雇用統計が強すぎると

Global Market Outlook
久しぶりに聞く「雇用統計が強すぎると・・」
2015年2月26日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】~新築住宅販売:予想外に堅調~
・1月新築住宅販売件数は前月比▲0.2%(48.1万件)と市場予想(47.0万件)を上回った。寒波に見舞われ
た北東部が▲51.6%と弱かったが、その他地域は概ね堅調。悪天候の影響が小さい南部は過去2ヶ月で累
積20%増加した。NAHB住宅市場指数の軟化、中古住宅販売件数の減少を踏まえると新築販売の強さにやや
違和感を覚えるが、MBAモーゲージ申請指数は1月に急増していたため、これを反映した動きなのかも
しれない。
新築住宅販売件数
(千件)
230
50
500
220
NAHB購入見込み
客指数(右)
450
MBA住宅ローン申請指数(新規購入)
40
210
200
30
400
190
350
20
新築住宅販売件数
180
170
10
300
250
160
150
0
09
10
11
12
13
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均
14
11
12
13
14
(備考Thomson Reutersにより作成。太線:4週移動平均
15
15
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】~ユーロ圏期待インフレ率下げ止まり~
・前日の海外市場、米国株、欧州株共に横ばい。経済指標の発表が少なく動意薄。
・前日のG10通貨はUSDが全面安。米10年金利が連日で低下するなど、イエレン議長発言が引き続き意識され
るなか、USDの持ち高整理が継続。その裏で原油価格上昇を追い風にNZD、AUD、NOKが堅調。USD/JPYは118
後半で膠着したが、26日日本時間に入ると日本株上昇もあり、USD/JPYは119を回復している(10:30)。
・米10年金利は▲1.1bpの1.969%。月末需要が意識されるなか、欧州債ラリーに追随して連日の金利低下。
WTI原油が50㌦を回復するも影響は限定的。欧州債市場はコア国中心に堅調でGIPSの対独スプレッドは
タイトニング。独10年金利は▲5.0bp、0.325%で引け。なお、ECBが重視する市場ベースの期待インフレ率
は原油価格下げ止まりを反映して底打ちの兆しがみえているが、米国のそれも同様の動きとなっているた
め、(期待)実質金利差に大きな変化はみられない。これがEUR/USD膠着の一因になっているとみられる。
(%)
3
期待インフレ率(5Y5Y)
(%)
実質金利差・EUR/USD
(EUR/USD)
2.2
1.45
2
1.35
(%)1.2
1
2.8
ユーロ圏
(右)
2.6
2.4
0.8
0.6
1.8
1.25
1.6
1.15
EUR/USD
0.4
米
2.2
2
14/01
0.2
実質金利差(EU-US、右)
1.4
14/05
14/09
15/01
1.05
13/04
0
-0.2
13/08
13/12
14/04
14/08
14/12
(備考)Bloombergにより作成
(備考)Bloombergにより作成
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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【国内株式市場・経済指標他】~制度3共済:GPIFに追随~
・日本株は小幅高で寄り付いた後、上昇幅拡大。
・昨日、国家公務員共済(KKR)は運用ポートフォリオの見直しを発表。KKRは、いわゆる制度3共済(準
公的年金)の一角で直近2014年3月末時点の運用資産額は約7.6兆円。新たなベンチマークはGPIFと同一で
円債(74%→35%)を削減する一方、日本株(8%→25%)、外国株(8%→25%)、外債(2%→15%)
を積み増す。残る2つの共済(地方公務員共済:18.9兆円、私学共済:3.8兆円)も同様の見直しが確実視
されており、日本株の需給改善が期待される。なお、投資主体別売買動向で「年金」の動向を反映する
「信託銀行」は昨年5月以降、僅か7週しか売り越しておらず、その額も累積1660億円と小さい(買い越
し額の累積は約3.8兆円)。GPIFのポートフォリオ変更と日銀のETF買い入れの影響が大きい
・豪民間設備投資(4Q)は前期比▲2.2%と市場予想(▲1.6%)を下回ったが、前期分は上方修正された
(+0.2%→+0.6%)。資源関連投資が▲5.7%と2期連続減少で精彩を欠く反面、非資源関連投資は堅調。
投資主体別売買動向
(10億円)
300
豪 民間設備投資
(mil AUD)
50000
200
40000
100
30000
0
20000
-100
10000
-200
-300
13/01
0
13/05
13/09
14/01
14/05
14/09
90
15/01
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
(備考)Thomson Reutersにより作成
(備考)Bloombergにより作成
【注目点】~久しぶりに聞く「雇用統計が強すぎると」~
・いよいよ最初の利上げ開始時期の有力候補とされる6月まで3ヶ月を切る。先週は先進国株が軒並み最高
値を更新するなど、これまでのところ大きな混乱は見られないが、約10年ぶりのFEDの利上げが目前に
迫れば、さすがにボラティリティ上昇は避けられないだろう。2月雇用統計で平均時給や労働参加率など
雇用の“質”関連の指標が上昇(改善)した場合は要注意。市場で織り込まれている利上げ時期が一気に
前倒しされる可能性があるためだ。もちろん失業率も重要。FEDはインフレ率を加速させる失業率閾値
(NAIRU)を5.2~5.5%と推計しているが、早ければ2月雇用統計でその上限(5.5%)に到達する可能性
がある。そうなれば、インフレやバブルを警戒するタカ派の意見を軽視する訳にもいかないため、これま
でと同様のハト派姿勢を貫くことは難しくなる。米債市場を中心に少なからず影響を与えるだろう。2013
年に流行した「雇用統計が強すぎると、QE3が縮小する可能性があり・・・・」を思い出されたい。
<主要株価指数>
日経平均※
NYダウ
DAX(独)
FTSE100(英)
CAC40(仏)
<外国為替>※
USD/JPY
EUR/USD
<長期金利>※
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
<商品>
NY原油
NY金
終値
18658.46
18,224.57
11,210.27
6,935.38
4,882.22
118.99
1.1368
0.329
1.969
1.718
0.325
0.612
1.461
1.387
(円)
18700
前日比
73.26
15.38
4.53
-14.25
-4.22
日経平均株価 10:54 現在
18600
18500
(㌦)
18300
0.13
0.00
%
%
%
%
%
%
%
-0.011
-0.011
-0.045
-0.050
-0.038
0.000
0.002
%
%
%
%
%
%
%
50.99 ㌦
1201.00 ㌦
1.71
4.10
㌦
㌦
※は右上記載時刻における直近値。図中の点線は前日終値。
NYダウ平均株価
18200
18100
119.5
USD/JPY
119.0
118.5
118.0
(出所)Bloomberg
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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