2015 年度 早稲田大学 教育学部 理科(物理)全体概況 試験時間 60 分 大問数・解答数 難易度の変化(対昨年) 大問数: 2 題 ○ 難化 ○ やや難化 解答数: 24 問 ● 変化なし 問題の分量(対昨年) ● 多い ○ 変化なし 出題分野の変化 ○ あり ● なし 出題形式の変化 ○ あり ● なし 新傾向の問題 ○ あり ● なし ○ やや易化 ○ 易化 ○ 少ない 総評 例年通りの大問 2 題で、今年は力学と電磁気学からの出題であった。毎年、どの分野が出題されるか は全く予想がつかない。昨年は、 (他大学では毎年必ず出題される)電磁気学が含まれていなかったし、 2010 年度のように、純粋な力学分野を外し、熱力学と電磁気学というセットの場合もある。 2011 年度は「方べきの定理を利用してベクトル先端の軌跡を描かせる問題」、2012 年度は「三角関数 の和積変換を利用して三角方程式を解く問題」というように、過去の教育学部の特徴は、「数学色の濃 い内容を多く含むこと」であった。しかし、最近の 2 年間は、数学の定理や高度な近似計算処理などを 必要としない出題となっており、新課程入試初年度の今年はどうなるか注目されていたが、 「ごく普通 の入試問題」が続いた結果となった。受験生は、 「ホッ」としたことだろう。 小問数としは、昨年 16 問に対して今年は 17 問なのでほぼ変わらないが、今年は「小問一つに数式を 2 個答える設問」が昨年より多く含まれ、解答数としては 4 個増加している。今年の力学は、計算の負 担の多さや、扱う内容の濃さの点から考えて、昨年よりも難しい。一方、今年の電磁気学は昨年の波動 よりも取り組み易いので、総合的に見て難易度は同程度としてよいだろう。 「基本問題に加えて、現象 をしっかりと考えさせる設問も含み、確実に物理の力が得点に表れる良問であったこと」 、および「力 のある受験生ならば、60 分間で全問正解することが可能であったこと」も昨年同様である。 〔Ⅰ〕の力学の前半は、2 物体 1 次元衝突の典型的問題である。 「速度は鉛直下向きを正とする」が、 「高さは床から上向きに測る」という条件に注意する。問 5 の計算は大変面倒で、試験中に正解を導く にはかなりの計算力を必要とする。結局、よく知られた「バスケットボールの上にバレーボールを乗せ て、そのまま床に落とすと、バレーボールが思いのほか大きく跳ね上がる現象」と同様の実験である。 後半は、重心・相対運動に関する有名問題である。いわゆる「モグモグするしゃくとり虫の自由落下」 であるが、類題を解いたことがあるかどうかで得点差のつきやすい題材である。「小球Aが床に衝突す る瞬間、しゃくとり虫は初めの長さとちょうど同じ」という条件に注意する。 〔Ⅱ〕の電磁気学は、 (受験生ならば誰もが解いたことのある)電気抵抗に関する問題である。前半 のオームの法則の古典力学的解釈では、「電子が速さに比例する抵抗力を受けるモデル」が与えられて いる。全体的におなじみの題材ではあるが、電池の記号を(電子の移動の向きに注意させながら)実際 に描かせたり、電力最大条件(外部抵抗=内部抵抗)の導出過程を求めたりと、工夫がみられる。 3 年連続「くせのない標準的な問題」だったので、受験生の立場を考えると、今後もこの傾向が続い てほしい気もするが、そうなるとは限らない。過去にも、典型的問題が出された年のすぐあとに、再び 教育学部らしい、 「見慣れない題材・複雑な数学的処理を必要とする問題」が出されていることもある からだ。描図や文章での説明問題も多く、 「分野やレベル、出題形式の絞りにくい、当たり外れの激し い入試問題」という傾向は今後も続くと考えておいた方が無難だろう。対策としては、教育学部用の特 別な勉強があるわけではなく、全範囲を満遍なくしっかり勉強することでよい。もちろん、日ごろから 「自然の言葉」である数学の勉強を怠らないことと、教育学部の特徴に慣れるために過去問にふれるこ とも大切ではある。しかし、「出るかどうか心配する暇があったら、何が出ても大丈夫と思えるように 勉強をしておくこと!」これこそが合格のために必要な、最強かつ唯一の対策である。 Copyright (C) 2015 Johnan Prep School
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