第 1 章 理念・目的・教育目標

第1章
理念・目的・教育目標
1.大学の理念・目的
京都ノートルダム女子大学の沿革
京都ノートルダム女子大学は、学校法人ノートルダム女学院によって設置された女子
のための高等教育機関である。この学校法人ノートルダム女学院の設立母体となったの
は、第二次世界大戦直後にアメリカ合衆国から来日した、カトリックを教是とするノー
トルダム教育修道女会であった。ちなみに、同法人は大学以外に、ノートルダム学院小
学校、ノートルダム女学院中学校高等学校を併設している。学校法人ノートルダム女学
院の『寄附行為』は、法人の設置目的を次のように定めている。
「この法人は、教育基本法及び学校教育法に則り、設立母体であるノートルダム教育修
道女会から受け継いだ教育理念を建学の精神の土台として学校教育にあたる。すなわち、
イエス・キリストの福音に基づいて、神に創造された児童・生徒・学生一人一人の個性
と尊厳を信じ、彼らの可能性が完全に開花され、平和な人類社会の発展と環境保全を含
む地球的諸課題の解決に貢献する力をつけることを目的とする」
。
本学は「京都にカトリックの女子大学を」という多くのカトリック関係者や教育関係
者の熱意の結実として、1961(昭和 36)年に設置された。1959(昭和 34)年に発足し
た「ノートルダム女子大学設置準備委員会」には京都大学関係者が少なからず含まれて
いた。このことからも分かるように、最高水準の学問を将来有為な女性たちに、崇高な
カトリック精神の中で教授するということこそ、黎明期の本学が目指した理想であった。
設置準備委員会の主な構成メンバーは次のとおりである(アルファベット順。敬称略。
肩書きは当時)。
委員長
シスター・メリー・ユージニア(学校法人ノートルダム女学院理事長)
委 員
古屋義之(カトリック京都教区長)
平沢
興(京都大学総長)
飯島幡司(兼建設募金委員長)
(朝日放送会長)
石川芳次郎(京福電鉄社長)
大原総一郎(兼建設募金副委員長)
(倉敷レイヨン社長)
鈴木庸輔(島津製作所社長)
鳥養利三郎(京都大学元総長)
湯浅祐一(京都府公安委員長)
湯川秀樹(京都大学教授)
専門委員
猪木正道(京都大学教授)
相良惟一(京都大学教授)
建設募金副委員長
藤井正三(藤井大丸社長)
1961(昭和 36)年 4 月 1 日付けでノートルダム女子大学文学部英語英文学科(入学定
3
員 100 名)が創設され、同年 5 月 8 日に第 1 回の入学式が挙行された(入学者 124 名)。
その 2 年後の 1963(昭和 38)年 4 月には、入学定員 40 名からなる文学部生活文化学科
が増設された。
京都の学界や財界の手厚い支援を得て開学した本学は順調に成長を続け、名門女子大
学としての社会的評価も定着し、京都の女子大学の中でも高い偏差値を誇るに至った。
創設後 20 年以上を経た 1988(昭和 63)年には、文部省(当時)によって収容定員の変
更が認可され、文学部英語英文学科の入学定員が 100 名から 200 名に、また同生活文化
学科の入学定員が 40 名から 80 名と、それぞれ倍増した。
1990 年代に入ると、翌 1991(平成 3)年の大学設置基準の大綱化を皮切りに、わが国
の高等教育を取り巻く環境が大きく変化するに至った。その最大の事柄が 1992(平成 4)
年をピークに始まった 18 歳人口の減少である。学齢人口が終わることのない減少傾向に
あるにもかかわらず、政府の規制緩和の波に乗って大学や学部・学科の新設が続き、小
さくなったパイを多人数が分け合うという図式が固定化した。また大学受験生の資格指
向が高まるなか、文学系の大学や女子大学の人気が凋落傾向を見せるに至った。
激動する 1990 年代のわが国の高等教育にあって、本学は先人たちの遺産の上にあぐら
をかいて急激な変化に目立った対応もせず、偏差値や受験雑誌の評価において本学より
下位にあった多くの女子大学に追い越される結果となってしまった。まさに 1990 年代は
本学にとっての「失われた 10 年」であった。
本学に改革の嵐が吹き募るようになったのは、ようやく 1999(平成 11)年からである。
この年、本学は「京都ノートルダム女子大学」と名称を変更し、京都を中心としたロー
カル大学からの脱皮をはかり、全国から受験生を募る意気込みを示した。翌 2000(平成
12)年には学部名称を文学部から人間文化学部に変更するとともに、人間文化学科、生
活福祉文化学科(生活文化学科は廃止)
、生涯発達心理学科を開設し、既存の英語英文学
科とともに、1 学部 4 学科体制を確立した。同年における入学定員数は、英語英文学科
110 名、人間文化学科 45 名、生活福祉文化学科 90 名、生涯発達心理学科 115 名、計 360
名であった。
その後も、京都ノートルダム女子大学の改革はとどまるところを知らない。2002(平
成 14)年には大学院研究科の設置認可を受け、まず応用英語専攻(修士課程、入学定員
20 名)が開設し、その後逐年ごとに生涯発達臨床心理専攻(修士課程、入学定員 15 名)
、
生活福祉文化専攻(修士課程、入学定員 10 名)、そして人間文化専攻(修士課程、入学
定員 8 名)が設置された。生涯発達臨床心理学専攻は 2005(平成 17)年に心理学研究
科として独立し、同時に博士後期課程も設けられた(入学定員 4 名)
。
かくして京都ノートルダム女子大学大学院は、人間文化研究科に応用英語専攻(修士
課程)
、人間文化専攻(修士課程)
、生活福祉文化専攻(修士課程)の 3 専攻を、心理学
研究科に発達・学校心理学専攻(博士前期課程)、臨床心理学専攻(博士前期課程)、心
理学専攻(博士後期課程)の 3 専攻をそれぞれ擁するに至った。
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再度、学部に目を転じれば、2005(平成 17)年に、人間文化学部生涯発達心理学科を
心理学部心理学科として独立させ、発達心理専攻、学校心理専攻および臨床心理専攻の 3
専攻を設け、入学定員をそれぞれ 30 名、50 名、80 名、合計 160 名とした。なお、学校
心理専攻には幼稚園および小学校の教員資格認定を受けている。また同年、人間文化学
部人間文化学科の入学定員を 45 名から 60 名に増員した。
さらに翌年の 2007(平成 19)年には人間文化学部生活福祉文化学科を、生活福祉文化
学部として独立させると同時に、その入学定員を 90 名から 100 名に増員した。
このように 1961(昭和 36)年に 124 名の第 1 期生を受け入れたノートルダム女子大
学(現京都ノートルダム女子大学)は、2007(平成 19)年現在、学部・大学院を併せて
