Ⅴ 中間まとめを終えて 今回実施した本市高等学校改革の評価・検証結果を改めて整理すると、次のとおりとなる。 1 改革の成果 「基本方針」に基づく本市の高等学校改革は良好な成果を収めている。 (1)市立千葉高校及び稲毛高校・附属中学校は進路ニーズや教育ニーズの多様化に適切に 対応できており、生徒・保護者の満足度はかなり高い。 (2)市立千葉高校の「多様な進路ニーズに対応した進学重視型単位制」及び稲毛高校・附 属中学校の「真の国際人を育成する中高一貫教育校」という改革の特色が、市民には明 確でわかりやすい。また、実際にその特色が生かされ教育効果を上げている。 (3)志の高い教職員とそれにこたえる生徒のやる気、さらには両校の教育活動に対する行 政の支援が相乗効果として表れている。 (4)これまでの文武両道の教育の伝統と市立千葉高校の理数教育及び稲毛高校の国際理解 教育の成果が生かされている。 ○市立千葉高校 ①全体としての改革の成果 学校への満足度は高く全体として改革は良好な成果を収めている。 ②多様な進路ニーズに対応した進学重視型単位制 多様な進路ニーズに対応した「進学重視型単位制高等学校」という改革 の滑り出しは順調である。 ③理数教育の伝統 理数教育の伝統は普通科にも生かされている。 ④文武両道の伝統など 文武両道の伝統は引き継がれ質的にも向上している。 ○稲毛高校・附属中学校 ①全体としての改革の成果 学校への満足度は高く全体として改革は良好な成果を収めている。 ②真の国際人を育成する中高一貫教育 「真の国際人を育成する中高一貫教育」という改革の滑り出しは順調で ある。 ③中高6年間の継続的な指導 中高6年間の継続的な指導は良好な効果を上げている。 ④文武両道の伝統など 文武両道の伝統は引き継がれ、6年間のつながりを生かした中高共同の 活動が充実している。 ⑤教育ニーズの多様化への対応 附属中学校は教育ニーズの多様化の中、公立中学校の中の新たな選択肢 となっている。 50 2 改革の課題 (1)学校の特色や改革の成果等についてのアピール 現状においても両校は、各種説明会・学校公開・ホームページ等さまざまな方策によ り、学校の特色や改革の成果等について、市内の小・中学校及び市民に対して周知に努 めているが、アピールについては、発信する高校側のさらなる工夫が必要である。また、 同じ市立の学校として、市立千葉高校及び稲毛高校・附属中学校のことをもっとよく知 り、交流を図ろうとする小・中学校側からの働きかけも必要である。 ア 期待される効果 (ア)両校の特色を正しく理解して受検する生徒がさらに増える。 (イ)両校の先進的な理数教育及び英語教育のノウハウを市内の小・中学校の教育に還 元することにより、本市全体の教育の質を向上させる。 イ 改善方策(例) (ア)中学校だけではなく、小学校への授業公開も積極的に進める。 (イ)生徒による(出身)小・中学校との交流活動を検討する。 (ウ)千葉市教育研究会を通じた交流 a 枠組みが小・中学校のため、現状では市教研として市立千葉高校との交流は難し いのが現状であるが、今後何らかの形で連携を図る。 b 附属中学校は、市教研定例日(第3週火曜日)が授業日であるため調整に努める とともに、授業研究等を通じて積極的な連携を図る。 (エ)小学校運営協議会の組織の中にも進路指導部会(キャリア教育部会)を設けても らい、小学校側からの課題整理を行う。 (2)稲毛高校・附属中学校の施設設備の改善 現在、附属中学校の生徒は中学校特別棟に加えて、高等学校の施設設備を高校生と共 用することができ、そのことが一つのメリットとなっており満足度も高い。しかし、部 活動等において、野球・サッカー・バスケットボールなど中高生の体力差や競技器具等 の規格・ルールの違いなどにより、高校生と共同で活動することができないものがあり、 活動場所の確保に苦慮している。 附属中学校の立地する周辺では、学校適正配置(小・中学校の統合等)事業が進んで おり、統合に伴う跡施設が生ずる。跡施設活用については、今後、全庁横断的に検討す る部署を定め、総合的な視点を持って検討することとなっており、その中で、この課題 についても教育委員会としての考え方を取りまとめる必要がある。 3 今後の評価・検証に向けて 今回、高等学校改革の評価・検証の「中間まとめ」を行ったところであるが、今後の評 価・検証に当たっても、今回と同様の各種調査を基本とし、研究会において検証を進める こととしたい。また、稲毛高校においては、内進生の進路状況だけではなく、中高一貫教 育における内進生・外進生間の相乗効果についても期待したい。 「よき千葉市民を育てる」という理念のもと開校した両校が、「基本方針」に基づく高 等学校改革により「多様な進路ニーズに対応した進学重視型単位制高等学校」と「真の国 際人を育成する中高一貫教育校」に生まれ変わったが、この改革の特色が、長期的に見て どこまで達成されるのか。卒業生が社会人としてどう育っていくのかということにも期待 して見守っていきたい。 51
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