理論物理学研究室(物理2研)の紹介 - 富山大学理学部

理論物理学研究室 (物理2研) の紹介
現代の物理学研究
近世から現代にかけて,物理学の研究はレベルも技術も高度に進歩し,研究の対象も宇宙か
ら物質の根源となる素粒子まで広範囲に広がりました.そのため,一人の人間が物理学の全分
野を完全に理解しきることは困難になり,物理学を研究する人々はいくつにも分化された領域
を自分の専門とするようになりました.現在では一口に物理学と言っても,その領域は宇宙物
理学,生物物理学,物性物理学,原子・分子物理学,原子核物理学,素粒子物理学などなど,非
常に数多くの専門分野からなっています.
研究手法も,実験的研究と理論的研究それぞれに必要とされる技術やセンスが専門化され,
一人の人が実験も理論も同時に研究することが困難になったため,主として実験的考察で物理
を研究する人(実験物理学者)と主として理論的考察で物理を研究する人(理論物理学者)と
に分かれました.
理論物理学
理論物理学の研究では,実験で得られたデータや数学的整合性を基に,自然を記述する物理
理論はどのようなものであるべきかを考察します.新しいアイディアに基づいて仮説を立て,
それがいろいろな自然現象を記述できるかを検証します.日本では理論物理学の研究は盛んで,
宇宙論,物性理論,原子核理論,素粒子論など様々な分野で有能な物理学者が優れた業績をあ
げています.京都大学では湯川博士の創設による基礎物理学研究所がアジアの理論物理学研究
の中心となっており,世界トップレベルの実験施設を有するつくばの高エネルギー加速器研究
機構では理論と実験の共同作業で物質の根源的性質を探る研究が精力的に行なわれています.
富山大学理学部での理論物理学研究
富山大学理学部物理学科では物理2研で理論物理学の研究を行なっています.ここで行なわ
れている研究は素粒子論を主としていますが,もう少し細かくいいますと
場の理論 物質の最小構成単位をなす素粒子,いろんな力を伝える粒子などを数学的にあらわ
す理論を研究します.
重力理論 宇宙の秘密をにぎる重力理論を,ミクロレベルまで解明することをめざします.
素粒子物理現象論 様々な素粒子がどのような反応を起こして,どのような現象を実現するかを
探求します.
素粒子的宇宙論 素粒子の統一模型に基づき初期宇宙の謎を解明することをめざします.
その他 理論物理学の手法を他の分野に応用し,新しい知見を得る可能性も探究します.
理論物理学研究室での学生生活
理論物理学研究室の 4 年生は週に 2 回のゼミに出席することが求められます.ゼミでは学部
の 3 年間で学んだ事を更に発展させた内容の理論物理学やその周辺などをじっくりと勉強しま
す.そのためにはこれまで勉強してきた物理数学,量子力学,熱統計力学などをしっかりと復
習して身につけておくことが強く求められます.これまではアドバンストな量子論や,一般相
対性理論,宇宙論を勉強してきました.極端なことをいえば週に 2 回だけ大学に出てくればい
いのですが,ゼミの予習復習をきちんとするなら 1 週間では時間が足りないくらいです.教員
から言われてやる勉強ではなく,積極的に自ら学んでいこうという心構えが求められます.
12 月ごろになるとゼミは終了して卒業研究に入ります.それまで学んだことや興味をもつ
テーマを教員のアドバイスのもとに設定し,それについて自分で詳しく調べて考察を行ない,2
月に研究を卒業論文にまとめ,教員や同じ研究室に属する学生の前で発表を行ないます.
さらに進んだ勉強と研究を行ないたい場合は大学院を目指します.同じ富山大学の大学院に
進むことが多いですが,中には新天地を求めて別の大学の大学院に進む人も最近では増えてき
ました.4 年生の時には理論物理を勉強して,大学院では実験物理に進む人もいます.大学院
の入学試験は 4 年生の 8 月末から 9 月始め頃に行なわれることが多いので,大学院進学を希望
する人はそれまでしっかりと勉強をして入試と進学後の勉学に備えて下さい.非常に優秀な人
の場合は 3 年生修了時から大学院へ飛び級で入学することもあります.
現在の理論物理学研究室の構成
2007 年 4 月では,物理 2 研には教員 3 名と大学院生 6+α 名,および 10 名前後の 4 年生が在
籍している予定です.(α は大学院二次入試の結果で,4 年生の数は研究室配属決定後に確定)
浜本 伸治 教授 — 量子重力理論,一般相対論
栗本 猛 教授 — 素粒子の変換,粒子・反粒子の非対称性
兼村 晋哉 准教授 — 初期宇宙,ヒッグス粒子の物理,高エネルギー現象論
大学院博士課程学生 – 1 名
大学院修士課程学生 – 5+α 名
学部 4 年生 – ? 名 (10 名前後)
研究室 – 理 1 号館 1F A129 左 (2 研図書室),2F A216 (浜本), A218(栗本), A227(兼村),
A217(未定), A228 (2 研ゼミ室), A237(学生研究室), 総合研究棟 3F 物理データ処理室
現在の理論物理学研究室の設備
理論物理学の研究をするので,いろいろな書籍や文献,学術雑誌と計算用紙と筆記具は当然
として,最近の研究にはコンピュータの利用が不可欠なので研究室に各種サーバーやパーソナ
ルコンピュータ,周辺機器を豊富に取り揃えています.一部の教員や学生には本業が物理では
なくコンピュータいじりになりつつあるような人もいますので..... (それはそれで就職の時に役
立つかもしれない).