NIDS NEWS 2015年1月号 通算第194号 防衛研究所ニュース 2015年1月号 “NIDS NEWS” 防衛研究所企画部企画調整課(03-3713-5912) ・・・・・2014年12月の主な出来事・・・・・ 《 日越佐官級交流訪問団の来訪 》 12月2日、 ベトナム国防省対外局長 ヴ ュ・チエン・タン少将を団長とする交流 団が来訪され、齊藤所長との懇談及び研 究者間の意見交換を行いました。所長と の懇談においては、近年の両国の防衛研 究交流の実績を確認した後、日越両国の PKO や海洋安全保障等の分野における取 組について、率直な意見交換を行いまし た。 研究者間の意見交換では、防衛研究所 の概況説明及び東アジアにおける安全 保障情勢をめぐり幅広い問題について議論を行いました。 《 GCSP ギデッティ上級外交顧問の来訪 》 12 月 5 日、ジュネーブ安全保障政策セン ター(GCSP) よりアラン・ギデッティ上級 外交顧問及び地域プログラム責任者 クリ スチャン・ビュルマン大佐が来訪され、齊 藤所長との懇談を行いました。 懇談では同センターから GCSP の主要な 事業である教育訓練、対話(ダイアログ)、 研究の各事業の概況、スイス政府との協力 関係等について説明を受けた後、意見交換 を行いました。 その後行われた研究者との意見交換では、「日本・米国・中国の安全保障政策の動向と日本の防 衛体制」について日本側から報告を行うとともに、質疑応答を行いました。 1 NIDS NEWS 2015年1月号 《 日韓教官交流の開催 》 12 月 10 日、韓国国防大学校安保大学院長 の金暎喆(キム・ヨンチョル)海軍准将と同 大学校の孫慶鎬(ソン・ギョンホ)副教授を 招へいし、日韓教官交流が実施されました。 同交流は、韓国の国防教育機関との意見交換 を通じて防衛研究所の教育内容の充実を図る とともに、安全保障に関するわが国と韓国と の相互理解の促進を目的として実施されてい ます。 同院長は、齊藤防衛研究所長との懇談にお いて、両機関の関係発展を通じて両国の共通認識が醸成されていくことへの期待を表明されました。 午前中の一般課程の特別講義では、金院長が「韓国国防政策の基調」と題して、韓国の国家安全 保障戦略及び国防政策が抱える全般的な課題について、様々な角度から詳細に解説されました。質 疑応答では、米韓軍の戦時作戦統制権、中国との関係、米国のアジアにおけるリバランシング、韓 国軍の人事管理等について、活発な議論が交わ されました。 午後の研究会では、孫教授が「米韓同盟と日 米韓軍事協力」と題し、理論的観点と米韓同盟 の歴史を踏まえた学術的な報告を行いました。 その後の質疑応答では、日米の直面する安全 保障上の課題や、それを受けた日米韓協力の方 向性、核やミサイルの脅威、北朝鮮への抑止態 勢、米国の拡大抑止など、幅広い問題について 双方から率直な意見が表明され、内容の濃い議 論が展開されました。 《 米国太平洋陸軍副司令官の来訪 》 12 月 12 日、米国太平洋陸軍副司令官 グ レゴリー・ビルトン豪州陸軍少将が来訪さ れました。 同軍は米国太平洋軍隷下の陸軍部隊で、 在日米軍、在韓米軍を隷下に置くほか、本 土北西沿岸部、アラスカから太平洋及びイ ンド洋に至る広大な地域に兵力を有してい ます。司令部をハワイ州に置き、アジア太 平洋域の現役、予備役兵士に対して訓練を 2 NIDS NEWS 2015年1月号 実施するとともに、PKO(配置、東チモール、シナイ半島等)への兵力の派遣、地域における防衛の任 に当たっています。 齊藤所長との懇談においては、防衛研究所から『東アジア戦略概観』をはじめとする調査研究、 アジア太平洋地域の諸研究機関との研究交流の概況について説明を行った後、同地域の安全保障環 境について率直な意見交換を行いました。 その後「東アジア地域(日本、中国、韓国、台湾、北朝鮮)全般の今後の安全保障環境の展望」 をテーマとして、防衛研究所の研究者との意見交換を実施しました。 《 仏軍事学校戦略研究所長の来訪 》 12 月 15 日、フランス軍事学校戦略研究所 (IRSEM)よりフレデリック・シャリヨン所 長が来訪されました。IRSEM は 2010 年に創 設された国防省の戦略研究機関です。 各大学 や国防当局と連携し、国防戦略、安全保障戦 略について研究しています。 