NIDS NEWS(2015年3月号)を掲載しました。

NIDS NEWS 2015年3月号
通算第196号
防衛研究所ニュース 2015年3月号
“NIDS NEWS”
防衛研究所企画部企画調整課(03-3713-5912)
・・・・・2015年2月の主な出来事・・・・・
《 駐日 EU 大使の来訪 》
2 月 4 日、ヴィオレル・イスティチョアイア
=ブドゥラ 駐日 EU 代表部大使が来訪され、
齊藤所長との懇談を行いました。
大使は防衛研究所への 4 度目の訪問である
こと、代表部として防研を重要なシンクタン
クとして位置付けていること、2015 年の日E
U関係は通商・経済関係に加え、安全保障・
防衛面においても協力分野が拡大していくと
の展望を示されました。齊藤所長からは、防
研は防衛省のみならず国家安全保障局(NSS)
等とも様々な接点を有していることを説明し、『東アジア戦略概観』、『中国安全保障レポート』
の内容等について解説を行いました。
《 日豪防衛研究交流の実施 》
2 月 15 から 19 日にかけて、齊藤所長以下 4 名
は日豪防衛研究交流の一環として、
オーストラリ
アの首都キャンベラを訪問しました。
防衛研究交
流のカウンターパートはオーストラリア戦略政
策研究所(ASPI)で、毎年往来して研究交流を実
施しているほか、国際会議においてピーター・ジ
ェニングス所長をはじめとして多くの対話の機
会を持っています。
2日間にわたる研究会では、報告者から「中国
のアジア太平洋地域における秩序構想」及び「海
洋安全保障に関わる日本の構想」等のテーマについて報告を行うとともに、ASPI や国防省関係者と
活発な議論を行い、両国がアジア太平洋地域の安全保障をはじめ多くの分野で協力することができ
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NIDS NEWS 2015年3月号
るとの認識で一致しました。
今回の滞在では、オーストラリア国防大学(ADC)
も訪問しました。同大学の戦略研究課程(CDSS)は一
般課程のカウンターパートとして、相互往来し意見交
換を行っています。シモーネ・ウィルキー校長とは、
昨年9 月のARF 国防大学校長等会議などの場でも同席
しています。今回は、互いの教育カリキュラムや教育
における相互支援などについて意見交換を行いまし
た。
防研の一般課程にはこれまで豪州からも多数の留学生が参加しており、彼らは終了後、在京国防
武官や国防大臣秘書官などの要職を務めていま
す。このたびの出張の機会に在豪の修了者を招
き、懇親会を行いました。ヒューイット氏(防
研一般課程第 38 期、1991 年修了)、ホーア氏
(48 期、2001 年)、ジェレル氏(52 期、2005
年)、セルカーク氏(58 期、2011 年)、ハロラ
ン氏(61 期、2014 年)が参加し、日本側関係者
も交えて、日豪安全保障協力を支える人々の間
のネットワークを深化させることができました。
《 日米TV会議の開催 》
2 月 20 日、防衛研究所と米国防大学国家戦略研究所(INSS)との間で、日米テレビ会議(日米対
話)が開催されました。同会議は、我が国にとって戦略的に重要な影響を与える諸課題についてテ
レビ会議システムを用いて意見交換を実施し、政策提言に資することを目的として、2002 年度から
毎年実施しています。米国側からはクリス・シャーマン中佐が「西太平洋における中国海軍演習の
戦略的含意」、日本側からは山口研究員が「中国の内政・外交・軍事」について発表を行いました。
質疑応答では、中国の海軍軍事演習の意図と今後の見通しや軍事的能力の向上との関連性、習近平
政権の内政・外交・軍事政策の焦点と、特に反腐敗運動の動向について、活発な議論を行いました。
また 25 日には、米太平洋軍太平洋安全保障研
究センター(APCSS)との間でテレビ会議が行われ
ました。はじめに APCSS 側からジェフリー・ホー
ナン博士が「日米同盟と中国の台頭」について、
続いて防研側から一般課程研修員が「日米同盟」
について発表しました。その後の意見交換では、
日米同盟の更なる強化のための方策や中国との
関係改善のための手段などについて、活発な議論
が交わされました。
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NIDS NEWS 2015年3月号
《 サウジアラビア軍指揮幕僚大学への訪問 》
2 月 25 日から 26 日にかけて、清水軍事戦略研究
室長と西野主任研究官がサウジアラビア王国の首都
リヤドを訪問しました。26 日にサウジアラビア軍指
揮幕僚大学を訪れ、アリー・ビン・ムハンマド・ア
ッシャフラーニー校長(空軍少将)を表敬訪問した