1701 名の学生をそのキャンパスに抱いているのである。
京都ノートルダム女子大学の基本理念と建学の精神
京都ノートルダム女子大学学則の第 1 条は、大学の目的として「本学は、教育基本法
及び学校教育法の規定に基づき、深く専門の学芸を教授研究するとともに、カトリック
精神及び日本文化の優れた伝統を体し、教養高き女性を育成して我が国文化の推進に寄
与する」と定めている。本学の創始者たちが建学の精神、すなわち教育の理念の基礎と
して据えたのは、
「カトリック精神及び日本文化の優れた伝統」である。特にカトリック
精神に関しては、
「徳と知」
(Virtus et Scientia)という端的な表現を用いて、大学教育
とは単に「知」すなわち知識や技術の教授にとどまらず、
「徳」すなわち価値観、道徳律、
宗教心といった精神性や人間性の涵養が必須であることを主張しているのである。「徳」
(Virtus)に裏打ちされない知識は無意味であり、時として有害でもありうる。一人ひ
とりの学生が知識を蓄積してゆく過程で人格を高めることこそが、京都ノートルダム女
子大学の使命であり目的なのである。大学在学中の 4 年間で学べる知識の量は限られて
おり、また知識はいつか鮮度が落ちるかもしれない。一方、人格の陶冶は無限の可能性
を秘めているのである。
大学生は、幼稚園入園あるいは小学校入学以来、長い年月にわたって過ごした学校生
活の最終段階にあり、残る僅かの期間を経て社会人となる。社会が重視するのは、知識
以上に人格である。京都ノートルダム女子大学の教育は、知識や技術の教授を通して、
近々のうちに社会人となるべき女性の人格完成を目指すのである。
本学の創設にあたって、大学名は設立母体である修道院名のままに「ノートルダム女
子大学」とされた。
「ノートルダム」
(Notre Dame)とは、フランス語でキリストの母、
聖母マリアを意味しており、その聡明さ、寛容さ、謙遜さをもって世界中のキリスト者
たちから敬愛されている。本学もまた、教育の対象である女性たちの理想像として聖母
マリアを仰いだのである。
1999(平成 11)年、大学名の冒頭に「京都」を加えて、
「京都ノートルダム女子大学」
とした。校名変更を行なった理由は、受験生に根強い人気を博している京都に所在する
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大学であることを強調する、いわゆる「京都効果」もさることながら、わが国の豊かな
伝統と文化を象徴する京都において、日本人として不可欠とされる情操や品性を涵養し
ようとする決意を明らかにするものであった。これこそ学則第 1 条に謳う「日本文化の
優れた伝統」にほかならない。かくして京都ノートルダム女子大学の教育を図式化すれ
ば、キリスト教精神に具現化されているグローバルな価値観を縦軸とし、京都に象徴さ
れる日本人固有の価値観を横軸とする交差点において展開されるものであるといっても
過言ではないのである。
中央教育審議会が 2005(平成 17)年 1 月 28 日に文部科学大臣に提出した答申「わが
国の高等教育の将来像」は、大学の機能を以下の 7 つに大別している。
(1)世界的研究・教育拠点
(2)高度専門職業人養成
(3)幅広い職業人養成
(4)総合的教養教育
(5)特定の専門的分野(芸術、体育等)の教育・研究
(6)地域の生涯学習の拠点
(7)社会貢献機能(地域貢献、産官学連携、国際交流等)
この 7 つの機能の中から京都ノートルダム女子大学が位置するもの一つだけ選ぶとす
れば、いうまでもなく(4)の総合的教養教育であろう。
「教養教育」とは、
「常識」と「良
識」そして「情緒」と「品性」とが過不足なく配置された理性を培う教育であるといえ
る。また、
「総合的」とは「全人的」
(ホリスティック)と言い換えることもできよう。
「総
合的教養教育」とは、
「徳と知」のバランスの取れた教育以外の何ものでもないのである。
大学の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性
(A)
「現状説明」
大学の理念・教育目標は、ホームページ、大学案内などで広く周知している。学生に
対しては、機関紙『ルヌヴォー』によって周知を図っている。また、入学式の際の理事
長や、学長からの挨拶では、新入生や保護者に対して本学の理念や教育目標を伝えてい
る。また新入生にはオリエンテーションのプログラム中に「大学の沿革」というテーマ
を設け、本学の理念・教育目標について理解の向上に努めている。
「点検・評価」「改善方策」
本学の理念・目的・教育目標等の在学生への周知に関しては、その頻度、時期、内容
について具体的な検討を開始する。周知方法に関しても、ホームページ、
『大学案内』
、
『ル
ヌヴォー』などによる周知など、これらのバランスや効果について検証および検討を開
始する。また、新 1 年次生必修の「ノートルダム学」を 2008(平成 20)年度に導入する
予定であるが、この科目はいわゆる「自校教育」として、本学の建学の精神や教育の理
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念・目標を新入生に徹底的に教え込むものである。
一般社会に対しては、今後もホームページ、大学案内や各種メディアを用いて周知す
るよう努めていきたい。
2.学部の使命・目的・教育目標
1)人間文化学部
(理念・目的等)
人間文化学部は、カトリック精神および日本文化の優れた伝統を体し、国際感覚を身に
付けた、教養高き女性を育成して我が国文化の推進に寄与すること、という建学の理念に
根差した目的を掲げ、
「徳と知」
(Virtus et Scientia)をモットーに、1961(昭和 36)年に
創設された文学部をその前身とする。この建学の理念・使命・目的は、直接的に本学部に継
承されている。英語英文学科のみで歩み始めた文学部は、2 年後に生活文化学科が設置され
た後、長年にわたって 2 学科制をとってきたが、2000(平成 12)年、新時代の要請に応え
るべく、英語英文学科、人間文化学科、生活福祉文化学科、生涯発達心理学科の 4 学科制
へ改組・転換すると同時に、学部名称を現在の「人間文化学部」に変更した。その後、2005
(平成 17)年に生涯発達心理学科が、2007(平成 19)年に生活福祉文化学科が、それぞれ
学部として独立したために、人間文化学部は再び英語英文学科と人間文化学科の 2 学科体
制となった。加えて、本学の建学の精神そのもののキリスト教教育を担当する「カトリッ
ク教育センター(学生の宗教的情操について指導をする「キャンパス・ミニストリー」を
含む)
」および、主として共通教育の語学教育を担当する「言語学習センター」のセンター
