修 士 論 文 の 和 文 要 旨 大学院 電気通信学 氏 名 長澤 論 文 要 題 研究科前期課程 知能機械工学 俊 専攻 学籍番号0434063 目 触覚GUIを可能とする視覚障害者用入出力装置の開発 旨 情報化時代といわれる現代において、情報機器を介して情報にアクセスするこ とが、色々な生活場面で必要になっている。これら情報機器の多くは,視覚情報 とその操作を主体としたGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)方式を用 いている。例えば,WindowsをはじめとするGUIを実装したパソコン操作では,晴 眼者はコマンド入力から解放され,マウスを用いてアイコンを直接操作できるな ど使い勝手が飛躍的に向上した。一方,視覚情報を利用できない重度視覚障害者 にとって,文字以外の情報の理解は難しく,かえって大きな障壁になっている。 このためグラフィカル情報を触覚を通じて利用者に伝達する触覚ディスプレイが 開発されてきた。しかし従来の触覚ディスプレイは情報表示機能のみであり,双 方向のコミュニケーションをとれる装置にはなっていない。そこで,我々は情報 表示機能に加え,触覚提示部に入力機能を付加した視覚障害者用入出力装置を開 発した。 試作1号機では触覚ディスプレイと6軸センサを用い,クリック,スクロールと いったマウス様操作を可能にした。また,接触位置推定実験では水平方向力が作 用すると精度が低下する結果を得た。これら実験結果を踏まえ実用化する場合の 問題点の抽出を行い試作2号機では以下の指針を下に製作を行った。 1) 操作性を向上させるため,触覚提示面を拡大する 2) 6軸センサに替わるセンシング方式を開発する 1)に関しては,触覚提示面積を2倍にし,触覚提示モジュールの並べ替え可能な 筐体の設計製作を行った。2)に関しては新たなセンシング方式を提案し,それに 用いるセンサの設計,開発を有限要素解析ソフトを用いて行った。また,製作し たセンサの特性を検証する実験を行った。さらに,センサを実機に組み込み,接 触位置推定実験を行った。その結果,垂直方向力のみが作用した場合は相対的に は1号機とほぼ同等な精度で推定できることを確認した。水平方向力が作用した場 合は接触位置算出の際に用いる垂直方向力の出力に影響がおよび,加重方向へ誤 差が生じることがわかった。これについては今後の検討課題である。
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