ほか、清水室長がアジア太平洋地域の安全保障環境
についてブリーフィングを行い、アジア太平洋地域
及び中東地域の安全保障について意見交換を実施し
ました。25 日には外交研究所を訪問し、同様に意見
交換を実施しました。
《 日加研究交流の実施 》
2 月 27 日、マイケル・ヘネシー カナダ国防大学
王立士官学校教授を団長とする訪問団が来訪され、
日加研究交流が行われました。齊藤所長との懇談
においては、日本側から防衛省における防衛研究
所の位置づけや調査研究及び上級幹部教育という
事業についての説明を行った後、中東情勢等につ
いて意見交換を行いました。研究会では、カナダ
側から「カナダの北極政策とカナダから見た
NATO・ロシア関係」についての発表が行われ、そ
れを受けて双方の研究者による質疑応答と議論を行いました。
《 62 期一般課程 》
2 月は、第 2 学期として、「軍備管理・軍縮・不拡散」、「経済と安全保障」、「地域安全保障1」、
「東アジアの安全保障 2」の各講座及びセミナーⅡを実施したほか、現地研修として、沖縄、筑波、
横須賀及び横田地区を実地に訪問し研修を行ったほか、日米TV会議を実施しました(前掲)。16
日からは第 3 学期を開始し、「科学技術と安全保障」、「社会の安全と危機管理」、「近代日本の
軍事史」、「サイバーと安全保障」、「日本の防衛」の 5 講座及び 11 セミナーを開講しました。
自衛隊南西航空混成団及び戦跡等を訪問し、沖縄地区の防衛・警備の現況や太平等戦争における
沖縄戦について理解を深めました。筑波では JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙セ
ンターを訪問し、日本における宇宙開発の現状及び最新の科学技術について知見を広げました。横
須賀では海上自衛隊自衛艦隊司令部及び横須賀地方総監部を訪問して海上防衛についての認識を深
め、横田では航空自衛隊航空総隊司令部及び在日米軍司令部における研修を実施し、航空防衛及び
日米同盟の現状についての認識を深めました。
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NIDS NEWS 2015年3月号
・・・・・「史料紹介コーナー」・・・・・
平成 26 年度も、各都道府県出身の陸海軍将官の中から毎号一人を取り上げて、戦史研
究センター史料室が所蔵するその人物などに関連する史料を紹介しています。
み す
そう た ろ う
《 三須 宗太郎 1855~1921年 》
-滋賀県出身の海軍大将-
戦時日誌 三須司令官提出分(登録番号:海軍省-日露戦書-M37-106-664)
三須宗太郎大将は、明治 11 年 8 月、海軍兵学校(5 期)を卒業後、
人事局長、軍令部次長、舞鶴鎮守府長官などの要職を歴任しました。こ
の史料は、東郷平八郎大将率いる連合艦隊の第 1 艦隊司令官として日本
海海戦に参戦した三須中将が、海軍大臣山本権兵衛大将に提出した「戦
時日誌 三須司令官提出分」(明治 38 年 1 月分~同年 10 月分)です。
なかでも明治 38 年 5 月分の「戦時日誌」には、日本海海戦(明治 38
年 5 月 27 日~28 日)における第 1 艦隊の戦闘記録や「日本海海戦ノ際
ニ於ケル信号」並びに「日本海海戦ノ際感受シタル無線電信」の一覧表
が添付されています。この海戦で三須司令官は、左眼と頭部を負傷しな
がらも戦闘を続け、
敵艦隊を撃滅しました。
この功績により三須中将は、
明治 40 年 9 月、男爵に叙せられました。
三笠沈没事件査問記録(登録番号:海軍省-公文備考-M38-55-623)
日露戦争後の明治 38 年 9 月 11 日、佐世保港に寄港していた戦艦「三
笠」の後部弾薬庫が大爆発を起こして沈没し、251 名の死者を出すとい
う大惨事が発生しました。この史料は「三笠沈没事件査問記録」で、事
故直後に三須中将を委員長として設立された
「三笠変災査問委員会」
が、
関係者との間でやりとりした文書が綴られています。その一つで、三笠
艦長伊地知彦次郎大佐が連合艦隊司令長官東郷平八郎大将に宛てた「三
笠災難始末」(明治 38 年 9 月 12 日付)には、日露戦争中「閣下ノ旗艦
トシテ終始其任務ヲ尽シ多大ノ名誉ヲ中外ニ発揚シタル此精鋭ノ巨艦
ヲ茲ニ至ラシメタルノミナラス幾多忠勇有為ノ士ヲ失フニ至リタルハ
(中略)実ニ驚愕言フ所ヲ知ラサル」、事故の顛末及び処置は「三須司
令官ニ報告致シタル次第ニテ其後尚ホ詳細取調中」と報告しています。
《お知らせ》
史料保存のためのマイクロ撮影にともない、一時的に閲覧できない史料があります。
詳しくは、防研ウェブサイト「閲覧が一時不能となる史料」をご覧下さい。
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