所属の教員も、本学部に所属している。
本学部の主な教育目標は、建学の精神の基礎であるカトリック精神を根底にもち、言語・
歴史・文学・思想・芸術・倫理・宗教など、人々の生活形成の様式と内容の総体である「文
化」という視点に立って、「人間」存在の意味やその営為のありさまを学際的に学び、文化
の多様性を理解し、異文化に対し寛容な国際感覚をもって、幅広く社会に貢献することの
できる女性を育成することにある。
このような目標を実現するために、全学的に、共通基礎科目として「人間と宗教Ⅰ・Ⅱ」
および「宗教音楽」の宗教科目を必修とし、建学の理念の大本を学ぶ場を提供している。
本学部では、日本人にとっての母語である日本語および国際語としての英語を 2 本の柱と
した高度な語学力、時代の要請としての情報活用能力およびコミュニケーション能力を身
につけ、それらの能力を生かして、わが国固有の伝統文化、英語圏そのほかの多様な文化
等をさまざまな切り口で学ぶことができるカリキュラムが用意されている。ただし、本学
のモットーである「徳と知」を身につけることや文化の多様性を理解することなどは、第
一義的には授業を通してなされることであるが、それだけでは充分ではなく、友人や教職
員との人格的交わりに負う所も多い。その意味でも、本学部の少人数教育やさまざまな形
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態による留学制度および外国人留学生の受け入れ等は、有効に機能していると考えられる。
将来的には、本学部において相互補完的な関係にある英語英文学科および人間文化学科
の両学科の履修上の壁をさらに低くする予定である。具体的には、2008(平成 20)年度か
ら、両学科で共通に履修できる科目を増やし、いずれの学科に属する学生でも取得できる
日本語教員資格課程を開設し、従来は人間文化学科の学生のみに認められていた情報処理
士資格科目の履修を、英語英文学科の学生にも認めるようにする計画である。中・長期的
には、それぞれの学科に設置されている英語科教育職員免許状、国語科教育職員免許状の
同時取得も視野に入れた、主専攻・副専攻のシステム導入も検討中である。
(理念・目的等の検証)
個別・具体的には、英語英文学科、人間文化学科、ならびにカトリック教育センター、
言語学習センターのそれぞれの主体的な検証に委ねられているが、2007(平成 19)年度よ
り、従来の全学教授会から学部教授会に移行したことを踏まえ、月 1 回開催される人間文
化学部教授会において、学部に共通する諸問題を検討・検証するのみならず、両学科、両
センターの会議の決定事項や協議事項等を共有するように努めている。さらに、両学科は、
建学の理念の実現や目的達成のために、互いに補完し合う関係にあるとの認識のもと、建
学の精神を継承しつつ、時代の要請に応えるべくそれぞれの中・長期計画を検討するワーキ
ング・グループの合同の会合を持っている。その成果は 2008(平成 20)年度以降の新カリ
キュラムに反映されている。
a. 英語英文学科
(理念・目的等)
大学・学部等の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性
(A)
「現状説明」
英語英文学科は 1961(昭和 36)年の大学設立時に設置された唯一の学科であり、本学の
建学の精神である「徳と知」
、および建学の目的「カトリック精神及び日本文化の優れた伝
統を体し、教養高き女性を育成してわが国文化の推進に寄与すること」が、すなわち本学
科の創設以来の精神であり目標である。この精神と目標を基盤とし、高度な語学力を武器
に、異文化の中でも力を発揮できる柔軟で教養豊かな国際人の育成を行うことが、本学科
の現在の教育目標である。
この教育目標を達成するため、英語英文学科では、
(1)専任教員によるきめ細かい指導制度(1 年次生の導入教育から 3・4 年次生のゼミ制度
まで 4 年間におよぶ一貫指導体制)
(2)少人数制(5 名∼20 名前後)の洗練された英語教育
(3)専門ゼミを中心とする高度な専門教育(特別プログラムの学生を除く全員が卒業論文
を英語で執筆)
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(4)現代社会への適応力を養成するキャリア形成教育(2008(平成 20)年度からは ANA 総合
研究所との提携による「エアライン・プログラム」を開設)
などを軸とした体制で基礎教育と専門教育を行っている。
専門教育は、本学建学以来の中心的分野であった「英文学」や「英語学」に加え、現代
社会において知的・実用的に求められている「英語圏文化」、「英語教育学」
、
「コミュニケ
ーション」といった分野を導入し、現在は〈英語圏文化・文学〉、
〈英語教育・英語学〉
、
〈コ
ミュニケーション〉、
〈スペシャリスト(実践訓練中心の特別領域)〉の 4 領域を設置し、そ
れぞれの領域における教養と高度な知識の習得を目的としている。また、特に実践力、即
戦力が身につくよう、海外での研修や留学制度も充実させている。
「点検・評価」
現在の英語英文学科のカリキュラムは「キャリア志向」という新しい学生のニーズに充
分に対応しつつあり、発展途上ながらも、学科の理念と目的を現代社会の変化に合わせて
柔軟に微修正している点は高く評価できる。同時に、ただ時代に迎合するだけでなく、批
判精神を含めた本当の意味での人間力の育成の努力を怠っておらず、その結果企業での卒
業生への評価も良く、この点も評価できる。
しかし、学科の理念や目的を達成するカリキュラムが充実しても、その中核である少人
数教育の実践を専任教員だけで賄いきれておらず、非常勤教員に多くを依存せざるを得な
い実態が続いている。学科の理念の伝播と目的の達成は専任教員がその主たる責を担うべ
きであるのは明白であるが、人員不足という理由で専任教員による少人数制が維持できな
いのは憂慮すべき事態である。
最後に、学科の理念や目的の適切性に関して、これまで本学科の学生の認識や実感を、
「在
学生満足度調査」(以下、
「満足度調査」とする)や「学生による授業評価アンケート」(以
下、「授業評価」とする)によって調査したことはあっても、直接学生に聴取したことがな
く、理念・目的達成の当事者である学生あるいは卒業生の意見や成果を反映させる機会を設
けていないのは問題点であろう。
「改善方法」
現在発展途上にあるカリキュラム再編については、今後、たとえば幼児・児童を対象に
した早期英語の教員養成にもこれまで以上に力を入れていく等、学科の理念・目的をさらに
現代社会に見合うものへと対応させていく計画である。
