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【解答例】
一
一
長編と短編では文章自体の性質が根本的に異なるから。
文学作品には、それぞれの分量に即応した文章の調子
が あ り、 執 筆 に 際 す る 作 者 の 意 識 や 意 図 も 異 な る た め、
を用いて作者の思想を読者に伝えるものである。
二 短編は、作者の心に浮かぶ生き生きとしたイメージの
広がりや連鎖を軸に描くものだが、長編は、説明や注釈
三 本来、短編小説の優れた描写は、網膜に映り心に浮か
ぶ像の単なる再現にとどまらず、作者が記憶を反芻し回想
する時間の中で、採集したイメージを交錯させ、そこで新
たに増殖するイメージの総体を言語化したものだから。
四
『にんじん』の第一話に『めんどり』を置けば、作者が殊
更に説明しなくても、描かれた会話を通して物語全体に
登場する各人物像や人間関係、役割を読者に一挙にわか
りやすく示せるという巧妙な作者の意図が窺えるから。
二
一 れる近代社会で生きる人間が、国際化・複雑化・流動化
効な手段も情報も皆無となる不安と恐怖で、人々は判断
三
現代の人間にとって感覚器官と同様に生存に不可欠な
報道・通信・交通が突然に閉ざされると、環境を知る有
個
人が自らの意志で主体的に生きることを余儀なくさ
する現代の環境を知り、それに適応し、自らの生を全う
力を失い、たとえ根拠のない怪しげな情報でも与えられ
ればそれに頼り、無思慮に従おうとするであろうから。
するには、報道が身体の感覚器官と同様に不可欠だから。
二 報 道、通 信、交 通 か ら 我 々 が 突 然 遮 断 さ れ た 時 に 陥 る
不 安 は、自 分 の 身 体 の 感 覚 器 官 の 故 障 と 違 い、外 部 の 不
可知なものが要因なだけに、いっそう甚大だということ。
三
一
女は容姿端麗で、風流にも優れていたが、日々の生活
の諸事には疎くて、風情を解さない野蛮な男は気にくわ
ないと思ったから。
二 男は、別れを切り出す言葉もなく、妻にどのような落
度を見つけ出そうかと、機会を窺っていたところ、
三
夫が自分と別れたいと思っていることは、自分にさも
飽きたという夫の様子から察していたけれど、あえて素
知らぬふりをし、離れた夫の気持ちが自分に戻ることを
空しく期待していた自分を情けなく悲しく思う気持ち。