脳波と車いすを用いた 生活支援システムへの適用 金沢工業大学 工学部 情報工学科 教授 中沢 実 1 (背景) 脳波でモノを動かす時代が来た。 2015 エヴァンゲリオン初号機が脳情報で稼働 2015 中沢研究室で車いすを脳波で移動制御 出典:新世紀エヴァンゲリオン 脳情報を使用したプロダクト開発は、医療機関のみならず 様々な分野への応用が期待されている。(携帯、HMI, VR) 2 (背景) 身体の不自由な人 (特に肢体不自由などの障害者) ヒューマノイドロボットや自動走行車より、 車いすの需要が圧倒的 車いすの役割は大きい そして、その範囲を広げる必要がある。 3 障害者と車いすについて 身体障害者において、車いすは自分の足となる。 考えられる基本的移動手段 • 義足 • 車椅子 • 電動車椅子 移動操作性 • 精度 • 速度 • 機動性 • 安全性 4 脳波による車いす制御 5 身体が勝手に動く 脳波の視覚情報のみでは、限界が生じている • 反応速度の問題点(考えてから反応するまでに最速で1.5秒) • 脳波(EEG)は、最速な状態で理解できる事は周知の事実 • そもそも自立生活に必要なものは脳のみではない。 • 身体(中枢神経のみならず末梢神経で動いている)全体で考える。 • 脳と同時、さらに事前に身体が理解する事を察知する装置が必要である。 • 「身体が勝手に動く」を科学する必要がある。 6 脳波による推定機能の向上 脳波の生データから,以下の機能を同時に取得 視覚情報 聴覚情報 筋電位情報 PCA(主成分分析),ICA(独立成分分析),TFA(時間・周波数分析) 7 脳波に関するDeepLearning ある特定数のパターンへの認識を行う •視覚情報 • Deep Learning • 人の視覚イメージを認識 • SDA/RNNを併用する • 認識に時間を有する •筋電位情報 • Motor Learning • 運動学習 • 人と電動車いすの協調学習 • リアルタイムに認識 脳波データ • 健常者である学生 • 複数の医療機関との協力 • ALS患者を含む身体障害者 8 Motor Learning 車いすと人との協調学習 •車いすからのセンサー情報 • 測域(LRF)センサー(壁、障害物) • ホイールオドメトリー • ジャイロセンサー • カメラセンサー •人からのセンサー情報 • 脳波情報(視覚、音) • 筋電位情報 • 移動方向の指定(視線) 筋電位・視線情報を用いて 場所に自然に到達するための モーターラーニング 9 プロジェクトの意義(障害者の安全・安心移動) 障害者自律支援法(平成18年10月) • バリアフリー化が中心(インフラ対応) • 網羅的には実際には困難 肢体障害者の実態 • 約 180万人 (年間 2000人の増加傾向) • 車いす利用における事故( 年間 280件) • 車いす利用における死亡( 年間 10件) • 車いす利用者の危険認識 87.3% • 生活支援としての機能は不十分 本プロジェクトで 目指す解消点 脳波と車いすに焦点をあてる。 • ALS患者へのアプローチ(継続的に実施) • 肢体障害者へのアプローチ(新規に実施) 10 研究動向:脳波を用いた車いす 他のプロダクトとは確実に一線を画す。 本プロジェクトの特徴 脳波:視覚情報、聴覚情報、筋電位情報の3種の情報取得 車いす:即時的な自律システム(地図情報生成、位置認識、経路生成) 11 従来技術とその問題点 (脳波測定) PCA(主成分分析),ICA(独立成分分析),TFA(時間・周波数分析) 画像刺激や、他の生体信号(脈や目の動き)を同時に記録 することで、脳波情報からの差分を取得していた。 脳波を衝動的に動作させることをキッカケにしていた面がある。 12 新技術の特徴 (脳波測定) 多層に重ねたNN • Pre-training • Fine-tuning • Stacked Auto Encoder Pre-training • 教師なし学習 • ノイズの意図的付加 • 入力したものを別の形式 で再現 • 自己符号化器 Fine-tuning • 正解データを元に予測結 果のエラー誤差の最小化 ノイズそのものを学習データに用いることで、 本質な脳波情報のみを抽出可能とした 13 従来技術とその問題点 (自律走行車いす) ICPアルゴリズムは最適解を求めるまで計算を繰り返す (ICP: Iterative Closest Point) • 実時間処理が重要なロボットでは計算量を予測できず,ロボットの制御周 期内に計算が完了しない可能性がある • 計算量が多く,高性能な計算機を必要とする 14 15 新技術の特徴・従来技術との比較 (自律走行車いす) L0ノルム最小化マッチングと多重解像度法を組み合わせ, 高速かつ高精度な自己位置推定を実現する. • 計算量を予め把握できるL0ノルム最小化と多重解像度法で は実時間処理が必要なロボット制御に都合が良い. • 計算量が低く,高性能な計算機を必要としない. 16 200mm地図マッチング結果 計算時間:9ms 200mm地図のマッチングにて求めた移動パラメータ(x,y,θ)を, 100mm地図の初期位置として引き継ぐ 17 17 100mm地図 マッチング結果 計算時間:5ms 100mm地図で求めた移動パラメータ(x,y,θ)を, 50mm地図の初期位置として引き継ぐ 18 18 50mm地図 マッチング結果 計算時間:4ms x方向,y方向に±25mm,姿勢は±0.625degの精度でマッチングできた 19 19 20 想定される用途 • 本技術の特徴を生かすためには、福祉分野 に適用することで病院へのメリットが大きいと 考えられる。 • 上記以外に、自動運送の効果が得られること も期待される。 • また、達成された脳波推定に着目すると、コ ミュニケーターや感情分析といった分野や用 途に展開することも可能と思われる。 21 実用化に向けた課題 • 現在、脳波による移動地点指定について、特定 の人物を対象に可能なところまで開発済み。し かし、多人数へ適用の点が未解決である。 • 今後、脳波データについて実験データを取得し、 はじめての利用者にも適用していく場合の条件 設定を行っていく。 • 実用化に向けて、車いすの反応速度を50ms ま で向上できるよう技術を確立する必要もある。 22 企業への期待 • 未解決の脳波情報については、脳波情報の 大量取得により克服できると考えている。 • 電動車いすの技術を持つ、企業との共同研究 を希望。 • また、センサを開発中の企業、脳情報分野へ の展開を考えている企業には、本技術の導入 が有効と思われる。 23 お問い合わせ先 金沢工業大学 産学連携局 産学連携東京分室 新川 実、杉田 享子 TEL 03-5777-2243 FAX 03-5777-2226 e-mail [email protected] 24
© Copyright 2024 ExpyDoc