また、在学生・卒業生に対する意識調査、卒業後の進路・意識調査等の実施を検討し、学
科の理念・目的の適切性を議論していくにあたり、それらを有効に反映させるシステムの構
築を計画する。
学部等の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性 (A)
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「現状説明」
学科の理念・目的・教育目標は、まず入学時に新入生およびその保護者を対象に行われ
る説明会において周知徹底し、その後のオリエンテーションや各学年の履修指導、さらに
は大学の後援会(在校生の保護者の会)と共催で行われる、学部・学科別保護者懇談会等
において継続的に説明・指導している。一般に対しては『大学案内』、ホームページ、リー
フレット、オープンキャンパス、高校訪問、地方における大学説明会、講演会などさまざ
まな場所で詳細に説明している。特にこの数年間、毎年開催している公開講座は、開学か
ら実践的英語を主眼にしてきたことを周知できるプログラムにしている。2007(平成 19)
年度の 7 月末に大学院応用英語専攻との共催により実現した戸田奈津子氏を迎えての公開
講座には 1300 人もの聴衆を集めた。
「点検・評価」
教育理念や教育目標の在学生への周知に関しては、各授業や履修指導などで継続的に行
っている。その有効性を計る客観的かつ具体的な指標は存在しないものの、学生生活を終
え卒業を迎える学生の「徳」と「知」の成長に対して、多くの専任・非常勤の教員から賞賛の声
が寄せられており、学生たちに学科の理念・目的・教育目標の周知は充分に行なわれている
と考えられる。ただし、学年を重ねるごとに周知の頻度や新鮮度が下落していることは否
めず、今後、よりいっそう効果的な周知方法や時期の検討が必要であろう。
一般に対する周知に関しても、本学科の理念や目的を充分に理解している受験生・オー
プンキャンパス来場者や入学生が多いことから、現在の周知方法の有効性は実証されてい
ると考えられる。ただし、自分から情報を求める高校生・学生には現在の周知方法が有効で
あっても、本学や本学科の名称に親しんでいない高校生や一般に対する周知は充分である
とはいえず、今後その方法を検討する必要がある。
「改善方策」
本学・本学部・本学科の理念や目的の在学生への周知に関しては、その頻度、時期、内
容について具体的な検討を開始する。また、周知方法に関しても、説明会での指導、各授
業内での指導、文書による周知のバランスや効果について検証および検討を開始する。
一般に対しては、現在行っている学科オリジナルホームページの刷新と、学科独自のリ
ーフレットやチラシの作成を組織的に取り組める体制を早急に整えていく。
(理念・目的等の検証)
学部等の理念・目的・教育目標を検証する仕組みの導入状況 (C)
理念・目的・教育目標を検討する特別の仕組みは導入していないが、学科の理念・目的・教
育目標を直接反映するカリキュラムを評価・検討するためにワーキング・グループを組織
し、ワーキング・グループで討議された具体的評価・提案を学科会議で審議する制度を採用
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している。また、教務委員、入試委員、広報委員、FD・自己点検委員などが連携して学生
の履修状況、入学希望者および在学者への理念・目的等の周知などを常に評価・検討し、学
科会議において具体的な審議を行える体制となっている。
学部等の理念・目的・教育目標の、社会との関わりの中で見直しの状況 (C)
学科の理念・教育目標が現代社会とのかかわりにおいてどのように評価されているのか
を検証するため、学科が主催する公開講座の際に外部の聴講者に意見を聴取したり、イン
ターンシップで学生を送り出して第三者の意見を聴取するなどの努力を重ねている。現在
のところ英語英文学科の目的・教育目標は社会に広く受け入れられていると考えられるが、
さらに現代社会の要求に応えるものに改善するための努力を続けている。たとえば、現在 1
年次生を対象に開講している「英語キャリア戦略」という科目では、毎回マスコミ、出版
業界、広告業界、製造業界等の第一線で活躍する講師を招聘し、学生が現代社会の要求や、
そこで必要となる知識を直接学べる機会を提供している。また、前述のとおり、2008(平
成 20)年度から、ANA 総合研究所と提携して「エアライン・プログラム」をスタートさせ
る。
b. 人間文化学科
(理念・目的等)
大学・学部等の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性
(A)
「現状説明」
「カトリック精神及び日本文化の優れた伝統を体し、教養高き女性を育成して我が国文
化の推進に寄与すること」という本学の建学の目的を直接的に担っている本学科の主な教
育目標は、わが国固有の伝統文化を理解しつつ、人類が長い歴史の中で生み出してきた文
化の多様性を理解し、尊重しながら、さまざまな分野において、文化の創造・発展・継承
に積極的に寄与することのできる幅広い知識と教養を身につけた人材を育成することにあ
る。
このような目標を実現するために、本学科では、〈交流文化学〉
〈情報文化学〉
〈芸術学〉
の 3 領域を設けている。学生はこれら 3 領域に関する包括的な基礎知識、思想的背景を学
んだ上で、さらに一つの領域を選択して、より専門的な研究を行う。すなわち、理解・継
承・伝達という多面的アプローチによって、文化を総合的に学ぶとともに、特定の領域を
深く学ぶことのできるカリキュラムが用意されている。加えて、文化を理解・継承・伝達
するための重要な手段としての言語教育と情報教育とに力を入れている。
「点検・評価」
「改善方策」
2006(平成 18)年度には、国語学・国文学に関する専門性にとどまらず、上述の幅広い
知識と教養を身につけた教育力豊かな教員を養成することを目指し、国語科(中学・高校)
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の教職課程を設置した。2008(平成 20)年度からは、上記 3 領域を〈日本語と日本文化〉
〈芸術と多文化理解〉
〈読書と情報の文化〉に組み替え、さらに、「日本語教員資格課程」
を設置することとしている。これらの方策によって、本学科の教育目標である、日本文化
の優れた伝統をより深く理解し、継承し、伝達し得る人材、あわせて、多文化に対する理
解をもち、幅広い知識と教養を備えた人材を養成することが可能になる。
学部等の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性 (A)
