NIDS NEWS(2015年7月号)を掲載しました。

NIDS NEWS 2015年7月号
通算第200号
防衛研究所ニュース 2015年7月号
“NIDS NEWS”
防衛研究所企画部企画調整課(03-3713-5912)
・・・・・2015年6月の主な出来事・・・・・
《 62 期一般課程修了式 》
6 月 24 日、左藤副大臣、河野統合幕僚長はじめ省
内外から多数のご来賓の参列をいただき、第 62 期
一般課程修了式が挙行されました。修了式では、齊
藤所長から研修員に対して修了証書を授与した後、
研究論文優秀者に対する表彰及び留学生に対し褒
賞状を授与しました。齊藤所長による式辞、副大臣
による訓示、統合幕僚長による祝辞の後、研修員を
代表して幹事(1 等陸佐 内藤智子)による答辞を
もって終了しました。
6 月は講座「日本の防衛」を実施したほか、兼原国家安全保障局次長から「国家安全保障局につい
て」、ディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日インド大使から「日印関係」と題した特別講義を実施する
とともに、5 月 23 日から 6 月 7 日までの間、4 個研修団を編成し、8 か国における国外現地研修を実
施しました。
オーストラリア連邦・フィリピン共和国研修団は、城戸企画部長を団長として 5 月 23 日から 5 月
30 日までの日程で、オーストラリア連邦では国境警備隊司令部、統合作戦司令部、国防大学、艦隊
司令部、フィリピン共和国では国防大学、国防省、国軍司令部、戦略開発問題研究所等を訪問しま
した。
インド共和国・ミャンマー連邦共和国研修団は、室岡理論研究部長を団長として 5 月 23 日から 5
月 30 日までの日程で、インド共和国では国防研究所、統合参謀本部、PKO センター、陸・空軍部隊、
ミャンマー連邦共和国では国防大学、海軍部
隊を訪問しました。
フランス共和国・ベルギー王国研修団は、
坂口研究幹事を研修団長として5月30日から
6 月7 日までの日程で、
フランス共和国では、
EU 安全保障研究所、国防高等研究所、軍事学
校戦略研究所、国際関係研究所及びフランス
即応軍司令部、ベルギー王国ではベルギー軍
1
NIDS NEWS 2015年7月号
参謀本部、王立高等国防研究所、NATO 本部、欧州連合軍最高司令部及び EU 本部を訪問しました。
中華人民共和国・モンゴル国研修団は、齊藤所長を研修団長として 5 月 31 日から 6 月 6 日までの
日程で、中華人民共和国では PKO センター、モンゴル国では国防大学、戦略研究所、PKO センター及
び 084 特殊任務大隊を訪問しました。
各訪問先においてはブリーフィングの後、意見交換等を実施し、国際感覚を養うとともに我が国
の安全保障を考える上での知見を得ることができました。その後、6 月 11 日から 18 日までの間、本
課程の集大成となる研究論文発表会を実施しました。
《 韓国国防研究院長の来訪 》
6 月 15 日、ハン・ホンジョン韓国国防研究
院(KIDA)長が来訪され、齊藤所長との懇談及
び研究者間の意見交換を行いました。懇談では、
ハン院長から防衛研究所が4月に実施した組
織改編や人員、体制についての質問がなされ、
所長は調査研究・政策支援の現状、防衛省内外
の諸機関とのネットワークなど防衛研究所の
取り組みについて説明を行いました。意見交換
においては、「災害時の自衛隊の活動」、「日
韓・日米間協力」について日本側から報告した
後、質疑応答と活発な議論を行いました。
《 駐日インド大使の来訪 》
6 月 23 日、ディーパ・ゴパラン・ワドワ駐日イ
ンド大使が来訪され、齊藤所長との懇談及び一般課
程における特別講義「日印関係」を実施しました。
懇談では所長から前回の講義に引き続き、防衛研究
所の教育に対する貢献に謝意を述べたのに対し、大
使は近年の日印関係について安全保障・戦略分野に
おける協力が進展しているとの見解を示されまし
た。
《 米国戦略軍司令官の来訪 》
6 月 25 日、セシル・D・ヘイニー米戦略軍司令官(海軍大将)、ジョン・ドーラン在日米軍司令
官(空軍中将)が来訪され、齊藤所長及び防衛研究所の研究者との意見交換を行いました。
米戦略軍は、アメリカ空軍戦略航空軍団と海軍の弾道ミサイル搭載潜水艦部隊の作戦立案、統合
指揮する部隊で、近年アメリカ宇宙軍を統合、サイバー軍も戦略軍の下部組織とし任務が拡大して
います。
2
NIDS NEWS 2015年7月号
日本側からサイバー・宇宙の安全保障に関する
防衛省・自衛隊の取り組みについて発表した後、
自由な意見交換を行いました。ヘイニー司令官か
らは東シナ海・南シナ海における戦略的な変化に
