指導案・資料分析・授業記録 (PDF146KB)

道徳の時間指導案
指導者
1
2
3
4
5
6
中藪隆行
日時
平成15年5月28日(水)
学年
第2学年 7名
場所
2年教室
主題名
友だちと仲よくし,助け合う(2−(3))
資料
「ゆっきとやっち」 (学校図書)
本時のねらい
友だちへの優しさやいたわりの気持ちを大切にし,お互い助け合おうとする態度を育てる。
7 主題設定の理由
◎ 価値について
指導内容の「友だちと仲よくし,助け合う」は友達関係において基本とすべき精神を述べた
ものであり,友達との信頼および助け合いの精神を持った児童を育てようとする内容項目であ
る。
よい友達関係を築くには,互いに認め合い,さまざまな場面での学習活動や生活を通して助け
合い,理解しあい,信頼感や友情を育てることが大切である。この段階においては,特に身近
にいる友達と仲よく活動し,助け合うことの大切さを指導することが必要といえる。
◎ 児童について
省略
◎ 資料について
本資料では,だれがはやく飛べるか,くらべっこをするなかで,自分の力を自慢するやっち
と,自慢されたことは快く思っていないが,おなかが痛くて苦しんでいるのをほっとけないゆ
っきが,一緒に飛んであげるというお話である。
◎ 指導にあたって
本授業の基礎基本は,だれが一番早く飛べるかくらべっこする中で,体調を崩したやっちに追
いついて,先に行こうか,それとも一緒にいようかまようゆっきの心情を考えることを通して,
友だちを思いやりいたわろうとする心情や,助け合おうとする態度を育てることである。
指導にあたっては,状況把握をスムーズに行うために紙芝居で資料を提示していく。その時,
自慢されていやな思いをしているゆっきの心情に共感させるために役割演技を取り入れ,その
後,一緒に飛んでいるゆっきとやっちの気持ちをワークシートに書かせ,お互いをいたわり気
遣うやさしさについて考える中で,お互いに助け合おうとする態度を育てていく。
8
展
学習指導過程
学習活動と主な発問
予想される児童の反応
開
子どもを生かす支援
○支援 ●評価
1 競争した経験について話
し合う。
○ きょうそうしたりくらべ ・ かけっこしたことがある。
っこしたことはあります ・ うでずもう
か。
・
2
気
づ
く
お話を聴き話し合う。
・ いくら早くても自慢しな
○ だれが早くとべるか競争する
くてもいいのに。
ことになったとき,自慢する ・ いやなかんじ
やっちを見て,ゆっきはどん ・ はらがたつ
●ゆっきの気持ちに共
感できたか。
な気持ちだっただろう。
・ やっちどうしたんだろう。
○ すっかり遅れてしまい,
あんなに自信満々だった
自分と並んだやっちを,
のに。
ゆっきはどう思っただろ ・ あんなにえらそうなこと
う。
いったのに・・・。
・ しんどそう。心配だな。
ゆっきはなにをまよっているのだろう。
深
め
る
・
追
究
す
る
つなげる
○ ゆっきは何を迷っている (一緒に行く)
んだろう。
・ やっぱり,やっちが心配だ
から,先には行けないよ。
・ くらべっこはもういいん
だ。
○ どうしたと思いますか。 ・ やっちをひとりにしてお
けないから・・・。
(先に行く)
・ やっちが先に行けと言っ
てるし,心配だけどいく。
・ やっちが心配だけど,くら
べっこもがんばりたい。
・ ぼくがんばって,ゴール
を目指すよ。
○ 一緒に並んでとんでいく
場面を読む。
○ ワークシートにゆ
っきの気持ちを書
かせる。
○役割演技
ゆっき・・・子ども
やっち・・・教師
●ゆっきの気持ちに共
感できたか。
○子どもと動作化し,
いたわりの気持ちを相
手が喜んでくれること
を感じさせる。
9
準備物
紙芝居(4 枚),ゆっきとやっちのお面,ゆっきとやっちの顔の絵,短冊,ワークシート