「現状説明」
学外向けとしては、
『大学案内』
、大学の公式ホームページに加え、学科独自のホームペ
ージを充実させ、比較的頻繁に更新している。これらのホームページは、インターネット
世代への伝達手段としては、最も有効な手段の一つであろう。そのほかオープンキャンパ
ス、高校訪問、各地で催される各種説明会、出張模擬授業、地方後援会等に、学科一丸と
なって周知にあたっている。毎年開催している大学院人間文化専攻との共催による講演会
も地域社会に対する有力な伝達手段である。
学内においては、学年初めのオリエンテーション、フレッシュマンキャンプ、
『ルヌヴォ
ー』
(大学報)等で、折に触れ周知を図っている。特に 1 年次生については、指導教員によ
る少人数クラス「人間文化学概論Ⅰ・Ⅱ」において、懇切丁寧に指導している。保護者に対
しては、入学式後および後援会総会後の学科別懇談会において、周知に努めている。
「点検・評価」
学外向けに関しては、積極的に周知に取り組んでいる。学内では、教育目標等は「人間
文化学概論Ⅰ・Ⅱ」の授業や各行事において伝達されているので、学生の間に共通認識が育
まれているが、学科の理念や目的について、伝達は行われているものの全学生に周知徹底
のレベルまで達していないことが問題としてあげられる。また、それらの伝達は特に 1 年
次生に向けては積極的に行われているが、2∼4 年次生に向けてもさらになされなければな
らない。
「改善方策」
今後は全学年の学生に向けて学年初めのオリエンテーションにおいてのみならず、学科
の理念・目的・教育目標を伝えるための特別な授業日を設けるなど、学生に直接語りかけ
る機会を増やすことで、より多くの学生が本学科の理念を理解し受容していくことができ
ると考えられる。
(理念・目的等の検証)
学部等の理念・目的・教育目標を検証する仕組みの導入状況 (C)
「現状説明」
「点検・評価」
「改善方策」
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担当領域、担当委員会、年齢、性別等を考慮の上選出された学科構成員の約半数からな
る「カリキュラム検討委員会」を月 1 回開催し、標記検証を中・長期的展望の下に行ってい
る。目標実現に有効と考えられる事柄は、当委員会でまとめられた提案に基づき、同じく
月 1 回開催する学科会議において検討のうえ、実施している。
学部等の理念・目的・教育目標の、社会との関わりの中で見直しの状況 (C)
「現状説明」
「点検・評価」
「改善方策」
学生の即戦力のみに目が向けられかねない今日の状況ではあるが、長期的には、幅広い
知識と教養に裏づけられ、問題の本質を根本から見据えることのできる人材の養成が大学
に課せられた使命であることには変わりがない。その意味で、大幅な見直しの必要性はな
いと考えるが、公開講演会に参加する一般市民の声などの中に、大学に寄せるさまざまな
期待が感じられる。本学部の教育において、現代的視点を持ち続ける必要があることはい
うまでもない。上述の「カリキュラム検討委員会」の重要な管掌事項の一つである。
2)心理学部
(学部の理念・目的等)
大学・学部等の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性
(A)
「現状説明」
2000(平成 12)年設立の人間文化学部生涯発達心理学科を前身とし、関西地方における
最初の心理学部として、2005(平成 17)年に心理学科発達心理専攻、学校心理専攻、臨床
心理専攻の 3 専攻を設置して新たにスタートした。この心理学部心理学科 3 専攻設置の理
念は、こころの成長、知能や言語、認識の発達を明らかにする発達心理学の研究成果を縦
軸に、幼稚園・小学校における教育のあり方を明らかにする学校心理学の研究成果を横軸
に置き、臨床心理学の研究成果を踏まえながら現代的な課題の解決に向けてアプローチし
ていくことにある。いずれの専攻においても、建学の精神である「徳と知の教育」を具現化
するために、具体的には以下の様な教育目標の実現を図っている。
発達心理専攻では、人が年齢とともに成長・変化する過程、特に子どもが育っていく過
程について学び、子どもの発達を理解し、支援していけるような人材を育成することを目
標としている。学校心理専攻では、幼稚園・小学校教諭 1 種の教育職員免許状が取得可能
であり、心理学を学ぶだけではなく、学校教育について広く学び、幼児や児童の心を理解で
きるような教師や教育関係者を育てることを目標としている。臨床心理専攻では、心理検
査や心理相談などについて体験的に学び、将来的に心理的な問題をかかえた人やその家族
に対して理解し、援助していけるような人材を育成することを目指している。
「点検・評価」
学部の理念・目的・教育目標を実現するために、1 年次には基礎的な心理学の知識を学ぶ
概論と心理実験や心理統計、検査法等による研究方法とその基礎技能を学ぶ講義、実習を 3
13
専攻の必修とし、学年が上がるにつれてそれぞれの専攻領域を深めるようなカリキュラム
構成をとっている。同時に多くの授業は 3 専攻共通に開講し、学生の興味や関心、研究の
深まりからの必要性に応じて受講できる体制をとっている。心理学の一領域に偏ることな
く、3専攻の壁を低くし、幅広く心理学を学ぶことができるカリキュラム体制をとっている。
一方、心理学部学校心理専攻では教育職員免許状が取得できるカリキュラムになっている
が、一部の学生にとっては心理学の専門と教職課程の両立に対する負担感が生じてきてい
る。
「改善方策」
2008(平成 20)年度には心理学部の完成年度を迎えるが、本学部の理念や教育目標の実
現が図られているかどうか、学部としてカリキュラムを中心に見直しを行っていく必要が
あるだろう。前述の教職課程を履修する学生の負担感軽減については、現行のカリキュラム
の見直しが、喫緊の課題である。また、在学生に対してカリキュラムや大学生活に関する意
識調査を行ったり、卒業生の進路実態を調査したりする等、具体的なデータを収集すること
で、心理学部全体の見直しや改革を検討していきたい。
学部等の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性 (A)
「現状説明」
以上のような学部の理念・目的・教育方法の周知については、
『大学案内』を始めとして
オープンキャンパス、高校訪問、出張模擬授業、進学説明会等で説明している。また、公開講
座を開催することによって、一般市民や教育関係者、臨床活動に従事している者にも、本学
における教育・研究を周知している。さらに、大学のホームページに心理学部のオリジナル
ページを設け、心理学部の特色や指導方法、授業内容について、受験生に対してもわかりや
