BIS四半期報告で指摘された流動性について;pdf

Today’s Headline
ご参考資料
ご参考資料
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
グローバル
2015年3月25日
BIS四半期報告で指摘された流動性について
金融機関の財務比率は最近の規制強化を受け過去に例のないほどに改善している模様ですが、同時に流動性低
下も指摘されています。規制強化と流動性への配慮をバランスさせる必要があると見られます。
国際決済銀行(BIS)四半期報告:市場の流
動性低下を指摘
国際決済銀行(BIS)は2015年3月18日付けの四半期報告書
(2015年3月号、以後報告書)で、債券市場の流動性の低下
を指摘しています。国債に比べ流動性が低い市場では、マ
ーケットメークをする銀行ディーラー(マーケットメーカー)が
積極的にポジションを取ることを控えることで、流動不足の
問題が引き起こされる可能性の高まりを警告しています。
報告書によると、マーケットメーカーが資本をそれほど必要
としない市場へと取引をシフトする傾向を指摘しています。
どこに注目すべきか:
流動性、レポ取引残高、マーケットメーカー
今回の報告書のみならず、最近、市場でも流動性の低下が
指摘されています。そこで金融当局のサーベイをベースに
債券市場の流動性について内容をまとめました。
まず、報告書では流動性があるとは「市場で投資家が低い
コストで現在の市場価格に近い水準で売買できること」と述
べています。
次に、流動性の測定方法ですが、報告書では流動性を一つ
の指標で直接測定することは困難(価格インパクト係数など
が紹介されていますが)と述べています。そこで、当レポート
では流動性提供の役目が期待されているマーケットメーカー
が利用するレポ市場の取引高を流動性の目安として参照し
ます。図表1はレポ市場の取引高です。これを見ると2008年
の金融危機直後は信用リスクの悪化を背景にレポ取引が
急減しています。しかし、注目すべきは足元の低下で、再び
流動性がやや低下傾向となっています。
報告書の中に足元の流動性低下の原因を見ると、マーケッ
トメーカーのビジネスモデルの変化を一つの理由としていま
す。マーケットメーカーに共通する収入減は取引の仲介と
(マーケットメークのための)在庫ポジションからの収入の2
つに分けられます(図表2参照)。報告書ではスプレッドはマ
ーケットメーカーが国債や流動性の高い社債に集中する傾
ピクテ投信投資顧問株式会社
向から縮小が見られるものの、反対に取引の少ない社債など
の流動性が低下する可能性が指摘されています。また、在庫
ポジションを抑制する傾向があることも指摘されています。
マーケットメーカーのこれら慎重な行動の背景に、金融危機後
の当局の規制の影響も指摘されています。自己資本比率など
金融機関の財務比率は過去に例のないほどに改善している
模様ですが、バランスよく流動性へ配慮することも必要と思わ
れます。市場の流動性は今日、明日の問題ではないのかもし
れませんが、今後も注意を払い続けるべき問題と見ています。
図表1:米国レポ取引平均残高の推移
(年次、期間:1996年~2014年)
7 兆ドル
6
5
4
3
2
1
96年
レポ平均残高
※信用リスク悪化
で取引減少
※規制への対応?
99年
02年
05年
08年
※レポ平均残高:レポとリバースレポの平均残高の合計
出所:米国証券業金融市場協会(SIFMA)
11年
14年
図表2:マーケットメーカーのビジネスモデルイメージ
+
ビッド・アスク・スプレッド
+
在庫ポジション評価
-
費用、クリアリングコスト等
+
インカム収入
-
調達コスト、ヘッジコスト等
=ポジション収入
=取引仲介収入
グロス損益
出所:BIS四半期報告を参考に主要部分を抜粋しピクテ投信投資顧問作成
●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と
したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に
よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆
あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、
その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、
作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ
び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構
の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ
ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも
のではありません。