景気循環研究所レポート 住宅ローンの資金需要が急増 2016 年 7 月 20 日 住宅ローンの資金需要判 断 D.I.が急上昇 住宅ローン資金の需要が一段と高まっている。日本銀行が 20 日に発表 した主要銀行貸出動向アンケート調査(16 年 7 月)によると、住宅ロー ンの資金需要判断 D.I.は+13 となり、マイナス金利決定後に急上昇した前 回 4 月の水準(+4)を大幅に上回った。例年 7 月調査の同 D.I.は高めの 数値が出やすいが、当研究所が試算した季節調整値をみても、今回 7 月の 住宅ローン資金需要判断 D.I.は 4 月から 7 ポイント上昇している(図 1)。 日銀のマイナス金利政策は、住宅資金需要を一段と刺激している模様だ。 中小の建設・不動産業向 個人向け住宅ローン資金にやや遅れるかたちで、企業向け資金需要も持 け資金需要判断 D.I.の上 ち直している。7 月の企業向け資金需要 D.I.(当研究所季節調整値、以下 昇が鮮明に も同様)は、4 月から 5 ポイント上昇して+7 となった(図 2)。企業規模 別にみると、大企業向けの D.I.がマイナスに転じた半面、中堅・中小企 業向けの D.I.はともに前回から上昇している(図 3)。特に中小企業では、 建設・不動産向け資金需要判断 D.I.の上昇が著しい(図 4) 。住宅ローン 住宅投資の増加は夏場以 資金需要の拡大が、大工や工務店などの中小建設業の資金需要拡大へと波 降になる見込み 及しつつあるとみられる。 なお、住宅関連の資金需要は拡大しつつあるものの、当初は借換えロー 嶋中 雄二 景気循環研究所長 ンが中心であるとみられる。また、実際に住宅投資の増加が確認される時 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 資金需要判断 D.I.が反転・上昇すると、半年程度のタイムラグを経て、 シニアエコノミスト 利政策が実体景気を押し上げるまでには、相応の時間を要することになり 宮嵜 GDP の住宅投資(実質ベース)が増加に転じるケースが多い。マイナス金 そうだ。 浩 シニアエコノミスト 03-6627-5132 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 福田 期は、今年の夏場以降になる見込みである。過去をみると、住宅ローンの 図 1. 住宅ローン資金需要判断 D.I.は夏場以降の住宅投資増加を示唆 増加 30 (%ポイント) 資金需要判断D.I. 住宅ローン(左目盛) 20 圭亮 シニアエコノミスト 03-6627-5133 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 (年率・兆円) 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 15 10 14 0 13 -10 12 GDP住宅投資(右目盛) -20 景気循環研究所 マイナス金利 16 減少 -30 11 10 10 11 12 13 14 15 16 (注)資金需要判断D.I.は当研究所季節調整値。GDP住宅投資は実質ベース。 (年、四半期) (資料)日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」、内閣府「四半期別 GDP速報」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 1 2016 年 7 月 20 日 図 2. 企業向けと個人向け(住宅ローン)の資金需要判断 D.I. 増加 40 (%ポイント) リーマンショック 30 マイナス金利 住宅ローン資金需要 20 10 0 -10 -20 減少 -30 企業向け資金需要 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年、四半期) (注)当研究所季節調整値。シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。 (資料)日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」をもとに三菱UFJモルガン・ スタンレー証券景気循環研究所作成 図 3. 企業向け資金需要判断 D.I.(規模別) 増加 15 (%ポイント) 中小企業 大企業 10 マイナス金利 5 0 -5 -10 減少 中堅企業 -15 10 11 12 13 14 15 16 (年、四半期) (注)資金需要判断D.I.は当研究所季節調整値。 (資料)日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」をもとに三菱UFJモルガン・ スタンレー証券景気循環研究所作成 図 4. 建設・不動産業向け資金需要判断 D.I.(規模別) 増加 15 (%ポイント) マイナス金利 中小企業 10 中堅企業 5 0 -5 -10 減少 -15 大企業 10 11 12 13 14 15 16 (年、四半期) (注)資金需要判断D.I.は当研究所季節調整値。 (資料)日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」をもとに三菱UFJモルガン・ スタンレー証券景気循環研究所作成 (以 上) みやざき ひろし (16.7.20 宮嵜 浩) 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2 2016 年 7 月 20 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、カブドットコム証券、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循 環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 3
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