ブラジルレアルの水準について - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

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「投資のヒント」
2015年3月17日
※以下、ピムコジャパンリミテッド提供のレポートをご紹介します。
ブラジルレアルの水準について
当局による為替介入の継続の有無、財政健全化策の実現性に対する思惑等を背景にブラジルレアル (以下、
レアル) の調整が進んでいます。現在の為替レートは対米ドルで既に2003年前半の水準にあり、これまでの
経済成長を考えると同調整が過剰なペースであるとも考えられます。
レアルは対米ドルで既に2003年前半と近い水準にまで調整
2015年に入り、ブラジルレアルは特に対米ドルで下落、3月13日時点でレアルは1米ドル=3.26レアルまで調整が進んでいます。
これは、ブラジルに大きな成長をもたらしたルラ前大統領が就任したばかりである2003年前半に近く、約12年ぶりの水準です。
<解説>
ブラジルレアルの推移(対米ドル)
(レアル)
1.0
· 1999年:ブラジル通貨危機、変動相場制への移行
· 2002年後半:10月の大統領選挙を控え、ルラ氏が勝利し
た場合、同国の債務支払いに対する不安が高まるとの懸
念からレアルが大きく下落
1.5
· 2002年10月:ルラ氏が大統領選挙に勝利。市場の予想に
反し、財政規律と所得格差是正のバランスを重視した政
策が評価されレアルが大きく反発
2.5
· 2014年後半~足元:大統領選挙でルセフ氏が再選。財政
健全化策を順次発表するも、その実現性や当局の為替介
入の継続性への思惑からレアルが続落
3.5
2.0
リーマンショック後の最安値:
1米ドル=2.59レアル(2008年12月5日)
大統領選挙を控えて、
同国の債務支払い
に対する懸念の高まり
大規模なレアル
安抑制策を発表
3.0
4.0
ルセフ大統領再選
2003年4月3日:
1ドル=3.27レアル
ルラ大統領就任
4.5
00年12月
期間:2000年12月31日~2015年3月13日
出所:WMロイター
1米ドル=
3.26レアル
05年2月
09年4月
13年6月
・・・しかし、現在のブラジル経済は2003年当時とは大きく状況が異なる
現在のブラジル経済は、対外債務の再編や所得格差の是正を通じた中間層の拡大等を背景に、2003年当時と大きく異なります。
実質GDP (国内総生産)や実質賃金が当時の約1.4倍まで拡大し失業率が低下する中、株式市場も大きく上昇しています。
ブラジルの経済状況の比較:2003年と現在(2014年)
項目
単位
政府財政収支
ブラジルの政策および国内環境の変化
2003年
2014年
(% GDP)
-5.5%
-5.9%
連邦政府債務
(% GDP)
54.9%
42.1%
減少
外貨準備高
(10億ド ル)
49.3
363.6
7.4 倍
実質GDP
(百万レ アル)
209.1
297.1
1. 4 倍
1人当たり 実質GDP (レ アル)
4,540
5,850
1. 3 倍
平均イ ン フ レ 率
(年率、 前年比)
14.8%
6.3%
半分以下
失業率
(% )
12.0%
4.3%
半分以下
実質賃金
(レ アル)
1,551
2,244
1. 4 倍
22,236
50,007
2.2倍
ボベスパ指数
ブラジル経済は2003年と
比較して大きく改善
出所:Haver、IMF、ブルームバーグ
2003年データは、連邦政府債務(2004年1月時点)を除き、年末時点を使用。
2014年データは、実質GDP(2014年9月末時点)を除き、年末時点を使用。
※実質GDPは1995年を物価水準の基準年とした数値
2002年以前:
• ハイパーインフレの終息
• 所得格差の顕在化
• 国内市場の停滞
為替はこの
水準まで調整…
2003年~:ルラ政権
• 所得格差の是正と対外債務圧縮
• 内外の需要拡大による経済成長
• 財政引き締め→インフラ投資拡大
2011年~:第1次ルセフ政権
• 所得格差の是正策の継続
• 財政支出拡大による景気支援
• 為替介入とインフレ抑制
2015年~:第2次ルセフ政権
• 財政引き締めへの転換
• 高金利政策によるインフレ抑制
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はピムコジャパンリミテッドの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基
づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
レアル関連FAQ(よくあるご質問)
①:ブラジルの景気回復に向けた明るい材料はありますか?
<解説>
• 現政権が進める「利上げと緊縮財政によるインフレ圧力の抑制」は短期的には成長の鈍化要因と考えられます。
• 但し、中長期的にはインフレ率の安定化がバランスのとれた成長構造の実現に繋がるという方向性は正しいと言えます。
• 2013年後半以降に同様の施策を進めたインドでは、インフレ率低下と成長回復が実現し為替の上昇に繋がっています。
• これまでのレアル安が資源安によるマイナスを一定程度相殺し、輸出回復の土台となることも期待できそうです。
②:石油大手ペトロブラスを巡る問題とブラジルの格付け動向をどう考えますか?
<解説>
• 国営石油会社のペトロブラスの業績発表の遅れや格下げは、足元のレアルの重石の一つと考えられます。
• 同社は、2015年4月末までに監査済みの年次決算報告を行うか、債権団と交渉し特約条項を修正する必要があります。
• 株式の大半を政府が有し、債務残高がGDPの約6%に及ぶ同社を政府が最終的にデフォルトさせる可能性は限定的と考えます。
• 政府による財政緊縮の進捗も含め、短期的には格下げのリスクも残りますが、一定程度は既に織り込まれていると考えます。
③:レアル安に歯止めはかかるのでしょうか?為替介入はなくなるのでしょうか?
<解説>
• 今回の急速なレアルの調整は政治面の問題が絡んでいるため、短期的には合理的な為替水準から大きくかい離するリスクがあ
る点には注意が必要です。
• ただし、現時点で対米ドルで2003年前半と同水準まで調整しており、当時とのファンダメンタルズ格差を考慮すると、既に実体面
よりも割安な水準まで売り込まれており、中長期的には稀な投資機会を提供しているとも考えられます。
• 更に、足元のインフレ率は既に中央銀行の目標上限を大きく上回っており、インフレ抑制を優先課題とする当局が、インフレの加
速要因となるレアルの急速な調整を放置し続ける可能性は低いことが予想されます。
• 短期的には神経質な展開が続くことが予想されるものの、中長期的には割安感と金利面に注目したレアル買いが復活すること
が期待され、中長期で相対的に高いインカムの積み上げが可能なレアルの魅力は変わっていないものと考えております。
当資料はピムコジャパンリミテッドの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基
づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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