対して米国と同盟国が協調して対応することの重
要性を指摘されました。
《 NATO 国防大学校長等会議への出席 》
6月30日・7月1日に、第44回NATO国防大学
校長等会議(CoC)がオーストリア・ウィ
ーンで開催され、防衛研究所から齊藤所長
以下3名が出席しました。同会議は、NA
TO加盟国・パートナー国の国防大学校等
と関係強化を目指すとともに、欧州をはじ
めとした地域情勢及び安全保障上の諸問
題と国防教育について意見交換を行うも
のです。日本は第38回以来参加しており、
今回で6回目の参加です。
会議のテーマは、「相互連結教育を通じた相互運用性の向上」であり、各国代表による発表のほ
か、4つの分科会では、軍事教育の有効性、技術の導入による軍事教育の相互運用性の向上、有効か
つ透明性の高い開かれた軍事教育分野の協力、同盟国の高等軍事教育機関としてのNATO国防大学の
役割についてそれぞれ議論が行われました。会議全体を通じて学術的かつ活発な議論が展開され、
今後の防研一般課程等の教育カリキュラムの質的向
上に関わる教訓を得ることが出来ました。
また、この機会を利用して、ヤドマー・チョイジ
ャムツ モンゴル国防大学校長(陸軍少将)と二国間
会談を行い、「防衛研究所とモンゴル国防大学校の
間の交流・協力に関する意図表明文書」に署名しま
した。この意図表明文書により、モンゴル国防大学
との間の相互理解の拡大、研究・教育分野での協力
強化が期待されます。
*
*
*
このほか、6月4日にはソニー・ウィジャヤ学校長(陸軍中将)を団長とするインドネシア国軍大
学校研修団が、6月30日にはドナシアノ・ゴメス東ティモール防衛研究所長が来訪され、それぞれ齊
藤所長、大西副所長との懇談、研究者との意見交換等を行いました。
3
NIDS NEWS 2015年7月号
・・・・・「史料紹介コーナー」・・・・・
平成 27 年度も、各都道府県出身の陸海軍将官の中から毎号一人を取り上げて、戦史研
究センター史料室が所蔵するその人物などに関連する史料を紹介しています。
もり
り んた ろ う
おうがい
《 森 林太郎(鷗外) 1862~1922年 》
-島根県出身の陸軍軍医総監-
陣中日誌(登録番号:陸軍省-大日記-第1軍-日清戦役陣中日誌-M27-15-160)
森林太郎軍医総監(中将相当)は、明治 14 年 7 月、東大医学部を卒
業後、軍医部長として日清・日露の両戦役に参加する他、陸軍省医務局
長などの要職を務めています。この史料は、日清戦争の初期、京城と釜
山間の交通路(中路兵站線)を確保し、前線の第 5 師団の補給のために
設置された中路兵站監部の「陣中日誌」(明治 27 年 7 月 28 日~10 月 4
日)で、9 月 4 日の項には、「本日中路兵站軍医部長森林太郎到着更ニ
事務ヲ執ル」と記されています。制海権を失った場合の予備的補給路で
あった中路兵站線は、9 月 17 日の黄海海戦で日本海軍が勝利を収める
と「軍隊其他ノ追送及送還ノ要ハ殆ント無キ」に至り、10 月 2 日に「中
路兵站監部廃セラレ之ヲ仁川ニ移シ南部兵站監部」に改称します。これ
に伴い森軍医部長は、
第2 軍兵站軍医部長に転出します
(10 月1 日付)
。
軍隊手帳改正の件(登録番号:陸軍省-大日記甲輯-T2-1-7)
この史料は「軍隊手帳改正ノ件」(大正2年9月8日付)で、大正天皇
が大正元年7月31日に下賜された勅諭を、「下士兵卒ノ奉読ニ便ナラシ
メンカ為之ヲ軍隊手帳ニ奉戴スル」ための通達です。この通達には、大
正天皇の勅諭の振り仮名を添削した文書と、その添削箇所をまとめた文
書、すなわち「『イ』ヲ『ヰ』ニ改メタキ所五ケ所アリ、『カ』ヲ『コ』
ニ改メタキ所一ケ所アリ、『倚』ハ原案ノママ『イ』ヲ正シトス、『祉』
モ原案ノ『チ』ヲ正シトス」と、「森林太郎」の署名をいれた直筆のメ
モが添付されています。明治41年に臨時仮名遣調査委員会委員を務め、
明治42年に文学博士となった森軍医総監は、当時陸軍省医務局長(明治
40年11月~大正5年4月)でした。文才にたけた森林太郎の知見が、大正
天皇の勅諭の振り仮名の添削にも活かされました。
《お知らせ》
史料保存のためのマイクロ撮影にともない、一時的に閲覧できない史料があります。
詳しくは、防研ウェブサイト「閲覧が一時不能となる史料」をご覧下さい。
※ 記事に関する御意見、御質問等は下記へお寄せ下さい。なお、記事の無断転載・複製はお断りします。
防衛研究所企画部企画調整課
専用線 : 8-67-6522、6588(史料紹介コーナーのみ6668)
外 線 : 03-3713-5912
FAX : 03-3713-6149
※ 防衛研究所ウェブサイト:http://www.nids.go.jp
4