子どものために大人も学ぶ ∼文化芸術によるまちづくり∼ 文化芸術は,人々が真にゆとりと潤いを実感できる心 豊かな生活を実現していく上で不可欠なものであると同 時に,個人としての,また様々なコミュニティの構成員 としての誇りやアイデンティティを形成する,何物にも 代え難い心のよりどころとなるものであって,国民全体 の社会的財産である。 国 の『文 化 芸 術 の 振 興 に 関 す る 基 本 的な方針(第 3 次基本方針)』文化芸術振興の意義より抜粋 今回は、文化芸術によるまちづくりとして、 「佐世保」にこだわり、活動されている「おはなしマルシェ」 の 代 表 新 井 悦 子 さ ん(本 市 在 住 童 話 作 家)と、 「佐 世 保 か ら の 発 信」を テ ー マ に 公 演 を 行 っ た「劇 団 HIT ! STAGE」(ヒットステージ)のそれぞれの活動への思いをお伝えしていただきます。 子どもにも大人にも「絵本」「紙芝居」文化を・・・ 「させぼ文化ウィーク」に絵本部会として活動するため「おはなしマルシェ」 を立ち上げて3年になります。これまで絵本のワークショップ、展示、読み語り、 紙芝居、朗読劇などさまざまな取り組みをしてきました。この場をお借りして、 子どもにも大人にも上質な絵本・紙芝居の文化を届けたい、といった活動に込 める思いと、紙芝居を中心とした文化ウィークでの成果物について、ご紹介し たいと思います。 新井悦子さん 絵本とは 子どもが最初に出会う 「文化芸術」 右にあげた文章は私たちが「させぼ文化ウィーク」に絵 本部会として活動するにあたり、ベースとなる考えを記し たものです。 子どものために、まず大人によい絵本を知ってほしい、 大人にも絵本を楽しんでほしいと思っています。絵本は発 見や驚き、やすらぎ…さまざまな世界が表現されており、 大人の心を満たし、豊かにしてくれるものだからです。 絵本は子どものいる家庭だけのもの、という垣根を外し、 より広く市民の皆さんと共有したいという思いから、「させ ぼ文化ウィーク」ではさまざまな試みを展開しました。本来、 読み語りは静かで落ち着いた空間でなされるものですが、 あえてオープンなスペースで、読み手もおじいちゃん、お ばあちゃん、お父さん、学生、とバラエティ豊かに、誰で も楽しめるものということをアピールしました(十人十色 のおはなし会)。同じくオープンスペースにメンバーが1冊 1冊吟味した良質の絵本を独自の方法で展示し、他の催し 物が目的でいらした来場者にも絵本を手にとってもらえる よう工夫をしました(絵本カフェ)。 1 文化ってなに? vol.51 *文化としての絵本* 優れた絵本は、選び抜かれた言葉(= 文学)と美しい絵(=芸術)からなる もので、子どもが最初に出会う文化芸 術とも言えます。だからこそ、よいも のを手渡したい。それにはまず大人が 優れた絵本を知ることから始まります。 絵本を手に取る時、ついつい大人は 絵よりも活字に目がいきます。ところ が絵本は本来一人で読むものではあり ません。誰かに読んでもらい、その声 を聞きながら、絵を見て物語を味わう ものなのです。 <文化ウィーク展示パネルより>
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