またフランスの 戦略思想を発信し、 アカデミアにおける国防、 戦略、 安全保障問題に関する議論に寄与して います。 齊藤所長との懇談においては、IRSEM と防 衛研究所の概況や海洋安全保障分野におけ る両国の協力の可能性等について意見交換を行いました。 その後行われた防衛研究所の研究者との意見交換では、フランス側のアジア太平洋地域への関心 分野や両機関の調査研究の現状等をめぐり議論を行いました。 《 62 期一般課程 》 12 月は、「紛争と国際社会」、「軍備管理・軍縮・不拡散」、「経済と安全保障」、「地域安全 保障 1」、「地域安全保障 2」、「東アジアの安全保障 2」の各講座及び 12 個セミナーを実施したほ か、池田武邦氏(元海軍大尉(海兵 72 期))による「統率」と題した特別講義を実施しました。また、 日韓教官交流事業の一環として、大韓民国国防大学校安全保障大学院長キム・ヨンチョル海軍准将 による「韓国の国防政策」と題した講義を実施しました。 その他、9 日に現地研修として、陸上自衛隊朝霞駐屯地において日米共同方面隊指揮所演習(YS -67)を視察しました。同研修においては、当初東部方面隊の概要、YS-67 の概要等についてのブ リーフィングを受けました。その後、統裁部地域や演習部地域の見学を実施して、コンピュータ・ シミュレーションによる指揮幕僚活動についての演習状況について研修を行いました。 3 NIDS NEWS 2015年1月号 ・・・・・「史料紹介コーナー」・・・・・ 平成 26 年度も、各都道府県出身の陸海軍将官の中から毎号一人を取り上げて、戦史研 究センター史料室が所蔵するその人物などに関連する史料を紹介しています。 すずき たかお 《 鈴木 孝雄 1869~1964年 》 -千葉県出身の陸軍大将- 装備研究委員会第 1 回報告(登録番号:陸軍省-密大日記-S3-3-10) 鈴木孝雄大将は、明治 24 年 7 月、陸軍士官学校(2 期)を卒業後、 野戦重砲兵第 1 旅団長、第 14 師団長、技術本部長などの要職を歴任し ました。この史料は、昭和 2 年 9 月 15 日、技術本部長鈴木大将が陸軍 大臣白川義則大将に提出した「装備研究委員会第一回報告提出ノ件」で す。本委員会は、「列強陸軍ノ平戦両時ニ於ケル個人装備及部隊装備ノ 現況並其趨勢ヲ調査シ之ヲ我カ国状ニ照合シ科学上及技術上ノ見地ニ 基キ将来国軍ノ採ルヘキ装備並兵器ノ性能等ニ関シ適確ナル参考資料 ヲ得ントスル」ことを目的とし、大正 15 年 5 月に設立したものです。 以来 30 数回の会合を重ね、その成果を「装備研究委員会規定」や「装 備研究委員会議事要領」などとともに、約 400 頁にわたる「装備研究委 員会報告 第壱号」としてまとめています。 学士出身将校教育(登録番号:陸軍省-大日記乙輯-S3-1-23) この史料は、技術本部長鈴木大将が陸軍大臣白川大将に提出した「学 士出身将校教育ニ関スル件」(昭和 2 年 12 月 13 日付)で、別冊として「学 士出身技術将校教育ニ関スル意見」が添付されています。「意見」は、 現在の学士出身技術将校は「採用ト同時ニ見習士官ヲ命セラレ約二箇月 間軍事学術科及技術勤務ノ教育ヲ受ケテ中尉ニ任官シ直ニ実務ニ服ス ルコトトナリ居レルモ此制度ニ於テハ軍事教育不十分ナル為将校トシ テ軍事技能ニ欠クル所アリテ執務上遺憾ノ点アリ」、「将来ハ任官後ノ 教育期間ヲ約六箇月トシ其間約三箇月ハ軍隊ニ服務シテ軍事学術科ヲ 習得シ三箇月ハ技術本部及造兵廠等ニ就テ勤務ヲ実習スル如ク定メラ レンコトヲ希望ス」とするもので、付箋紙には「右意見ノ如ク実施シ度 キ意見ナリ」とする兵務課の見解が記されています。 《お知らせ》 史料保存のためのマイクロ撮影にともない、一時的に閲覧できない史料があります。 詳しくは、防研ウェブサイト「閲覧が一時不能となる史料」をご覧下さい。 ※ 記事に関する御意見、御質問等は下記へお寄せ下さい。なお、記事の無断転載・複製はお断りします。 防衛研究所企画部企画調整課 専用線 : 8-67-6522、6588(史料紹介コーナーのみ6668) 外 線 : 03-3713-5912 FAX : 03-3713-6149 ※ 防衛研究所ウェブサイト:http://www.nids.go.jp 4
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