板書計画
10
﹁やっちははやくとべて
いいね。﹂
﹁ぼくもがんばるよ。﹂
﹁そうさ。ぼくはだれにも
まけないさ。﹂
﹁ゆっきがいくらがんばっ
ても、ぼくのほうがはや
いさ。﹂
紙芝居①
ゆっきとやっち
やっち
の顔
ゆっき
の顔
きょうそうしよう
ゆっき
﹁やっち、いっしょにいこうよ。さあ、ぼくの手に
つかまって。﹂
﹁そんなことしたら、ゆっきがおくれるよ。﹂
﹁いいんだよ。﹂
ぼくのことはいいから、先にいけよ。
だいじょうぶかい。くるしいのかい。
やっち
紙芝居②
紙芝居③
紙芝居④
場面・状況
登場人物の心の動き
発問
発問の意図
くらべっこのはじまるまえ
みんなと遊ん
でいて,だれが
早く飛べるか
くらべっこす
ることになる。
・ やっちははや
くとべるから
いいね。
・ ぼくもがんば
るよ。
・ いくら早くて
も自慢しなく
てもいいのに。
・ いやなかんじ
ゆっきにじま
んするやっち
ゆっきはす
こしおくれ
ました。
くらべっこをしているとき
好スタートの
やっちと少し
遅れるゆっき。
だが,スピード
が落ちてみん
なにやっちは
抜かれてしま
う。
やっちに思
わず声をか
けるゆっき
やっちどうしたん
だろう。あんなに
自信満々だったの
に。
「そうさ,ぼくはだ
れにもまけないさ。」
「ゆっきがいくらが
んばったってぼくの
ほうがはやいさ。」
・ ぼくが一番さ。
・ ゆっきなんかに
まけるわけない
よ。
だれが 早くと べ
るか競 争する こ
とになったとき,
自慢す るやっ ち
を見て,ゆっきは
どんな 気持ち だ
っただろう。
やっちはせんとうをぐん
ぐんとんでいます。
杉の木をまわった所でや
っちのスピードが急に落
ちて,みんなにぬかれ,ゆ
っきにもおいつかれる。
すっかり遅
れてしまい,
自分と並ん
だやっちを,
ゆっきはど
う思っただ
ろう。
「やっちどうしたの。」
・ 声かけようかな・・・。
そ れ と も ,こ の ま ま
抜かしてしまおうか
な。
・ やっぱり心配だな。
「ちょっとおなかがいた
いんだ。」
・ あんなに自慢したの
にみんなにもぬかれ
て,ゆっきにもおいつ
かれてくやしいな。
・ 最初にがんばりすぎ
たかなあ・・・。
だいじょうぶ?くるしいのか
「 ぼくのことはいいから,さきにいけ
い?
よ。
」
・
・
やっちが心配だなあ。
やっちがゆっ
きにいやな思
いをさせてい
ることを抑え
る。
はじめにいや
なことを言わ
れたが,それで
もやっちのこ
とが心配なゆ
っきに共感さ
せる。
ぼくのせいでゆっきまでおそくなっ
ちゃう。
・
おなかが痛いけど,そんなにひどくな
いから,だいじょうぶだよ。
ゆっきはなにをまよっているのだろう。
ゆっきはまよってしまいました。
・
・
ゆっちが言うから先に行こう
「そんなことをしたら,ゆっき
かな。
がおくれるよ。」
すごくいたがってるから,し
・
ゆっきにわるいなあ。
んぱいだな。
・
くらべっこで,ゆっきがお
そくなっちゃう。
ゆっきとや
っきはいっ
しょになら
んでとぶ
「やっち,いっしょにいこ
う。」
・ やっぱり,やっちが心
配だから,先には行け
ないよ。
・ くらべっこはもうい
いんだ。
「ありがとう ゆっき。」
・
はじまる前に,あんなえら
そうなこと言ったの,わる
かったなあ。
・
いっしょに飛んでくれて
うれしいな。
・
心配してくれてありがと
う。
(やっちに)
お礼を言わ
れてどんな
気持ちがし
ましたか。
ゆっきのや
さしさを喜
ぶやっちの
気持ちを感
じさせる。
ゆっ き とや っち
名まえ ︵
☆ ゆ っき は な にを ま よ って い る ので し ょ う 。
ゆ っき の 気もち
︶
授業記録
ゆっきとやっち
展開
指
導
者
児
童
・ちょっとみんなに聞いてみるんですが、み
・ うなずく