すい内容となる様にさまざまな工夫を行っている。
心理学部で学ぶ学生に対しては、年度初めの履修指導を中心に、卒業までの単位取得や
進路の相談において、適宜説明や指導をしており、カリキュラム構成を中心にして設立の
趣旨、理念等について充分に浸透していると考えられる。また、保護者に対しても、入学式
後および、年に数回行われる後援会総会後の学科別懇談会において、周知に努めている。
「点検・評価」
学外者・学内の学生ともに、それぞれの者に伝わりやすい方法で、学部の理念・目的・教
育目標を周知している。しかしこれまでは、どちらかというと大学全体としての周知が中心
であったため、心理学部独自での周知の方法としては、まだ検討すべき余地が多くあると考
えられる。
「改善方策」
14
現在、さらに心理学部の理念、教育・研究をアピールするための方策を検討している。大
学ホームページにおける心理学部オリジナルページの工夫や、学部独自のリーフレットの
作成、心理学部主催の公開講座の開催など、今後も効果的な周知の方法を検討していく必要
がある。
(理念・目的等の検証)
学部の理念・目的・教育目標を検証する仕組みの導入状況
(C)
カリキュラム構成において具現化した学部の理念・目的・教育目標等を検証する仕組み
としては、毎年度末におけるカリキュラム評価を位置づけている。教務委員を中心に、単
位の取得状況やゼミの指導や講義における学生の育ちの姿の把握、資格の取得や就職の状
況、社会や生活の変化等を評価しながら、カリキュラムを改善していく作業を行っている。
学部の理念・目的・教育目標の、社会との関わりの中で見直しの状況 (C)
前述したカリキュラム評価によるカリキュラム改善の作業の中で、現代社会における児
童、生徒の心のケアを中心にした実践的、課題解決的な講義、演習を 3 専攻それぞれから
アプローチする授業を新設する必要性が指摘されている。加えて、心理学部 3 専攻共通に
位置づけた心理学部の共通基盤としての心理学の幅広い基礎的、基本的な知識の理解、習
得のカリキュラムと、学校心理専攻に設定されている小学校一種、幼稚園一種の教育職員
免許状の取得のためのカリキュラムとが結果的に 2 本立てのカリキュラムとなり、教職課
程を履修する学生にとって負担が大きくなっている。これらの問題解決のために、現在カ
リキュラム改革のワーキング・グループをたちあげ、改善のための作業に取り組んでいる。
3)生活福祉文化学部
(学部の理念・目的等)
大学・学部等の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性
(A)
「現状説明」
本学部は、本学の建学の精神である「徳と知の教育」を基盤に据え、1963(昭和 38)年
に設置された生活文化学科を基礎として、人間の生活の営みと、生活を取り巻く文化や社
会とのかかわりにおいて、徳に満ちた人格の形成と、質の高い生活を創造する知識と技術
を体得する教育を実施している。学部化への経緯としては、2000(平成 12)年 4 月に、従
来の生活文化学科の教育的理念と伝統を継承しつつ更なる発展を企図して、生活文化学科
を生活福祉文化学科に改組した。その教育的理念としては、現代人の暮らしを、生活文化
と生活福祉の両面から複合的に学び、幅広い知識と科学的な洞察力を備えることで、豊か
で質の高い生活を営める人材を育成するとした。そして 2007(平成 19)年 4 月より、さら
に専門的で高度な知識を修めた生活者、あるいは社会福祉の現場で活躍する専門的な知識
や援助技術を兼ね備えたソーシャルワーカーの養成を目的として生活福祉文化学部を開設
15
した。とくに新学部では従来の資格に加えて、社会福祉分野で社会的要請の高まる保育士
や精神保健福祉士の養成を開始した。本学部は、
「生活の質」
(QOL:Quality of Life)や「ウ
ェルビーイング」
(Well-Being)の向上・発展に寄与することを中心的理念とし、この理念
を基礎として人々の生活をいかに充実させ、健康で快適な生活をいかに実現するのか、そ
して望ましい生活のあり方や考え方を総合的に学び、実践する人材の育成を教育目標とし
ている。この教育目的や目標を達成するために、本学部では〈ライフデザイン〉と〈ソー
シャルワーク〉の 2 領域を設けている。その目的とするところは、
〈ライフデザイン〉領域
では衣食住および健康などの側面から、健康的で質の高い生活のあり方、生活の文化につ
いて学ぶことである。
〈ソーシャルワーク〉領域では高齢者、児童、障害者、地域などにお
ける福祉のあり方や相談援助の実践について理解を深め、より質の高い援助の実践力を養
成することである。
「点検・評価」
両領域はその専門性においてはそれぞれ固有性を有しているが、生活を基礎にし、より
高い生活の質の追求と実現という点では、相互に共通性と関連性のある領域である。より
よき生活の質やウェルビーイングの追求という点において、同じ教育目標を共有している
ところが実際の生活者の視点として評価できる。
「改善方策」
生活福祉文化学部としては、2010(平成 22)年の完成年度を見越して、現在の体制の見
直しや新たなカリキュラムのあり方などに関するプロジェクトチームを立ち上げ、検討を
始めている。
学部等の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性 (A)
「現状説明」
学部の理念・目的・教育目標等の周知については、受験生および一般に対しては大学案
内パンフレットや学部のホームページなどで詳細に伝えている。また、学部独自のリーフ
レットを作成し、大学全体や学部独自の高校訪問の際には、これを活用して周知に努めて
いる。学科改組の際や、学部開設を記念して出版する刊行図書(2008(平成 20)年刊行予
定)では、学部所属専任教員が「生活の質」
、
「ウェルビーイング」などを共通基盤として、
それぞれの専門性と関連づけながら執筆作業に入っている。さらに、学部の理念を基礎に
おいたテーマ設定で、一般市民対象の公開講座、セミナー、シンポジウムを毎年実施し、
一般市民に学部の目指す理念を理解してもらうよう努力している。高校への出張模擬授業
は学部の教育理念や目的を理解してもらう有意義な機会と位置づけ、積極的に対応してい
る。新入生に対しては、学年初めのオリエンテーションや履修指導を中心に適宜指導して
おり、学部設立の趣旨、理念等について周知を図っている。また、学部の理念や教育目的・
16
目標をわかりやすく具体的に理解することを意図して「生活福祉文化概論」
(半期・必修科
目)を置き、さらに 2 領域(
〈ライフデザイン〉と〈ソーシャルワーク〉
)の理念や目的を
