a n d i n gP o s i t i o nからの横方 れた映像を用いて三次元 DLT法により身体重心位置を算 向への各種スタート動作についての力学的評価.中京大 出しその時間変化について分析を行った. 学体育学論, 4 6( 2 ) :5 9 7 0 . 大築立志・梁瀬素子・青木恵子(19 8 6 ) 球技における走方 結果は以下の通りである. l目STタイムと BRタイムの聞には有意な正の相関関係 が認められ, STタイムが短い被験者は BRタイムも 向変更の素早さとフットワーク.第8回日本バイオメカ ニクス学会大会論集:1 3 0 1 3 4 大築立志 ( 2 0 0 4 ) 方向変更の運動調節,バイオメカニクス 短い傾向であった. 2,三塁から三塁までの区間では, STタイムによって 走塁経路に一定の傾向が見られたこと,また, BRで 一身体運動の科学的基礎 .杏林書院:p p 1 0 3 1 0 7 . 篠原康男・曽谷英之・前田正登 ( 2 0 1 2 ) 疾走速度曲線から は全被験者において最大疾走速度が三塁触塁前に出現 みた球技系スポーツ選手の加速局面に関する研究. ト していたことから,個人の疾走能力に合わせた走塁経 レーニング科学, 2 4( 2 ) :1 5 1 1 6 0 . 路で疾走することで,三塁触塁時までに大きな疾走速 鈴木康夫 ( 2 0 1 1 ) 野球心得書. 日刊スポーツ出版社.東京 度を獲得しようとしていたと考えられた. 鈴木雄太・榎本靖士 ( 2 0 0 8 ) サイドステップおよびクロス 3 . 三塁から本塁までの区間は 個人によって走塁経路 の選択にあまり差が見られず,大きな疾走速度での走 以上のことから,進塁時間の短縮のためには,短い加速 距離で大きな疾走速度を獲得できるようにすることが有効 また,二塁・三塁間で獲得した疾走 速度を可能な限り維持したまま 三塁・本塁聞を疾走する ことが望ましいと考えられる. 文献 阿江通良 ( 1 9 9 6 ) 日本人幼少およびアスリートの身体部分 慣性係数. ] p n . ] .S p o r tS c i ., 1 5( 3 ) :1 5 5 1 6 2 原田康明・植屋春見(19 6 9 ) 野球におけるベースランニン グの一考察.体育皐研究 1 3( 5 ) :2 3 6 . 羽鳥好夫 ( 1 9 7 7 ) 野球における走塁に関する研究(第 l 報) -熟練者の本塁 . 2塁間の走塁について一.東京学芸大 学紀要5 部門 2 9・1 7 3 1 7 8 . 羽烏好夫(19 7 8 ) 野球における走塁に関する研究(第2 報) -初心者と熟練者の本塁 . 2塁聞の走塁について一 東 京学芸大学紀要5 部門 3 0:2 4 5 2 5 1 林裕幸 ( 2 0 0 3 ) レベルアップ野球.西東杜 都体育学研究, 2 4 :1 1 2 鈴木雄太・阿江通良・榎本靖士 ( 2 0 1 0 ) サイドステップお 塁が特に必要となる区間であると考えられた. であると考えられる ステップにおける身体重心速度と地面反力との関係.京 東京. 市丸直人(19 91)ベースランニングの右足触塁と左足触塁 はどちらが有利か. 日本体育学会大会号4 2( B ) :7 5 6 ] i n d r i c h, D.L ,目 B e s i e r, T . F . and L 1oyd, D . G .( 2 0 0 6 )A hypoth巴s i sf o rt h巴 f u n t i o no fb r a k i n gf o r c e sd u r i n g よびクロスステップによる走方向変換動作のキネマテイ クス的研究.体育学研究, 5 5・8 1 9 5 .
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