んなは競争したりくらべっこをしたことがあ
・ あります。走ること、背くらべ
りますか。
・ 寝るのが誰が早いか
・ いろんなことで競争したことがあると思
いますが、今日はそのことについて勉強し
ます。
・ 「ゆっきとやっち」と言うお話です。紙芝
居を読んでいきます。
①の場面を読む
気
・何をすることになりましたか。
・競争
・
「ゆっき」が、
「ぼくもがんばるよ。
」といっ
・ まけないぞ。
たのは、どんな気持ちだったでしょう。
・ これは負けて入られない。
付
・ 絶対勝つぞ。
く
・「ゆっきがいくらがんばっても∼。」という
・ 自慢はいやだ。
言い方どう思いますか。
・ ゆっきがなんかかわいそう。
・ 自慢されたらいやな気持ち。
②の場面を読む
・ゆっきはどんな気持ちで飛んでいますか。
・ はなしかけなければよかった。
・ やっちは速くていいよねって言わなけれ
ばよかった。
・ 絶対やっちを抜かしてやる。
よーし、わたしもがんばる。
・ やっちのほうはどうですか。先頭をぐんぐ
ん飛んでいます。
・ 全員抜かして1番になるぞ。
・ 僕のほうが絶対に速いぞ。
・ 僕が1番になること間違いないな。
・ へへー、僕のほうが速いもんね。
・ 1番は誰にも渡さない。
深
・さあ、1本杉を周ってくるんですが、…。
③の場面を読む
め
・
ゆっきは迷ってしまいました。
・ そりゃ、迷うよ。
・ おなかの痛い人ほっていくなんてできな
る
いよ。
・ワークシートに記入
・先生がやっちになるからね、みんなは、ゆっきになって、迷っている気持ちを考えてみよ
・
う。
・うーん、どうしよう、このままいけばいい
のか、それともやっちを運んでゴールにいけ
ばいいのかな。どうしよう。
・ インタビューしてみようかな。Aゆっきは
・ ゴールに運んだと思う。
どうしたと思うの。
・ がんばろうといっていたのに、いいの。や
・やっぱり友だちだから。
っちは何か申し訳ないと思うよ。
・どうしよう。迷っちゃった。せっかくここ
まで来たのに。
・ どうしたと思いますか。
・なおるまでここにいてあげる。
・ 直ったらゴールまで行くのかな。
・行ったらやっちが心配。でも、1番になり
追
たいな。
・ どうしたと思いますか。
・ 直るまで一緒にいる。
求
・ でも、1番になりたいんよね。あきらめて
もいいのかな。
す
・ やっちは先に行けって言ってるよ。
・
でも心配、
る
・ やっちを抜かすことはできないよ。
・ かわいそうだし、ほっといたら、もしかし
・どうして抜かすことはできないのですか。
てずっと苦しかったらかわいそうで、もう
なおらないかもしれない。
・いいと思います。
・夜までいたいことがあった。
・おいていくなんてできないよ。
・Mと似ているね。どうしてですか。自分の
・やっちがかわいそうだから。やっちをおい
力を出し切ることも大事だよ。そこで止まっ
ていくことはできないよ。
てしまったら、自分の力を出し切ることには
ならないよね。
・Mさんは、おなかが痛いやっちを置いてい
くことはどうしてもできないということね。
・ほっとくなんてできないよ。仲間に手伝っ
てもらいたいけど、おいてくなんてできない
よ。
・どうしたとおもいますか。
・かわにおちたりするかもしれないから。
・でも先に行けよって言ってるよ。
・ほっとけない。まだ大人になってないのに
死ぬのはかわいそうだから。
・大丈夫じゃないかな。
・ ほっておけない。
・ 僕だって1番になりたいよ。でも、おなか
をさすってあげたらよくなるよ。
・どうなったかというと続きがあります。④の場面をよむ。
・最後にYにゆっきをやってもらいます。先生がやっちをやります。
(役割演技)
・ ありがとう
・ どんな気持ちがしましたか。
・うれしかったです。
・やりたいやりたい。
何人かが役割演技。