理解するための科目として「ライフデザイン基礎論」と「ソーシャルワーク基礎論」をと
もに必修科目として履修させている。保護者に対しては、入学式後および後援会総会後の
学部別懇談会において、周知に努めている。
「点検・評価」
オープンキャンパスなどにおける高校生の質問内容や、説明会、高等学校訪問時の教員
の質問内容からも、学部の理念や目的および教育目標が周知されていることが理解でき、
周知の方法が、有効に機能していると思われる。
また、在学生に対しては先に記した必修科目の授業の中で学部の理念や教育目標を学ばせ
ているが、講義終了後のレポートや定期試験などで学部の内容を理解できていることが読
み取れ、これらの周知の方法の有効性も実証されている。
「改善方策」
今後さらに大学案内、学部リーフレット、学部のホームページを充実させ、受験生や一
般に対する周知を図ることに力を入れる。また、学部の開設からあまり時間が経過してい
ないので、効果的な周知を行うために、学生がどの程度理解しているのかを量的に評価し、
それぞれの講義の内容についても検討を重ねていく計画である。
(理念・目的等の検証)
学部の理念・目的・教育目標を検証する仕組みの導入状況
(C)
「現状説明」
毎月 1 回開催の学部教授会では、学部の中・長期の課題や教育目標を論議する際にも学
部の理念を踏まえた検討を行っている。また必要に応じて専任教員によるプロジェクトチ
ームを立ち上げている。各プロジェクトチームの課題は、学部の将来構想に係わるもので
あり、学部の理念や目的、また教育目標の検証を避けて通れないものばかりである。
学部では学部長を長として学部運営会議を設置し、教授会の効果的な運営のみならず、
学部の理念や教育的使命に立脚しながら、学部の中・長期の課題や問題を学部教授会に先
立って検討している。学部教授会では、学部運営会議で示された課題や提案などを全員で
議論し、学部としての方針や意思を決定する仕組みを導入している。
「点検・評価」
学部教授会と学部運営会議では、種々の取り決めを行う際に常に学部の理念や教育目標
に照らし合わせた議論を展開している。
17
「改善方策」
今後、新しい取り組みや構造改革を行っていく際にも、常に検証を怠らず、必要に応じ
てプロジェクトチームによる検証が必要であると考えている。
学部の理念・目的・教育目標の、社会との関わりの中で見直しの状況 (C)
「現状説明」
毎年の一般市民対象の公開講座、セミナー、シンポジウムなどでは、本学部の教育理念
を盛り込んだテーマ設定を心がけており、これらの実施を通して社会に学部の教育理念を
問う形となっている。社会福祉実習では実習後に実習施設と学生と大学の 3 者による実習
に対する相互評価を行っているが、これには社会福祉実習に対する対外的な外部評価とい
う役割を期待するものである。
また、本学の近接地に京都市と市内の有力な社会福祉法人による障害者・高齢者・児童
を対象とした総合福祉センター建設が決定され、本学部に対してプログラム面での協力を
要請されているが、このことは理念や教育目標に立脚して本学部がどのように社会と関わ
るべきか(地域社会の社会資源との連携)を検討する適切な課題となるものである。
「点検・評価」
「改善方策」
現状での社会との関わりの検証は、学部教授会で適宜議題にとりあげ、活発に論議して
いる。今後も、学部の目的と社会貢献が関連していることもあり、同様の方針で見直して
いくことが必要と考えている。
3.大学院研究科の使命・目的・教育目標
1)人間文化研究科
大学院人間文化研究科の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性 (A)
本学では大学開学以来、カトリック精神に基づく「徳と知」の涵養が建学の精神として、
今日まで脈々と受け継がれ、各学部、各研究科の教育実践の中で、精神的支柱となってき
た。まさにこの「徳と知」の涵養こそが、大学院人間文化研究科の教育理念・教育目標で
ある。
大学院人間文化研究科は、「応用英語専攻」、
「生活福祉文化専攻」、「人間文化専攻」の 3
専攻から成り、一見それぞれ異なった教育・研究専攻であるが、広い教養を培い、人格を
高めつつ、人間を対象とした人間がつくり出した文化の知的研究・実践的研究を行い、社
会で活躍できる、より高度な専門知識をもった人材養成の場となっている。
a. 応用英語専攻
応用英語専攻は大学創立以来の歴史を持つ英語英文学科の学部教育を基盤に、2002(平成
18
14)年 4 月に開設された。それ以来、地域および国際社会の発展に寄与する高度な専門職業
人を育成する目的で、実践的・応用的能力を兼ね備えた人材育成を目指している。具体的
には、英語を生かした国際的な交流活動、英語教育活動などにおいて、充分に専門的な活
動を行える知識・技術・応用力を習得させる教育を目指している。
b. 生活福祉文化専攻
生活福祉文化専攻は生活福祉文化学科を基盤に 2004(平成 16)年 4 月に開設された。
「Quality of Life(QOL)向上の研究と Well-Being の探求」が本専攻の教育目標である。‘Life’
は「生活」であるのみならず、「生命」であり、
「人生」でもある。それゆえ、本専攻の教
育理念は、「現代日本の社会に生きるわれわれの生活・生命・人生の質を高める研究を通し
て、福祉の本質(Well-Being)を探求することである」と要約されよう。すなわち、生活学
と福祉学を融合して、新しい生活福祉文化学を創造することを研究目標とし、特定の人への
福祉ではなく、すべての人の生活を基盤とした福祉を実践する力を養うことを教育目標と
する。
c. 人間文化専攻
人間文化専攻は 2005(平成 17)年 4 月に人間文化学科を基礎に開設された。本専攻の教育
目標は、文化と価値観、文化への権利、文化と教育、文化とアイデンティティ、文化の多
様性と相対性などについての考察を深め、さまざまな文化の特質を文学や芸術などの表象
文化を媒介として的確に捉える能力を養成し、さらにそれを国際社会に発信することを含
めた文化的諸活動に積極的に参加しうる実践的・応用的能力を備える人材を育成すること
である。すなわち、多様化かつ複雑化する現代社会が求める人材を育成することである。
各専攻は、こうしたそれぞれの目標達成のために、充実したカリキュラムと研究・教育
に熱心な教員をそろえ、学生の教育・研究指導にあたっている。また、昼夜開講制を取り
入れると共に、男女共学制を実施している。特に、応用英語専攻と生活福祉文化専攻は、
種々の職場で働く社会人の再教育あるいは生涯学習の機会を提供することも目的としてい
る。しかし、すべての専攻が大学学部教育の基礎の上に置かれている、いわゆる「エント
ツ型」大学院であるために、大学院講義担当者の担当コマ数が増加し、その結果、隔年開
講を余儀なくされる科目が出てきているが、今のところ学生に不満は生じていない。応用
英語専攻では専任教員で補えない科目は客員教授が担当し、学生もそれに満足している。
社会人に対しては、学費を分納できる「長期履修学生」の制度を 2007 (平成 19)年度か
ら導入し、実効をあげるものと期待する。また、応用英語専攻と生活福祉専攻では 2008(平
成 20)年度から学部学生のための「学部生履修制度」(早期履修制度)を導入する。
大学院人間文化研究科の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性(A)
19
「現状説明」
人間文化研究科の理念・目的・教育目標等の周知は、各々の学部の項でも述べたように、
『大学案内』
、大学の公式ホームページやオープンキャンパス、年 2 回の大学院説明会等で
行っている。学生の多くは、こうした媒体を通して本研究科を知り、入学してきている。
「点検・評価」
学内外に向けて、研究科の理念・教育目標等の周知をはかっている。しかし、学部に比
べると、積極性に欠ける傾向がある。
「改善方策」
各専攻のホームページを充実させ、各学部・学科と共催である現在の公開講座に加えて、
より高度な内容をもった研究科主催の公開講座を開催するなどして、積極的に周知の方法
を検討していく必要があろう。
大学院人間文化研究科の理念・目的とそれに伴う人材養成等の目的の達成状況
(B)
人間文化研究科の 3 専攻は専門的職業人の育成を主に掲げている。歴史の浅い修士課程
だけの研究科ではあるが、修了者は小・中・高校・短期大学の教員など教育職についたり、
病院や一般企業等に就職するなど、有為な人材を社会に輩出して着実に成果を挙げてきて
いる。また、全国規模の学会や研究会などで研究発表を行なった学生や、他大学大学院の
博士課程への進学者もいる。こうした事実は本研究科の理念・目的に沿った教育実践の成
果といえる。
カリキュラムの充実と教員のきめ細かい指導とにより、教育目標に沿った人材養成がで
きていると評価できる。問題点を指摘すれば、大学院進学者の定数を確保することがむず
かしい現状である。本学の大学院に進学してほしい学部優秀者の中には、大企業等への就
職が決まってしまうか、授業料が安い国立大学大学院に流出するからである。
なお、人間文化専攻では国語の専修免許を視野に入れて開講科目数を増やし、さらに充
実した教育・研究を行う計画である。
2)心理学研究科
大学院心理学研究科の理念・目的・教育目標とそれに伴う人材養成等の目的の適切性 (A)
2003(平成 15)年、京都ノートルダム女子大学大学院人間文化研究科に設置された生涯
発達臨床心理学専攻は、人間文化学部の生涯発達心理学科を基礎として、
〈発達心理学〉
、
〈学
校心理学〉、
〈臨床心理学〉の 3 領域を設け、教育と研究活動を行ってきた。
2005(平成 17)年度には、生涯発達臨床心理学専攻(修士課程)を人間文化研究科から
分離・独立させて、心理学研究科を設置した。心理学研究科は、博士前期課程 2 専攻、博
士後期課程 1 専攻の合計 3 専攻から成っている。
20
博士前期課程では、発達・学校心理学専攻と臨床心理学専攻の 2 専攻を設けた。発達・
学校心理学専攻(博士前期課程)では、発達心理学や学校心理学に関する科学的研究に基
づき、人間の生涯発達の基礎的メカニズムを実証的に解明すること、そして学校教育におけ
る教師、児童・生徒の心理や教育の方法・技術に関する理論的および実証的研究を行うこと
を目的としている。本専攻では、子どもが育つ子育ての現場や学校教育の現場で、臨床発達
心理士や学校心理士として心理学の知識を生かせる専門家の養成をめざす。
臨床心理学専攻(博士前期課程)では、現代社会における心理的諸問題について、理論
的かつ実践的に理解し、カウンセリング、心理療法に関する基礎的な知識や理論を基に、対
人援助の技術を身につけるとことを目的としている。さらにそれらを探求する姿勢を持っ
た臨床心理士として、心の問題を生じた人やその関係者を精神的に支援できるような人材
を養成することを目標としている。
また、博士後期課程として心理学専攻の 1 専攻を設けた。心理学専攻(博士後期課程)
は、高度な科学的心理学に基づく研究能力を備え、社会が心理学に求めるさまざまなニー
ズに応えられる応用力を持った専門家の養成を目標としている。
以上 3 専攻が掲げた人材養成の目標は、心の発達や学校や社会への適応につまずく人々
への援助を行う専門家が求められている現代社会のニーズに対し適切であると考えられる。
大学院心理学研究科の理念・目的・教育目標等の周知の方法とその有効性(A)
「現状説明」
心理学研究科の理念・目的・教育目標等の周知については、学部の項でも述べたように
『大学案内』やオープンキャンパスで行っている。また、年に 2 回大学院説明会が開催さ
れ、各専攻の教育理念や方法、臨床発達心理士・学校心理士・臨床心理士等資格説明、入試に
関する説明を行っている。さらに、大学のホームページに心理学部のオリジナルページを設
けているが、心理学研究科についても、授業紹介や論文指導等についての説明を記載してい
る。また心理学研究科の学生については、入学後に履修指導を行い、単位取得や資格説明、論
文指導に関する説明において、研究科の理念や目的、教育目標を伝えている。
「点検・評価」
学外者、学内の学生ともに、研究科の理念・目的・目標について適切な方法で周知が行わ
れている。
「改善方策」
現在、特に改善すべき方策は見あたらないが、今後、広報活動等だけではなく、修了生が臨
床心理士をはじめ、臨床発達心理士、学校心理士などの資格を取得し、現場で活躍したり、学
会等で研究成果を発表するという形によっても、心理学研究科の理念や教育目標等を周知
できるものと考えている。
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大学院心理学研究科の理念・目的とそれに伴う人材養成等の目的の達成状況
(B)
本研究科は、その前身である人間文化研究科生涯発達臨床心理学専攻の修了生も含める
と、3 学年度にわたって修士課程および博士前期課程の修了生を出している。そのなかには、
臨床心理士、臨床発達心理士、学校心理士の資格を取得した者、職を得て障害児療育や病
院等の心理臨床の現場で活動を始めた者、博士後期課程に進学し研究者を目指す者などが
おり、研究科の理念・人材養成の目標に見合った進路をたどる者がほとんどである。した
がって、設立当初の人材養成の目標は、順調に達成され始めているといえる。
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